オーバーロードと死の宝珠   作:NEBUSOKU

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トブの大森林の大洞窟 3

 大洞窟の暗がりの中、天井には光が幾つも煌めき、まるで星空の下と錯覚するような環境下で、赤黒い眼光を放つ髑髏の魔術師アインズは、セキフ達ハンゾウを使って〈常闇の竜王〉の塒を探し当てていた。

 

「ご苦労だった、セキフ達。影の者達は全てナザリックに帰還せよ」

「御意、ご武運をお祈りします。では皆の者ついて来い」

 

 セキフ達はカシンコジ、ハンゾウ、トビカトウ、フウマ達や〈シャドウ・デーモン/影の悪魔〉達を引き連れ、アインズの影からナザリックへと帰還する。

 戦いの相手は影系の魔法を使う竜だ。

 だから影に潜む者達に被害が出る事を恐れたのとレベルの低い者では戦いに対して役に立たないので帰らせたのだ。

 アインズは、御供のシャルティア、コキュートス、アウラ、マーレ、デミウルゴス、セバス、パンドラを引き連れ作戦会議を開いた。

 

「さて〈常闇の竜王〉の現在地は分かった。2手に分かれ奴の正確な位置を魔法で調べ地上で待つアルベドに教えねばな。巻物を創ってあるので此れを使うといい《位置測定》の巻物だ」

 

 アインズは懐から巻物を幾つか取り出すとデミウルゴスに手渡した。

 

「はっ、畏まりました。このような巻物を下賜して頂き感謝の念を禁じえません。必ずや怨敵を滅殺致しましょう」

「うむ、2手に分かれるのだがデミウルゴス、コキュートス、シャルティア、パンドラと私、アウラ、マーレ、セバスで行こう。皆の者頼んだぞ」

「「はい!」」

「うむ、良い返事だ。アルベドが地上から攻撃した後は、闘技場での模擬訓練通りに動けば良い。〈常闇の竜王〉は影系のスキルで身を守ったり回避するだろうが非実体に効果がある装備品を身に付ければ攻撃は当たる筈だ。始原の魔法についてだが生命や経験値を使う物なので多用は出来ない。以前に見た始原の魔法《死の爪》も皆に持たせたワールドアイテムがあれば防げるだろう。だが始原の魔法で発生した炎や氷等は防げないから気を付けるのだぞ」

 

 アインズは補助魔法を皆に対して使い、準備が整ったデミウルゴス、コキュートス、シャルティア、パンドラが遠くへと行き、《位置測定》の巻物を使い此方も《位置測定》の魔法を使い、《メッセージ/伝言》を使って互いの観測結果を地上のアルベドに伝える。

 

(ありがとうございます。では10秒後に攻撃しますので充分離れて居てください)

 

 アインズは、腕に巻いた帯のような腕時計に10秒後を打ち込み、超位魔法を唱える。

 10メートルもの蒼白いドーム状の立体魔法陣が展開され、アインズを包み込む。

 アインズは、時計の「時間だよ、モモンガお兄ちゃん」の声と共に片手に持った砂時計を粉々に握りつぶす。

 この砂時計は、使用すると超位魔法の詠唱をキャンセルし即座に発動可能な課金アイテムだ。

 蒼白いドーム状の立体魔法陣の発光が強くなり、アインズの声と共に超位魔法が発動する。

 

「崩れよ天井!超位魔法《ソード・オブ・ダモクレス/天上の剣》発動!」

 

 地上からアルベドが【真なる無(ギンヌンガガプ)】の対物体最強の力を解き放ち、地下に居る〈常闇の竜王〉の天井を狙う、無が生じ大地が捲れ上がり罅が入り崩壊するかという時に、其処に宇宙から巨大で荘厳な大剣が大地に突き立てられ、罅が入った大地は崩れ、大洞窟へと底が抜けた様に崩落した。

 

