1週間でUA2000超えに評価バーも赤という事で本当に感謝致します。
感想もちゃんと読んでるよ!
生徒会室にて優雅に座っているのは秀知院生徒会副会長である四宮かぐや。如月千早に呼び出され紅茶を飲みながら待っているところである。
「如月さん……」
四宮かぐやにとっての如月千早とは。
「妬ましい……!」
「待たせたわね……っていきなり何?」
嫉妬の対象である!!
それは高等部に入ってから約半年、当時の生徒会長が引退し、白銀が生徒会を発足することとなった時のことである。
生徒会長は選挙によって当選した者がなるものだが、他役職に関しては会長自らがスカウトすることによって決めることが出来る。
副会長として選ばれた四宮かぐやに、そこに引っ付いてきた藤原千花。そこから翌年にはとある事件から救いあげられた石上優が加わりなんとかやってきているというのが現状である。
では千早はどうだったのか。
中等部の頃から親しい千花に連れられて来た……否である。
自らを売り込みにきてそれが白銀のお目にかなった……否である。
石上の様になんらかの問題から救ってもらい、恩義で生徒会に所属してる……否である!
如月千早は……
白銀自らのスカウトにより庶務という地位を得た、かぐやにとっては目の上のたんこぶなのである!!
「いや、指名されたのは貴女もでしょ……」
「そうですけど!でも副会長の私より先に声かけられたって聞きましたが!」
「ほら私、前期も生徒会だったから……」
そう。千早は前生徒会長が引退する前の生徒会の一員であり、そこで前会長からスカウトされた白銀とも交流があったのだ。
いくら白銀がかぐやのことを好いていようと、目の前にいる人間からスカウトしようとするのは効率からすれば仕方の無いことなのだろう。
しかし、かぐやはずーっとそれが引っかかっているのだ!
(え……?なんで副会長より先に庶務に声かけたの……?)的な気持ちが白銀を意識し始めてからぐんぐんと湧き上がってきているのだ!
ついでに自分の近侍も千早にお熱なものだから余計に嫉妬の炎を燃やしてしまっているのである!
もちろんそれをおくびにも出さないのが四宮かぐやという人間なのだが、今回は我慢の限界であった。
それは本日の昼休みのこと……。
私はできる限りお弁当を自分で作って学園に持ってくるようにしている。
と言うのも以前までコンビニ弁当、酷い時にはカロリーメイトとサプリメントで昼食をすませていた。
そんな私を見かねた白銀君が、私に料理を教えてくれるようになったからだ。ちなみに白銀君の妹である圭と知り合ったのもその時。
そして月に2,3回、白銀君に練習の成果を見せるため、生徒会室まで弁当を持ってくるようにと言われている。
今日はその成果を見せる日。
「持ってきたか如月庶務」
「はい、会長。以前指摘された部分も気を付けてみたのですが……」
「この瞬間だけは会長と呼ぶのではない……師匠と呼べッ!!」
「はい!師匠!!」
これもよくするやり取りの1つ。今思えば白銀君と本当に仲良くなれたのは料理を教わり始めた時からかもしれないわね。
「む、如月庶務。この唐揚げ……なかなか腕を上げたな」
「ありがとうございます。前回師匠が少し味が薄いかもしれないと仰っていたので調整してみました」
「だがこの卵焼きは少し詰めが甘いな。恐らく形を整えるのに苦戦しただろう。少し焦げているぞ。そういう時は火は一旦止めてしまっていいから焦らず丁寧にやるんだ」
「なるほど……」
料理に限った話ではないのだけど、1回トチるとワタワタしちゃうのよね……。
「あとこれは個人的な感想だが、俺はもう少し甘みのある方が好きだ。俺の作ったやつを食べてみろ。ちょうどいい塩梅に仕上がっている自信がある」
「……美味しい。流石です」
「そうだろう!そうだろう!はっはっは!」
「えーっ、千早さん羨ましいなぁー!私にもお昼分けてくださいよぉ!」
「ふ、仕方がないヤツめ。では藤原書記にはこのハンバーグをやろう」
「やったぁ!」
そしてタイミングが良いのか悪いのか、こういう時に四宮さんはいつも所用で席を外している。
わざわざ言うほどのことでもないかと思って白銀君に料理を教えて貰っていることは話していないのだけど、これよく考えると見られたら厄介なことになるのではないかしら?
誤解される前に次に会った時にでもそれとなく伝えておきま
ッ!!!さ、殺気!!
