オーバーロードと死の宝珠   作:NEBUSOKU

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トブの大森林の東

 冒険者組合の組合長室で超希少薬草を渡し依頼を達成したが、組合長アインザックは信じられないと驚いている。

 

「こんなに早く依頼を達成するとは驚きだよ。まさかもう薬草まで見つけてきたとは。しかも薬草が生えていた魔樹ザイトルクワエとかいうのも倒したんだって本当かい?」

「ええ、本当です。ドライアドに聞いていた魔樹ザイトルクワエ、ちょうど奴が目を覚ます時期だったので、薬草を手に入れる為に魔樹ザイトルクワエを我々で討伐しました。その時に此の子がいまして、とても腕の良い召喚術師で召喚で我々を助けてくれたのですよ」

 

 ソアは、漆黒のローブを着込んでおり、漆黒のフードから金髪が垂れていて頭飾りは隠れてしまっている。手には木製のスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンをデフォルメして可愛らしくした杖を握り、天辺の蛇達が咥えているのは宝玉では無く只の色付きガラス玉だ。

 ナザリックの外が物珍しいのか金瞳で辺りを見回している。

 

「ほう、この小さい子がねぇ。魔樹ザイトルクワエの討伐跡は、後で捜索隊で探させてもらうよ。構わないね」

「ええ、その目で見ないと信じられないでしょうから。後、この子を冒険者にしたいと思うんですが、アインザックさんの推薦状を頂けませんか?彼女の力は我々が保証しますので」

「ああ、もちろんいいとも。推薦状を書こうじゃないか」

 

 組合長アインザックの推薦状を受付に持って行き、ソアは冒険者と認められた。まずは銅(カッパー)級冒険者からだ。

 ソアが人形の操作がまだ難しいのか、どこかぎごちない足運びで飛び跳ねている。

 

「やりました。これでソアも冒険者です!モモンさんと一緒に冒険できるんだ」

「こらこら、冒険者組合で騒ぐものでは無いぞ。静かにしなさい」

「はい、わかりました!」

「さて、冒険者組合での依頼達成の報告は済んだし、ニニャ、冒険者掲示板に良い依頼は有ったか?」

「いや、無いですね。低級から中級の依頼ばかりです」

「ふむ、特に予定は無しか。ではトブの大森林で肩慣らしと行こう。ソア、お前の魔法の腕前を発揮してもらうぞ」

「はい、お任せです!」

 

 トブの大森林に〈西の魔蛇〉、〈東の巨人〉がいたな。

 話を付けてくるか、まあ戦闘準備をして棍棒外交って奴か。話を聞いてくれれば良いんだが聞いて貰えなきゃ死体にして再利用させてもらうか。

 

 トブの大森林へ行く為にモモン一行は、人目を気にする必要がない場所まで来ると《ゲート/転移門》を開き、カルネ村まで転移した。

 事前にアウラへ《メッセージ/伝言》を使って連絡していたおかげか、既にアウラはカルネ村近くの森で待機していたので合流した。

 

「アウラ、度々済まないな。」

「とんでもない、そんな事言わないで下さい。アインズ様の為に働くのは当然の事なんですから」

「そ、そうか、〈東の巨人〉の元まで案内を頼めるか?」

「はい、お任せ下さい」

 

 トブの大森林は足場は悪く、頭上に茂った木々によって視界は遮られ、周囲は昼でも暗く、あちらこちらに闇がわだかまっており15メートル先が見えれば良いほうだろう。

 その中をモモン達一行は、アウラの案内で〈東の巨人〉の元まで進んでいる。

 道中のゴブリンやオーガなどの雑魚は、ソアが《サモン・ムーン・ウルフ/月光の狼の召喚》で呼び出した召喚獣〈ムーン・ウルフ/月光の狼〉を三匹召喚して蹴散らしている。

 ムーン・ウルフのレベルは20なので此の辺りなら余裕だろう。

 モモンは、道中の安全の為を考えてニニャが持った杖に嵌められた死の宝珠に補助魔法を掛けて強化して貰うよう頼み《エクステンドマジック・ウォリアーレベルアップⅤ/魔法持続時間延長化・戦士職段位上昇Ⅴ》を掛けて貰った。

 

 アウラの案内で〈東の巨人〉がいるという洞窟までやって来たが、洞窟入口では〈トロール/妖巨人〉1体が門番をしているのか肉を噛み千切りながら立っている。

トロールは、長い鼻と長い耳が特徴の巨人で身長は2m後半から3m程度が主流だ。驚異的な再生能力を持つが反面、弱点は再生能力を阻害する炎や酸の攻撃だ。

 この門番をしているトロールは身長3m弱といった所だ。

 