 地下の塒で眠りについていた〈常闇の竜王〉は、天井の岩盤が丁度〈常闇の竜王〉の位置で崩れ、其の下敷きとなった。

 次々に大洞窟の天井の岩盤が崩れ、其の強大な岩の様な大地が〈常闇の竜王〉の身体にぶつかり傷を残す。

 大きな崩落と共に、超位魔法《ソード・オブ・ダモクレス/天上の剣》で呼び出した巨大な大剣が〈常闇の竜王〉の身体を縫い留め、叫び声を上げた。

 

 元々、超位魔法《ソード・オブ・ダモクレス/天上の剣》は、対建築物用の超位魔法だが其の大質量は竜にも効き目があったようだな。

 

 デミウルゴスが岩盤に埋もれ、身動きが出来ない〈常闇の竜王〉にスキルを放つ。

 

「スキル〈ディメンジョナル・ロック/次元封鎖〉!」

「スキル〈シャドウ・ワープ〉!なんだ転移が発生しないだと?」

「周囲一帯の転移魔法を封じさせて頂きました。これで〈シャドウ・ワープ〉で抜け出すことは不可能です」

「くっ、ならばスキル〈シャドウ・ボディ〉、始原の魔法《世界移動》!」

 

 スキルの影響を始原の魔法で無視して瓦礫の山から転移した〈常闇の竜王〉は、傷だらけの流血した姿でデミウルゴスの前に降り立ち、大きく息を吸い込む。

 その直後に〈常闇の竜王〉の頭をコキュートスと真紅の全身鎧のシャルティアに横からスポイトランスやハルバードで斬られ、あらぬ方向に影のブレスを吐き散らして倒れた。

 至高の四十一人の一人、武人建御雷に変化したパンドラは、倒れた〈常闇の竜王〉に対しスキルを使う。

 

「地に縛れ、スキル〈グンダリー/軍荼利明王撃〉!」

 

 武人建御雷に変化したパンドラの背後に現れた軍荼利明王が、手に持った蛇を〈常闇の竜王〉に幾重にも巻きつかせ〈常闇の竜王〉を地面に縛り付ける。

 縛り付けられた〈常闇の竜王〉にコキュートスが近づき、スキル〈トライローキヴィジャヤ/降三世明王撃〉を使い、背後に降三世明王が現れ、手に持った槍で〈常闇の竜王〉の体を貫く。

 鎧から翼を出し、〈常闇の竜王〉の頭上の遥か空高くからシャルティアがスキル〈清浄投擲槍〉を使用して、手に持った3メートルを超える白銀の戦神槍を〈常闇の竜王〉に投げ放ち、地に縛れた竜の頭に神聖属性の魔法ダメージを与え、竜に絶叫を上げさせる。

 

「くそっ、始原の魔法《世界移動》!、始原の魔法《死の爪》!」

 

 転移した〈常闇の竜王〉が始原の魔法《死の爪》を発動し、指先をデミウルゴスに突きつけるが、デミウルゴスは背中に翼を生やすスキル〈悪魔の諸相:触腕の翼〉を使って空を飛び、その始原の魔法を空振りさせた。

 空中を避け続ける悪魔に〈常闇の竜王〉は始原の魔法《死の爪》を連発している。

 

 元々、始原の魔法はワールドアイテムを持っているので効かないが、そんな事は〈常闇の竜王〉には分からない。

 無駄に生命力を浪費したな。

 此処からでも魔法《ライフ・エッセンス/生命の精髄》で相手の残りHPを見ることが出来るのだからな。

 辺り一帯を薙ぎ払うように〈常闇の竜王〉が影の矢をばら撒いてデミウルゴスを追い詰めようとするが優雅に避けられているようだ。

 

 セバスがアインズを守るように〈常闇の竜王〉からの幾つもの影の矢を払いのけている。

 

「いくよ、スキル〈影縫いの矢〉!マーレ、あんたの魔法でぶっ飛ばしちゃって!」

 

