アインズ達はミノタウロス国を魔導国に組み込み、役人として何体かのエルダーリッチを残し、一旦ナザリック地下大墳墓に帰還した。
アインズのレベル上げと軍師サーロをナザリックの者達に紹介しなくてはいけないからだ。
軍師サーロの紹介をナザリックの者達に終え、軍師サーロには更なる知識を深めて貰おうとニニャ作成の〈読解の眼鏡〉と共に「三国志」の漫画本全巻と〈アッシュールバニパル/最古図書館〉で司書達に選ばせた古今の様々な戦史書や孫子の兵法書を含む武経七書と司書達が呼ぶ物などを与えておいた。
軍師サーロは最初は漫画の読み方が分からないようだったが教えると、漫画に齧りつく様に読みふけり、手元の兵法書と見比べて興奮しているようだ。
漫画と言うのは馬鹿には出来ない、絵で分かるというのが重要なのだ。
俺も「漫画で分かる営業の仕方」とか読んで勉強したもんだ。
今は、最古図書館で一心不乱に読んで知識を頭に叩き込んでいることだろう。
最古図書館には大抵の種類の本が詰め込まれている。
ギルドメンバーが著作権の切れた様々な本のデータをぶちこんで最古図書館の本を創り上げて、最古図書館に詰め込んだのを手伝った記憶が蘇り、久々に良い気分で図書館を出た。
アインズは玉座の間に移り、【強欲と無欲】の籠手から経験値を絞り出してレベルを上げる準備を整え、始原の魔法が有効な事から更に獲得できるように、タレント〈貴秘雫〉を使い使用回数の増えた〈シューティングスター/流れ星の指輪〉を使った。
「私は、私のままで更なる始原の魔法を使う為の職業が欲しい。超位魔法《ウィッシュ・アポン・ア・スター/星に願いを》!」
ドーム状の蒼白い立体魔方陣がアインズの周囲に浮かび上がり、数十秒後に発動して新たな職業「ハイ・プリミティブキャスター」がレベル0で手に入った。
これで始原の魔法を更に覚えられるな。
超位魔法《星に願いを》を使って手に入れた職業は、「白金の竜王」のツアーですら得ていない筈だ。
アインズは、死霊系の召喚術者としてミノタウロスの国との戦争でアンデッド兵を活用した事やミノタウロスの王「牛魔王ミダス」を倒した事で経験値が溜まりレベルが2上昇した。
まず「ナザリック・キング(エクスキューショナー)」を最大レベル5にするために1レベル上げ、魔法戦士系の職業でもあるので魔法を3つ獲得し、死の宝珠が獲得した魔法強化スキル《インフィニトマジック/魔法無限化》を自らも覚えておいた。
「ナザリック・キング(エクスキューショナー)」が最大レベル5になったのでスキル〈グランドクロス〉という今までで得たスキル〈太陽の爆発〉などの惑星系のスキルを多く獲得すると威力が上がるスキルを得た。
これは敵に様々な属性爆発攻撃を与え、最後に無属性の大爆発を与える大技で一日一回しか使えないが、魔力や生命力の追加消費を選ぶことで更に威力と効果範囲が広がるという、中々使い所を選ぶスキルだが今の状態でも最大強化すれば超位魔法を超える凄まじい威力を誇るスキルだ。
次に新たな職業「ハイ・プリミティブキャスター」の職業レベルを上げ、《世界雷撃》系の《世界小雷撃》、《世界雷撃》、《世界大雷撃》の魔法を新しく覚えておいた。
《世界大雷撃》というのは天空から極太の雷撃を呼び出し、敵の集団にぶつける物で空が見える状態でなくては放てず、曇り空なら生命力の消費を抑えて放てるという物だ。
ソアも訓練や勉強を続けていた事で新しく魔法を覚え、ニニャや死の宝珠もミノタウロス国との戦争でレベルが上がったそうだ。
ニニャは、フールーダと並びたつ第6位階の魔法を使用できる魔法詠唱者となり、此の世界では英雄の領域を超えた逸脱者と呼ばれる存在となった。
「やった!魔法を覚えたよ!アインズ様!むふー!」
「逸脱者ですか、なんか実感が湧きません。ナザリック地下大墳墓には私より凄い方が沢山いらしゃっるので……」
『まあまあ、肩書なんてそういう物ですよ。ニニャは、タレント「魔法適正」がある御蔭でレベルが上がりやすいですからね。今は【強欲と無欲】の籠手はアインズ様に御返しして経験値を稼いでますから、すぐに肩書に相応しい魔術師に成れますよ』
