プロフェッショナルでプレイする際は基本逃げましょう。
その際に絶対に閃光手榴弾は1つ以上は持っておいた方が良いです。
そしてヤバいと思ったら即使う。躊躇うと死ゾ。
2004年、大統領の娘、アシュリー・グラハムが何者かに拉致されたという事件が発生した。
様々な思惑の下、任務の白羽の矢が立ったのは6年前の未曽有のラクーン事件を生き延びた功績を買われたレオン・Sケネディであった。
元々彼は彼女の警護を担当するはずであったので、この人選は当然ともいえた。
地元の警官2名の案内で、アシュリーが拉致されたと思わしきヨーロッパの片田舎まで数時間かけて向かったレオンだったのだが、途中で催した運転手役の警官がいつまでたっても戻ってこない。
不審に思い、レオンは消えた地元警官を追って小屋の中へと踏み入れたのだが、その住民と思わしき村人に襲われた彼はやむなく撃退。殺害してしまう。
様子がおかしかったとはいえ、それでも殺してしまった事に心の中で詫びつつ、レオンは小屋の地下を捜索し、ついに
手早く脈を測り、手遅れであることを悟った彼は早々にここを立ち去る事にした。
嫌な予感がした。それは、あのラクーン事件の只中で何度も彼を救った天性の生存本能が齎した、一種の警告であった。
レオンは警官の恐怖に見開かれた目を閉じてやり、立ち上がった。
その時階段の方から物音が聞こえ、拳銃を抜き放ちながらフラッシュライトを向け、絶句した。
先の問答で、レオンは住民と思わしき男を撃退した。
その際に男は首が圧し折れ、明らかに即死であった。
そうだ。死んだのだ。首の骨が折れれば、人間は死ぬ。当然だ。
当然であるべきなのだ。本来は。
では、目の前で、首が真横に折れていながら二本足で立ち上がり、昆虫を思わせるかのようなぎこちない足取りでにじり寄ってくるこれは、一体なんなのであろうか?
瞬間、レオンは強い既視感に襲われ、眩暈を覚えたかのように視界をぐらつかせた。
記憶の奥底にへばりついて離れない地獄の片鱗が、断片的に脳裏に閃く。
道を埋め尽くす生きる死者たちの群れ。魔界から飛び出してきた番犬。延々とにじり寄ってくる灰色の衣を纏った鍵爪の死神。悪夢を凝縮して具現化したかのような肉塊。
あの悪夢が、過ぎ去ったと思っていたはずの悪夢が、再び彼の前に、何の前触れもなく姿を現したのだ。
まるで逃げても無駄だと嘲り笑うかのように。
硬直は一瞬。しかし人外の怪物から見ればその隙は天啓にも等しい。
首の折れた男は、まるで待ち伏せを図っていた捕食生物のように、ぎこちない動きから一転して素早い動きでレオンに向けて詰め寄ってきた。
ショックから立ち直る前に、体は勝手に動いていた。
体を低くし、横をすり抜けた体は反転し、抜き放っていた拳銃を構えその背中に向けて引き金を引いていた。
乾いた炸裂音が鳴り、マズルフラッシュが一瞬だけ暗闇を染め上げ、おぞましき怪物の姿をくっきりと闇の中に照らし出した。
銃撃の音で我に返ったレオンは、撃ち放った銃弾の効果の程をライトを当てて注意深く観察した。
銃から放たれた9ミリパラベラム弾は闇を切り裂き、男の背中のど真ん中に突き刺さった。
男はつんのめったかのように前に一歩よろめき、それだけであった。
レオンは目を見開き、そして脱兎のごとく走り出した。
慌ただしく階段を駆け上がる背後からぎこちない足取りが齎す足音が急激に遠ざかってゆく。
代わりに前方からどたどたと慌ただしい足音がにじり寄ってくることに気が付いたレオンはそのまま階段を駆け上がり、その先の上階へと飛び込んだ。
鍵をかけ、どんどんとドアを叩く音に焦燥感を募らせながらレオンはアシュリーの写真を発見し早急に通信を開く。
通信を終えた直後、ドアが蹴破られ、斧や鎌で武装した村人たちが飛び込んできた。
「邪魔したな!」
レオンはすぐさま開け放たれていた窓から身を躍らせ、外へと逃げだした。
