オーバーロードと死の宝珠   作:NEBUSOKU

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大陸中央の決戦

 戦闘準備を整えたアインズは、階層守護者が集まっているのを《メッセージ/伝言》で確認して、巨大肉塊の〈朽棺の竜王キュアイーリム〉に向き直り、話し合いで事を収められるかと考えていた。

 〈朽棺の竜王キュアイーリム〉は、その巨体を揺らしながら此方へ移動しており、何かに気付いた様に頭に響く言葉を零す。

 

「……貴様!〈竜帝の汚物〉か!滅びるがいい!!」

 

 くそっ、やはり戦わなくては駄目か。

 話し合いで何とかなるかもなんて期待したのが間違いだったな。

 奴には魔導軍の大半を消し飛ばした責務を果たさせてやろう。

 それにしても竜帝ってのは何だよ、それの汚物だって失礼だな。

 

 アインズは無詠唱で既に唱えていた自己への様々な補助魔法を発動しつつ、懐から生命力持続回復が込められた〈宝石の護符〉を取り出し砕く事で〈宝石の護符〉の限界を超えた性能を引き出し持続時間を増加させる。

 アインズは、其の体をアインズの護衛として侍る完全武装なアルベドとシャルティアと共に浮かび上がらせる。

 アインズの体は、対死霊術師用にしつらえた特注品、他にも対戦士用、対魔術師用、対神官用などの装備品等を見繕い、〈早着替えの木の棒〉に登録していた。

 頭には〈茨の冠〉を付け、自らが召喚する生物の属性が善の場合に召喚生物を強化する〈湯愚怒羅此流大明神の首飾り〉を首に掛けており、いつもの黒いローブ姿で無く、肩に大きな輝く宝玉がついた金で縁取られた紅いマントの下は、ミスリルで細かな装飾が施された白鎧で両手には、紅い宝玉や青い宝玉などが星の様に廻りを周回する人の背丈を超える大きな漆黒の杖〈魔導王の儀式杖〉を持ち集中していた。

 

「転移で逃がしはしない!《世界歪曲障壁》!」

 

 〈朽棺の竜王キュアイーリム〉が始原の魔法を唱え、巨体なキュアイーリムを中心にキュアイーリムがすっぽり入る程の半透明な半球状の障壁が張り巡らされる。

 

「《タイム・ストップ/時間停止》!、……ちっ、止まらないか」

 

 灰色の停止した世界の中で山々の様な巨体を揺らせ、此方へ移動するのを見て、《時間停止》を解除するアインズ。

 

 さすが〈竜王〉を名乗るだけは有ると言う事か、ツアーと同等、……いや、こいつの方が上か?

 

「《プロトタイプインフィニトマキシマイズワイデンマジック・リアリティ・スラッシュ・サイクロン/魔法試作無限最強効果範囲拡大化・現断の竜巻》!」

 

 高さ二百メートル、直径百メートルの《現断》で出来た無数の竜巻が〈朽棺の竜王キュアイーリム〉の死骸で出来た巨体を削りながら進む。

 山々の様に巨体なキュアイーリムに致命傷とはいかないがゾンビ鎧をこそげ落としてやった。

 キュアイーリムの体からはボロボロと死骸が落ちて行くのが見え、キュアイーリムが身もだえして苦しんでいる。

 アインズは、魔法の発動で充填された魔力を限界まで絞り出し罅が入った〈魔導王の儀式杖〉を投げ捨て、ソア、サルビアさん、そしてハムスケから降り漆黒の戦士のモモンを辞め、軍服を着込んだ姿に戻ったパンドラ、ナーベは既に戦闘メイドのナーベラルの姿で槍を持って臨戦態勢を取っている、そして戻って来た階層守護者達に声を掛ける。

 

「皆、私の超位魔法発動まで時間を稼いで欲しい。頼んだぞ。アルベドやシャルティアも行くのだ。ワールドアイテムの使用も許可する」

「「はい、お任せ下さい」」

 

 キュアイーリムは、無数の《現断の竜巻》で体を削られながらも死霊魔法を唱え、自らの盾を創りだす。

 

「起きろ、肉塊の竜よ。《オーバーマジックドラゴン・アンデス・ゴッドソルジャー・アーミー/魔法竜上昇化・不死の神兵の軍勢》!」

 

