オーバーロードと死の宝珠   作:NEBUSOKU

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南方の砂漠の浮遊都市エリュエンティウ 2

 魔導王アインズを含むナザリック精鋭部隊が浮遊都市エリュエンティウの地上都市に足を踏み入れて暫くすると、数多く居た街の人間種の住人達は大慌てで建物の中に入り、窓や扉を締め切り逃げ込んだ。

 上空の浮遊都市から水が滝のように流れ込んでいるが、その滝を避けるように20数体もの高位天使達や高位戦乙女達が舞い降り、アインズ達に武器を向けて警告する。

 

「貴様ら何用だ?結界を破って侵入するとは我らに敵対する気が無いなら早く失せろ!」

 

 アインズは、討たれてはならない王でありつつもナザリック精鋭部隊の先頭に立ち、返答する。

 

「レベル100が20体程か、全戦力で来るかと思えばナザリック大地下墳墓も舐められたものだな。……私の名は魔導王アインズ・ウール・ゴウン、浮遊都市エリュエンティウの天使と戦乙女の諸君!我が前に跪き、首を垂れよ!さすれば汝らの望みを可能な限り私が叶えて見せよう!」

「誰が貴様なんぞに首を垂れるか!死ね、総攻撃だ!矢を放て!」

 

 浮遊都市エリュエンティウの天使や戦乙女達が一斉に弓に矢をつがえ、引き絞る。

 同時にナザリック精鋭部隊の前面に突如として軍団が湧き、天使や戦乙女達が驚き動きが止まる。

 広範囲化した《パーフェクト・アンノウアブル/完全不可知化》の魔法で姿だけでなく、音・気配までも全て消していた軍団の中で漆黒のローブを被った軍師サーロが右手を高く上げ、声高らかに指令を出す。

 

「やってください、ツアー様!」

「《世界縛鎖》!、君達の足を止めるには此れで充分さ」

 

 無数の光輝く太い鎖が地上より伸びあがり、次々に天使達や戦乙女達を縛る。

 

「貴様、ツアーか!裏切ったな!」

 

 軍師サーロが高く右手を上げていたのを下ろすと、隠蔽魔法で隠されていたドーム状の蒼白く発光する立体魔方陣が現れ、立体魔方陣の中心で鳥仮面を付けたニニャが左手にアインズが下賜した課金アイテム〈砂時計〉を握りしめ砕く。

 即座に発動可能状態となった立体魔方陣の蒼白い光が強く発光し、魔法が発動した。

 

「遥かな星空、その奔流よ。超位魔法《マジックコメット・オブ・マキシマム/極大の魔彗星》発動!」

 

 ニニャが詠唱すると、黒宝珠の杖の先から極太の青い魔力の光線が光る鎖で縛られた天使達や戦乙女達の集団に突き刺さり、そのまま上空に浮かぶ浮遊都市の外壁を抉り、空の彼方まで光線が伸びる。

 《完全不可知化》の魔法で隠された軍団にはソアもおり、儀式魔法の長い詠唱を魔法訓練によって解消、昔は儀式魔法だったが今では簡単な詠唱、魔法で済むように成っていた。

 

「世界を騙せ、魔法《イリュージョンズ・ザット・トリック・ザ・ワールド/ 世界虚偽幻術》、スキル〈グランドカタストロフ/大災厄〉!!」

 

 ソアが幻術の究極の奥義の魔法を詠唱し、世界を騙し自らが覚えていないスキルを使用する。

 世界樹の葉が零れ落ちる憎悪、それをスキルで物理現象となるまで高めた呪詛が、天空から全てを穿つ黒い光柱となって浮遊する都市ごと天使達と戦乙女達に突き刺さり地上の建物群を消し飛ばす。

 マーレもソアのスキルに合わせてスキルを使い、敵を天空からの黒き極光の柱で追い打ちを放つ。

 

「い、いきます。〈ぷちカタストロフ/小災厄〉!」

 

 幾つもの光る鎖が千切れ跳び、天使達や戦乙女達は天を穿つ黒い極光を浴びて大火傷や魔力の光線によって黒焦げに成りつつも天使達の神官系魔法の防護系魔法で生き延びていた。

