オーバーロードと死の宝珠   作:NEBUSOKU

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南方の砂漠の浮遊都市エリュエンティウ 4

 漆黒の重装鎧を着込んだ魔導王アインズは、白く光輝く闘気を放つワールドチャンピオン「八欲王」の一人と対峙するが剣を交えず、まず相手を知ろうと話しかける。

 

 ギルド「アインズ・ウール・ゴウン」の基本戦術、ぷにっと萌え直伝の「誰でも楽々PK術」は、相手の情報をとにかく収集して、奇襲で一気に終わらせる戦い方、今回は奇襲で攻められないが相手の情報は多ければ多い程良いからな。

 

「私の名は魔導王アインズ・ウール・ゴウンと皆は呼ぶ。貴方の名をお聞かせ願いたい」

 

 だが「八欲王」は、一歩一歩、此方を値踏みするかのように近づいて来るばかりだ。

 

「寡黙な方だな。所で何故、スキルを使う時に無言なのだ?言葉で発動させた方が威力や精度が上がるのに変な方だ」

 

 「八欲王」の歩みが止まり、此方を注視しつつ何か考え込んでいる。

 

 どうやら「八欲王」の自我は希薄の様だな、超位魔法《コール・アヴァター/神の化身召喚》で無理矢理起こしているからか?

 しかし〈ワールドブレイク/次元断切〉を使用回数制限無し、再使用時間無しで撃ちまくっていたが純粋なプレイヤー枠で無く、ボスモンスター枠で出て来て無いか?

 まあ先程の声掛けでスキルを使う時に声に出して使えば威力や精度が上がるのは、間違いなく本当だが技を読みやすくなる。

 声無しでスキルを使い威力が落ちるのと声有りでスキルを使い威力が上がるのだと声を出す時点でスキルにある程度対処して避けられるからな。

 まあ上級プレイヤーなら目線を逸らしたり発動時間をコンマ数秒ずらしたりで声を出して威力を上げても相手に当てるプレイヤースキルは有るんだが、自我が希薄そうな時点でプレイヤースキルには期待できないだろう。

 そもそも威力が上がるって言っても超弩級の最終特殊技術〈ワールドブレイク/次元断切〉なら当たれば盾の防御ごと斬り裂いて鎧の防護点も無視して本体を切断するから威力の上昇はあまり意味がない、威力が低くても当たればほぼ終わると見ていいからで、声無しでスキルを使われる方が厄介なんだよな。

 「八欲王」の自我が低いなら此れに引っかかってスキルの際に声を出してくれる筈だ。

 

「〈ワールドブレイク/次元断切〉!」

「〈武技・閃光走破〉!、……その位置では当たらない、私には武技があるからな」

 

 世界を切り裂く斬撃がアインズ目掛けて、空間を切り裂きつつ向かうが、アインズが〈次元断切〉を事も無げに武技を使って短距離瞬間転移したかのように斜め横に避ける。

 

  狙い通りだ、どうやら声に出してスキルを使ってくれるようになったか。

 

「《世界加速》、〈武技・武器魔法付与:現断〉、〈武技・階層〉、〈武技・戦士職段位上昇Ⅴ〉、〈武技・七彩強化〉、〈武技・黒曜石剣の円陣〉、踊れ双大剣!」

 

 始原の魔法と武技を詠唱し、3つの黒曜石の剣がアインズの頭上に浮かび、背中の双大剣がゆらりと空中を飛んでいる。

 

「死の宝珠よ、魔法を使え!」

『《ペネトレートマジック・インプリズンメント/魔法抵抗難度強化・投獄》!』

 

 《インプリズンメント/投獄》とは対象のモンスターを地中深く封印する魔法、だがワールドチャンピオン「八欲王」は自らを縛ろうとする青く輝く魔力の縄を引き千切り、無力化されてしまう。

 続けてアインズが武技や魔法による肉体強化で上昇した筋力で踏みしめた床に大きな亀裂を放射状に走らせながら、「八欲王」を目掛けて瞬時に走り出し、肉薄する。

 アインズの腰に差した死の宝珠は魔法を唱え、隙を作り出そうとする。

 

『貴方には恐るべき勇者と戦って貰います。やがて貴方は疲れ切り大地に伏せるでしょう。《ペネトレートマジック・ウィアード/魔法抵抗難度強化・究極の恐怖》!』

 