 地に落ちたキュアイーリムの肉塊から肉と骨が固まって数え切れない程に起き上がり、腐った竜の形を練り上げる。

 千体を超える数のアンデッドドラゴン〈クファンテラ=アーゴロス〉が戦場に産声を上げた。

 腐竜〈クファンテラ=アーゴロス〉の体は、文字通り腐っているだが再生力は凄まじく、肉が腐敗と再生を繰り返している。

 数え切れない程の螺子くれた角を生やし、白濁した瞳、乱杭歯、被膜が所々朽ちている両翼を持ち、魔導軍に襲い掛かる。

 階層守護者達やアインズにも襲い掛かって来た為、アインズは中空の闇の中へと手を入れ、竜王国の知識で作り上げた〈宝石の呪符〉を3つ取り出し、召喚された生物の最大の力を発揮させる為に砕く。

 

「召喚!《サモン・エンジェル・10th/第10位階天使召喚》!」

 

 空中に召喚魔方陣が浮かび上がり、3体の天使が召喚され、空中で翼を広げ、武器を展開する。

 召喚された天使は〈セラフ・ジ・エンピリアン/至高天の熾天使〉と言われるユグドラシル時代では、アインズが全力で戦う必要があるほどの強さを持つ天使達だ。

 3対6枚の翼を持ち、その内の体を包む二対の翼、残りの一対の翼を大きく広げて、光り輝く鎧を着用し、人の顔を模した仮面を身に付け、武器は、それぞれが神聖な力が溢れ出す騎槍、炎を噴き出す大剣、闇の者を滅する光の槍を持ち、もう片方の手には白く輝く中型盾を持っていた。

 

「〈至高天の熾天使〉達よ。私を守りつつ敵対する者達を滅ぼせ」

 

 アインズが指示すると〈至高天の熾天使〉達は三体でアインズを囲むように立ち回り、舞い踊るかのように飛び交い、神聖魔法を詠唱し〈クファンテラ=アーゴロス〉共に神聖属性の射撃魔法をぶつけ、騎槍や大剣や光の槍で近づく敵を切り払い、突き滅ぼしている。

 アインズは、指示を出した後は蒼白い球状の立体魔方陣を浮かび上がらせ、中空の闇の中から〈魔宝石〉を次々に取り出し、《マナドレイン/魔力吸収》の魔法で魔力を吸い上げている。

 戦場では、コキュートスがワールドアイテム【幾億の刃】を使用し、地面に幾つもの大剣が突き出され、何体もの腐竜〈クファンテラ=アーゴロス〉の体を縫い留め、斬神刀皇で腐竜の首を次々に刈り取っている。

 アルベドは【真なる無(ギンヌンガガプ)】で天上から曇り空を貫く巨大剣を呼び出し、キュアイーリムのゾンビで出来た肉体に当てるが、効果は今一な様で多少削っただけに留まっているのを舌打ちしながら降下し3Fの名を持つバルディッシュで腐竜を斬り付ける。

 完全武装なシャルティアは、スキル〈清浄投擲槍〉で創り出した3メートルを超える白銀の戦神槍を投擲し腐竜の頭を衝撃で木っ端微塵になるほど刺し貫き、スキル〈眷属招来〉で「吸血鬼の狼(ヴァンパイア・ウルフ)」「古種吸血蝙蝠(エルダー・ヴァンパイア・バット)」「吸血蝙蝠(ヴァンパイア・バット)」を次々に呼び出しては戦線に加えている。

 アウラは【山河社稷図】を使用し、場所自体はそっくりな異空間に戦場の全ての者を転移させる事でキュアイーリムの逃げ場を無くし乗りこんでいる。

 セバスは炎竜人の姿を成り、真っ赤な鱗を生やした竜人が腐竜に接近戦で炎の拳を叩き込み、蹴り技で首を圧し折っていた。

 マーレは、〈ぷちカタストロフ/小災厄〉スキルで呼び出した天を穿つ黒き極光が腐竜達の体を包み、地面ごと抉り込み消し飛ばす。

 デミウルゴスは、スキル〈魔将召喚〉で呼び出した魔将に中級悪魔を数体呼び出させ腐竜共との戦いに投入して、己の体を各種のスキル〈悪魔の諸相〉を使い、戦闘に耐えられる体に作り替えて腐竜に戦いを挑んでいる。

