ナザリックは企業連合兵長の自白とナザリックが運営する企業「フンボ会社」が、自然再構築中の大型ロボット達に企業連合兵達が攻撃を仕掛けているのを各所で隠し撮りしていた映像を公開して、「フンボ会社」への攻撃に対する報復として東京アーコロジーへ宣戦布告した。
これらの宣戦布告動画は東京アーコロジーが隠蔽する事も考慮され、定期的に東京アーコロジーの電波を魔法で電波ジャックして録画内容をあらゆる画面で見られるようになり、民衆は此の騒動を噂する。
「おいおい、又かよ「フンボ会社」が企業連合に喧嘩吹っ掛けてるな。中小企業が勝てる訳無いのに良く言うな。電波ジャック何て初めて見たけどハッカーを雇ってんのか」
「「フンボ会社」が東京アーコロジーの中の民衆に避難勧告を出してるな。後3日か、念のために会社を休んで東京アーコロジーの外の親戚の家を訪ねておくかな」
「あら、ヤダ。またこの宣戦布告動画よ。東京アーコロジーが落ちる訳無いじゃない」
「どう思う、「フンボ会社」との企業間戦争は我々が雇った下層民共に任せるとして何日持つかね、賭けをしないか俺は当日に「フンボ会社」が潰れると思うがね。なんだ君もそう思うのかね、賭けにならないじゃないか」
東京アーコロジー内の民衆にも内容は告知され、あと3日で戦争が始まるので避難勧告を「フンボ会社」が出していた。
なるべく居住区画には損害は与えないつもりだが、もしもという事もあるので避難勧告を出していたので逃げないなら被害を受けても文句は言えないだろう。
既に東京アーコロジー外周は魔導杭が撃ち込まれ、あと3日で魔力の充満が完了する。
セバスには東京アーコロジーの地下下水道などを住処としているストリートチルドレン達の回収を頼み、後に教育を施して、自然を再構築した地で活動して貰う予定だ。
ストリートチルドレン達は肋骨が浮いた体で肺を病気でやられてたり、四肢が欠けてたり、両目が盲目だったり片眼が無い者が多かった。
後天的に失われた怪我によるものは魔法による治療でどうにかなるだろうが、元々欠けた状態で生まれた者は肉体を治療しても其れが正常と判断されてしまい治らない。
治すには超位魔法《ウィッシュ・アポン・ア・スター/星に願いを》で欠けた体を治すしか無いだろうがストリートチルドレン達の数が多すぎるし、無料で願いを叶えるには彼らはナザリックに貢献していない。
当分はカルネ村でルーン技術を使って、自分の思い通りに動く義肢や実際に付ければ見える義眼を付けて貰って勉強して貰うか。
あれから3日も経っていないのに東京アーコロジーからの「フンボ会社」の所有する自然回復地域への空爆が始まり、見せかけだけの張りぼてや天幕が破壊されている。
既に自然回復地域にはナザリックの資産は無く、ゴーレムなどはナザリックに撤収済みだ。
草原地域を灰色のコンバットドレスを装備した全身義体の東京アーコロジー企業連合兵達がうろついて辺りを見廻している。
地中深くに埋めた《毒浄化》の魔導具を見つけられるとは思わないし、見つけた時点で動作方法が分からないから其の場合は緊急停止するように動作を設定してあるので問題は無いだろう。
そうこうする内に3日が過ぎ去り、開戦の日取りがやって来た。
ナザリック地下大墳墓の玉座の間では魔法が付与され強固になった現代用の黒いモノクリス全身防具を身に付けた41人のギルドメンバーが並び、彼らが生み出した階層守護者も又、黒いモノクリス全身防具を身に付けていた。
「たっち・みー」さんや他にもアーコロジーで働いている者は、〈グレータードッペルゲンガー/上位二重の影〉に姿を変えて貰い、代わりにアーコロジーの仕事に従事して貰っていた。
コキュートスや異形型のギルドメンバー達などの非人間型でも、例えば全身義体の人の姿を外れて異形となり出力を上昇させた者は居るので黒いモノクリス全身防具を身に付け、目元をバイザーで覆ったヘルメットを被り全体を隠してしまえば問題は無い。
まあコキュートスは、防具を身に付けられ無いという種族特有の縛りあるので、たた単に着込むだけなので装備品の効果は受けられないが様になっている。
軍服を脱ぎモノクリス全身防具姿のパンドラ、ストライプが入った赤色のスーツを脱いでモノクリス全身防具姿のデミウルゴス、腰から黒翼が生えた白いドレス姿をジェットパックを背負い黒翼を幻術で隠して美麗なモノクリス全身防具姿となったアルベドや可愛らしい衣装の施されたモノクリス全身防具姿のシャルティア、セバスもいつもの執事服姿で無く格闘用にシールドナックルや分厚いブーツ付きのモノクリス全身防具、アウラやマーレは子供用に調整されたモノクリス全身防具を身に付けていた。