ソアは、既に第9位階魔法《トゥルー・ポリモーフ/真なる変化》によって人形の姿から解呪されない限りは永続的に〈ハーフゴーレム〉の姿に変わっており、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの特有の魔法を覚えていっている。
スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは、「陽、月、土、火、風、水、時」の魔法を一定回数使えるという物だったが、ソアは魔術師や僧侶などが覚える魔法を本体が杖であり、元々使えていたので前提条件なしで覚えていっているのだ。
もちろん覚えた魔法は使用回数限定の限りで無く、杖に備わった魔力が尽きるまで何回でも使えるという破格の性能を誇っている。
ニニャがナザリックの者に対して自信を無くしているのを死の宝珠が取りなしているようだ。
ナザリックの者と比べるのは無謀という物だ。
だがニニャは、此の世界で成長できるのだからナザリックには無い魔術師として成長していって欲しい。
死の宝珠が此の世界独自の様々な魔法強化スキル《プロトタイプマジック/魔法試作化》や《インフィニトマジック/魔法無限化》を開発してるし、是非ともニニャにも覚えて欲しいと伝えておいた。
その後、しばらくの間、闘技場で双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】のレベル上げをしたり、執務室でソアの勉強を見てやりながら執務したりして過ごしていたが、軍師サーロから大陸で覇を競う5大国の情勢を報告したいといって来た。
ナザリック地下大墳墓の第9階層の幾つかある部屋の一つ、「作戦会議室」での打ち合わせとなり、作戦会議室は全体的に白い壁面と天井で現代的な椅子と机がコの字を描く様に並び、中央には魔導国を加えた6か国が戦場で陣形を作り出しているのを模した幻術を用いた立体映像が浮かび上がっている。
作戦会議室の前方ではホワイトボードの前にマジックペンを持った軍師サーロが端末ゴーレムを横に待って居た。
軍師サーロは、ナザリック製の黒いローブを身に羽織り、立派な角が生えた長い黒髪が生えた頭には、パンドラ製の「グンシ」の職業レベルを上昇させる冠を身に付け、装備効果で足が動かないのか車椅子に乗り端末ゴーレムが其れを押している。
そしてサーロは、ナザリックで暮らす内に現代的な道具の使い方も学んでおり、今では自由自在に立体映像や転移装置や端末ゴーレムを使いこなしているようだ。
軍師サーロは、アインズが席に着いたのを見て話し始めた。
「アインズ様が来られたようなので始めたいと思います。大陸で覇を競う5大国は仲が悪く、魔導国を加えた6大国は近々、大戦争を巻き起こすでしょう。戦力差についてですが、ナザリック地下大墳墓の戦力と他国の戦力を比べましたが圧倒的に我が軍の戦力が上ですね。適当に戦っても五年ほども掛ければ大陸を実質的に支配することも容易いと私は見ます。ですが他の5大国を下すのは容易いでしょうが此方の軍も傷を負いましょう。なるべく軍が傷を負わず、かつ短い期間で支配するには2ヶ国以上で更に悪感情を募らせて互いに争わせ、他国内で反乱が巻き起こり混乱すれば良いと考えました。漫画から「二虎競食」と「駆虎呑狼」の計画と名付け、魔導国の諜報部隊の力も借りれば十分に成功確率が高い案でしょう。アインズ様、この計画で宜しいでしょうか?」
軍師サーロが説明し、端末ゴーレムがホワイトボードに他の5大国を書き込み、その5大国全てよりも大きい魔導国を書き込んで戦力について説明し、他の5大国同士が争うように各国の剣同士が鍔迫り合いをする簡略図が書き込まれ、5大国の後方で新たな国を書き込んで其処とも争うように書き込んでいる。
なんだが良く分からないが軍師が考えて計画を捻り出したなら上手くいく筈、後は俺が責任を取れば良い訳だな。
最古図書館で借りたビジネス書「部下に信頼される上司のコツ」にも書いてあったし、OKを出しておくとするか。
計画を把握してないのはマズイから後で解りやすい資料がいるな。