 パンドラは、その時々で姿を変え、「弐式炎雷」の忍者姿で戦場を飛び回り、「武人建御雷」のスキル〈明王〉系で腐竜を拘束し、「たっち・みー」の純銀の聖騎士姿で腐竜を切り裂き、遠距離戦は「ペロロンチーノ」の弓矢が次々に腐竜を貫き、「ウルベルト・アレイン・オードル」の大魔法が腐竜共を業火に燃やしていく。

 〈叡者の王冠〉を身に付けたソアが光輝く幻竜を呼び出し、幻竜の頭に乗って魔法を詠唱し敵を焼き尽くす。

 

「ドラゴンさんは光のブレスを横薙ぎに吐いて!アンデッドドラゴンの足が止まったら私の魔法の出番!《トリプレットマキシマイズワイデンマジック・ファイヤー・ストーム/魔法三重最強効果範囲拡大化・炎の嵐》!」

 

 炎の嵐が三重に発動し、範囲拡大化された炎の渦は多くのアンデッドドラゴンを飲み込む。

 再生は炎や酸に弱く、数多くの腐竜〈クファンテラ=アーゴロス〉は炭と成り崩れていく。

 

「スキル〈The goal of all life is death/あらゆる生ある者の目指すところは死である〉」

 

 アインズの背後に十二の時を示す時計が浮かび上がる。

 《現断の竜巻》を解除し、砂時計を取り出し砕くと風とは異なる力で立体魔方陣を砂時計の砂が巡っていき、蒼白い立体魔方陣が発光し超位魔法を発動させる。

 

「超位魔法《イア・シュブニグラス/黒き豊穣への貢ぎ》!」

 

 黒いものが〈朽棺の竜王キュアイーリム〉の体を風の様に吹き抜け、アインズの背後の時計の針が時を刻んでいく。

 

「させるものか!」

 

 キュアイーリムの竜の直感とも言うべき物は、アインズの後ろに浮かぶ時計に激しく刺激され、キュアイーリムの肉塊の体から触手が何本も飛び出した。

 多くの死肉がより合わさって巨木で出来た棘の様な触手が槍衾にしようとアインズを襲う。

 背後に浮かぶ時計の針が刻一刻と進み、時計の針の音が鳴り響く中、アインズは巨木の棘の様な触手を魔法で防ぎきろうとする。

 

「《世界絶対障壁》!」

 

 球状の半透明の膜がアインズの体を包み、幾本もの巨木の様な死肉の触手は障壁のぶつかった反動で次々に千切れ飛ぶ。

 アインズの背後の時計の針が一周し、スキルの効果が発動する。

 キュアイーリムの山脈のような体が光輝き、超位魔法《黒き豊穣への貢ぎ》で発生する即死の黒い風では流石に体全てのゾンビ鎧を覆う事は出来ず、半壊に留まった。

 体を覆っていた死肉は塵と成り、地面にはキュアイーリムから落ちた塵が山の様に聳えている。

 ゾンビ鎧を数多く滅ぼした黒いものは空高くに浮かぶ漆黒の球体となり、果実が落ちる様に地面にコールタールのような黒い粘液質な液体が広がり、そこから沸き立つように吹き上がるように高さにして5メートルほど、外見は蕪という野菜に似ており、葉の代わりにのたうつ黒い触手、太った根の部分は幾つもの大きな口、そしてその下には黒い蹄を生やした山羊のような足が5本ほど生えていた、

 超位魔法《黒き豊穣への貢ぎ》で出現した〈黒い仔山羊〉が5体、山羊のような鳴き声を上げ、幾つのもの口から涎を垂らしている。

 

「おのれ!スキル〈竜躯再構成〉!」

 

 残った死肉を外皮鎧に変え、キュアイーリムは真の姿を見せる。

 白鱗で体を覆い、大きな両翼を持ち、四肢を得た巨大な蛇のような姿で真紅の光を放って此方を睨み、死骸で出来た肉塊を鎧代わりに着込んでいる。

 

「行け、〈黒い仔山羊〉達よ。キュアイーリムを滅ぼせ!魔法《ロプサイデッド・デュエル/一方的な決闘》」

「逃がさないよ!《ディメンジョナル・ロック/次元封鎖》」

 