「おーい、君。〈東の巨人〉に取り次いで貰えないか?」

「ウマソウナ、タクサンノ肉クウ」

「駄目だ、話が通じない」

「なんという無礼者。モモンさーん殺す許可を」

「馬鹿な奴でござる」

「話も聞かないなんて悪い子!やっちゃえムーン・べア、《サモン・ムーン・ベア/月光の熊の召喚》」

 

 ソアが杖を振ると熊が1体が召喚された。〈ムーン・ベア/月光の熊〉は、レベル60を超えるヒグマの2倍は大きい巨大な熊だ。

 ムーン・ベアはトロールに近づき、じろりと見たかと思うと爪の生えた右前足で前方を掻いたら、トロールの血飛沫が飛び上半身と下半身が分かれていた。

 トロールは生命力の強いモンスターだ。上半身が分かれても藻掻きながら再生しようとしているが、ムーン・ベアの左前足に頭を踏み砕かれて死んでしまった。

 

「すごいぞムーン・ベア。いい子いい子!」

 

 ソアはムーン・ベアの頭の辺りをよしよしと撫でている。

 

「こらっ、ソア、まだ攻撃して良いとは言ってないだろ。今度から指示を仰ぐようにしなさい」

「はい、モモンさん。ごめんなさい!」

 

 小さな頭を下げてソアは謝っているので、今回は許すと伝え、皆で入口から何か出てくるかと待ち構えた。だが、どうやら門番を倒しても中から他のトロールやオーガは出て来ないみたいだ。

 

「このまま洞窟の中へ入るぞ、私は武技を発動させておくが、お前たちも戦闘準備はしておけ。ニニャはランタンを出して辺りを照らすようにせよ」

「はっ、了解しました」

「はい、ランタンですね、少々お待ちください」

「ここに入るでござるか、〈東の巨人〉殿とは初めて会うでござるな」

 

 ムーン・ベアは大きすぎて洞窟に入れないので、ソアが送喚して新たな召喚獣を呼び出した。

 

「ムーン・ベア、ばいばい。《サモン・ファイア・ワイルドキャット/炎の山猫の召喚》!」

 

 ソアはファイア・ワイルドキャットを3体召喚して、縦列を作って付いて来てねと声を掛けている。

 ファイア・ワイルドキャットは、炎の山猫の名の通りに燃え盛る炎が狼ほどの大きさの山猫に纏わりついているのが分かる、近づけば熱いほどだ。ソアとの召喚の絆で言う意味が分かるのか縦列を作っているようで並ぼうとしていた。

 

 敵に勝負するだけ無駄なのだと力の差をはっきりと分からせて、交渉のテーブルに付けないと話を聞いてもらえないだろう。

 よーし、ユグドラシルでの経験を思い出すんだ。こうゆう時は、いつでもお前と戦えるんだという所を見せて相手をビビらせないといけないはず。

 

「〈武技・漆黒付与〉、〈武技・七彩強化〉」

 

 モモンは武技を詠唱し戦闘準備に入った。両手に持った2つのグレートソードから漆黒の気が立ち昇り、体が一瞬七色に光輝いた。

 〈武技・漆黒付与〉は、スキル〈ネガティブ・タッチ/負の接触〉を少しの間、付与して武器で攻撃を受けた者に負のエネルギーを送り込みダメージを与える物で相手がアンデッドで無い限り有効な武技だ。

 

 洞窟へモモン達一行が入って行くと洞窟は、やや暗くモモンのように闇視が無くてもなんとか見える暗さで、どうやら天井に裂け目があり、そこから光が漏れているようでニニャの持つランタンの明かりで辺りが明るくなった。

 洞窟は湿っており天井の鍾乳石から水がポタリと落ちていて、洞窟の広場ではトロールとオーガが集まり作業をしているようだ。

 

 洞窟の広場の中にはモモンも初めて見る、他と違い筋肉量の多いトロールが様々な動物の皮を集めて作った皮鎧を着て、魔法効果のある3m近いグレートソードを右手に持っている。グレートソードからは刀身中央の溝から常に毒が刃に流れているのが見てとれた。そのトロールの廻りに5体のトロールと数体のオーガが集まって鹿を素手で解体していた。

 

「お前ら何しに来た」

「私はモモンという冒険者だ。お前達に提案がある、私の部下になれ」

「がっはははは、中々の名前の持ち主だが名前が長い臆病者だな、俺の名のようにグという強き者とすぐに分かる名ではないな。で、お前の部下に成れだって名前も長い、見た目も弱そうな奴の部下には成らん」

「臆病者ねぇ。名前の長さで決まるんだな」

「モモンさーん、こいつを殺す許可を下さい」

「殿は臆病者では無いでござる。失礼な奴でござるな」

「アインズ様、こいつ殺っちゃっていいですか」

 