ナザリックの精鋭達もなるべく全身義体と見られるように人型を中心に選抜して黒いモノクリス全身防具を身に付け、戦闘メイドや「漆黒」の冒険者もモノクリス全身防具姿で壁際に並んでいる。
漆黒のモノクリス全身防具姿の魔導王アインズが玉座の前でおもむろに宣言する。
「これより我が「フンボ会社」が運営する自然回復地域へ攻撃を行った東京アーコロジーを報復し、我が手中に収める。この戦いではナザリックの者とバレると危険なのでスキルや魔法は無詠唱で行う事を厳命し、また魔法を使う際は歩兵銃に偽装した杖で行う事とする。空を飛ぶ際はジェットパックが作動するので翼は幻術で隠して飛ぶようにせよ。ではこれより低層の居住区画を飛ばし、《ゲート/転移門》を使い商業区画や企業連合区画へ強襲を決行する!」
怒号の様な参加者達の声と共にアインズは、営業の仕事で行った事のある東京アーコロジーの商業区画の憩いの場と成っていた公園の噴水を思い浮かべて《ゲート/転移門》を詠唱する。
渦巻く闇が開かれ、次々に臨戦態勢の精鋭部隊と階層守護者達が闇の中へ足を踏み入れる。
「ウルベルト」さんが歩兵銃に偽装した杖をくるくると横回転させながら、「たっち」さんを若干心配そうに問いただして「たっち」さんは其れに答えていた。
「いよいよだな、「たっち」。いいのか?此の戦いに参加した事がバレたら、もう家族全員がアーコロジーには居られないぞ」
「君が起こしたテロよりマシだよ。私も腐った上層部に嫌気が差していたし、ギルドメンバーの揃ったナザリックに勝てる者は居ない。後は企業連合共とは比べ物にならない数段マシな統治を頭脳労働者に任せれば良い。もう家族は「転移世界」のカルネ村が気に入ってるようだし問題は無いさ」
戦闘メイド達は、若干緊張して其れを紛らわすように御喋りに興じるギルドメンバー達に付き従い、渦巻く闇へと進む。
闇の外は東京アーコロジーの商業区画、強化ガラス張りの壁の中に柱を兼ねる商業ビルが幾つも立ち並び、憩いの場となる噴水が設置され、其処にナザリックの部隊が簡易防御キットを展開して相手の銃に対する防壁を築いていた。
全身義体のコンバットドレスを身に付けた東京アーコロジー企業連合兵達やガトリングガンと対地ミサイルを装備した戦闘ロボ達が商業ビルを盾にして、簡易防御キットの影に隠れた「フンボ会社」と銃撃を繰り広げて、ナザリックの精鋭達はギルドメンバー達の到着を待っていた。
さて茶番は終わりだ。
魔導王アインズと悟兄さんは無詠唱で《グレーター・テレポーテーション/上位転移》を使いギルドメンバー達と階層守護者達を転移させ、東京アーコロジー企業連合兵達の裏を取り、アインズは歩兵銃に似せた杖で《ファイヤーボール/火球》を無詠唱で放つ。
《魔法三重化》の効果で3発の《火球》による豪炎が企業連合兵に命中すると大爆発を巻き起こし、周囲に居る企業連合兵達を吹き飛ばし、胴体に光学機械を内蔵した足が逆関節の戦闘ロボ達を半壊させる。
「ペロロンチーノ」さんが滑車とケーブルを利用した複合弓で次々に生き残った企業連合兵達の頭に矢を射かけ、「ウルベルト」さんが半壊した戦闘ロボ達相手に歩兵銃に似せた杖を向け、電撃の玉を発射して相手に着弾後に《エレクトロ・スフィア/電撃球》で広範囲を巻き込み膨大な電撃を飛散させ痺れさせた。
階層守護者達も歩兵銃に似せた杖を向け、生き残り達を殲滅し始める。
商業区域に突然現れた「フンボ会社」による強襲で防衛部隊は壊滅させたが、次々に東京アーコロジーの地上から兵達がエレベーターを使って商業区域に上がり、防衛部隊を再結成させてしまう。
幻術で翼を隠しジェットパックで飛んでいるように見せかけ、異形のバードマンの姿をモノクリス全身防具で覆った「ペロロンチーノ」さんが、宇宙服めいた姿で中に、てかてか光るピンク色のスライムの体を隠した「ぶくぶく茶釜」さんに話しかける。
「こりゃキリがないよ、ねーちゃん」
「うーん、こりゃ別動隊で上層の東京アーコロジー企業連合の幹部を抑えた方が早いかもよ。アインズさん!」
「そうですね、此処は任せます。パンドラと悟兄さんは一緒に行きましょう。戦闘メイドのナーベラルは「弐式炎雷」さんの護衛を頼む。後の「漆黒」の冒険者パーティーは付いて来てくれ」