 アインズは、キュアイーリムが此のまま逃げ出す可能性を考え、相手が転移で逃げた場合に使用者も同じ場所に転移できる魔法を仕掛ける。

 ソアは、アインズの魔法を見て、転移系魔法を使って効果範囲外に移動することを阻止した。

 

「鬱陶しいわ、この塵芥どもが!《オーバーマジックドラゴントリプレットマキシマイズマジック・メテオフォール/魔法竜上昇三重最強化・隕石落下》!」

 

 天空の遥か彼方から3つの流星が大地に激突する。

 〈黒い仔山羊〉の内の4体が《隕石落下》に巻き込まれ、其の体を吹き飛ばされ消滅し、残る1体もキュアイーリムのゾンビ鎧から伸びる大量の巨大な死肉触手に貫かれ、やがて消滅するだろう。

 アインズ達は、《隕石落下》の凄まじいまでの衝撃波と隕石が落ちた時の大量の土砂が波となって襲い掛かるのを急いでその場を離脱する事で防いだ。

 アインズは地上の丘に降り立ち、次々に大剣を創り出し、五つの大剣が五芒星の頂点を指し示すように地面に突き刺さり、奥義(スキル)を使う。

 

「我が5つの大剣から生まれ出でよ、奥義(スキル)〈地球の再誕〉!、我が祈りを聞き星々よ十字と成れ、奥義(スキル)〈グランドクロス〉!」

 

 一日に一回しか使えない大技、キュアイーリムの体を小型の星々が十字を描く様に取り囲むと体を蝕む闇の爆発、流星が落ちキュアイーリムに痛打を加え、炎がキュアイーリムの体の中心で爆裂した後、巨大な無属性の爆発がキノコ雲を作り上げる。

 ソアが雲に隠れて視界が悪くなったキュアイーリムにアンデッドに有効な魔法を放つ。

 

「お日様の力で焼けちゃえ!《シャイニング・バースト/陽光爆裂》!」

 

 悪の生物やアンデッドに、カルマ値が低ければ低いほどダメージを与える魔法を放った。

 白い光が球状にキュアイーリムを包み、太陽の様な輝きと灼熱がキュアイーリムの体に炸裂し、焼き焦がす。

 

「グッ、ガァアアア!」

 

 アインズの5つの大剣は、〈地球の再誕〉で巨大な人型の精霊の姿と成り、〈根源の火精霊〉〈根源の水精霊〉〈根源の風精霊〉〈根源の土精霊〉〈根源の星霊〉の五体のモンスターが腕組みをして指示を待って居た。

 

「根源の精霊たちは、遠くからキュアイーリムに魔法攻撃を仕掛けよ」

 

 根源の精霊たちは、召喚主の命令を守る為に遠距離戦をキュアイーリムに仕掛ける。

 〈根源の火精霊〉が《ヴァーミリオンノヴァ/朱の新星》で紅蓮の炎で包み込み、〈根源の水精霊〉が超圧縮された水を光線の様に飛ばしてキュアイーリムの体を穿ち、〈根源の風精霊〉が《コール・グレーター・サンダー/万雷の撃滅》の魔法で雷を束ねて作られたような巨大雷撃で打ち貫く、〈根源の星霊〉が地面に押し付けるように超重力の魔法で空を飛ぶキュアイーリムを地面に押し付けると、〈根源の土精霊〉が《クラック・イン・ザ・グラウンド/地割れ》でキュアイーリムを挟み込み、継続ダメージと移動阻害の効果を押し付けた。

 

「滅びよ、……《滅魂の吐息》!」

 

 地上で地割れに体を拘束されたキュアイーリムが口から黒い光線を辺りにばら撒く。

 当たった者は抵抗の余地なく一瞬で消滅し、後には影も形も残らない。

 キュアイーリムが召喚した腐竜〈クファンテラ=アーゴロス〉ごと召喚された生物も滅び、アインズが召喚した〈至高天の熾天使〉と〈根源の精霊〉たちは消し飛んでしまう。

 どうやらソアの幻竜や他の者の召喚生物も滅びてしまったようで辺りは荒れ地が広がるばかりだ。

 アインズは《滅魂の吐息》を《世界絶対障壁》で防ごうとしたが黒い光線は擦り抜けてアインズに当たっていた。

 他の階層守護者が唱えた障壁魔法や障壁スキル、そしてソアが唱えた《ベール・オブ・ムーン/月光の帳》も擦り抜けて当たっているが、ワールドアイテムを持っている者と「世界の守り」をアインズが与えた者以外は滅びている。