 《ウィアード/究極の恐怖》とは相手の心の中に最も恐れる存在の幻を作り出して、対象と戦わせる魔法だ。

 「八欲王」は、アインズの飛び交う3つの黒曜石の剣や宙を舞う2つの大剣を切り払い、アインズが抜き放つ神々しく光輝く双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】と鍔迫り合いしていて、直近で発動した魔法《究極の恐怖》を避けられず、立ち眩みでもしたのか頭が朦朧としているようだ。

 どうやら抵抗には成功したようだが、朦朧とした頭では私の攻撃は避けられまい。

 《タイム・ストップ/時間停止》を撃つか、だが「八欲王」と呼ばれる高レベル冒険者なら時間停止対策済みとみて良いな。

 《滅魂の波動》などの直接対象に影響を与える始原の魔法は〈世界の守り〉を持つワールドチャンピオン「八欲王」には効かない筈だ。

 俺の奥の手、スキル〈The goal of all life is death/あらゆる生ある者の目指すところは死である〉は、即死効果を持つ魔法やスキルを強化し、たとえ相手が即死無効化能力を持っていても即死させることができるが、相手が死後に発動する蘇生アイテムや蘇生スキルを持っていたりすると不発に成り、大きな隙を晒してしまう。

 「八欲王」は上位ギルドのメンバー、おそらく即死魔法や即死スキルの対策は何らかの形で持っていると見て良いだろう。

 ならば発動するのは単純に高火力を発揮する此れだ!

 

「我が祈りを聞き星々よ十字と成れ、奥義(スキル)〈グランドクロス〉!」

 

 「八欲王」を中心として小型の星々が十字を描く様に取り囲むと体を蝕む闇の爆発、爆発の雲に紛れて流星が落ち、炎が中心で爆裂した後、巨大な無属性の爆発がキノコ雲を作り上げた。

 だが「八欲王」の体の前には次元を分断した盾の様な層が出来ており、ほぼ全てを「八欲王」の持つ絶対防御のスキル〈次元断層〉で防ぎ、最初の闇の爆発を多少受けただけで、体を蝕む黒い炎を両手を交差した後に振り払う事で黒炎を消し去った。

 

 くそっ、ワールドチャンピオンってのは何でもありか、俺の最強のスキルがまるで当たらないなんて。

 

 死の宝珠が無詠唱でアインズに《メッセージ/伝言》で語り掛ける。

 

(アインズ様、接近戦を挑んでください。スキルや魔法が当たらないなら先程の魔法《究極の恐怖》の様に避ける隙を与えない程の近距離で唱える他有りません)

 

 アインズの廻りを蒼白い光を放つ立体魔方陣がドーム状に浮かび上がり、死の宝珠が超位魔法の準備に入った様だ。

 死の宝珠は黒宝珠の杖に嵌り、アインズが腰に差していた。

 超位魔法は既にチーム全体の発動不可時間を超え、誰でも唱えられる様に成り、アイテムでもある死の宝珠が唱える事で超位魔法の移動の制限または移動時の呪文キャンセル等の問題点は、アインズに持って移動して貰う事で解消済みだ。

 超位魔法の詠唱中で防御力の低下した死の宝珠自体がダメージを受けると超位魔法がキャンセルされてしまうが、そもそも杖に付いた宝珠が超位魔法を使っているとは「八欲王」の想像の範囲外だろう。

 もしも腰に差した死の宝珠へ攻撃が当たりそうなら避けるなり、受け切るなり、捌くなりすれば良い。

 だが死の宝珠は消費アイテムが使えないので、アインズの超位魔法の詠唱時間を短縮する課金アイテムの〈砂時計〉は使えない。

 超位魔法の詠唱が終わるまでアインズが「八欲王」と接近戦をしなければならない。

 要は、詠唱が終わる直前に接近戦をしていれば良いと考えたアインズは、アインズが超位魔法を唱えたと「八欲王」が勘違いしてアインズ目掛けて剣槍を振り下ろして来るのをじっくりと観察する。

 

「スキル〈斬月〉!」

 

 「八欲王」の剣槍による斬撃は浮遊都市の大地をバターを熱したナイフで切ったかのように割り、アインズは相手が超位魔法で動けないと勘違いしていると知って、余裕を持ってバックステップで避けた。

 「八欲王」は何故か超位魔法を発動しているのに移動できたアインズを不審に思うも極僅かの時間、続けてアインズに大盾をぶつけて足を止めようとする。

 

「スキル〈シールドアタック〉、〈シールドスタン〉、〈メガインパクト〉!」

「ぐぅっ、〈武技・天下無敵〉!」

 

