の内容を元にして別キャラ視点で描かれております、動画の方も視聴していただけると嬉しいです。
突然だけど、
好きというか正確には気になっている子なんだけど……。
その子は彗星…いや流星だったか?いいや、人間の言葉は難しいし小夜らしく行こう。
そう、その子は突如として現れたのだ。
名前は『東北きりたん』、いつも白い見た目の着物と…えっと…帯って言うのかな…?とりあえずなんか赤い紐を巻いてる少女。
元々、小夜は琴葉茜と名乗る女性のところにご飯にありつこうとやってきた。
そこから紆余曲折あって今は一緒に住んでいるわけなんだけど…。
そんなある日の事だ、彼女が小夜の前に現れたのは。
『ん…?猫…?』
『あぁ、小夜って言うんや』
その日は暖かくなり始めて、春を感じられるようになってきた辺りだった。
いつも休んでいた部屋に今日は見慣れない人たちがやってきて、小夜が入れないくらいの大量の荷物を
小夜のお気に入りの部屋に置かれてしまい、不貞腐れながらリビングで日向ぼっこしていた時だった。
小夜のよく知っている茜の声と、聞き覚えのない…茜よりも幼い感じの声
「(茜?お客さんか…?)」
聞き覚えのない声に小夜はつい気になってそちらに猫の姿で寄ってみる。
普通なら人間にはなんの興味も湧かない小夜だけど、その話し声には何故か興味が惹かれてしまったんだ…。
ちょうど、テーブルの下からその二人を覗いてみる……。
片方の見慣れない少女は、見た感じ…まさに少女という感じに見えた。
小夜の人間の時の姿と大差ないように見えるけど、見た目年齢としては小夜と同じか…それよりも少し歳上になる…のかな?
茶色で小さくて分かりづらいがツインテール…そして透き通った茶色瞳…。
「(変なやつがきた……)」
小夜の第一印象はまさにそんな感じだった、もう一つあるとしたら茜と話してる姿には愛想が一切ない事かな…。
そんな事を考えていると茜から『きり』と呼ばれていたその女の子は小夜のことで一言二言、茜と話せば二階へとあがっていつてしまった。
2階になんの用があるんだろう…?そういう疑問が頭をよぎったが、それよりも先に。
「茜…?今のは誰?」
「んっ?あー…言うてへんやったっけ?」
「……小夜は何も聞いてない…」
自分の頬をぽりぽりと掻く茜に、小夜は猫の姿から人間の姿に変わってジト目で見つめる。
茜は会ってからいつもそうだ…、大事な事をよく話し忘れる………。
今回もきっとその類なのだろう、そう思ってしまうと小夜はため息をついてしまった。
「今日からあの子、ウチの家で預かることになったんよ…一年間」
「一年間?」
「そ、居候ってやつ…小夜には分からへんとは思うけど」
「ム…ッ」
突然の失礼な言い方に小夜はついムカッときてしまった。
茜と出会ってからはそうだが、相変わらず小夜にだけひと音多い
確かに小夜には『居候』なんて言葉の意味はよく分からないけど、茜に言われるとイラッときてしまう。
「い、一緒に住むって事…それくらい知ってる」
「お、なんや正解やんか…まぁ、そういう事やから、小夜?よろしくな?」
「…ふぅん……」
二階に上がって行ったその少女の方を見つつ、小夜は茜の言葉に適当に返事を交わす。
茜はというと、小夜のその返事を聞くなり台所へと歩いて行ってしまった…。
「茜…まずい料理作ったら食べないから…」
「はいはい、んじゃ小夜は猫缶でええな?」
「……まぁ、茜の作るのよりはマシだね」
台所に向かってエプロンを着て準備をする茜に、小夜は一応忠告するような気持ちで指摘してやる。
実際、茜の料理は食えなくはないのだが…味は薄すぎるのだ…
あんなのでは満足いくはずもない、茜は料理ができると自称しているが「アレ」を料理とは小夜は認めない
初めて茜と会った時も冷蔵庫の残り物を
感じるような味ではなかったのだ…、むしろそう何度も食べると気が滅入ってきそうな…。
そんな事を考えていると、ふと茜が小夜の方に近づいてきた、どうしたのかと顔を上げると。
「
「い…いただだ…っ!?」
突然、小夜の左右の頬を両手で掴むと、ぐにぃー…っと引っ張ってきた!