 アウラがスキル〈影縫いの矢〉で大洞窟が崩れ、太陽に照らされて〈常闇の竜王〉に出来た影に矢を突き立てると〈常闇の竜王〉の蛇の様な動きを止めた。

 マーレが魔法の詠唱を続けて発動させ、動きを止めた〈常闇の竜王〉に魔法をぶつける。

 

「がっ、これは動きが」

「う、うん。姉さん僕頑張る。消し飛んじゃえ。《ぷちカタストロフ/小災厄》!」

 

 マーレにより、天を穿つ黒き極光が放たれ、黒き光の柱が〈常闇の竜王〉を飲み込む。

 黒き極光に地面ごと貫かれ、〈常闇の竜王〉は胴体の中央部を消し飛ばされ、地面に黒い大穴が開く。

 

「ぐぉぉお!始原の魔法《世界大回復》!」

 

 〈常闇の竜王〉の体が録画の早戻しのように急速に再生したと同時に、〈常闇の竜王〉は翼を広げ空を飛ぼうとする。

 

「させんよ、《タイム・ストップ/時間停止》、始原の魔法《世界加速Ⅲ》!!」

 

 〈常闇の竜王〉が翼を広げ、飛び立つ姿で一瞬止まる。

 だが、〈常闇の竜王〉ほどの化け物は、すぐさま時間停止を打ち破る筈。

 此の一瞬で勝利の切り札を切る!

 時間が止まった一瞬の世界で動作が可能と成る始原の魔法《世界加速Ⅲ》を使い、〈常闇の竜王〉が動き出すまでの一瞬で魔法を放つ。

 

「燃え上がれ、始原の魔法《世界大爆発》!《世界大爆発》!!」

 

 〈常闇の竜王〉に始原の魔法《世界大爆発》2連発を放ち、上空から降り注ぐ〈常闇の竜王〉すら覆いつくす極太の熱線は、竜王の体と翼を焼き焦がし、キノコ雲を立ち昇らせる。

 時が戻ると同時にアインズは、急激な生命力の喪失に膝を付きそうになるが、アインズが手に持った黒宝珠の杖の死の宝珠から負のエネルギーが宿る黒色の光がアンデッドであるモモンの傷を癒してくれた。

 

『アインズ様、魔法で癒しました。さあ止めを』

 

 時の戻った〈常闇の竜王〉は、突然自らが焼き焦がされていることに驚きと激痛に苦しみつつ地面を蛇の如くのたうつ、蝙蝠に似た翼の被膜が焦がされて最早飛び立てない事を知り、慌てて自らの命を削る奥義として使わなかった始原の魔法を使って此の状態から逆転を狙おうとする。

 

「おのれ何をした!始原の魔法《世界影結……」

「〈武技・完璧戦士化〉、〈武技・戦士職段位上昇Ⅴ〉、〈武技・階層〉、〈武技・七彩強化〉、〈武技・閃光走破〉!タレント〈青秘雫〉〈豪運〉〈斬鉄剣〉発動、……〈武技・龍神牙〉!!」

 

 アインズは、武技により転移したかと思うほどの速さで〈常闇の竜王〉に近づき、微細な模様が入った双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】で〈武技・龍神牙〉を使い、地面にへばり付いた〈常闇の竜王〉の眼前で剣技を繰り出し、龍神が口を開いたかのような幻影と共に世界すら斬り裂く無限の如き剣閃が一点に集中した。

 世界が揺らいだかのような響きと揺らめきと同時に、〈常闇の竜王〉の黒い頭が弾け飛ぶ。

 〈常闇の竜王〉の頭の血肉が辺りにボトボトと落ち始め、アインズは双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】を腰に差した。

 

 〈武技・爪切り〉から発想を得て、死の宝珠の手も借りて訓練を続けて会得した〈武技・龍神牙〉は魔力を大きく消費するためタレント〈青秘雫〉が無いと発動すらできず、タレント〈斬鉄剣〉が無いと真の力を発揮できない武技だが、かなりの威力だな。