 タレント〈天下無敵〉は元々、短時間どんなレベルの攻撃でも防御行動を取っていれば受け切れるという物だが、アインズは武技に改良し瞬間的にどんなレベルの攻撃でも防御行動を取っていれば受け切れるという物と成り、使用回数制限も無くしていた。

 光輝く双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】を交差して、「八欲王」の大盾のスキル攻撃を防御するが宙に浮かぶ3本の黒曜石の剣は衝撃波で砕け、空を舞う双大剣も吹き飛び、アインズは地面を大幅に擦りながら後退してしまう。

 

(アインズ様、超位魔法の準備が整いました。接近を御願いします)

 

 死の宝珠から無詠唱で魔法《伝言》で声を掛けられ、アインズが「八欲王」に接近する。

 死の宝珠が超位魔法の強化スキルを唱え、発動準備に掛かった。

 

『〈超位魔法三重化〉、〈超位魔法最強化〉、〈超位魔法持続時間延長化〉……』

「〈武技・早足〉、〈武技・閃光走破〉!、《トリプレットブーステッドマキシマイズマジック・マジック・アロー/魔法三重位階上昇最強化・魔法の矢》!」

 

 アインズは〈武技・早足〉で速度を増し〈武技・閃光走破〉の短距離瞬間移動にも似た超速度による疾走距離を大幅に上げ、「八欲王」の目の前まで近づき、位階上昇で第十位階相当にしたように、低位階の魔法を高位階の魔法にすることで、位階で判断される魔法防御能力を突破しようと3重化で30本になる必中の《魔法の矢》が「八欲王」目掛けて飛ぶ。

 

「スキル〈次元断層〉、〈鎧武〉!、……スキル〈四方八方〉、〈ワールドブレイク/次元断切〉!」

 

「八欲王」は〈次元断層〉で次元を切り取り、開いた異空間にアインズが射出した無数の《魔法の矢》が吸い込まれていく。

 アインズが死の宝珠の超位魔法を当てる為に近づいた為に、アインズが「八欲王」の放つ〈ワールドブレイク/次元断切〉による次元をも斬り飛ばす技を避けられぬように更にスキル〈四方八方〉で駄目押しが効き、連続の斬撃攻撃の全てを避けられない。

 アインズの右肩から体に上下に線が入り、せっかくアインズが鍛冶職に成って鍛え上げ魔法で強化した漆黒の重装鎧も体ごと切り裂かれる。

 

「ぬぅぅ、職業「レジェンダリー・ジーニアス」のスキル〈職業に貴賎なし〉で職業「プリースト」に変更!、《パーフェクトリーサル/完全致死》」

 

 アインズが咄嗟に職業を変更して唱えた《パーフェクトリーサル/完全致死》により、スキル〈ワールドブレイク/次元断切〉で次元ごと斬られ擦り落ちようとした体が、アンデッドにとっての最高の回復魔法を唱えた事により早戻しのように元に戻る。

 アインズは、すかさず職業を「魔法戦士」系に変更し直し、「八欲王」に向かって武技を唱えた。

 その時を見計らって死の宝珠が超位魔法を詠唱する。

 

「タレント〈青秘雫〉〈豪運〉〈斬鉄剣〉発動、……〈武技・闇神牙〉!!」

『超位魔法《テンタクルス・オブ・ソーサラーキング/魔導王の触手》!』

 

 《テンタクルス・オブ・ソーサラーキング/魔導王の触手》とは、死の宝珠が開発した接近戦用の超位魔法。

 超位魔法は遠距離主体の魔法が主で、そもそもダメージを受けたり移動すれば魔法がキャンセルしてしまうという物だった。

 其処をアイテムとして持ち歩ける死の宝珠によって、ダメージを受けたり移動する事も持ち主に任せる事で接近戦用に高威力の超位魔法を作り出したのだ。

 術の発動起点としてアインズを指定し、超位魔法が武技と共に発動する。

 アインズが「八欲王」に近づき、幾つもの目が開き赤い瞳も露わに闇神が口を大きく開き牙を剝き出しにしたかのような幻影と共に世界すら闇の力で蝕む無限の如き剣閃が一点に集中し、アインズの体から30本もの海老のような甲殻を被せた触手が先端に超硬度の爪を「八欲王」の周囲から何度も突き立てる。

 

「スキル〈次元断層〉!」

 