「如月さん……貴女は藤原さんとは違うと思っていたのに……」ボソッ
い、いつの間に!?……よく考えたら最初からいたわね。お弁当のことに気が回りすぎて周りが見えていなかったわ。
そ、それにしてもとんでもなく殺意を含んだ目が私と千花を貫いている……!相変わらず千花は気付いてないみたいだけど、これは相当不味いやつね。
弁明しようにも私と白銀君がお弁当のおかずを交換し合っていたのは事実。千花に至っては平気で白銀君のお箸を使っていたし……。
そこは私も少し注意しておけば良かったわね。まぁ千花だしと思って放置していたのが裏目に出たわ。
「よし!これも食え!」
「わーい!」
馬鹿!!なんで火に油を注ぐようなことを!!
「っ!?」
あら……。ようやく白銀君もこの殺気に気付いたようね。私と千花の安全のためにも、一旦この場を切り上げてくれるとありがたいわ。私は白銀君に教えを乞う立場だもの。私から解散なんてさせられないし……。
「……そういえば如月庶務に料理そのものは教えていたものの、弁当に関するテクニックは教えていなかっただろう!これを見ろ!」
「それは……お味噌汁?」
「そうだ!弁当の米は冷えると固まってしまっていかん。しかしこの用意した味噌汁と一緒に頂くと……最高の1品に化ける!試してみろ」
くっ!凄くタメになる情報を聞いてしまったわ!こんな状況でなければ喜んで試したのに!何に対抗心燃やしてるの貴方は!
「千早さんどうかした?……それじゃあ私がお先に〜」
あぁ!そんなわざわざ食べかけの所から行かなくても!そっちも!?ペットボトルじゃないんだから別のところにだって口付けられるでしょう!?
「わぁ……!お米が!お米がお口の中でほろほろ解けていきます!」
「そう。昔から茶漬けには冷や飯と相場が決まっているように、温かい汁物と弁当は相性が抜群にいい!」
「美味しいです!会長は天才です!」
「ふはは!やめいやめい!」
白銀君、貴方天才ね。私も水筒にお味噌汁入れてこようかしら。ついでにお味噌汁の味付けも白銀君に教えて貰って……。
ってそうじゃなかったわ!千花……貴女だいぶアウトな行為を連発したけど四宮さん(の正気)は大丈夫かしら?
…………これはダメね。お疲れ様でした。
あっ、お弁当食べれてない……。
そして戻って現在放課後の生徒会室。
「如月さんまであんなふしだらな!お弁当の食べさせ合いっこ(誇張)なんて羨ま……じゃなくて!生徒会の一員としてどうなんですか!?」
「ちょっとおかずの交換しただけでそこまで言わなくても……」
流石に怒り心頭のかぐやにたじたじな千早だが、今回は文句を言われに呼んだ訳では無いのでさっさと本題に入る。
「もしかして会長のお弁当食べたかった?」
「はぁーーー!?そんな物乞いみたいな行為、この私がするとでも!?」
顔を真っ赤にして反論するかぐやだが千早にしてみれば「知ってた」というやつである。
もちろん素直に認めるわけが無いこともわかっているので、千早はかぐやにとっての逃げ道を用意することにする。
「落ち着いて四宮さん。私も少し勘違いしていたわ」
「……?」
「四宮さんは会長のお弁当が食べたいのではなく、庶民の作るお弁当がどういうものかが気になったのよね?いつか社会に出た時に下々の暮らしにも多少は詳しくないといけない。そう!社会勉強のため。そうでしょう?」
先程まで顔を赤くしていたかぐやも、このあからさまな誘導には気付く。しかし敢えてそれに乗る。何故なら……
「(如月さんからの案って大体良い方向に転ぶのよね!)」
千早の案に乗ると概ねかぐやがやりたかったことを達成出来るからである!
かぐやは財閥の娘だからこそ、庶民との感覚の違いや自身のプライド等から計算ミスし、主に白銀のことで思うように事が進まないことがままあった。
しかし根っからの庶民である千早はその弱点を補うような形で策を提案することが出来る!
千早はハッキリ言葉にはしないながらもかぐやの協力者なのだ!