 

 始原の魔法、それをいまさら切って来たのを見るに奥の手とも言うべき一撃だろう。

 相手の切り札とも言える始原の魔法は「世界の守り」によって防がれた、このまま戦っていけばアインズ達にも万が一の危険性もある、この辺が落とし所か。

 

「キュアイーリムよ、私の名はアインズ・ウール・ゴウンという」

 

 地割れから己を引き抜くキュアイーリムに拡声の魔法で呼びかけるアインズ、その高らかに戦場に響き渡る声に魔導国軍は武器で攻撃するを一旦止め、聞き入る。

 

「この辺で戦闘は手打ちにしないか?私の魔導国軍にはお前の始原の魔法は効かないのは分っただろう、私達も大部分の魔導国軍を失い、頭に来てしまい、お前を傷つけてしまった。謝罪が必要なら謝罪しようではないか?」

「戦闘を手打ちだと、ふざけた事を!謝罪など要らぬ、お前達は悉く滅びるのだからな!《古老竜尾》!」

 

 始原の魔法が効かないと知ったキュアイーリムは、自らに始原の魔法で肉体強化や上昇効果の魔法を掛けて巨大な尾を強化し、上半身がくるりと回転しつつ遠心力を乗せた強烈な一撃を地上に居た階層守護者達や魔導国軍に叩きつける。

 生き残った魔導国軍の大半が尾の薙ぎ払い、強烈な〈テールアタック〉で吹き飛び、ある者は体の大半を失い戦線離脱、ある者は姿を消し飛ばされ消滅する。

 アウラとマーレは、コキュートスとセバスに守られ、共に尾で吹き飛ばされて戦線に復帰するのは少し掛かるだろう。

 「漆黒」の冒険者パーティーは、パンドラがギルドメンバーの「ブルー・プラネット」に変身して《ネイチャーズ・シェルター/自然の避難所》で地面を掘り進み、天井の無い防空壕のようなものを作り上げていた事から全員無事に其処に逃げ込めた。

 

「残念だよ、《滅魂の波動》!」

 

 アインズは、《世界絶対障壁》の発動を止め、手から極太の黒い波動を放ち、キュアイーリムの体を隅々まで舐めるように放射する。

 キュアイーリム自体は、「世界の守り」で守られているがゾンビ鎧は、黒い光線に触れた物は消し去る力により全てのゾンビ鎧は消し飛んでいた。

 キュアイーリムは鱗のみを晒し、丸裸同然の姿となっている。

 

「《世界大爆発》!」

「《トリプレットマジック・ウォール・オブ・スケルトン/魔法三重化・骸骨壁》!」

 

 薄暗く曇る天空を貫いて光輝く柱がキュアイーリムの三重の骸骨壁を抉り、大爆発を起こす。

 キノコ雲が浮かびかける中、アインズは続けて魔法を唱える。

 

「《世界大雷撃》!」

 

 曇り空から天空全体に幾つもの稲妻が迸り、稲妻が中央に集まった時にキュアイーリムが居る直下の地面へと幾つもの雷が撚り合わさり、巨大な轟雷となって骸骨壁が砕けたキュアイーリムを直撃する。

 アインズは特定魔法(《グレーターリーサル/大致死》)を使えるようになる装備品の力を解放し、アインズは黒い光に包まれる。

 《グレーターリーサル/大致死》は対象者あるいは自身に膨大な負のエネルギーを与えることが出来る信仰系の魔法、対象が生者であればダメージを受けるが、アンデッドの場合は回復するのでアインズにとっては最大の回復魔法となり、始原の魔法で消費した生命力の大半を回復出来ていた。

 

「《トリプレットマキシマイズマジック・アンダイイング・フレイム/魔法三重最強化・不死の炎》!」

 

 大爆発と大雷撃で焼け爛れたキュアイーリムは、両鉤爪と牙に青白い炎を宿らせ、負のエネルギーと炎のエネルギーの追加ダメージを与える強化魔法を最強化してアインズに襲い掛かる。

