バハルス帝国を出立して、人目を避けて転移を使いエ・ランテルの冒険者組合に顔を出してから、ナザリック地下大墳墓に戻ったのは既に夜だった。
そのまま夕食をメイドに憑依して取り、夜も遅くまでアインズは執務室で執務をしていた。
アインズが執務して書類を片付けているとデミウルゴスの作った計画書が出て来たので幾つか飛ばしつつ読んでみると。
何々、王国の八本指の構成員の殆ど、警備部門の六腕も捕獲、八本指の幹部は地下に居たのを捕まえて牧場送りと、今は繁殖実験をしているとあるな。
繁殖かぁ、子供ができるよな。
子供まで牧場で暮らさせるのはな、ナザリックでも嫌がるNPCが居るだろう事は間違いない。
例えば赤ん坊限定だがニグレド、善人に設定されていたペストーニャやセバスなども気にするだろう。
俺としてもメイドに憑依していた為か、アンデッドの考えでは無く人間に近い考えが出来るせいで赤ん坊は可哀そうな気がする。
いや気がするって事じゃなく赤ん坊は可哀そうだろ、アンデッドの思考に流されそうになるのは困りものだな。
子供は孤児院をナザリックで作って、そこで預ければいいか、孤児院はカルネ村にでも作るか。
デミウルゴスの計画書に追記として新たに書類に、子供が出来たらカルネ村に作る孤児院に送る事とカルネ村の孤児院の新築計画を纏めるように書いておき、アインズの印も押しておいて付けておいた。
次の書類を見るとアインズが帝国で冒険者をやって帝国四騎士を鍛えたり闘技場で戦ったりしていて手が離せない為、ナザリックの者達で侵入者に対処したとの報告書があった。
ナザリック地下大墳墓に攻め込んで来た者達の末路が書かれていた。
王国は何人かの貴族と思われる兵士達を連れた一団が数回侵入して狼藉を働いたので其の度に捕縛して、ニューロニスト・ペインキルの真実の部屋や恐怖公の黒棺や餓食狐蟲王の蠱毒の大穴に人数が増えたそうだ。
最近だと第一王子のバルブロが大人数の兵士達を連れて来てナザリック地下大墳墓に侵入してきたので捕縛したが、あまりに数が多いので氷結牢獄で氷漬けになっているそうだ。
帝国は、様子見でワーカー達で攻めて来たようだが幾ら王国と違って冒険慣れしているとは言ってもナザリック地下大墳墓に挑むのは無謀という物、こちらの調査でも金目当てで侵入してきたようなので捕縛して様々なナザリック式の歓待を受けて泣いて喜んでいるそうだ。
まあ、暇を持て余していたナザリックの者達にも仕事ができて嬉しいとの報告とナザリックのギミックが正常に働いているとの報告があるので今回は良しとしよう。
もうナザリックには狼藉者は入れないがな!まったく予想通り過ぎるぞ。
王国と帝国にはナザリック地下大墳墓に侵入して狼藉を働いた事を理由に宣戦布告しておくように命令書を作成して書類に付けて、この書類に印を押して終わりだ。
次の書類はギルドメンバーの私室のアイテム目録で中々強力なアイテムをこっそり隠して持っていた者が多かったようだ。
さすがにワールドアイテムのような超強力なアイテムは見つからなかったが〈結婚指輪〉に〈人化の指輪〉、なんと〈シューティングスター/流れ星の指輪〉まであり、他にも役に立つアイテムや何に使うのか良く分からないアイテムが山のようにあったそうだ。
〈結婚指輪〉は、その内、落ち着いたら結婚しなくちゃいけないだろうから其の時に使うかもしれない、はぁー、なんだか憂鬱だな。
いや、ナザリックのほとんどの女性陣は見目麗しく、41人いる一般メイドですら美人揃いなのだ。
それをなんだか至高の御方という事で守護者や戦闘メイドに一般メイドまで好感度が高すぎるほどに高いのはズルをしているようで嫌な気分になるのだが、その事を話して聞かせると目を輝かせて、「もっとお互いが親密になっていけば愛で乗り越えられます。」だと言うのだから困る。
まあ、未来の自分に任せよう、何か良い案でも思いついてるだろう。
後は恋愛事だが死の宝珠とかパンドラに相談してみるか?