 これなら近づけば竜王だろうと神様だろうと攻撃が効けば倒せるだろう。

 

 アインズの籠手【強欲と無欲】に〈常闇の竜王〉の死体から青い透けるような光の塊が現れ、吸い込まれていく、かなりの経験値だろう。

 

「ふう、此れで〈常闇の竜王〉は片が付いたか。竜王の素材はナザリックで役立てよう。血肉を回収してナザリックに帰還するぞ」

 

 ナザリックに帰還したアインズは、〈常闇の竜王〉を倒した事でレベルが上がりそうで、先のカルサナス都市国家連合の草原の戦いや闘技場で訓練を積んだことでニニャや死の宝珠もレベルが上がったようだ。

 ニニャは、第5位階まで使える魔術師となり、此の世界では大魔導師だろう。

 確かフールーダが第6位階の魔法を使用できるんだったか。

 

 アインズは、夜を待って早速玉座の間に行き、籠手【強欲と無欲】から経験値を取り出しつつレベルアップした。

 アインズのレベルは、レベル113で職業レベルはプリミティブキャスターを9として始原の魔法は、土地にすら始原の魔法を防ぐ「世界の守り」を与える《世界守護》系統の《世界守護Ⅲ》を取った。

 

 さて〈常闇の竜王〉の死体から素材を剥ぎ取るようには言ったが、また復活させて何度も素材を剥ぎ取らせて貰おう。

 ナザリックに歯向かう者には死すら生ぬるい。

 せいぜい〈常闇の竜王〉には、長生きして貰おうか。




・〈シャドウ・ボディ〉
 オリジナルスキル
 非実体の影の身体と成り、攻撃や魔法に対して完全な耐性を得る。
 ただし非実体に効果がある攻撃や魔法に対しては大きく耐性が下がり、効果があるだろう。

・《位置測定》
 オリジナル魔法
 物体の位置を測定する。
 2点間だと正確に位置が分かる。
 主に超遠距離の非誘導性の魔法を正確に当てる為の魔法だが、位置が分かっても動かない敵にしか当たらないので使う人は少なかった。

・《世界大回復》
 オリジナル始原の魔法
 自らの体力を大きく回復させる。経験値を消費する。

・《世界守護》
 オリジナル始原の魔法
 周囲の者に始原の魔法を防ぐ「世界の守り」を与える。
 《世界守護Ⅲ》だと土地にすら「世界の守り」を与える。

・《世界影結界》
 オリジナル始原の魔法
 〈常闇の竜王〉が隠し持っていた魔法、アインズとの戦いでは使われる事は無かった。
 大量の経験値又は自らの生命力を大きく消費する。
 周囲一帯を暗視持ちでも見通せない影の中に閉じ込め、容易には出られ無い結界を作り出し、己の力を増大させ魔法は威力が増し敵に絶対命中する。(防御は可能)
 初見の敵群ならば急に辺りが真っ暗で目が見えなくなり、結界の何処からでも現れる魔法の矢の如く必中が付与された魔法が無数に放たれ、通常の防御を擦り抜ける大量の影の矢や影の槍が敵群を貫くという物。
 過去のプレイヤーを完殺した奥義である。

・〈武技・龍神牙〉
 オリジナル武技、前提:〈武技・巨神斬〉、〈武技・星光連撃〉、〈武技・階層〉、タレント〈青秘雫〉、タレント〈斬鉄剣〉
 敵に喰らいつく龍神の如く、双剣を繰り出すことで、世界すら斬り裂く力を一点に集中させ、凄まじいまでの剣技によるダメージを創り出す武技。
 剣技を繰り出す姿は、まるで龍神が大きく口を開けたかの様に見える。
 タレント〈青秘雫〉が無いと魔力が足りなくて発動できない。
 タレント〈斬鉄剣〉が無いと真の力を発揮できない。
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