「……そうなの。流石に如月さんにはバレてしまったようね」
「私にいい案があるわ」
「聞きましょう」
かぐやの食い気味な返事に満足そうに頷く千早。
今回、千早がかぐやを呼び出したのは他でもない。どうせ翌日あたりにお弁当のことで一悶着あるだろうと予想した千早は先手を打ちにきたのである。
「ちなみにだけど四宮さんならお弁当を貰うならどうするかしら……例えば会長のおかずを貰うと仮定しましょう」
「そうね……あくまで仮定ですけど、まずは超一流のおかずを四宮の専属シェフに作らせるわ。会長は牡蠣が好物だったはずですし、それを見せつければ向こうから交換して欲しいと地に額を付けて懇願することでしょう」
「はい、交換失敗!」
「ウソ!?」
ビシっと指さしながらばっさりとかぐやの案を否定する千早。
「簡単な話よ。等価交換になってないでしょ?会長が出すのはウインナーや卵焼き、対して四宮さんは牡蠣じゃ釣り合わないわ。会長はそういうの嫌がるじゃない」
「まぁ……一理あるわね」
「でしょう?だから私に任せてちょうだい。ひとまず明日はお弁当持ってこなくていいわよ」
そこには並々ならぬ自信を持った千早の姿があった。
正直千早の方が白銀のことわかってますよ感が癪に障るが、背に腹は代えられない。
利用できるものはとことん利用するのが四宮流である。
「作ってきてくれるのかしら?」
「えぇ。ただ会長と直接のおかず交換は流石にハードルが高いから、そこは我慢してほしいところね」
「妥協点ってところかしら……って会長のお弁当が欲しいわけじゃないんですからね!?」
「……そうだったわね」
その後も話し合い、あらかた作戦会議を終えた2人は帰路に就く。
帰りが遅くなったこともあり、かぐやの厚意で途中まで車で送ってもらった千早は早速買い出しに出るのであった。
(ちなみに早坂は秀知院の制服でかぐやと一緒にいるわけにはいかなかったので徒歩帰りである。彼女は歩きながら少し涙を流した)
~翌日~
「あれ?かぐやさん手ぶらじゃないですか。今日はお弁当とかじゃないんですか?あの高級そうなやつ」
「今日は少しね。藤原さんこそいつもと違うじゃない」
「会長に作って貰ったんですよ~!昨日食べたのが忘れられなくって!」
「へ、へぇ……そ、そうなのね」
内心怒りに満ち溢れるかぐやだが、今日は違うのだ。あの藤原千花さえも封じながら白銀のお弁当を食べる。それはとてつもない難易度のミッションだが、千早の作戦を聞いたかぐやには絶対的な自信に満ちていた。
「四宮さん、待たせたわね」
「もうお腹ペコペコですよ」
軽い挨拶を交わしながら何気なくかぐやにお弁当を手渡す千早。
その光景を見た千花は唖然とその様子を見ていた。
「え、それ千早さんが……?」
「如月さんに頼まれたのよ。たまには四宮さんにも食べてもらいたいって。ねぇ?」
「いつも会長に食べてもらっては変り映えしないと思って」
「ほぉ……良い向上心だ」
と言いつつ白銀も弁当を広げるかぐやを珍しそうに見ていた。
お弁当の蓋を開けるといつも通りのおかずの数々。ウインナーや卵焼き、アスパラガスのベーコン巻き等など。
「あ、これ本当に美味しそう」と思わずかぐやは普通に食べそうになるが作戦はここからであった。
「藤原さんも食べないんですか?会長に作ってもらったんでしょう?」
「う、うぅ……!」
これ見よがしに千早のお弁当を千花にみせつけるかぐや。
千花もお弁当を広げたものの一向に食べる様子はない。そして……
「うえええええん!ズルいですよぉ!!私、千早さんのお弁当食べたことないのに~~!!」
号泣!
「い、意外だな……如月庶務は藤原書記に弁当の1つや2つ持ってきていそうなものだが」
「全然ですよ!『まだ他の人に食べさせる程のものじゃないから』っていつも言ってたじゃないですか!千早さんのハジメテが奪われたぁ!私のだったのにぃ!」
「妙なこと言わないでちょうだい……」
「(この物言いだと如月さんの初めては会長という事では……?)」
かぐやは激しく嫉妬した。
ちなみに、別に千早は意地悪で千花にお弁当を作らなかったわけではない。
実際、まだ食べさせる域に達していないと思っていたのは事実だが、これを機にまぁそろそろいいかな?と思っただけである。
決して、千花は意外と素で歯に着せぬ物言いをするので怖かったから渋っていたわけではないのだ。(なお石上も同列)
「藤原さん、如月さんのお弁当そんなに食べたいの?」
「そりゃ食べたいですよぉ」
「でも藤原さんに譲ったら私のお昼が無くなってしまうわ」
「あ!じゃあ私のと交換しましょう!!」
勝った。確信する千早とかぐや。
「お、おい!作った本人に伺いくらい立てろ……!」
「会長のより千早さんのお弁当の方が希少価値が高いんです!!」
白銀としてはいきなりかぐやに自分の手作り弁当を食べさせることになってしまい動揺しているが。
ここでさらに追い打ちをかける。
「じゃあせっかくですから皆でおかず交換でもしましょうか」
この千早の提案により逃げ道も無くなった。「みんなで」この言葉に逆らえる日本人はそう多くはないだろう。(なお石上を除く)
「如月さん」コソ
「どうかした?」
「その……ありがとうございます」
「(今日も生徒会は平和ね)」
如月千早。
四宮かぐやにとって彼女は嫉妬の対象であるのと同時に
大切な友人である。
かぐや「あ、明日はお弁当要らないからシェフに伝えておいてくれる?」
早坂「かしこまりました……では昼食はどうするんです?」
かぐや「如月さんが作ってきてくれるって」
早坂「?????」