次の〈人化の指輪〉は、アインズは持っていなかったが、結構有名なアイテムで種族として持っている利点を無くし、欠点は大半は、そのままで人間に化けれるという指輪だ。
本来の使い道は、指輪を嵌める事で人間に成り、人間専用の街や施設を利用するというのが指輪の使い方だ。
此の指輪があれば人間に成り食事も、……子供も作れるだろう。
だが今は一般メイドに憑依して食事する事で一般メイドに仕事を与えている、一般メイド達に仕事しないで休んでなさいって言うと悲しむんだよな。
あと子供を作れるかもしれないが、人間と悪魔との合いの子のハーフデーモンとか半吸血鬼の子ができるだろうから子供に対して申し訳なくなってしまう。
おそらく親達のように不老で無く、寿命ありで生まれてきてしまうだろう。
この指輪は使い道に困るなと思ったが、何か役に立つかもしれないので後でインベントリに入れておこう。
幾つかの書類を片付け、傍で自習していたソアと机を並べ魔道具《リーディングⅤ/読解Ⅴ》の眼鏡を創っていたニニャを見た。
ニニャの作成した《読解》の眼鏡の需要は高く、今でも創り続けてナザリックに貢献している。
ナザリックに恭順してアインズの弟子になったフールーダも《リーディングⅤ/読解Ⅴ》の眼鏡を付けて毎夜、図書館で魔導書を読んでは奇声を上げて司書に「図書館では、お静かに」にと怒られているようで、その後に闘技場で訓練していて、つい最近レベルアップしたそうで魔法強化系スキル《オーバーマジック/魔法上昇》を手に入れ、念願のデスナイトを支配できたそうだ。
既にニニャや死の宝珠は、カッツェ平野で延々とアンデッド退治をしてレベルアップしており、ニニャは第4位階が使えるようになったようで、どんどん強くなっている。
いまではニニャは、此の世界では一流の魔術師だろう。
ソアは、既にレベル100だが今は魔法を覚えてる最中だ。
今もアインズや死の宝珠に教えて貰い、自習して現在は第9位階までは使えるようになったそうだ。
ソアとニニャに声を掛けて二人を従えて、玉座の間に行き、アインズのレベルアップの為にニニャの籠手【強欲と無欲】で貯めていた経験値を使い、儀式を行った。
アインズは、レベルは105となって始原の魔法を使える「プリミティブキャスター」の職業を1レベル上昇させた。
始原の魔法について後から良く調べてみると始原の魔法を会得すると位階魔法が覚えられなくなる事がニニャの魔法《パーフェクト・ロアー/完全なる伝承》で判明したが、アインズが「我のままで我に始原の魔法の前提条件を満たすのだ」と言っておいたのが良い方向に働いたのか、始原の魔法も位階魔法も両方覚えられるようだ。
だが魔法は、レベルアップに付き3つまでの縛りは有効なので、良く吟味しなくてはならない。
覚えられる魔法のリストを頭の中で整理して始原の魔法と位階魔法に分けて、それぞれ分かるようにしておいた。
ふむ、始原の魔法というが以前に竜王国で女王に教えていた武技のような魔法《竜爪》、《竜尾》、《竜翼》、《火竜の吐息》などがあるな、まあ此れは内容が分かっているから他の魔法を見てみよう。
《滅魂の爪》は、手で触れたものを抵抗の余地なく一瞬で消滅させる魔法。
《世界移動》は、他者と共に転移できる魔法。
《世界歪曲障壁》は転移阻害の結界で、ただし結界内なら転移可能、転移で出入り出来ないだけで、歩けば出入りは自由な魔法。
《光衣》は、付与効果が無効化されない効果を与える魔法。
《竜宝作成》は、経験値を消費する事で通常では考えられないアイテムが創れるようで、ガゼフから譲り受けた戦士のレベルが上がる指輪が此れになるようだ。
《世界小爆発》は、耐性を無視して熱ダメージを与える魔法で、小とあるからには中、大と続くのだろう。
《世界蘇生》は、生命力の喪失(レベルダウン)無しに復活することが出来る魔法。
《世界再生》は、術者以外の周囲の者を再生できる魔法。
などが有り、始原の魔法は魂(経験値)や生命力を消費して魔法を発動させるようで、使い所を間違えると生命力を消費しすぎて自爆して死んでしまうだろう。
後は、相手がワールドアイテムを持っていて、魔法を受け入れないと防がれるようだ。
とりあえず《滅魂の爪》、《竜宝作成》、《世界小爆発》を取っておいた。
スキルは始原の魔法の威力上昇Ⅰ、範囲拡大Ⅰ、効果時間増大Ⅰ、体力消費減少Ⅰ、魂(経験値)消費減少Ⅰ等とあったので始原の魔法の威力上昇Ⅰを取っておいた。
せっかく体力を消費して打つ魔法なのだから何か大きな利点が無いといけない、そこで威力を上昇させる事にしたのだ。
後で闘技場で試し打ちするのが楽しみだ。
今後の方針についてだが、折を見てドワーフ国に行く事になった。
バハルス帝国の帝国魔法学院と帝国魔法省の図書館の本をフールーダの許可を得たとの体裁を得て、ニニャに魔法で複製してもらった所、バハルス帝国の書物を読みこんだニニャによると帝国は、昔はドワーフの国と交易していたそうでルーン武器を輸入していたという事が分かったのだ。