痛い!茜、痛い…!そんなに引っ張られると千切れる…!
「ったく…お前はほんま会った時から失礼やな…」
「…いっ…つつ……ペットにやる所業じゃないぞ」
「いつからペットになったんや…勝手に住み着いてるだけやろ」
すぐに解放してもらえて小夜は一安心、ズキズキと痛む頬を撫でながら小夜は不服そうに茜を睨んでみる。
茜はというと、小夜のそんな様子を見てもこれといった反応もなく、むしろジト目でこっちを見てくる…。
そんな茜の態度に余計にむかっとくるがまたつねられるのも嫌なのでそれ以上は何も言わないことにした。
小夜と茜は、言ってしまえば犬猿の仲のような感じだ…こういう扱いもすっかり慣れてしまったというのもあった。
「それにしても、一緒に住むって…また急だね…?」
「んー?なんや、さっきから気になるんか?」
「なんか、変わった子だったから……茜は何か知ってるんでしょ?」
「家の都合ってやつやね、あの子の両親…まぁ、姉なんやけど…」
「その姉がこの一年、家を留守にするって話になってな?」
一年?一年ってつまり365日って事?ふぅん……。
まぁ、小夜にはどうでもいいけど…。
でも、少し可愛い子だったなぁ……。
「(……ん?なんだろう、この気持ち……)」
小夜は自分でもよくわからないモヤッとした感覚が胸に宿っている事に気づくいた…。
なんか…さっきの子を見てると少し鼓動が早くなったような……。
「(気のせい…?)」
しかし、その感覚もすぐに無くなつていた…なんだったんだろう、今の感覚……。
そんな事を考えていると茜が台所から出てきて。
「小夜ー、ご飯できたで?」
「あ、う…うん……」
「ん?どうかしたん?」
「………なんでもない…」
さっきの変な感覚はあえて茜には言わない事にした。
自分でもよく分かってない感情を茜が知ってるわけもないだろう、相談しても無駄だろうしね。
そんな事を考えながら小夜はいつものテーブルに座る…、テーブルの上には小夜の(比較的)好きな猫缶が置かれていた。
茜はこういうところはちゃんとリクエスト受けてくれるから好きだ。
「さっきの子は呼ばなくていいのか?」
「ん?あぁ…きりの事?流石にここに来るので疲れてるやろうしなぁ…」
「…それもそうか……」
人間というのは小夜と違って疲れには敏感な存在だと聞く、現に過労なんて言葉もあるくらいだ……、
そう考えたら無理にここに呼ぶ必要もないか…。
茜の言葉に小夜なりに納得すると、皿に盛り付けられた猫缶を食べ始める、人間の食事よりは味はイマイチではあるが
茜の作るものよりは数倍マシな味がする…、そう考えながら茜の方を小夜はチラッと見てみた。
茜は自分で作った料理を美味しそうに食べている……、茜の口にはちょうどいい味なのか何処か嬉しそうに小夜には感じられた(信じられないけど)。
★
それから、せっかく家族が増えたのに相変わらず小夜と茜の二人っきりの食事を終え……、小夜は食器洗いをしている茜を
適当にソファに横になりながら眺めていた…。
今頃、この家にやってきた子は二階で寝てるのかな……。
「(家族かぁ…小夜にもいたのかな…)」
ここに来る前、物心ついた頃からずっと小夜は一人だった……。
小夜のこと気にかけてくれる子はいたけど、すぐに会えなくなってしまったし…、小夜には家族というのがよく分からなかった…。
突然やってきた女の子(食事中に『東北きりたん』という名前を知ったけど…)にはお姉さんがいると聞いたけど、それがきっと家族…というものなのかな。
そう考えると、小夜にもそんな存在がいたのだろうかという疑問が湧き上がってくる。
家族…家族、かぁ……。
今の小夜には家族と言えるような相手は茜しかいないけど、明日から東北きりたんも加わるという事になるのかな…?