 アインズは、両腰の双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】を抜き去り、青白い炎を宿らせた鉤爪をいなし、〈武技・パリィ〉で捌き、キュアイーリムの牙を〈武技・無敵要塞〉を使い交差した双大剣で、かち上げようとするがレベル100を超えるキュアイーリムの攻撃は跳ね返せず、双大剣【世界意志】で体の大半を守り抜いただけに留まる。

 

「〈武技・階層〉、〈武技・戦士職段位上昇Ⅴ〉、〈武技・七彩強化〉、〈武技・黒曜石剣の円陣〉そして〈武技・炎滅付与〉」

 

 キュアイーリムの顔に炎を纏った黒曜石の剣が3つ突き刺さり痛打を与える。

 キュアイーリムは体を激しく、身もだえさせ、辺りの地面を尾で叩き、階層守護者達は激しい動きにアインズに当たる可能性を考えて手助けが出来ない。

 

「怯えよ!スキル〈古老竜気〉!……始原の魔法が効かないなら《オーバーマジックドラゴントリプレットマキシマイズ・リアリティ・スラッシュ/魔法竜上昇三重最強化・現断》!」

 

 スキルの効果でキュアイーリムの体から竜の気迫が辺り一帯に放たれ、魔導軍は階層守護者達やアインズを含めて逃げ出したくなるような気持ちに襲われるが気合で抑え、だが動揺した体は硬直してしまった。

 アインズの体を3つの《現断》が襲い、硬直した体で何とか動かした双大剣【世界意志】を使い2つの《現断》は切り払うが、アインズの鎧に《現断》が1つ袈裟斬りに斬り込む。

 アインズの上半身と下半身が2つに分かれ落ちようとする中、サルビアさんの《グレーターリーサル/大致死》の魔法が飛び、死の宝珠の負のエネルギーを浴びせる光線がアインズを包み込み、録画の早戻しのように2つに分かれた体は再び接着し、鎧に一筋の袈裟斬りの傷を残し、アインズは元の姿を取り戻す。

 

「おのれぇえええ!」

「お前は一人だが此方は魔導国軍全体が私の味方なのだよ。魔法《トリプレットペネトレートマジック・コラプシング・スターズ/魔法三重抵抗難度強化・星砕き》!」

 

 アインズが唱えると数十個もの紫めいた黒球が放たれ、キュアイーリムは避けようとするが十数個ほどの黒球が体にぶつかり、引き裂くような力と共にアインズの目の前に引き寄せられる。

 武技を使い、瞬時にキュアイーリムの目の前まで飛び、光輝く神聖さを帯びた双大剣【世界意志】で頭部を斬りつける。

 

「この攻撃は効くだろ!〈武技・閃光烈斬〉!」

 

 アンデッドのアインズの両手は対死霊用の〈武技・閃光烈斬〉の輝きで焼けるが、武技で斬りつけられたアンデッドのキュアイーリムは頭部に神聖攻撃を受け、斬りつけた箇所が焼け爛れて悶え苦しむ。

 

「地に落ちろ!〈武技・竜斬り〉!」

 

 更にアインズは空中で前方に跳躍し、回転しながら双大剣【世界意志】をキュアイーリムの頭に叩きつける。

 キュアイーリムの頭は叩きつけた双大剣の形に陥没し、双大剣を振るったアインズと共に勢いのまま地面に轟音を立て、放射状の亀裂を作りながら減り込んだ。

 

「終焉の時だ。〈武技・完璧戦士化〉、タレント〈青秘雫〉〈豪運〉〈斬鉄剣〉発動、【世界意志(ワールドセイヴァー)】よ我に力を!〈武技・世界断切〉!!」

 

 大上段から振り下ろす軌跡が世界を斬り裂く。

 斬られた世界の軌跡は、遠近法を無視してアインズの視線の先、地平線の彼方まで続いた。

 世界が真っ二つにキュアイーリムの頭ごと斬られ、キュアイーリムは頭を落とし、その体は起き上がることなく身を横たえる。

 やがて世界が斬られた現実を戻す為、異音と共に世界が閉じて行く。

 キュアイーリムの切断された頭と体は黒い霧となり、世界へと散って行った。

 