「うむ、それで良いだろう。後で誰にでも解るように絵入りで計画書を纏めて私の所へ持ってくるようにしなさい。そう、シャルティアにも分かるように丁寧に作っておくのだぞ」
「はい、畏まりました」
軍師サーロは丁寧にアインズに向かって頭を下げ、続けて指示棒を握って中央の戦場の立体映像を差し示している。
「次に5大国との戦争ですが、まずはアインズ様に超位魔法を戦場で各国が争っている中に撃ち出して頂き、殲滅致します。その後、各国の残存兵力を魔導軍が刈り取るのが最も効率的だと判断致しました。陣形の形は……」
「アインズ様に対して不敬では無いかしら。王に向かって働けとか、アインズ様には魔導軍の中で、のんびりと私達が手中にする此の大陸の支配に想いを馳せているだけで良いのよ」
「いかんぞ、アルベドよ。私が超位魔法を撃つのも此れが初めてでは無いだろう。カッツェ平野の会戦でも使用したではないか。良いぞ、軍師サーロよ。私が超位魔法を放とう。それで魔導軍の被害が軽くなるなら、私が多少危なくても元は取れるだろう」
「はい、ありがとうございます。アインズ様の護衛につきましては階層守護者の方を予定しており、アルベド様とシャルティア様とコキュートス様の御三方と漆黒の戦士モモンに扮したパンドラ様に御願いするつもりで御座います」
その後、細々とした事を作戦会議室で決めて、来るべき大戦争の日まで軍師サーロは謀略を他国に仕掛け、コキュートスは魔導軍が軍師サーロの戦術に耐えらえる様に、規律正しく行進をする訓練や陣形を組んだ後に様々な陣形に組み直す訓練などを訓練内容に組み込んでいた。
ミノタウロスの国を平定し次の大戦争まで間があることから、執事のセバスからメイドのツアレと竜王国領域守護者代行の大人形態の元女王ドラウディロンとの結婚を防衛の観点からエ・ランテルの魔導国王都で執り行いたいと言ってきた。
なんでもナザリック地下大墳墓で行うのとエ・ランテルで行うのとでは防衛費用と結婚式の費用を計算すると桁が違ってくるのだとか。
まあ、ギルドメンバーの「たっち・みー」さんが創りだした息子の様なセバスの門出なんだから費用なんて気にしなくても良いんだが、ナザリックで結婚式をやるとなるとナザリック地下大墳墓の異形の面々が出席するだろうし、「5大最悪」に会えば悲鳴を上げて花嫁が失神する恐れもあるから妥当だな。
エ・ランテルなら地上だし、元竜王国の民達も参加できるだろうから元女王ドラウディロンも嬉しいだろう。
結婚式は、急遽エ・ランテルに作られたアインズ・ウール・ゴウン教会にてアインズが壇上にて3人の門出を祝い、神官服を着込んだサルビアさんがアインズの目の前で式を進行して大勢の人々に祝われ、問題無く終わった。
2人の花嫁は、同時に結婚式を挙げる事で上下の関係なくセバスと過ごす事になる。
うーむ、俺もアルベドやシャルティアと結婚する時は、同時に式を挙げた方が後で上下関係で嫁同士が喧嘩しないだろうし良いかもしれないな。
だが第一夫人や第二夫人って名付ける問題は、どうした物か。
いっその事、セバスのように第一とか第二とか名付けないで何か別の呼び方を考えておいた方が良いかな。
セバスの結婚式から何ヶ月か過ぎ、アーグランド評議国の山奥ダンジョンで階層守護者達と一緒に大量のユグドラシル金貨やアイテムを仕入れては要らないアイテムを〈エクスチェンジ・ボックス〉で換金して過ごす中、大陸中央での覇を競う6大国が鎬を削り合う季節がやってきた。
新たにミノタウロスの国を併呑したアンデッドの国である魔導国を危険視する他の5大国、人間は玩具であり子袋であり肉であるゴブリン国、人の赤ん坊が御馳走なトロールの国、竜王国を攻めていたビーストマンの国とは別のビーストマンの連邦、人間を奴隷としているオークの国、奴隷となった人間が武器を作り作れない者は喰われる巨人の国が出そろった。
だが軍師サーロの策が効いているのか危険視していた魔導国を無視して互いに争い合い、各国の後方では反乱が巻き起こり混乱しているのが見て取れた。
「軍師サーロよ、良くやった。これなら楽に勝てるというものだ」
「はい、ありがとうございます」
「では私は超位魔法を撃つために出るとしよう。付いて来なさい、アルベド、シャルティア、コキュートス、そしてモモン殿」
