オーバーロードと死の宝珠   作:NEBUSOKU

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竜王国の前線の街 2

 戦場は、草木は焼け焦げて荒れ地になっている。地面の土砂に血肉が染み渡り、まるで墓場のような匂いがしていた。

 遠くのビーストマンの大軍勢の野営地は谷間にあり、そこを突破しないと道を通って次の竜王国の滅びた街に行けない様になっていた。

 

 ビーストマンとは、二足歩行をするライオンやトラ等の姿をした種族でビーストマンは人間の10倍の力を持ち肉食で主に好んで人肉を喰らうと言われているが、人間の10倍程度なら問題なく相手できる。

 この転移した世界での人間のレベルは低くレベル1とするとビーストマンはレベル10程度なのだから、それにビーストマンは人間の10倍の力に満足しているのか、まったく鍛えるという発想も無くレベル10からレベル20程度で不思議と個人の強者が少ないのだ。

 

 奥義(スキル)の〈地球の再誕〉で召喚獣を出すのはレベルが違いすぎて訓練にならないので止めておいた。レベルが高い敵なら出すのも考えるんだがな。

 やっぱり、戦士の訓練をするのに召喚獣じゃ駄目だよな。今回は召喚獣は無しで味方の魔法で戦おう。

 ナーベには、今回は魔法の制限なく攻撃を許可すると言っておいた。

 このビーストマンの大軍勢では魔法に制限を掛けたままでは敵の処理に時間が掛かり過ぎて、街に被害が出るかもしれないからだ。

 

 モモンが号令を掛けた後、〈レギオン・スケルトン・ウォリアー/軍団兵骸骨戦士〉以外のアンデッドの軍勢はビーストマンの大軍勢の後ろに無事到着して攻勢を掛けたようだ。

 遠くのビーストマンの大軍勢から叫び声や驚きの声、絶望に咽び泣く声が微かに聞こえて、大量の砂埃と共にビーストマンの大軍勢が此の町に向かって逃げ出していた。

 

 よーし、驚きのあまり隊列も何もなってないな、烏合の衆という訳だ。

 大量の経験値に成るが良い。さてこちらの状況はどうなのだ?

 

 前に出たニニャの後ろで〈レギオン・スケルトン・ウォリアー/軍団兵骸骨戦士〉は、盛んに骸骨戦士が骸骨戦士を召喚しているようで今では5000体ほどになっている。まさに軍団といった規模にまで膨れ上がっているようだ。

 ハムスケは荷物を下ろし、やる気は十分なようで後ろ足で立ち上がり前足の爪で攻撃できるよう戦闘準備をしているようだ。

 ソアは召喚獣〈ファイア・レオ/炎の獅子〉を2体召喚して、杖を前方に向け何時でも魔法を唱えられるようにしている。

 ナーベやニニャもそれぞれ杖を構えている。

 

 モモンは仲間の様子を見て大丈夫そうだと感じて、更に前へと歩いて行った。

 もはやビーストマンの大軍勢とそろそろ接触するかと思われた時、モモンは右足を地面に激しく叩きつけ周囲に揺れを起こし、近くにいたライオン頭やトラ頭のビーストマン達が揺れに驚き立ち止まろうとしたが、後ろの軍勢に押され先頭の軍勢が将棋倒しに成ってしまった。

 倒れてしまった軍勢の先頭付近は、後ろの軍勢に押され圧死してしまった。圧死した先頭の仲間を踏み越え街に辿り着かんと軍勢が死体をよじ登って来る。

 

 モモンの頭上に展開していた3つの黒曜石の剣が空を舞い、よじ登っているハイエナ頭や山猫頭のビーストマン達を斬り刻んでいる、モモンも〈武技・漆黒一投〉を使い、《クリエイト・グレーター・アイテム/上位道具創造》の魔法を使い生み出した大剣に負の力を付与して、次々にビーストマン達に投げつけている。

 〈武技・漆黒一投〉を避けてモモンに襲い掛かろうとしたビーストマンは〈武技・漆黒八連撃〉によって負の力を付与された連続斬撃で頭や胴体、手足を斬り飛ばされた。

 モモンは、仲間の戦闘を確認する為、周囲に目を配った。

 

 ソアが《ファイヤー・ストーム/炎の嵐》を敵中央部に向けて放ち、燃え盛る炎の嵐がビーストマン達を巻き込み吹き上がり、〈ファイア・レオ/炎の獅子〉の2体が咆哮を上げると口から《ファイヤーボール/火球》がビーストマンへ着弾後に衝撃ではじけ飛び、内部にため込んだ炎を一気にまき散らしてビーストマン達を消し炭にしていく。

 

 ハムスケは前足の爪でビーストマンの頭を消し飛ばし、長い鱗の生えた尾を振りまわして数匹のビーストマンを吹き飛ばしているようだ。

 ハムスケも訓練すれば、武技を獲得できるのだろうか?後で死の宝珠に確認してみよう。

 

 ナーベやニニャもそれぞれ杖を構え、ナーベは、密集した軍勢と相性が良い《チェイン・ドラゴン・ライトニング/連鎖する龍雷》を使い、雷が白くのたうつ竜のようにビーストマンに絡みつき焼き尽くしていく絶命させた後に近くのビーストマンに襲い掛かりに行った。

