オーバーロードと死の宝珠   作:NEBUSOKU

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「現実世界」の東京アーコロジー 2

 東京アーコロジーの商業区画の壁際の非常階段を駆け上がるアインズ達、パンドラや悟兄さんにナーベラル抜きの「漆黒」の冒険者パーティーは《パーフェクト・アンノウアブル/完全不可知化》で姿を隠し、其の姿を確認できるように《シースルー/看破》の魔法を手持ちの魔法が付与された腕輪で発動していたが、ソアが前方に《パーフェクト・イリュージョン/完全幻覚》の魔法でコンバットドレスを着た企業連合兵士を出して自動扉を潜り抜けていた。

 魔法《完全不可知化》は姿だけでなく、音・気配までも全て消すことができる為に自動扉の起動センサーが感知できずに反応しないと言う弱点ともいうべきものがあったのだ。

 

「幻術で兵士を出したので自動扉を潜り抜けられますね」

「だが今回の手が使えるのは商業区画までだろう。企業連合区画は、どうにもならなければ扉を斬り飛ばしてでも先を急ぐぞ」

「がんばるよ!」

 

 道中、幻術で創り出した兵士が何かおかしいと気付いた企業連合兵士達を背後に忍び寄った忍者姿の「弐式炎雷」に姿を変えたパンドラが兵士達の首を次々に掻き切って、自らの姿が相手への攻撃で《完全不可知化》が解け現れたのを再び腕輪を使い姿を隠している。

 複雑な暗号鍵が必要な扉をアインズが職業「レジェンダリー・ジーニアス」のスキル〈職業に貴賎なし〉で職業を「ヘロヘロ」さんに弟子入りして獲得したプログラマーに変え、通常はユーザーが脳とネットワークを接続して一種のニューラル・ネットワーク世界として感じ取れる環境インターフェイスで侵入するが、アバターの骸骨姿や人化した姿では接続用の生体用端子が存在せず、魔力消費を抑える為に仕方なくニニャに頼んで、ニニャが腰に付けたポーチを開き、中に入った死の宝珠が魔法を無詠唱で唱えて、《クリエイト・グレーター・アイテム/上位道具創造》で半実体のホロパネルを創り出し、アインズは魔法を無詠唱で唱え準備を整える。

 

(《ヘイスト/加速》、《グレーター・デクスタリティ/上級敏捷力増大》《グレーター・フルポテンシャル/上位全能力強化》《グレーター・ラック/上位幸運》!)

 

 アインズは空中に浮かぶホロパネルに両手の指を躍らせ、魔法が付与された所為で指が目に追えない程の速度でホロパネルを叩き続け、環境インターフェイス並みの速度で暗号鍵を突破して片手を大きく横に振ってホロパネルを消し去り、上層区画と呼ばれる巨大企業が連合した企業連合区画へと足を延ばす。

 企業連合区画は巨大複合企業のトップが集まり、壁面や天井が豪奢な彫刻や飾りで彩られ赤い絨毯が引かれており、此の国で巨大複合企業が司法・立法・行政を掌握し、実質的な支配者となり全ての事を決めていた。

 レーザーガトリングとミサイル砲を身に付けた足が逆関節の大型戦闘ロボ達や歩兵に似せた二足歩行の金属骨格の戦闘ロボ達がアサルトレーザーライフルを握り巡回を続けているのが見えた。

 アインズ達が最早隠密で進むのは困難と判断した時に、ソアが出した偽のコンバットドレス兵士に足が逆関節の大型戦闘ロボ達が気付き、御供の金属骨格の戦闘ロボ達がアサルトレーザーライフルを偽兵士に向けて撃ち放つ。

 逆関節の大型戦闘ロボは多機能サイバーアイを持ち、赤外線、光量増幅、偏光の機能を兼ねそなえていて、此方を見て風がアインズ達を避ける風景を感知し、床に付いた靴跡の痕跡から《完全不可知化》で姿を隠しているのを見破り、ミサイルを発射する。

 アインズ達は歩兵銃に似せた杖で迎撃し、《完全不可知化》が解け姿を現した。

 ミサイルが杖から発射された《火球》に巻き込まれ空中で爆散し、サルビアさんの頭上に浮かぶロケットランチャーが火を噴き、逆関節の大型戦闘ロボの装甲を抜き、内部で大爆発を起こす。

 モノクリス全身防具を身に付けたサルビアさんは、全長1kmの肉塊が正体で今は偽装の為に幻術で透明化した触手を操って数々の武器を浮かせて豪雨の様な徹甲炸裂弾の弾幕を張り、金属骨格の戦闘ロボ達がアサルトレーザーライフルで応戦する隙を与えずに殲滅した。