「「はいっ、畏まりました」」
「ああ、任せてくれ」
アインズは超位魔法用に魔法の威力や効果範囲が上がる装備に着替えていた。
肩に宝玉が乗った豪華な黒いローブを着込み、ローブの下は各所に金糸で飾られた黒い制服めいた服を着て、首飾りや指輪や腕輪なども威力上昇系や効果範囲上昇で固めている。
完全武装のアルベドやシャルティアにギルドメンバー「武人建御雷」謹製の武器〈斬神刀皇〉を身に付け、黄金の装身具で肉体能力の向上や様々な耐性を獲得したコキュートス、そして漆黒の戦士モモンに扮したパンドラ率いる「漆黒」の冒険者パーティーがアインズに付き従って周囲を固めている。
「まずは超位魔法で敵を蹴散らし、超位魔法が唱えられない発動不可時間の間に始原の魔法やスキルによる効果範囲の大きな物で止めを刺そう。生き延びた軍勢は少ないだろうが、残存兵力は魔導軍で囲んで滅ぼせ。良いな」
「はっ、お任せください。必ずや吉報をお届けします。アインズ様は大天幕にて御待ちください」
アインズが各国の軍勢が相争う場に向けて超位魔法を発動する為の蒼白い立体魔方陣を展開しようとした時、突如として空が曇り始め、見る見るうちに戦場全体を覆う黒い雷雲が竜巻と成り、各国の軍勢を黒い竜巻が引き寄せ出す。
「なんだ、あれは?」
アインズが思わず口から零れた言葉に答える暇も無く、竜巻が巨大な黒い大爆発を引き起こし戦場を吹き飛ばす。
『アインズ様、始原の魔法を!』
死の宝珠の焦った言葉にアインズが咄嗟に範囲拡大化した《世界絶対障壁》と《世界守護》を唱え、《世界絶対障壁》による万全の守護結界と《世界守護》による「世界の守り」を得られた僅かな兵達を残し、黒い爆発の後に中心部に向けて戦場全体を包む黒い突風が巻き起こり、風に巻き込まれた各国の軍隊は魔導国の大部分の兵達も含めて次々に倒れて行く。
戦場の中心部まで届いた黒い突風は上空遥か高くへと雷雲を割って吹き抜ける。
黒き突風で倒れた者達が起き上がるが白目を向き、肌に血の気が無く中央部に向け歩いている。
これは始原の魔法か?黒い爆発で吹き飛ばされ黒い突風に巻き込まれた者がアンデッドに成っている。
幸い階層守護者はワールドアイテムを身に付けて無事だ。
ナザリックの自動で湧き出るアンデッドは黒い爆発で滅びたが、俺の近辺に居たナザリックの兵士達は、死の宝珠に言われ唱えた始原の魔法のおかげで無事のようだ。
良かった、ナザリックの金貨を費やした者達が滅んだら目も当てられないからな。
〈ゾンビ/動死体〉となった各国の兵士達は中央部に集まり、其の体はゾンビ同士で重なり合い、肉と骨が集まり高い山の様になっていた。
稲妻が走り抜ける雷雲を割り、地上へと降りて来た巨大な長い赤黒い肉塊は中央部の肉と骨の山に体を擦り付けて、其の体を更に大きくしている。
奴はゾンビで自らの体か鎧を作り出しているとみるのが早いな。
くそっ、どうする撤退するか?
その時、肉と骨で出来上がった高い山全てを削り取り、一回り大きくなり山脈の様になった巨大な長い赤黒い肉塊が頭らしきものを此方へ向け、直接頭に響く言葉を言い放つ。
「どうやら生き残りがいたようだな。恐れよ、我が名は〈エルダーコフィン・ドラゴンロード/朽棺の竜王〉キュアイーリム=ロスマルヴァーよ」
山脈の様に巨大な長い赤黒い肉塊の言葉を前にアインズは、生き残っているだろう階層守護者達を集める様に《メッセージ/伝言》を飛ばし、中空の闇の中から〈早着替えの木の棒〉を取り出し圧し折る事で対死霊術師用の装備に着替えて臨戦態勢を整えるのだった。
・ナザリック地下大墳墓の第九階層「作戦会議室」
オリジナル場所
第九階層は、なんでもありに近く、文化系なら大抵揃っていると思われるので登場。
公式スピンオフギャグマンガ「オーバーロード不死者のOh!」でも文化系で劇場や裁判所や忍者屋敷まで登場していました。
・〈早着替えの木の棒〉
アイテム
原作で登場した木の棒。
使用するとあらかじめ設定してある装備を即座に装備可能。(所持している装備品のみ着替えられる)
〈木の棒〉だけだと名前が寂しいので〈早着替えの木の棒〉という物にしました。