 ニニャは《マイニュート・メテオズ/微小流星》を使い、ビーストマンの軍勢に次々と小さな流星を創り遥か空から撃ち出している。ビーストマン達の足元やビーストマン達自身に当たり命中した小流星は小規模の爆発を起こし次々にビーストマン達を空高く吹き飛ばしている。

 

 〈レギオン・スケルトン・ウォリアー/軍団兵骸骨戦士〉の軍団は近づくビーストマンの軍勢を斬りつけて戦っている、石壁の上からも兵士達の弓矢や冒険者の魔法が飛んできてビーストマンが街に入らないよう石壁から離させようとしているのが見えた。

 

 モモンは問題無さそうだと前方の戦場に目をやると続々と軍勢が来ており、このまま戦うのは効率が悪いなと感じていた。なにせ戦士の武技には範囲攻撃が無いのだ。

 〈武技・漆黒一投〉で大剣を投げようが〈武技・漆黒八連撃〉で一人の敵に連続斬撃を御見舞しても〈武技・星光連撃〉で周囲の敵を細切れにするとしても、この数の雑魚を相手にするのは面倒臭いのだ。

 そこで武技による範囲攻撃を頭に想い浮かべながら双大剣を振りつつ、片足を地面に激しく叩きつけ揺れで敵を足止めしていたら武技を獲得したというメッセージが頭に浮かんできて新たに武技を2つ獲得したのだった。

 

「喰らえ〈武技・地震脚〉、そして〈武技・撃波〉!」

 

 武技により効果が大きくなり、片足を地面に激しく叩きつけ大きく周囲を揺らしてビーストマンの軍勢は、たまらず足を止めて揺れに抗おうとしている。

 そこを〈武技・撃波〉で双大剣が振り下ろされ、ビーストマンを斬撃が通り抜け、地面に叩きつけられた双大剣の武器により前方直線上に地面を這う衝撃波を放たれビーストマンの軍勢を切り裂いていった。

 

 これなら前方直線上とは言え範囲攻撃に近い性能だ。雑魚を相手にするのに丁度良い性能と言えるだろう、攻撃力も双大剣を振り下ろしたくらいは出ていると見える。

 何十回か〈武技・地震脚〉で足止めして〈武技・撃波〉でビーストマンの軍勢を斬り飛ばしていき、習得した武技の実地訓練していた。

 モモンは、武技による足止めや範囲攻撃を十分に訓練して習得の練度を上げたから、もう無理に戦い続ける意味も薄くなったので、そろそろ奥義(スキル)で終わらせると声を上げた。

 

「これで終わりだ。燃え盛れ太陽の炎よ、スキル〈太陽の爆発〉!」

 

 中央にいた適当なビーストマンに炎が付与された双大剣を突き付けると、ビーストマンの周囲に攻撃範囲を示す真紅の円が浮かび、数秒後に大爆発を起こした炎がビーストマンの軍勢を巻き込み燃え盛った火柱が立ち昇り、街の石壁を越えて街の中から火柱が見えるほどだった。

 

 その後、戦意を喪失したビーストマンの軍勢をアンデッドの軍勢で打ち取り、ニニャが換金用にビーストマン達の耳をアンデッドの軍勢の手先が器用な者に剥いでもらって、モモンから借りた〈インフィニティ・ハヴァザック/無限の背負い袋〉に入れている。

 街で防衛戦を指揮していた将軍が額に汗をかきつつ、先程は死霊術などではどうにもならないと言って済まなかったとモモンは謝罪を受けたのだった。

 

 今回のビーストマンの大軍勢は、ほぼアンデッドの軍勢で倒したようなものだ。

 召喚した死の宝珠には、召喚生物が倒した経験値も入るので大量の経験値を獲得できたようでレベルが3上がったそうだ。ニニャも1レベル上がったと喜んでいた。

 死の宝珠とニニャは魔法で何を取ろうかと考え込んでいるのが微笑ましい。

 私も魔法を取る時は何を取ろうか悩んだものだ。

 私も経験を積みレベルが上がるだろう。ナザリックでレベルアップするのが楽しみだ。




・〈武技・漆黒八連撃〉
 〈武技・漆黒付与〉と連続攻撃の武技。
 八連撃の間、武器に〈武技・漆黒付与〉が付与され敵を切り刻み続ける。
 オリジナル設定、この小説では【オーバーロード MASS FOR THE DEAD】以下【オバマス】の武技をこのような武技に変えています。

・〈武技・漆黒一投〉
 〈武技・漆黒付与〉と投擲の武技。
 敵に〈武技・漆黒付与〉で付与した大剣を投げつける武技。
 オリジナル設定、この小説では【オバマス】の武技をこのような武技に変えています。

・〈武技・地震脚〉
 オリジナル武技。
 片足を地面に激しく叩きつける事で周囲の地面を大きく揺らし敵を足止めさせる。
 ただし、跳躍した敵や、そもそも空中にいる敵には効果がない。

・〈武技・撃波〉
 オリジナル武技。
 武器を地面に叩きつけ前方直線上に地面を這う衝撃波を放つ武技。
 威力は武器を振り下ろした程度の攻撃力が出て、敵に物理ダメージを与えている。
 攻撃範囲は、原作で出た〈武技・空斬〉の飛距離ほどの長さの衝撃波を放てます。 

・《マイニュート・メテオズ/微小流星》
 オリジナル魔法、第3位階魔法。
 元ネタはD&Dにある魔法《メルフス・マイニュート・ミーティアズ》です。
 6つの小さな流星を創り出し着弾すると小規模の爆発を起こす。
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