東京アーコロジーを支配したアインズは続けて、新京都アーコロジーを経済的及び政治的にラナーを使って支配し、日本の全てを握った。
何ヶ月か掛かって日本全てを浄化して、空は澄み渡り、白い雲が浮かび輝く太陽が大地を照らす、大地は海原の様に雑草が生え揃い、澄んだ清流が流れ海へと流れていた。
ギルドメンバーの「ブループラネット」さんは、感激して日本列島を飛び回り、風景写真を撮りまくっているそうだ。
日本列島を飛び回る「ブループラネット」さんがとある集落に辿り着き、歓待を受けた。
其れを切っ掛けとして集落の長、結界で守られた人々が住む隠れ里を支配する絶大な力を持つ「妖怪」の賢者達がナザリックが支配する「フンボ会社」へと友誼を結びに来た。
彼らは「妖怪」と言っても、かつては神様だったものも含まれ、ニニャがレベルを計るとレベルが変動する事が分かり、一般の妖怪は通常時はレベル10から30程度だが、戦闘時などはレベル60から80程度まで上昇する事を確認した。
おそらく「妖怪」の賢者達、トップ層は更に上のレベルだろう事は間違いない。
「妖怪」達の多くがスキルのような妖術を使い、隠れ里の魔法使い達も我々の魔法体系とは異なる魔法を用いていて、彼らとは魔法などの技術交換を行っている。
「妖怪」たちは多くが擬態の為か人の姿に変身した者が多く、変身を解けば物語に聞いた様な姿となり、妖怪博士の異名を持つギルドメンバーの「死獣天朱雀」さんが興味深そうにメモを取りつつ話を聞いていた。
結界の外の世界に関わって来なかったのは、魔力、彼らが言うには存在を保つ為の力が満ちて無く、外の世界で「妖怪」達は存在できなかった事が大きかった。
外の世界で「神秘」が蔓延り、魔力で列島全体が覆われた事で彼らはようやく外の世界を覗き見る事ができ、日本列島を飛び回る「ブループラネット」さんを招き入れる事が出来たと言っていた。
「妖怪」の賢者達の口添えで大陸にある「仙境」、ヨーロッパ大陸の「隠された魔法使いの国」等ともナザリックは同盟を結び、技術交換や地球全体を魔力で包んで浄化する計画を立ち上げる。
戦争中の欧州第2アーコロジーと第3アーコロジーを始めとしたアーコロジーをラナーが買収、支配下に収め、ヨーロッパ大陸の端とユーラシア大陸の端までを浄化で繋ぎ、ヨーロッパと中国を浄化してインド、アフリカ、アメリカ大陸、オーストラリア、等々を全ての「現実世界」を浄化するのは数十年掛かる大きな計画と成り、後はストリートチルドレン達を教育して技術を教え込み、「フンボ会社」の技術者となった者達が長い時間掛けてやる事だ。
日本を浄化し終えたのでナザリックにアインズ達は帰って来た。
「現実世界」を見たラナーや死の宝珠、パンドラの手により、「転移世界」と「現実世界」では物理法則が異なるのか火薬が燃焼反応を示さなかったり、空気抵抗があまりないのか、落下すると無限に加速するなどの細々とした物理法則の違いを乗り越え、魔導飛行船や魔導列車などを開発し、基幹構造の魔導エンジン等の開発や量産や保守点検はナザリックで握り、「転移世界」の者では対処できなくした。
此れはナザリックの優位性を担保する為にも必要な事で、魔導科学技術はナザリックで独占状態を保っている。
「転移世界」では量産された魔導飛行船が空を優雅に飛び交い、魔導列車が町と町を繋ぐレールの上を走っている光景が見られるようになり、急ぎの便の際はフロストドラゴン空輸便を使う事が当たり前となった。
アインズはラキュースとの間に男の子の赤ん坊ができ、当初にラキュースの実家で話し合った通り、ラキュースの家に引き取られる事になった。
今では、ラキュースとアインズがラキュースの実家で乳母に育てられるラキュースに似た金髪と緑色の瞳を持った赤ん坊をあやしている。
「ふふふっ、この子はどんな子になるのかしら楽しみだわ」
「冒険者になるにせよ、貴族になるにせよ、教育は大事ですからね。ナザリックからも教育係を呼び寄せましょう」
コキュートスを人化の指輪で変装させれば剣術の指南役には丁度良いし、戦闘メイドのユリは創造主が教師の「やまいこ」さんの所為か教師役に適任なので任せとけば安心だろう。