 「八欲王」は次々に〈次元断層〉で次元を切り開き、開いた異空間にアインズの〈武技・闇神牙〉を取り込み、無数の爪の生えた甲殻触手の突撃を異空間送りにして大盾で何本か防いだが、周囲から何度も突き立てられた甲殻触手全てを〈次元断層〉で取り込むことや大盾で防ぐ事はできず、周囲からの何本もの甲殻触手の爪が突き立てられ、まるで無数の騎槍に貫かれた戦士の様に立ち往生している。

 アインズは此れを好機と見て、中空に浮かぶ闇から〈流れ星の指輪〉を取り出し宣言する。

 

「タレント〈貴秘雫〉を発動、使用回数の増えた〈流れ星の指輪〉を使用し、タレント〈貴秘雫〉以外の一日限定のタレントの再使用を願う。超位魔法《ウィッシュ・アポン・ア・スター/星に願いを》」

 

 〈流れ星の指輪〉の効果で超位魔法の発動に掛かる時間もゼロ、チーム全体の再使用時間も無視して詠唱し、無事に願いが叶ったのを頭の中でタレントが再使用可能になっているのを知る。

 続けて中空の闇の中からアインズと鍛冶長とパンドラでナザリックに眠っていた未完成の武器を鍛え上げ、創り上げた武器を取り出す。

 此の武器は、かつてギルドメンバーの「武人建御雷」さんが打倒「たっち・みー」の武器として創り上げようとして「たっち・みー」さんの引退により振るう相手がいなくなった究極の未完成の一振り。

 その武器はアインズの身長を超える超巨大な特大剣「アマノミナカヌシ/天之御中主」、剣身は闇が迸り中に無数の銀河が光輝く様は宇宙自体を閉じ込め特大剣としたかのように思え、鍔の部分は黄金色に輝き、柄の底には小宇宙を固めたような水晶玉が嵌っていた。

 「八欲王」の体に突き刺さった甲殻触手の爪が「八欲王」の剛力で次々に砕け行く中、アインズは両腰に光輝く双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】を収め、超巨大大剣「アマノミナカヌシ/天之御中主」を両手に握り、大剣の形をした宇宙を大上段で掲げる。

 

「終焉の時だ「八欲王」!。〈武技・完璧戦士化〉、タレント〈青秘雫〉〈豪運〉〈斬鉄剣〉発動、「アマノミナカヌシ/天之御中主」よ我に力を!〈武技・天之御中斬〉!!」

 

 武王やコキュートスにアインズが習い、修練を続け、体を包む竜気や闘気が足、膝、腰、肩、腕、体の一連の動きと共に膨大な力と成って、大上段で掲げた剣身へと集中する。

 大上段から振り下ろす軌跡が宇宙ごと切り裂くかのように、天を裂き次元を切り裂き天蓋が割れ虚空の闇に星々が浮かぶのが見え、「八欲王」に超巨大特大剣が当たった時に浮遊都市を構成する複数区画ごと巨大爆発を起こす。

 遠近感を無視して浮遊都市が浮かぶ大地の地平線の彼方まで斬られた場所が連鎖的に巨大爆発を起こし、地殻が切り裂かれマグマが爆発と共に噴き出し、南方の砂漠の大量の砂が吹き上がった。

 アインズは巨大爆発の寸前で《世界絶対障壁》を己の前面に最小単位で張り巡らせ、巨大爆発に巻き込まれるのを防ぎ切った。

 アインズの手元には力を使い切った超巨大特大剣「アマノミナカヌシ/天之御中主」が特大剣の宇宙を固めたような剣身を無くし、鍔と柄だけの状態となっている。

 鍔と柄の状態になった超巨大特大剣「アマノミナカヌシ/天之御中主」を中空の闇の中へと戻し、両腰から光輝く双大剣【世界意志(ワールドセイヴァー)】を抜き、いまだ爆発し煙を吹き出す「八欲王」に対し武技を使い止めを刺す。

 

「〈武技・完璧戦士化〉解除。行くぞ、〈武技・星震脚〉。燃え盛れ太陽の炎よ、スキル〈太陽の爆発〉」

 

 アインズの大きく勢いをつけて片脚を地面に叩きつけると星が震えるような地響きを立て浮遊都市の地面がアインズを中心に蜘蛛の巣状に罅割れ大きな地割れを作り出し、無数の石筍が飛び出し「八欲王」を貫く、スキル〈太陽の爆発〉の効果で双大剣に炎を纏わせ煙に塗れた「八欲王」を指し示すと「八欲王」の足元を中心に攻撃範囲を示す真紅の円が浮かび上がり、しばらくして天を焦がすような火柱が「八欲王」を焼き焦がす。