着地したレオンは反転して、2階の窓を見上げた。
村人は飛び出したレオンを見下ろすも、飛び出して追うつもりが無いようで、そのまま背を向けて小屋の中へと姿を消した。
「くそ……」
レオンは毒づき、歩き出そうとして、横合いから突如として話しかけられてそちらに勢いよく銃口を向けた。
「オイオイオイ待て待て待て!」
その男は、黒いフードを被った怪しげな男はおどけたように両手を上げてホールドアップすると、じりじりと近づいてくるレオンに向けて手をもみながら、言った。
「ウェルカム!」
「……」
銃口を眉間に向けたまま、レオンは目の前の男を注意深く観察した。
黒いフードを被り、口元を紫の布で覆い隠しており、その表情はうかがい知ることができない。落ちくぼんだ瞳はその者が過ごした年月の長さを物語り、しかしながらその瞳は暴力的な生命力に満ちていた。あの首が折れてもなお活動した男のように。
「お前、何者だ?」
「まあまあそんな事は良いじゃねえか! 俺は見ての通り商人だ! 俺があんたに武器を、あんたは俺に金や金目の物を、WIN-WIN! これね!」
「商人だと?」
訝るレオンに、武器商人は畳みかけるように続けた。
「ま、あんたの気持ちもわかるぜ。ガナードの糞野郎に襲われた直後に俺みたいなのが話しかけたとあっちゃあ、
「なっ!?」
レオンは思わず引き金に指をかけかけた。それをとどめたのはひとえに彼の精神が強靭である事と、目の前の存在が何者かいまだ判断が付きかねたからだ。
彼の心の揺れ具合に手ごたえを感じた武器商人はさっそく懐柔するために、あの男から渡すように言われていたものを簡素な机の上に並べた。
「……これは何だ?」
差し出されたのは資料だった。
「へへ、まあまずは目を通してみなって。そうすりゃ、俺の事も少しは信用が出来るってもんよ」
「……」
銃と視線を怪しげな男から片時も外す事無く並べられた資料を手に取り、一歩下がると彼は速やかに資料に目を通した。
「これは!」
一通り資料に目を通したレオンは足元が崩れ落ち、再び奈落の底へと突き落とされたかのような錯覚を覚えた。
資料に書かれてあったのは、この地に蔓延する悍ましき寄生虫についてと、その力を何ら畏れることなく振り回す悪徳の邪教集団ロス・イルミナドス教団やそれらが作り上げた悪夢の如き作品たちについてであった。
プラーガを寄生させられた哀れな人間『ガナード』。同じく寄生させられた犬『コルミロス』。プラーガの生命力の増大を利用した実験の果てに見上げる程の巨体を獲得した『デルラゴ』、『エルヒガンテ』。プラーガを用いた肉体強化に成功した物の敵味方の区別なく目についた者を襲うほど凶暴化し、視界を封印された凶戦士『ガラドール』等など。
箍の外れた人間が齎す無軌道な欲望の解放に、レオンは愕然とした。
それはまさしく6年前の地獄の底で彼が見た物と、全く同じものなのであった。
「何てことだ……!」
あまりの衝撃に、レオンは一歩二歩と後退り、思わず顔を覆った。
俺はまた地獄へと足を踏み入れようとしている。狂気と悪徳に塗れた悍ましき斑道に。
レオンは目を瞑り、深く息を吸いこみ、たっぷり数秒の間を開けて長く、ゆっくりと吐き出した。
そして目を開ければ、そこに先程の動揺は無い。
既に一度地獄は見た。何より今の俺はあの時の青臭い新米警官ではない。合衆国お抱えのエージェントなのだ。
同じ轍は二度と踏まない。任務続行だ。
「平気かい?」
「ああ、もういい。ビジネスを始めようか」
「へッへっへ……そうこなくちゃ、じゃ、改めて……」
武器商人はコートを開き、その内側にある大量の銃器を見せつけながら、改めて言った。
「ウェルカム、
武器商人から手渡されるさまざまな銃器の動作を確認しながら、レオンは静かに内なる炉に火を灯した。
あの時は何の準備も出来ていなかったが、今は違う。
精々そこで見ているがいい、俺は今度こそ成し遂げてみせるぞ。