 皆の殺気を片手を横に広げ、まあいいだろどちらが上かはすぐに分かると余裕を見せつつ声を交わした。

 ふーん、名前の長さで強さは分からないと思うんだが、アインズ・ウール・ゴウンと名乗っていたら、もっと馬鹿にされたんだろうな。トロールの文化なんだろうが意味が分からないよ。

 

「私の本当の名は、アインズ・ウール・ゴウンという、お前の短い名が強いという話からすると私は臆病者という訳だ。その臆病者から提案何だが、私一人で戦おう、お前達は強い者なのだろう?そちらは何人で掛かって来ても構わないぞ」

「なめるな、行け、者ども食い散らかしてやれ」

 

 モモンが一行から離れ手前にやって来て、来いよと手振りで煽っている。

 手下のトロール達とオーガ達全員がモモンに向かって襲い掛かって来た。

 見ただけで強さが分かる賢さは無いか話にならないな。

 

「〈武技・不落要塞〉、……〈武技・星光連撃〉」

 

 トロール達とオーガ達の攻撃を武技を使い、交差した双大剣で受け止め跳ね返す。トロール達とオーガ達は、敵同士がぶつかり合い、たたらを踏んでバランスを崩している。中には片膝を突いているものも居るぐらいだ。

 双大剣を一振り、刹那、まるで星空の光のように剣閃の光が輝き、無数の斬撃がトロール達とオーガ達に叩きこまれる神速の連続斬撃。トロール達とオーガ達の胴体、手足、首がバラバラに成っていく、血飛沫が飛び臓物がばらける。

 

「糞、役立たず共め、俺がやってやる。オラァ、オラオラオラァ!」

「〈武技・無敵〉、〈武技・無敵〉、〈武技・無敵〉、〈武技・無敵〉!」

 

 武技が東の巨人グの斬撃を弾いている。まるで当たらない、空間の手前で剣が弾かれているかのようだ。爆撃のような連打を以てしてもモモンには剣が届かない。

 

 いや、連撃を凌ぐのに武技が瞬間しか効かないから見極めるのがキツイな、もう一発来てたら武技で耐えられたか分からないぞ。だが、ここは余裕の声色で宣言しないと恰好がつかないからな。

 

「な、何者だ、お前! なんで俺の攻撃が通じない!」

「私は、アインズ・ウール・ゴウン。お前が最後に覚える名だ。〈武技・双剣斬撃〉」

 

 モモンは、武技で〈東の巨人グ〉を3つの肉の塊に切り分け倒した。グは、体を倒した状態でも呻き声を上げてなんとか再生しようと足掻いている。

 

 なかなか死ねないのも考え物だな。後は皆に任せるか。

 

「勝負はついたな。皆、止めは任せるぞ。〈東の巨人グ〉の生首を取っておくようにせよ」

 

 ソアの炎の山猫が、アウラの一撃が、ハムスケの尾の叩きつけが、ニニャやナーベの魔法が生き残りに止めを刺していく。〈東の巨人グ〉の生首を〈西の魔蛇〉に見せれば交渉も上手く行くだろう。後はアウラに任せるか。

 ニニャが換金用にトロールとオーガの耳を剥いで腰元の袋に入れている。

 冒険者組合で換金してからナザリック地下大墳墓に戻り、ゆっくり休ませてもらうか。




・〈武技・漆黒付与〉
 オリジナル武技。
 剣にスキル〈ネガティブ・タッチ/負の接触〉を少しの間、付与して武器で攻撃を受けた者に負のエネルギーを送り込みダメージを与える。

・〈武技・星光連撃〉
 オリジナル武技。前提武技:八光連撃
 星光連撃とは、双剣による一撃を振るう刹那に、周囲の敵に数え切れないほどの斬撃を叩き込む神速の武技。攻撃がばらける命中率の低い剣閃という弱点がある。
 敵には、まるで星空の光のごとく剣閃の光が無数に見え、数え切れないほどの斬撃で斬り飛ばされる武技である。
 現在、斬撃数12、将来的には斬撃数が増える。

・《サモン・ムーン・ベア/月光の熊の召喚》
 オリジナル魔法。
 レベル60を超える〈ムーン・ベア/月光の熊〉を1体召喚する。
 ヒグマの2倍は大きい巨大な熊を召喚する。

・《サモン・ファイア・ワイルドキャット/炎の山猫の召喚》
 オリジナル魔法。
 レベル20の〈ファイア・ワイルドキャット/炎の山猫〉を3体召喚する。
 燃え盛る炎が纏わりついている狼ほどの大きさの山猫を召喚する。
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