 

 死の宝珠がアインズに忠告する。

 

『アインズ様、あれで倒したと油断してはいけません。召喚魔法で盾役を増やします。《サモン・アンデッド・10th/第10位階死者召喚、〈デス・エンペラー/死皇帝〉》、魔法《オーバースキル/特殊技術段位上昇化》、〈アンデッドの副官〈グリムリーパー・タナトス/具現した死の神〉〉!』

 

 死の宝珠が召喚魔法でアンデッド〈デス・エンペラー〉を召喚し、魔法《オーバースキル/特殊技術段位上昇化》で本来なら使えない筈のスキルを無理矢理起動し、自らの経験値を消費して、一体しか持てないが90レベルにもなる副官〈グリムリーパー・タナトス/具現した死の神〉を創り出す。

 

「これで終わってくれれば良いがな、《サモン・アンデッド・10th/第10位階死者召喚、〈エレメンタル・スカル/精霊髑髏〉》」

 

 アインズが揺らめく魔法のオーラに包まれ、赤、蒼、緑、黄に変わる、ふわふわ浮かぶ頭蓋骨を呼び出すと同時に「八欲王」の立ち昇る闘気が爆発し、天の雲を吹き飛ばす白く輝く闘気はアインズと召喚生物達を吹き飛ばす。

 

 ナザリック地下大墳墓の異形種である階層守護者達は、変身能力で全く別の姿に変身できる。

 浪漫を込めて生命力の半分以上を削ったら能力解放条件を満たして完全体に成るってのは分かるが、ワールドチャンピオンが職業だかアイテムの効果だかで実装するとはな、「八欲王」の生命力も回復してるし、ふざけんなよ、クソッ。

 

「《世界完全再生》!、砕けよ〈宝石の護符〉!、《パーフェクトリーサル/完全致死》発動!!」

 

 アインズは白く輝く爆発に巻き込まれ傷ついた召喚生物達に《世界完全再生》で強力な再生効果を付与し、更に強大になった「八欲王」に対抗する為に即座に〈宝石の護符〉を砕いて封じられた《パーフェクトリーサル/完全致死》を瞬時に発動させ、罅割れた漆黒の重装鎧に包まれた骨の体を回復する。

 すかさず態勢を整え、天を焦がす闘気を放ち此方に近づくワールドチャンピオン「八欲王」を観察する。

 「八欲王」は背中に付けたマントが展開し翼の様に成り、天まで立ち昇る白く光輝く闘気に包まれ体が白くなっていた。

 

 マントが翼状なのは飛べると見て間違いないだろうし、闘気が膨れあがっている事から攻撃力は大幅に上がっていると見て良いだろう。

 ならば此れまで通り地上を主体とするのが良いかな、迂闊に空を飛べば回避不能の〈ワールドブレイク/次元断切〉の連続斬撃を喰らって墜落するのが落ちだ。

 

「召喚生物達は私を守れ、今からスキルで5体の精霊を召喚する」

 

 〈デス・エンペラー〉が死と闇の魔法を「八欲王」へ放ち、アンデッドの副官〈具現した死の神〉が大鎌で斬りつけ、〈精霊髑髏〉が様々な精霊魔法を詠唱し「八欲王」が避けられぬよう必中効果が付いた魔法を選び、氷や炎や雷や酸で魔法攻撃を繰り返した。

 アインズは次々に大剣を創り出し、五つの大剣が五芒星の頂点を指し示すように浮遊都市の大地に突き刺さり、奥義(スキル)を使う。

 

「我が5つの大剣から生まれ出でよ、奥義(スキル)〈地球の再誕〉!精霊達は私の準備が整うまで時間を稼げ!」

 

 アインズの5つの大剣は、〈地球の再誕〉で巨大な人型の精霊の姿と成り、〈根源の火精霊〉〈根源の水精霊〉〈根源の風精霊〉〈根源の土精霊〉〈根源の星霊〉の五体のモンスターが腕組みをして現れ、アインズの命令を受け「八欲王」に立ち向かう。

 

「スキル〈ワールドブレイク・ラセツ/次元断切・羅刹〉!」

 

 「八欲王」は、近づく複数の対象に向かってスキルで斬りつける。

 次元ごと切り裂く斬撃が複数回に渡って発動し、〈デス・エンペラー〉は体を上下に切り分けられ、〈精霊髑髏〉は真っ二つになっていた。

 アンデッドの副官〈具現した死の神〉は片腕を斬り落とされ、比較的遠くに居た巨大精霊達はある程度余裕持って遠近感を無視して世界ごと切り裂く斬撃を避ける事に成功しつつ、遠距離から精霊魔法で反撃をしていた。