戦士は歩を進める。
その迷いのない決断的な足取りは決してブレることなく、この惨劇の舞台となる村の中心へと進んでゆく。
「Un forastero!」
「Agarralo!」
早速災禍の尖兵たちがこちらを見つけ、テリトリーに侵入してきた異物を排除するべく我先にと走り寄ってきた。
レオンは歩みを止めることなく突撃銃のトリガーを引き、一発の弾丸で尖兵の頭を吹き飛ばした。
脳漿が飛び散り、付近の落ち葉を更に赤く染め上げた。
その横を通り過ぎる際に、彼はちらりと頽れた体を一瞥した。
かつては人間だったそれ。善良で、何も罪の無かった人間だったものの亡骸を。
「許さんぞ、オズムンド・サドラー……!」
内なる火は今や炎となって、轟々と音を立てて燃え上がった。
それは怒りだった。
弱者を踏みにじり、何ら顧みることなく自己の欲望のみを追求し思うままに振舞う悪への消える事の無い憤怒の炎である。
戦士は歩を進める。
その歩みに、何ら臆するものなど無い。
閉ざされ、踏みにじられた村に、死という名の救いが、すぐそこまで迫っていた。
●
「行くぞ……」
男が、おぞましき村の長『ビトレス・メンデス』が、背後の者らに振り返りもせずに言った。
返事は無い。あるはずが無い。
それでも言わずにはいられなかった。
一番最後に列に並んだガナードは、大きな袋を抱えていた。
厳重に縄で縛られた袋の大きさは、丁度成人男性がすっぽりと入るくらいの大きさで、時折暴れるかのように激しく蠢いたが、ガナードの人間離れした筋力の前には、何ら無意味であった。
(すまない、だが私は約束を果たさねばならないのだ。……恨んでくれて、構わん)
ちらりと背後を見て、村長は目を閉じた。そして祈った。
「よそ者が紛れ込んだようだな」
村長は村の方向から、ガナードに宿る寄生虫の絶命の断末魔が断続的に聞こえていた。
それはどんどんこの湖畔の集落へと近づいていた。
「来るなら来てみるがいい。そうすれば、お前も同胞となるのだ」
思う事は多々あれど、しかしそう思うにはあまりにも人から遠ざかりすぎた。
もはやサドラー様に従う外ないのだ。その結果村が滅んでしまったとしても……。
村長は歩を進めた。終わりの予感をひしひしと肌に感じながらも、その歩みに迷いはない。
それが運命なのならば、私は従おう。
悲壮な決意を胸にする村長は気付かなかった。
最後尾の、袋を抱えるガナードが、懐から注射器を取り出し、素早くその中身へと注射している事に。
ガナードは笑みを浮かべた。
全ては順調である。
袋の暴れ方が一層強さを増した。
ガナードはびくりと震えたかと思えば、再び無表情となると、粛々と村長の背に付き従った。
無表情のガナードの軍勢は、さながら昆虫の群れの様に無機質で、それを率いる村長の表情は更に機械的であった。
●
「これで仕込みは済んだ。あとは彼等がここに来るのを待つだけだ」
ハッキングをしていたガナードから意識を戻した俺は、乱れた息を整え、椅子に深く身をもたげた。
レオンがここに来たという連絡が武器商人からもたらされて、すでに数時間が経っていた。
既に陽は落ちかけており、今頃レオンはデルラゴを倒し、気絶している真っ最中という所だ。
とその時、ここから遠く離れた場所。もっと具体的に言えば湖の中心地点辺りで、新たな同胞が産声を上げた。
「あぁ、孵ったか」
展開の早いこって。
ごろごろと遠雷の音がする。
窓の外を見れば、空はすっかりと黒雲に遮られ、ぽつりぽつりと雨が降り始めていた。
あと3時間かそこらすれば、いよいよ俺の出番がやってくる。
準備は済んでいる。計画も立てた。幾度もシュミレーションし、すり合わせを行い、考え付く限りの事をしてきた。
全てはこの日のために。
雨が強さを増し、いよいよ嵐と言えるまでになってきた。
暗闇は一層、その深さを増す。
最初の村耐久がもうきついんですけど、皆さんはどうですか?