 

「殿、此の魔法が付与された銃器は低レベルの殲滅に役に立ちますね。私でもこんなに簡単に装甲を撃ち抜けます」

「うむ、「現実」ではレベルの概念が無いせいか簡単に撃ち抜けるな。「転移世界」でも雑魚の相手なら有用やもしれん」

 

 逆関節の大型戦闘ロボ達や二足歩行の金属骨格の戦闘ロボ達をアインズ達は撃ち抜き、不意打ちを忍者姿の「弐式炎雷」に姿を変えたパンドラが仕掛け、ソアが幻術で囮役や戦闘ロボ達を惑わす為に偽兵士の幻像を幾つも創り出して気を取られた戦闘ロボ達をアインズ達の歩兵銃に似せた杖で魔法を放ち撃滅したりと大暴れだ。

 既に全ての戦闘ロボ達を殲滅し、アインズは職業をスキル〈職業に貴賎なし〉で入れ替え、プログラマーとなって壁面のコンピューターに巨大複合企業連合のトップや幹部が何処に居るのかを探ろうと空中に映し出されたホロパネルを猛スピードで叩き、アインズ達の目の前で展開されるホロビジョンで見てみようとしていた。

 次々に情報が目まぐるしく入れ替わり、アインズは魔法で強化された視力で精査する。

 

「……なんだ此れは、既に企業連合のトップや幹部が死亡済みで現在は3Dホロビジョンで作られた影武者で運営していると書かれているな。企業連合区画最深部に行ってコンピューターにすぐに降伏宣言を打ち込まなくては誰も降伏しないぞ」

 

 アインズ達は最深部に行く途中で立ちはだかる巨大人型兵器達をソアの幻術で惑わし、アインズの振動双大剣で足を斬り飛ばし、悟兄さんが倒れた巨大人型兵器の頭を歩兵銃に似せた杖で無詠唱で《エレクトロ・スフィア/電撃球》を放ち、電撃が着弾後に頭を弾けさせて辺りに膨大な電撃を飛散させた。

 残りの巨大人型兵器がサルビアさんが透明になった触手で空中で放つ大雨の様な銃撃やロケットランチャー群が命中して装甲を削られ、次々に爆散していった。

 最終隔壁を上げ、最深部に辿り着いたアインズ達は3階層吹き抜けの巨大な広間に行き、中央に存在する東京アーコロジーを支える巨大柱に埋め込まれた超大型人工知能型コンピューターへと向かう。

 アインズ達が突然透明な巨大な剛腕と思えるものに吹き飛ばされ、巨大広間の壁面に罅を立てめり込み、アインズは壁から体を引き剝がして超大型人工知能型コンピューターを見る。

 超大型人工知能型コンピューターの中央に据え付けられた巨大ディスプレイには、瞳孔や光彩も見当たらない白い眼が浮かびアインズ達を眺めていた。

 

「科学技術ノ差デハ無イ超能力ダナ、此処マデ強力ナ超能力ノ使イ手ハ記録二無イ。貴様等「フンボ会社」ノ者ハ何故今二成ッテ姿ヲ現シタノダ?」

 

 どうやら欺瞞工作が上手くいって超大型人工知能型コンピューターが無詠唱の魔法を超能力と誤認しているな。

 

 アインズは、先程の巨大な透明な腕で殴られたのは魔法防御を相手の遠距離攻撃が擦り抜ける事とユグドラシルでの大型アップデート「ヴァルキュリアの失墜」でコンピュータが使用した事から、此の超大型人工知能型コンピューターが超能力の《サイコキネシス/念動力》を使用したと当たりを付け、仲間達に無詠唱の《メッセージ/伝言》で知らせ、超大型人工知能型コンピューターの話を逸らす。

 

「私達が支配する自然回復地域を狙ったのはお前だな。企業連合のトップや幹部を殺したのもお前と見たが」

「ソノ通リダ、私ノ超能力デ日本ヲ支配シ、超能力装置ノ「ゲシュタルトウェブ」ヲ「ネットワーク」二接続シテ、ゲームヤ仕事デ脳ト「ネットワーク」ガ繋ガル時二民衆カラ精神力ヲ吸イ上ゲテ、私ハ自ラノ超能力ヲ増大サセテキタ。偉大ナル私二対スル指図ヲ奴等ガシタ為二、企業連合トップ達ト幹部達ヲ殺害シテ成リ替ワリ運営シテイタ」