他の結婚相手とは長命種の所為か、なかなか子供が出来ないのは時間の問題だろうが、魔法で悪魔王や吸血鬼やエルフなどに成り、子作りに励んでいるが難しい物だな。
悟兄さんと「ぶくぶく茶釜」さんは「転移世界」での旅を通じて仲が更に深まり、時々2人で人間の姿で観光旅行を楽しんでいる。
この前、「ぶくぶく茶釜」さんに悟兄さんに誕生日に何か贈り物がしたいと相談されて、パンドラとアルベドやギルドメンバーの女性陣の「やまいこ」さんと「餡ころもっちもち」さんを集めて話し合ったのは楽しかったな。
結局、「ぶくぶく茶釜」さんは悟兄さんに花束とちょっとした小物を贈ったそうだが気に入ったのか2人共に笑いあっていた。
弟の「ペロロンチーノ」さんは俺の求めるロリを探すといって、あちこちを旅に出てはナザリックのバーで「見つからないぞー」とくだを巻いている。
「ウルベルト」さんと「たっち」さんは、時々つるんでは供にデミウルゴスやセバスを連れて、旅をして此の前は邪悪な秘密結社ズーラーノーンの本拠地を潰したぞと自慢していた。
長い間、「現実世界」で動いていたがアインズ達は鍛錬を重ね、更なる強さを手に入れていた。
職業ナザリック・キング(ジェネラル)は最高レベルに達し、既に数万の軍勢に影響を与えるスキル〈千軍万馬〉を得ており、死の宝珠は最大レベル100に到達、ニニャも最大レベル95まで上がり喜んでいる。
アインズは、最大レベルになったお祝いとして何が欲しいか聞くとニニャはかつての仲間たち「漆黒の剣」の復活、死の宝珠は更なる強さを願い、《ネーミング/命名》の魔法で種族レベルを上昇させ、黒い鉄の塊を想わせるにぶい輝きから漆黒の輝きを宿す宝玉になっていた。
ニニャ達のかつての冒険者仲間「漆黒の剣」の復活は、ズーラーノーンの手下達によってアンデッドに成って居た事から通常の位階魔法の復活では無理で、始原の魔法《世界完全蘇生》を用いる事で復活を成し遂げていた。
「漆黒の剣」の冒険者達は復活直後の昏睡状態で眠りについているので、後でエ・ランテルの宿屋に運ばせるとして手配している。
後の説明や諸々の世話などは、休日扱いにしたニニャに任せておいた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「転移世界」を支配し、「現実世界」も後数十年もすれば浄化が終わるのを待ちわびるアインズは、ナザリックの執務室で執務しつつ、これから何年も代り映えしない平穏が続く日々に感謝しつつも退屈だなとこぼしていた。
ニニャが持つ死の宝珠から提案がなされる。
それは新たな世界を見て回り、更なる力を得てみては如何かという物だった。
『魔法《ユグドラシルゲート/世界樹門》は、術者または思念を送る者の思い浮かぶ世界と繋げる魔法です。ですが思念を送る者が居ない時にはランダムな世界に繋がるのです。アインズ様は、どうやら退屈しておられる御様子と見受けられます。如何でしょう、新たな世界を覗き、更なる力を求めて冒険の旅に出て見るのはどうでしょうか?』
面白がったアインズは、早速タレントを使い、使用回数の増えた「流れ星の指輪」の力を使い、ランダムな世界から良さそうな世界を見繕う。
「タレント〈貴秘雫〉を発動、使用回数の増えた〈流れ星の指輪〉を使用し、我は願う、我に更なる力を与える安全に行ける世界へと《世界樹門》を繋げて欲しい、超位魔法《ウィッシュ・アポン・ア・スター/星に願いを》!」
安全に行ける世界へと《世界樹門》は繋がったが、生きていけるかは別なので以前に普段使いをするには面倒なのでタレント「看破の魔眼」や「変身を見破るタレント」を下賜した〈シャドウ・デーモン/影の悪魔〉2体を呼び出し、仮に《世界樹門》で繋がった世界の名前を〈新世界1〉と名付けて偵察を行わせた。
暫くして〈シャドウ・デーモン〉達が偵察を終え、《世界樹門》を通り、アインズの前で片膝を床につけ、報告する。
「森の中に繋がっておりました。周囲の動物はレベルが低い者しかおらず。周囲に村が見えましたので村人のレベルを見てみましたが、レベルが5に届いている者も僅かといったように感じました」
「ふむ、レベルが低いなら安心か。アンデッドは居たか?」