 超位魔法は強制的な冷却時間がチーム全員にかかるため、先に超位魔法を使う者は負けるという定説がある。

 だがアインズは超位魔法の冷却時間をタレントで無視し、口早に次々に詠唱し始める。

 

「精鋭部隊は私を守れ!タレント〈連続魔〉、〈速攻魔〉発動!超位魔法《アポカリプスⅠ/黙示録Ⅰ》、《アポカリプスⅡ/黙示録Ⅱ》、《アポカリプスⅢ/黙示録Ⅲ》」

「全員、アインズ様を中心に〈方円〉の陣形を取り、敵に対処して下さい!」

 

 アインズを中心に蒼白く光輝くドーム状の立体魔方陣が強く発光しては次々に超位魔法を発動している。

 軍師サーロが指示した様にナザリックの精鋭部隊は〈方円〉の陣形を取り、アインズを中心として円を描くように精鋭部隊で囲む陣形だ。

 アインズに襲い掛かる天使達や戦乙女達は、コキュートス率いる精鋭部隊やデミウルゴスが引き連れた〈デーモンロード/魔将〉達が魔法で迎え撃ち、アルベドやシャルティアやアウラの魔獣やマーレの課金ガチャで手に入れたドラゴンや竜程の大きさの魔樹「ザイトルクワエ」の子供数体が近づいて来た天使達や戦乙女達を近接戦で抑え、セバスや戦闘メイド「プレアデス」がアインズの傍で守りを固めている。

 

「出でよ、光と闇の天使よ。超位魔法《エンジェル・オブ・ザ・アポカリプス/黙示録の天使》!!」

 

 アインズの上空にナザリックの精鋭部隊の集団を超える大きさの巨大な時計が現れ、其れが浮遊するように闇の様な黒い触手と光の様な白い触手の海が空中に浮かび、巨大時計には7人の目隠しをされた天使達が触手で縛られていた。

 超位魔法を幾つも使う事でようやく呼び出せる災害を告げる光と闇という相反する属性を持つ天使、準備時間と手間が掛かる超位魔法で幾つも超位魔法を使い準備を整える事で呼び出せるが、超位魔法は強制的な冷却時間がチーム全員にかかるから悠長に幾つも超位魔法を唱えられる戦場なんて無いので、アインズも模擬戦闘の時に遊びで召喚した事のあるモンスターだった。

 術者と周囲の味方のスキルや魔法を高レベルで使い、レベルでは有り得ない高攻撃力、高耐久力を誇る大型ボス級のモンスター、総合レベルは術者と同様のレベル100だが実際にはレベル110から120くらいのステータスの化け物モンスターだ。

 魔導王アインズが呼び出した事で《黙示録の天使》の総合レベル137となり、実質150レベルのステータス、超位魔法《黙示録Ⅰ~Ⅲ》の効果で《黙示録の天使》に敵意は存分に向いており、呼び出された《黙示録の天使》は、魔法やスキルの使用回数や再使用時間などを無視して使用し、アインズのタレントも《黙示録の天使》は使用可能となり、ユグドラシルでは超位魔法は強制的な冷却時間がチーム全員にかかるため超位魔法で呼び出される《黙示録の天使》は使えなかった筈だったが、タレント〈連続魔〉、〈速攻魔〉を発動させれば此の世界では《黙示録の天使》が超位魔法を使えるように変化していた。

 空中を浮遊する黒と白の触手の海に浮かぶ巨大時計《黙示録の天使》は自らが得たタレントの効果を熟知したかのように発動させつつ、空中を舞う天使達や戦乙女達を黒と白の触手を束ねた幾つもの巨大槍で蹴散らす。

 超位魔法を唱えてる間は無防備で移動も殆ど出来ないのに、其れを無視して巨大時計《黙示録の天使》は空を浮かび、空を舞う天使達や戦乙女達に近づき足元の虫を踏み潰すように攻撃を仕掛ける。

 

「タレント〈豪運〉、〈連続魔〉、〈速攻魔〉発動。超位魔法《腐敗の風》」

 