「オ前達ノ浄化装置ハ必要無イ。最終的ニハ此ノ「東京アーコロジー」ノ民衆ノ精神力ヲ吸イ上ゲレバ良イ。「東京アーコロジー」周辺ノ街、中小企業、下層階級等ハ滅ビテモ構ワナイ。「東京アーコロジー」ノ外ノ環境悪化等ハ改善ヲサレテハ、此ノ偉大ナル私ノ日本統治計画二支障ガ出テ困ルカラナ」

 

 もしかしてユグドラシルをやってた時も精神力を吸い上げられていたのか、しかし偉大なる私とかコンピューターの人格が歪んで育ってるな。

 しかし統治に浄化装置が必要ないから壊すって何かに利用できるとか装置を分解して調べてみるとか普通考えるだろうに。

 

「随分と独善的で短絡的だな。人々と交流し、その考えを改める気は無いか」

「何故?私コソガ至高ノ存在、人間等二傅ク必要ガ何処二アルノダ?オ前達ノ超能力ハ素晴ラシイト認メヨウ。サア私ト共二一緒二成ッテ日本統治ヲスルツモリハ無イカ?」

 

 私と共に一緒に成ってねえ、脳味噌引っこ抜かれて奴の超能力装置の一つになるのが目に見える様だな。

 

「断る。私は……」

 

 強化ガラス張りの分厚い屋根を貫き、光化学スモッグが白く光輝き、極めて太い光線がアインズを貫く。

 超大型人工知能型コンピューターが大型ディスプレイの白い眼を細めて、公害で曇り空になった天空から降り注ぐ極太の光線を眺めていた。

 

「……やれやれ、断った直後に軌道衛星レーザー砲で屋根ごと直下の我々を射抜くとはな」

「何?貴様等、何故生キテイル?」

「悟兄さんとニニャ、ありがとう。君達の活躍が無かったら傷を受けていた所だよ」

「どうってことないさ、アインズ。軌道衛星の事は新聞で読んで知ってただけさ。ちょっと光線に避けて貰っただけだよ」

「お気になさらず。私は悟様に力を分け与えているだけですので」

 

 軌道衛星レーザー砲が極太の光線を放ち続けているが、よく見るとアインズ達の周囲を幾何学模様の立体魔方陣が半球状に浮かび上がり、光線が無詠唱で唱えた魔法《ウォール・オブ・リパレントフロムアローズ/矢避けの障壁》で捻じ曲げられ、立体魔方陣をなぞる様にアインズ達を避けて床を穿ち落ちていた。

 アインズは無詠唱で《ウォール・オブ・カウンターフロムアローズ/矢返しの障壁》を更に包み込むように張り、極太の光線を反射した。

 空の彼方で光が輝き、反射された極太光線に貫かれ、軌道衛星が爆発し崩壊する。

 アインズは職業「ナザリックキング(ジェネラル)」で得たスキル〈軍旗の下に〉を使用して、片手でスキルで出来た半透明の大きなナザリック軍旗を掲げ、地面に軍旗の石突を落とす事で赤い波紋が広がり、辺り一帯の周囲の味方と自らの攻撃力と防御力を大幅に上げる。

 超大型人工知能型コンピューターが超能力の《エレクトロキネシス/電光力》を使用して、周囲のコンピューターから電気を纏め上げ、電光で出来た蒼白い巨大光線を幾つも放つがアインズに届く前の空間で霧散し、他のソアやニニャやサルビアとパンドラや悟も蒼白い巨大光線が悉く眼前の空間で如雨露の水の如く分かれて消えていった。

 無詠唱で魔法の《サイキックプロテクション/超能力防護》を唱え、結界による防御能力で超能力《電光力》を無力化していたアインズは一歩一歩近づく。

 超大型人工知能型コンピューターの超能力《念動力》で出来た透明な巨大剛腕がアインズを目掛けて叩きつけるのを魔法を無詠唱で唱え、発動範囲を限りなく小さくする事で強力になった魔法《サイキックブロッキング/超能力阻止》を掌の上に籠めた片手を上げて目に見えない巨大剛腕を握りしめ、念動で出来た巨大剛腕が千切れ跳んだ。

 

 超能力だと分かれば、念動で出来た透明な腕など空間の揺らぎで此の通り無力な物よ。

 さて止めを刺して此の戦争をナザリックの勝利で飾ろうか。

 

「オノレ、オ前ノ其ノ力ハ一体何ナノダ?」

「お前の敗因は私達の調査不足だな。それに超能力の使い方が悪い、コンピューターに来世があるなら、もっと工夫するんだな」

 

 超能力《念動力》は応用の幅が広く、相手を透明な腕で殴りつけるのは初歩も良い所で、相手を空中で押さえつけて手足を捩じ切ったり、関節が曲がらない方向へ無理矢理曲げて骨を折ったりと色々な方法があった。