「いえ、おりません。アンデッドは忌み嫌われているようで村の墓場では丹念な神官魔法と思われる浄化作業が行われておりました」
新たな世界を旅すると決めたアインズは、アンデッドとバレない様に人化の指輪を身に付け、漆黒の全身鎧を着込んで、供と決めた魔術師ナーベ、死霊術師ニニャと死の宝珠、幻術師ソアとハムスケ、神官サルビアさんの「漆黒」の冒険者パーティーで《世界樹門》を潜り抜け、新たな世界へと旅立つ。
其の時、アインズの頭の中に何処からともなく声が響き渡る。
(〈プレインズウォーカー/次元歩行者〉の称号を得ました)
どうやら複数の世界を渡り歩くと貰える称号のようで、此の称号がどのような効果があるのか分からない。
もしかすると武技や魔法に称号による影響があるかもしれないが、アインズのみに称号の声が聞こえていたようだ。
アインズ達は鬱蒼と茂る森の中を村を求め移動していると、大きな弾ける音が無数に聞こえ、此方へと逃げ出す冠の様に双角を持つ茶色い長髪の血だらけの女の子が歩兵銃を持つ軍人達に蹴とばされ、地面を転がっている。
アインズ達に気付いた軍人達が歩兵銃を撃ち放つ、アインズの直前の空間で弾が逸れ彼方へと飛んでいく。
アインズは、魔法を宿していない飛び道具の無効化能力で弾を無効化していた。
「ふう、いきなり厄介事か。魔導の力で空気を圧縮、爆発させて弾を飛ばす魔導銃だな。パンドラへの土産に貰って帰るか。《グラスプ・ハート/心臓掌握》」
アインズが何も持っていない手を広げ伸ばす。
心臓を握りつぶし、抵抗に成功しても一時的に朦朧状態にする第9位階魔法を使用する。
軍人の一人が胸を押さえ、崩れ落ちていく。
歩き出すアインズに気付いた他の軍人達が震える手で一斉に魔導銃を発射するが、次々に弾が逸れていき、其れに気付いた軍人達が我先にと逃げ出した。
「……女は追い回せるのに、少しでも強い相手は無理なのかな?」
高位の魔法で無く、低位階の魔法《マジック・アロー/魔法の矢》を唱え、どの程度自分が強いのかを確かめる。
十数発もの光球が生まれ、残光を引きながら飛び交い、逃げ出した軍人達の背中を貫く、一撃で大きく吹き飛び、二撃目が当たると中空へと浮かび、残った光球が持ち上がった軍人達に群がった。
四肢を投げ出し、中空から地面に激突する軍人達、最早、息が無いのは明らかだった。
低位階でも此の程度か魔法への耐性が無いに等しいと見た。
レベルアップして新たに得た魔法を唱えるアインズ。
「さて、《コンプリヘンド・ランゲージ/言語理解》。これで言葉が分かる筈、この霊薬を傷口にかけるが良い、お嬢さん」
「ありがとうございます。あ、あの家族が襲われてるんです。両親が私を助ける為に、どうか助けて下さい」
赤い霊薬を受け取り、傷口を癒すと少女はアインズに助けを求めて、地面に頭を擦りつけて頼み込んだ。
「ああ、良いとも。だがタダじゃ無理だな。私達は冒険者でね、遠くの場所からやって来た所為で此の辺りの事に詳しくないんだ。だから君が教えてくれるか、詳しい人を紹介して欲しい。できるかな?」
「はいっ、村長さんなら詳しい筈です。どうかお願いします」
アインズ達は、此の新世界でも波乱万丈の冒険を繰り広げ、更なる力〈称号〉を得ていく。
そして、また何時の日か別の世界へと旅立っていくのだった。
【完】
・〈プレインズウォーカー/次元歩行者〉
オリジナル称号
久遠の闇と呼ばれる広大な空間に無数の次元(プレイン)が存在する多元宇宙を渡る力を持つ強大な存在。
称号を得ると様々な魔法や武技に影響を与えるが、アインズは、まだ其れを知りません。
・《コンプリヘンド・ランゲージ/言語理解》
オリジナル魔法
術者が接触した対象1体に、聞いた会話や目にした文字による言語を理解する能力を与える。
知らない言語を喋れたり文字を書けたりする魔法。
元ネタはD&Dにある魔力系第1位階魔法《コンプリヘンド・ランゲージ》です。
・〈千軍万馬〉
オリジナルスキル
数万の軍勢に影響を与えるスキル、一日に何回か行動を宣言する事で複数のキャラクターに影響を与える。
攻撃力、防御力、敏捷力向上などの効果が付与される。