 超位魔法《腐敗の風》が巨大時計《黙示録の天使》に詠唱される。

 巨大時計《黙示録の天使》を中心として蒼白い球状の立体魔方陣が強く発光し、タレントの効果で即座に超位魔法が発動する。

 体を蝕み、適切な治療をしない限り特殊な状態異常〈腐敗〉となってしまう赤い腐敗の風が怪我を負った天使達や戦乙女達を飲み込み、タレント〈豪運〉の効果なのか風向きが良かった所為か奇跡的に此方には赤い腐敗の風を吸い込む者や風を体に浴びた者は居なかった。

 

「ガハッ、ゲホッ。クソッ、口から血が出てやがる。内臓をやられたか、巨大時計に構うな!、アインズを……」

 

 指示を出す天使の頭が巨大時計《黙示録の天使》の黒と白の触手を束ねた巨大槍で貫かれ、赤い血潮を撒き散らし細かな肉片と成って吹き飛ぶ。

 腐敗の風を浴びた天使達や戦乙女達は、体から噴き出た血潮が高熱で乾いて赤い埃となり、それらを撒き散らしながらナザリックの精鋭部隊と戦っているが次々に巨大時計《黙示録の天使》の触手を束ねた幾つもの巨大槍で羽虫を叩き落すかの様に打ち落とされ、巨大槍で貫かれ体を四散させている。

 

「《リアリティ・スラッシュ/現断》、《ヴァーミリオンノヴァ/朱の新星》、《ポーラー・クロー/極地の爪》、《コール・グレーター・サンダー/万雷の撃滅》」

 

 巨大時計《黙示録の天使》が高位攻撃魔法を次々唱え、空間を破断させ天使達を両断し、炎の魔法で戦乙女を焼き、雷の魔法で敵を貫いた。

 

「最早、戦では無いな。巨大時計《黙示録の天使》に任せておけば良さそうだ。軍師サーロよ、お前の策が上手くいったようだな。よくやったぞ」

「はいっ、ありがとうございます」

 

 地上の都市は巨大時計《黙示録の天使》が唱える極大級の高位魔法の爆裂や衝撃波などでキノコ雲が上がり、魔法の斬撃で直線上の建物群を斬り飛ばされ、状態異常〈腐敗〉や〈毒〉などで建物が崩れ落ちていた。

 幾つかの崩れ落ちている建物からは助けを求める声が聞こえるが、戦場となる都市に居たのだから無視した。

 セバスが傷ついた人たちを助けてやりたい顔をしているので声を掛ける。

 

「セバスよ、戦が終われば救護班を呼んで都市に住まう者達を助ける事を許そう。だが今は駄目だ」

「はっ、寛大なる御心遣いありがとうございます。アインズ様」

 

 巨大時計《黙示録の天使》の圧倒的な力により地上に舞い降りた天使達や戦乙女達を駆逐し、地上の都市を制圧したのは其れから暫く経ってからだった。




・《世界縛鎖》
 オリジナル始原の魔法
 範囲内の対象へ無数の光輝く太い鎖が地上より伸びあがり、縛り上げる。
 上位の始原の魔法だと生命力を更に消費する事で長期間の封印も可能。

・《マジックコメット・オブ・マキシマム/極大の魔彗星》
 オリジナル超位魔法
 極太の青い魔力の光線が敵の集団を貫く。
 貫通力に優れ、後ろの敵にも魔力の光線は届き、高威力で敵を滅ぼすが、詠唱が長く、課金アイテムを使わないと敵に避けられて虚空を撃つことになりかねない使い所が難しい超位魔法。
 元ネタはエルデンリングの魔法《彗星アズール》。

・《エンジェル・オブ・ザ・アポカリプス/黙示録の天使》
 オリジナル超位魔法
 幾つもの準備用の超位魔法《黙示録》系を唱えた後に発動できる超位魔法。
 戦場では超位魔法を悠長に幾つも唱える事が無いので登場しなかった張りぼて超位魔法。
 使用するとボスクラスのモンスターが理不尽な攻撃力と防御力を持ち、周囲の味方の魔法とスキルを持って暴れてくれる。
 元ネタはモンスターコレクションより《アポカリプス#1》。

・《腐敗の風》
 超位魔法
 オリジナル設定
 状態異常〈腐敗〉にさせる赤い風を巻き起こす。
 元ネタはエルデンリングの状態異常〈腐敗〉ですが、原作でも超位魔法《腐敗の風》はあるそうです。
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