アインズが皆を見るとギルドメンバー全員が頷いていた。
《パーフェクト・アンノウアブル/完全不可知化》と《シースルー/看破》を込めた腕輪を上層へ上がる皆に使って貰い、アインズ達は誰にも見つからないように隠密で上層区画へと昇って行く。
銃撃と銃撃に似せた魔法が飛び交う中、商業区画に昇って来た巨大搬入エレベーターから大きな地響きを想わせる足音を立て、身長が15mはある巨大人型兵器が2体現れ、両手で腰だめに持つ大型ガトリングレーザー砲が曳光弾の赤い光線を次々に放ち、視認できない光線が「フンボ会社」の簡易防御キットの防壁に穴を開ける。
「おいおい、まだ試作機や実験機を除けば無い巨大人型兵器かよ。初めてこの目で見たぜ、感激だなぁ」
ユグドラシルとは別のゲーム『アーベラージ』、其のゲームは自分で構築したパワードスーツに搭乗し集団で対戦するオンラインゲーム、ゲームの上位ランカーであり紫色の称号を持つ「弐式炎雷」がパワードスーツに似た巨大人型兵器に感激したように言葉を漏らし、腰の装備品を確かめ柱状の商業ビルの影に隠れて巨大人型兵器の2体に近づく。
「るし★ふぁー」が待って居ましたとばかりに地面に両手を押し当て〈砲台型ゴーレム〉を8台創り出して迎撃準備を整え、接近戦を得意とする「たっち」や「武人建御雷」、魔法戦士系の「ベルリバー」、モンク系の「ヘロヘロ」、タンク役の「ばりあぶる・たりすまん」や「ぶくぶく茶釜」、防御ヒーラーとして後ろで構えるのは「やまいこ」、彼らが階層守護者達と戦闘メイドを連れ、巨大人型兵器達の進路を阻むように立ち塞がる。
銃撃に似せた魔法が飛び交い再結成させた企業連合兵達が吹き飛ぶ中、巨大人型兵器の頭に〈砲台型ゴーレム〉達の砲撃が次々に当たり怯ませ続け、大型ガトリングレーザー砲の赤い光線があらぬ方向へ飛ぶなか、「たっち」は自らの剣を構えセバスと共に巨大人型兵器の1体に無言でスキルを唱え斬り込んだ。
(スキル〈鎧武〉、〈断切〉!)
巨大人型兵器の足を振動剣で横一文字に輪切りにし、たまらず姿勢を崩し地面に頭から倒れ込む巨大人型兵器は巨大人型兵器の頭に片手を付けた黒いモノクリス全身防具のセバスが唱えたスキルにより光学機器ごと頭が砕かれる。
(〈気爆掌〉!)
頭が砕かれた勢いで巨大搬入エレベーターへと突っ込み、扉を壊してそのまま落ちかける。
もう一体の巨大人型兵器が接近戦では大型ガトリングレーザー砲は不利と判断して投げ捨て、両肩から双剣のプラズマサーベルを取り出し斬りかかった。
タンク役の「ばりあぶる・たりすまん」が盾で双剣のプラズマサーベルを次々に弾き返し、「ぶくぶく茶釜」が両手に持った盾で巨大人型兵器をぺちぺちと叩いたりと相手をおちょくるような動きで翻弄していた。
(いくぜ、〈影縫い〉。〈頭殺し〉)
商業ビルの影に隠れていた「弐式炎雷」が巨大人型兵器の視界の後ろから相手の影へ短剣を投擲して動きを止め、レーザーダガーで光学機械をスキルで斬りつけ一時的に使い物にならなくする。
大きな隙が出来た巨大人型兵器を「武人建御雷」、魔法戦士系の「ベルリバー」、モンク系の「ヘロヘロ」、戦闘メイドと階層守護者達が囲み一斉に攻撃を繰り出す。
(喰らえ、〈羅刹〉!)
(いくよー、〈風斬〉!)
(これで決まり、〈発勁〉!)
複数の対象を相手に攻撃を繰り出すスキルは、「現実」では大きな相手に接近戦で使用すると複数回ヒットするというオマケ効果があった。
「武人建御雷」と「ベルリバー」のスキルで複数回ヒットして、両足をズタズタにされ倒れ行く巨大人型兵器。
「ボクが殴って立てるかな~」
後ろで見守っていた「やまいこ」が装備レベルが撤廃された〈女教師怒りの鉄拳もどき〉を装備して両手を上げて握りしめ、ハンマーに見立てた巨腕による攻撃が巨大人型兵器の胴体に叩きつける轟音と共にめり込み、床に大きな地割れを作り出す。
半壊した2体の巨大人型兵器と生き残りの企業連合兵達と戦闘ロボ達へ階層守護者達と魔法使いのギルドメンバーが距離を取り、歩兵銃に見せかけた杖で丹念に撃ち続け、安全だと判断されるまで暫くの時間が必要だった。
・〈断切〉
オリジナルスキル
クリティカルダメージを大幅に上げ、物理攻撃の一撃を相手に与える。
元ネタは「オバマス」のワールドチャンピオン「たっち・みー」さんのスキル〈断切〉です。