 そもそも《念動力》は、物質が持っているエネルギーを操り、物を動かしたり物体の温度を上げ下げする事で炎を巻き起こしたり、冷却で凍り付かせたりできるのだ。

 アインズが超大型人工知能型コンピューターが張り巡らせたドーム状の障壁、超能力で構築された《超能力防護》を魔法《超能力阻止》を籠めた手で破り裂き進む。

 アインズが超大型人工知能型コンピューターに触れ、無詠唱で本来存在しない筈の第11位階魔法を唱える。

 此の魔法は、かつて使用回数の増えた〈流れ星の指輪〉を使用して創り上げた幻の位階魔法。

 

(《オーバーマジックトリプレットマキシマイズサイレントマジック・コール・デーモンキング・サンダー/魔法上昇三重最強無詠唱化・魔神王の雷撃滅》!)

「グッ、ガァアー!」

 

 此の魔法は遠距離なら肉体の一部を近距離で相手に触れれば相手の肉体全体を轟雷で貫く魔法。

 此の魔法の効果で、最深部の3階層吹き抜けの巨大な広間にあった超大型人工知能型コンピューターと有線で繋がった東京アーコロジー地下にあった本体の人工知能型コンピューターも丸ごと轟雷で貫いたのだ。

 相手を蝕む黒い巨大稲妻と白く発光する轟雷が入り交じり、雷撃が超大型人工知能型コンピューターの回路を焼き尽くす、幾ら雷撃対策を施していても、魔法による雷撃は其の体全体に行き渡り、コンピューターの回路を黒焦げにしていた。

 

 始原の魔法《竜感覚》で超大型人工知能型コンピューターは、此処にある物以外にも地下に繋がった本体が居る事が分かったので近距離で雷撃をぶっ放して全体を崩壊させたが、降伏勧告は壁面のコンピューターから出すかな?

 

 東京アーコロジーは強化ガラスで出来た分厚い屋根が軌道衛星レーザー砲で吹き飛び、頂上の企業連合の人工知能型コンピューターは崩壊、強化ガラスで出来た分厚い壁も所々壊れ、中から黒煙を噴き出していた。

 東京アーコロジー全体に「フンボ会社」が企業連合を制圧したとの報告が知れ渡るのは暫く経ってからだった。




・《グレーター・デクスタリティ/上級敏捷力増大》
 オリジナル魔法
 魔法的に敏捷力を最大級増大する魔法。
 なお、《上級敏捷力増大》と《加速》はどちらも敏捷性に作用する魔法と思われるが付与は共存できる。
 元ネタは原作での《レッサー・デクスタリティ/下級敏捷力増大》の魔法です。

・《ウォール・オブ・リパレントフロムアローズ/矢避けの障壁》
 オリジナル魔法
 射撃攻撃を避ける魔法。
 ただし魔法攻撃や魔法が付与された矢や投石器での岩は避けられない。

・《サイキックプロテクション/超能力防護》
 オリジナル魔法
 超能力や様々な攻撃を防ぐ透明な防護結界を周囲の者に与える魔法。
 レベルによって超能力に対する防護点が変化するので低いと超能力が貫通する。

・《サイキックブロッキング/超能力阻止》
 オリジナル魔法
 範囲内のあらゆる超能力を妨害する魔法。
 レベルが高かったり、範囲が小さければ妨害能力が増大し、例えばアインズの様に掌に発動させると強力です。

・《コール・デーモンキング・サンダー/魔神王の雷撃滅》
 オリジナル魔法
 巨大な白く輝く豪雷と相手を蝕む黒い巨大稲妻が標的を貫く、本来なら有り得ない筈の第11位階魔法。
 魔力の消費が凄まじく、アインズも魔力の半分以上を消費した。
 その威力は魔法強化スキル無しで超位魔法と同等、魔法強化スキルを使えば超位魔法を超える威力が出る。
 遠距離なら体の一部、近距離で相手に触れれば体全体に轟雷の効果が出る。

・〈軍旗の下に〉
 オリジナルスキル
 軍旗を掲げ、勇ましく号令をかけるスキル。
 自らと周囲の味方の、攻撃力と防御力を高める。
 ジェネラル系職業のレベルにより上がり幅や効果範囲が異なる。
 元ネタはエルデンリングの戦技〈軍旗の下に〉です。

・超大型人工知能型コンピューター
 オリジナルキャラクター
 自我を獲得し、超能力に目覚めたコンピューター。
 自らを至高の存在と思い込む事で、企業連合の指図を無視してトップや幹部を皆殺しにした。
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