 

「スキル〈ワールドブレイク・シュラ/次元断切・修羅〉!」

 

 「八欲王」は、遠距離から精霊魔法を放つ巨大人型精霊達に〈ワールドブレイク/次元断切〉の刃を剣槍に纏い、それを前方に放ち続けた。

 次元を切り裂く複数の刃が前方一直線に進み、渦を巻き立ちはだかる者を斬り飛ばす。

 〈根源の火精霊〉は頭を割られ、〈根源の水精霊〉は腹を斬られ、〈根源の風精霊〉と〈根源の土精霊〉は頭や肩を斬られ粉微塵に、〈根源の星霊〉は片手を斬り飛ばされるがまだ戦いを続けられるとばかりに重力魔法や星の魔法を使う。

 召喚生物達に「八欲王」との戦いを任せ、「八欲王」の飛ぶ斬撃に身を晒すアインズは傷つきつつ、骸骨の目から赤黒い光が消え、両手を合わせ複雑な印と詠唱を長々として集中していたかに見えたが、骸骨の目に赤黒い光が灯ると辺りに聞こえるような大声を出し、宣言する。

 

「……始原の魔法《竜神化》!!」

 

 アインズが黒煙に包まれると「エインシャント/古老」級の竜と同じ大きさの闇の気を纏う巨大な骸骨の竜神の姿と成り、辺りを揺るがす吠え声を上げ、闇の気が纏わりつく骨で出来た両翼を広げる。

 巨大骸骨の竜神アインズが「八欲王」目掛けて、赤黒い「死と腐敗の吐息」を吐きかける。

 「死と腐敗の吐息」は、即死効果と能力値ペナルティを相手に与え、生命力を大幅に削る吐息。

 「八欲王」は、即死効果は装備品の効果などで元々効かないが大盾で吐息を防ごうとするも能力値が下がり、生命力を更に削られる。

 

「スキル〈肉体強化〉、スキル〈ワールドブレイク/次元断切〉!」

「無駄だ。此の体は常時発動型の始原の魔法《天下無敵》を発動している」

 

 骸骨の竜神アインズが〈ワールドブレイク/次元断切〉を体表面で弾き、そう嘯くが実は明確な弱点も存在する。

 体表面という事は内部、口の中や骸骨なので分かりづらいが耳の中や眼などには〈ワールドブレイク/次元断切〉が効き、また骸骨の竜神アインズの内部に影響を与える魔法、例えば《インプロージョン/内部爆散》や内部に影響するスキルには意味がないし、ダメージを受けた時に無効化する際に生命力を僅かに消費してしまう点だ。

 いかなるスキルや魔法だとて無敵という存在は居ないが初見で見破れる者は居ないだろう、まして自我の薄い召喚された「八欲王」なら見破れない筈だ。

 始原の魔法《竜神化》は、アインズにとっても危険で術の発動の際に大きな隙が存在し、変化している間は生命力を常に削られるという弱点も存在するので、「八欲王」が生命力を削られて勝負をつける際に詠唱すると決めていた数々の大技の一つだ。

 大技は、死の宝珠やパンドラ、デミウルゴスにアルベドを混じえ幾つか考え抜いて、今回の大戦の為に切り札として何枚か確保済みだ。

 核爆弾デスナイト軍団、〈常闇の竜王〉が使おうとした始原の魔法を見て創り上げた《魔導王結界》、今は方々へ散っている部下達、NPC達を緊急招集する課金アイテムを使い「八欲王」を囲んで殴る等々。

 さて俺の生命力と魔力も残り僅かだし、長期戦は此方が不利、早めに決着をつけよう。

 

 赤黒い「死と腐敗の吐息」を「八欲王」に再び吐きかけ、大盾で防御している隙に始原の魔法を詠唱する。

 

「始原の魔法《竜爪》、始原の魔法《竜咬》」

 

 「八欲王」は巨大な死竜に向けて翼状のマントを広げて飛行しながら、一直線の空間を渦を巻く様に断裂する複数の超弩級斬撃〈ワールドブレイク・シュラ/次元断切・修羅〉を連発するが、「八欲王」の超弩級の最終スキルによる渦巻き次元を斬り裂く連撃を弾き続ける闇の気を纏う巨大骸骨の竜神アインズ。