 こうして大陸中央の決戦は終幕を迎え、魔導国軍は大陸の覇権を握る事となる。




・〈湯愚怒羅此流大明神の首飾り〉
 オリジナル設定
 自らが召喚する生物の属性が善の場合に召喚生物を強化するアクセサリー
 元ネタはコミカライズ版第78話にて、超位魔法《天軍降臨》を詠唱する際に着用してます。

・〈魔導王の儀式杖〉
 オリジナルアイテム
 集中と共に魔法の範囲拡大、位階上昇、威力最大化などの限界を突破して魔法を放つアイテム。
 ただし使うと高価な杖が砕けてしまうという一品。

・【幾億の刃】
 ワールドアイテム
 オリジナル設定
 地面に幾つもの大剣が突き出され、何体もの敵集団の体を縫い留め継続ダメージと移動阻害効果を与える。
 元ネタは原作で登場したアイテムです。

・《古老竜尾》
 オリジナル始原の魔法、原作では名前は出てません。
 身体強化及び上昇効果を自らの尾に乗せ、敵の集団を薙ぎ払うテールアタックを放つ。
 原作特典小説「亡国の吸血姫」で登場。

・《現断の竜巻》
 オリジナル開発魔法
 現在開発中の魔法、ダメージ量が最大の《現断》を竜巻状にして敵にぶつける大技。
 魔力量の増えたアインズにしか放てない魔法。

・《コラプシング・スターズ/星砕き》
 オリジナル魔法
 重力の弾丸を大量に放ち、当たった者を、己に引き寄せる魔法
 元ネタはエルデンリングから魔法《星砕き》

・《オーバーマジックドラゴン/魔法竜上昇化》
 オリジナル魔法強化スキル
 《魔法上昇化》の上位スキル、前提:《魔法上昇化》、真なる竜王の血を引く者
 より上位の魔法を詠唱できる。

・〈武技・炎滅付与〉
 オリジナル武技
 武器に炎熱効果と負のエネルギーを付与する武技

・〈武技・竜斬り〉
 オリジナル武技
 竜特攻の武技。
 前方に跳躍し、回転しながら武器を叩きつける。

・〈武技・世界断切〉
 オリジナル武技、前提:〈武技・龍神牙〉、タレント〈青秘雫〉〈豪運〉〈斬鉄剣〉、武器【世界意志(ワールドセイヴァー)】の所持。
 ワールドチャンピオンの最終レベルで取得できる超弩級最終特殊技術〈ワールドブレイク/次元断切〉に匹敵するダメージ量を叩き出す武技。
 集中力と魔力および武器【世界意志(ワールドセイヴァー)】の力を引き出す為に多用できない大技。
 その性質上、動けない敵か隙を大きく晒した敵にしか使えないだろう。

・〈竜躯再構成〉
 オリジナルスキル
 体を再構成して最適化するスキル
 今回は体を作っていたゾンビ鎧が半壊した為、ゾンビ鎧を再構成して戦いに臨んだ。
 キュアイーリムの独自スキル

・〈古老竜気〉
 オリジナルスキル
 一日一回限定で古老竜の気を解放し、周辺の敵を逃走、又は動揺させる。

・〈クファンテラ=アーゴロス〉
 アンデッドドラゴン
 オリジナル設定
 腐敗と再生を繰り返す体を持つ腐った竜。
 元ネタは原作で登場したアンデッドドラゴン、ドラゴンのナイトリッチです。

・〈エルダーコフィン・ドラゴンロード/朽棺の竜王〉キュアイーリム=ロスマルヴァー
 原作特典小説「亡国の吸血姫」で登場。
 オリジナル設定
 原作から時間が経ち、100レベルを超え、今回の大戦争で吸収した死体の経験値で更に強力になったドラゴン。
 山々のような赤黒い長い巨大死肉の塊で包まれた姿で登場、頭に響くような言葉を放つ。

・〈宝石の護符〉と〈宝石の呪符〉の限界を超えた使用法
 竜王国の知識で作り上げた宝石、《ジュエル・フォーム/宝石形成》の魔法で宝石を創られている。
 攻撃や召喚に使う呪符の力が込められた〈宝石の呪符〉。
 回復や支援魔法に使う護符の力が込められた〈宝石の護符〉。
 再利用可能だが宝石を砕く事で魔法の持続時間、更なる強さ、攻撃力、召喚生物の強さなどが手に入る。
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