複製してきた本の中には、擦り切れて判別できないほどに劣化したルーン魔法の本もあり実に興味深い、ユグドラシルではルーン魔法なんて物は無かったのだから、此れは実際にドワーフの国へ行ってルーン武器やルーン魔法について調べて、できれば幾つか獲得できればナザリックの利益になるに違いないな。
アインズ達は、のんびりとナザリックで過ごしたり、エ・ランテルの冒険者組合で適当にゴブリン退治やオーガとトロール退治の仕事をこなしたりしていると、ナザリックからアルベドより《メッセージ/伝言》で言伝があった。
〈アインズ様、リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国の両軍が連携を取り連合軍を作り、ナザリックに対して攻撃を仕掛ける準備に入っています。どうされますか?我々は既にナザリック地下大墳墓軍を形成し、すぐに動ける状態です。それとも守護者達に御命じになれば速やかに連合軍を殲滅して見せましょう〉
ふむ、準備という事は、数日は余裕を持てるという事か、さてどう動くとナザリックの利益になるか。
アインズは、《メッセージ/伝言》でアルベドへ幾つか注意点を述べると通話を打ち切り、モモンとして冒険者の依頼を片付けていく。
モモン一行は、冒険者の仕事を急いで片付けると、モモンは、皆に向かって言い放った。
「今から冒険者組合に行って一仕事するぞ、少し手間取るかもしれないので注意するように」
モモン一行がエ・ランテルの冒険者組合に出向くと凄まじいまでの騒ぎで持ち切りとなるのだった。
なんとモモン一行がアダマンタイト級冒険者の立場を捨て、両国を守る為に兵士となって働くのだと言うのだ。
「冒険者は、国の戦争には出られないとの規則がありましたね。では冒険者で無ければ戦争に出られると言う訳で、我々アダマンタイト級冒険者チーム「漆黒」は、一同この度冒険者を辞めて、連合軍に参加します。両国共に私達に縁がある国なので見捨てられないのです。ナザリック地下大墳墓は、恐ろしいまでのアンデッドの大軍を率いていると聞きますので、我々の力で連合軍を助けるつもりです」
冒険者組合の組合長プルトン・アインザックに何度も辞めるなんて言わないでくれと頼まれたが、冒険者組合は組織であり、辞める冒険者を引き留める言葉は出せるが、出された冒険者組合の脱退届は受理する他なかった。
「心配しないで下さい、組合長アインザックさん。戦争が終われば、また戻って冒険者になりますよ。まあ銅級冒険者からやり直しですがね」
「その時は、一刻も早くモモン君達がアダマンタイト級冒険者に戻れるよう依頼を調整させてもらおう。生きて必ず戻って来てくれ」
ナザリックを取り巻く風は、やがて嵐と成ってリ・エスティーゼ王国とバハルス帝国の連合軍を木っ端微塵に吹き飛ばすかもしれない。
モモン一行が加わる事で連合軍にどのような変化がもたらされるのか、両軍による合意の上に連合軍が陣をはるカッツェ平野に向け、モモン一行は進んで行く。
・〈人化の指輪〉
オリジナルアイテム
多くのオーバーロードの2次小説で登場する人化の指輪です。
種族として持っている利点を無くし、欠点は大半は、そのままで人間に化けれるという指輪という設定にしています。
アインズは、使い道が無いと持っていなかったアイテムですが、他のギルドメンバーの私室のアイテムにあるだろうと推測して登場させました。
・《滅魂の爪》
オリジナル始原の魔法
元ネタは、原作の《滅魂の吐息》で、此方では黒いレーザーのように吐き出します。
手で触れたものを抵抗の余地なく一瞬で消滅させる魔法。
・《竜宝作成》
オリジナル始原の魔法
元ネタは、原作の始原の魔法の指輪作成魔法です。この魔法に名前を付けてます。
経験値を消費する事で通常では考えられないアイテムが創れる魔法。
・《世界小爆発》
オリジナル始原の魔法
元ネタは、原作の始原の魔法の大爆発魔法です。この魔法に名前を付けてます。
大爆発というのだから小や中が有る筈だし、低位や中位の始原の魔法があるそうなので登場させました。
耐性を無視して熱ダメージを与える魔法。
・《世界蘇生》
オリジナル始原の魔法
元ネタは、原作の始原の魔法の蘇生魔法です。この魔法に名前を付けてます。
生命力の喪失(レベルダウン)無しに復活することが出来る魔法。
この世界では損傷が激しいと蘇生が難しくなるが、この始原の魔法なら白骨化した死体からでも復活できる。
(ただし損傷によってコストが大きくなる)
《世界大蘇生》、《世界完全蘇生》という系統の始原の魔法がある。
・《世界再生》
オリジナル始原の魔法
蘇生があるなら回復系もある筈なので登場しました。
術者以外の周囲の者を再生できる魔法(アンデッドも再生する)。魂(経験値)を使えば自らも再生できる。
《世界大再生》、《世界完全再生》という系統の始原の魔法がある。