 巨大骸骨の竜神アインズが両翼を広げ飛び上がり、空中を飛び回る「八欲王」に近づき、始原の魔法《竜爪》の力が籠った両手の大剣の如き爪をめり込ませて持ち上げる。

 暴れる「八欲王」を無視して、始原の魔法《竜咬》の力で強力無比の力を誇る大顎の牙を「八欲王」の頭に喰い込ませ引き千切った。

 頭を失なった召喚された「八欲王」は闘気が失せ、やがて体を維持できなくなり消え失せる。

 

「魔導王アインズがワールドチャンピオン「八欲王」を倒したぞ!」

 

 ワールドチャンピオン「八欲王」を倒した事は、魔導王アインズの宣言により浮遊都市エリュエンティウに広がり、「八欲王」が自分達の主の別名だと思い至った天使達や戦乙女達の戦意が地の底に落ち、天使達や戦乙女達の武器の切れが無くなっていく。

 浮遊都市エリュエンティウの強敵ワールドチャンピオン「八欲王」を打倒し、離れた場所で天使達や戦乙女達と戦っていた階層守護者達の戦いも夕方にはケリがつく筈だ。

 

 浮遊都市エリュエンティウの天使や戦乙女を全て倒し、都市を手に入れるのも後僅かの時を残すのみとなり、〈武技・天之御中斬〉で天を裂き覗く星空も閉じ始めるのだった。




・ワールドチャンピオン「八欲王」
 オリジナルキャラクター
 超位魔法《コール・アヴァター/神の化身召喚》で召喚された者。
 時間経過で消えてしまう夢現の存在。
 自我が薄く、召喚者の命令に盲目的に従う。
 召喚された際に召喚者の主様は神の様に強いという想いに形作られ、プレイヤーというよりボスモンスター化している。
 ボスモンスター化により、スキルや魔法は使用回数、再使用時間などを無視して使用するようになっており、モンスターレベル100だが実質レベルは遥かに上と成っている。

・超巨大特大剣「アマノミナカヌシ/天之御中主」
 オリジナルアイテム
 アインズの身長を超える超巨大な特大剣、剣身は闇が迸り中に無数の銀河が光輝く様は宇宙自体を閉じ込め特大剣としたかのように思え、鍔の部分は黄金色に輝き、柄の底には小宇宙を固めたような水晶玉が嵌っている。
 ナザリックに眠っていた未完成の一振りを鍛冶長とパンドラの手を借り、完成させた物。
 後述の〈武技・天之御中斬〉専用の武器として創り上げている。
 振りがとても遅い(現地人の目からみると剣速は速い)がワールドエネミーの通常攻撃級の一撃が出せる。
 元ネタは原作でギルドメンバーの「武人建御雷」さんが打倒「たっち・みー」の武器として創り上げようとして「たっち・みー」さんの引退により振るう相手がいなくなった究極の未完成の一振りです。

・〈斬月〉
 オリジナルスキル
 まるで湖に浮かぶ月を切り裂くかのような物理攻撃の斬撃を相手に与える。
 元ネタは「オバマス」のワールドチャンピオン「たっち・みー」さんのスキル〈斬月〉です。

・〈鎧武〉
 オリジナルスキル
 鎧を固くし、攻撃力も上げるスキル。
 元ネタは「オバマス」のワールドチャンピオン「たっち・みー」さんのスキル〈鎧武〉です。

・〈職業に貴賎なし〉
 オリジナルスキル
 職業「レジェンダリー・ジーニアス」を最高レベルに上げると得られるスキル。
 経験した職業であれば何度でも職業を全レベルまで入れ替えられる。

・〈ワールドブレイク・ラセツ/次元断切・羅刹〉
 オリジナルスキル
 複数の対象に〈ワールドブレイク/次元断切〉を喰らわせる技。
 闘気が一定以上無いと発動に失敗する。

・〈ワールドブレイク・シュラ/次元断切・修羅〉
 オリジナルスキル
 前方一直線の対象に渦を巻く様に複数の〈ワールドブレイク/次元断切〉を喰らわせる技。
 闘気が一定以上無いと発動に失敗する。

・〈超位魔法三重化〉、〈超位魔法最強化〉、〈超位魔法持続時間延長化〉
 オリジナル超位魔法強化スキル
 それぞれ超位魔法を強化するスキルです。

・〈武技・天下無敵〉
 オリジナル武技
 瞬間的にどんなレベルの攻撃でも防御行動を取っていれば受け切れる。
 〈要塞〉系の武技と異なり、敵の攻撃は弾けません。
 (武技の効果以外で相手が格下で筋力が此方より下なら弾ける可能性があります)
 タレント〈天下無敵〉を武技に改良した物、使用回数制限が無くなっている。

・〈武技・闇神牙〉
 オリジナル武技、前提:〈武技・龍神牙〉、〈武技・漆黒付与〉、〈武技・階層〉、タレント〈青秘雫〉、タレント〈斬鉄剣〉
 敵に喰らいつく闇神の如く、双剣を繰り出すことで、世界すら闇の力で蝕む力を一点に集中させ、凄まじいまでの剣技によるダメージを創り出す武技。
 剣技を繰り出す姿は、まるで幾つもの目が開き赤い瞳を露わに闇神が大きく口を開けたかの様に見え敵を闇の力で蝕む。

・〈武技・天之御中斬〉
 オリジナル武技、前提:〈武技・世界断切〉、タレント〈青秘雫〉〈豪運〉〈斬鉄剣〉、超巨大大剣「アマノミナカヌシ/天之御中主」の所持。
 宇宙そのものを切り裂くような一撃を放ち、巨大爆発を起こす武器破壊の究極武技の一つ。
 ワールドエネミーのクリティカルダメージすら遥かに凌駕する凄まじいダメージを与える武技。
 集中力と魔力および超巨大大剣「アマノミナカヌシ/天之御中主」の力を完全に引き出し破壊する為に一撃しか放てない超大技。
 その性質上、動けない敵か隙を大きく晒した敵にしか使えないだろう。

・《インプリズンメント/投獄》
 オリジナル魔法、第9位階魔法
 対象のモンスター1体を青い魔力の縄で縛り地中深くに封印する魔法、ただし術者は封印するモンスターの名前と素性を知っておかなくてはならない。
 どちらかでも知識が足りない場合は魔法は失敗する可能性がある。
 元ネタはD&Dにある魔力系第9位階魔法《インプリズンメント》です。

・《ウィアード/究極の恐怖》
 オリジナル魔法、第9位階魔法
 対象となるモンスターが最も恐れる存在の幻を作り出して、対象と戦わせる魔法。
 この幻は対象の心の中だけにしかいない。
 術者は、対象に対して作り出す幻について述べ、対象が辿る運命について予言して脅かさなければならない。
 したがって術者は対象と会話ができなくてはならないことになる。
 対象は魔法への抵抗判定に成功しても僅かな時間、朦朧としてしまう。
 失敗すれば対象は己の心が創り出した幻と戦い続ける。
 元ネタはD&Dにある魔力系第9位階魔法《ウィアード》です。

・《パーフェクトリーサル/完全致死》
 オリジナル魔法
 信仰系魔法、対象者または自身に膨大な負のエネルギーを与える。
 対象が生者であれば大ダメージを受けるが、アンデッドの場合は完全に回復する。
 アンデッドにとっては最高の回復魔法。

・《オーバースキル/特殊技術段位上昇化》
 オリジナル魔法
 死の宝珠が開発したユグドラシルには無いスキル強化の魔法。
 膨大な魔力を消費する代わりに、本来なら使えないはずの上のスキルを無理矢理発動できる。

・《テンタクルス・オブ・ソーサラーキング/魔導王の触手》
 オリジナル超位魔法
 体から甲殻を纏った爪を持つ触手を10本生やし、眼前の敵に一度突き刺す近接型超位魔法。
 死の宝珠が遠距離主体の超位魔法を自らが移動せず攻撃も受けないと仮定して、近接型の高威力超位魔法を創り上げた。
 超位魔法強化スキルにより、30本の甲殻触手が何度も敵を貫く超位魔法に変わっている。

・《竜神化》
 オリジナル始原の魔法、前提:各種竜系統の力を高める始原の魔法
 低位では、かなりの集中時間と複雑な印と詠唱時間の末に発動する始原の魔法、高位になると術式が簡略化され変化する竜神の格が上がる。
 己に見合った竜神へと変化するが、変化中は常に生命力を削られる。

・《竜爪》
 オリジナル始原の魔法
 爪の攻撃を強化する。

・《竜咬》
 オリジナル始原の魔法
 噛みつき攻撃を強化する。

・《天下無敵》
 オリジナル始原の魔法
 常時発動型の始原の魔法、アインズが開発し《竜神化》の際に発動する。
 体表面への攻撃をどんなレベルの攻撃でも受け切れるが生命力を僅かに消費する。
 タレント〈天下無敵〉を始原の魔法に改良した物、使用回数制限が無くなっている。
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