となると、3人家族?んー…うん、多分そうだ、数は間違えてないはず………。
「そういえば、茜…確か妹いたんだよね」
「うん?まぁ、せやな…今は離れて生活しとるけど」
「……家族と離れて寂しく感じたこととかないの?」
「なんや、珍しく変なこと聞くなぁ?」
小夜の質問に少し目を丸くすると茜は少し困ったようにして腕を組む。
そんなに答えに困る質問だったのかな…?
「というか…なんでそんな事、急に聞いたん?」
「それは……、今日来た子にお姉さんがいるって聞いたから…」
「ほぉん…?」
小夜の理由について聞いた茜はちょっと意地悪そうな笑みを浮かべるとソファに座ってきた…、
そして小夜の背中を撫でる………、くすぐったい……。
「きりの事が気になったんか?」
「別に…そうじゃない…」
「でも、急にきりの話を聞いてそういうのが気になるなんておかしいやろ?」
尻尾で軽く茜の手をペチンっと叩いてこうぎするも、茜の方はそれをされても笑みを浮かべるのをやめない……。
………なんかムカつく……。
「まぁ…せやなぁ、葵が居なくなって寂しいと感じる事はあるなぁ…、小夜が居らへんと帰ってきた時ずっと一人やったし…」
「寂しい…?小夜、家族というのが分からない……そう感じるものなの?」
「どうやろ……少なくともウチにとって葵は心の支えってくらい大事な存在やったな…ウチには葵しかおらねんかったし、家族は」
ふと茜がスマホと呼ばれている板のような物体を取り出すと、それに何か映る…。
小さな茜そっくりの女の子が二人映っている…、小夜の前にいる茜と同じ髪色をしているのはきっと茜なのだろう、
となるとその隣は……?
「葵…あれから元気にしとるかな……」
「……その子が葵…?」
思い出にふけってる茜に小夜は特に空気読まずに聞いてみる。
ぱっと見だと本当にそっくり…完全に瓜二つといった感じ
これが双子、というやつなのか……?
そんな関心もある中で見ていると。
「そうそう、この子がうちの妹で葵って言うんよ」
「へぇ……」
「なんや、興味なさげな返事してからに……」
「興味はある……ただ、双子っていうのは変な感じだなーって」
葵かぁ……、そういえば、茜の身内の話を聞いたのって初めてだった気もする…。
きりたんと呼ばれてた少女の話を聞いてから、なんだか変にそういうのが気になってしまった……、妹…家族…。
小夜も…あの子と仲良くなれるかな……。
「(なんでだろう…いつもと違って、なんだか不安になる……)」
自分の胸元をギュッと握る……。
茜のことを考えても特にそんな気持ちにはならないのだが…何故かあの子のことを考えると……。
なんで…こんな気持ちになるんだろう………。
「茜…小夜は……、小夜はきりたんと仲良くなれるかな?」
「………へっ?」
小夜のそんな言葉に茜はきょとんとした表情になる…、しかしすぐになんか吹き出してしまい
なんだ、小夜…何かおかしなこと言ったか…??」
「な、なんで笑うんだ!」
「いやだって…!小夜がきりの事気にするなんて思わなくてなぁ……!!」
茜が笑いながらそう言って来る。
むぅ、小夜はそんなにおかしい事を言ったのか……? 小夜は茜の言葉に顔を赤くしてプイッとそっぽを向く。
すると、ふと茜が起き上がって顔を近づけていた小夜の頭にポンッと手を乗せる。
「大丈夫…きりは優しい子やってじゅんこから聞いとるし、小夜もきっと仲良くなれると思うで?」
「………茜のお墨付きでもあまりありがたみないな…」
「なっ、こいつ…っ」
茜の言葉を聞くと、思いがけない肯定な意見に小夜は一瞬呆気に取られてしまった…。
しかも、茜は小夜を撫でている……、こんなことしてくれなかったのに…?
なんだか……撫でられるの、気持ちいいな……。
少し撫でられていたが、ふと我に返ると急に恥ずかしくなって、小夜はそっぽむいてそんな事を言ってしまった。
すると今度は、茜が小夜の頭をわしゃわしゃをしてきた。
「な、なにするのさ!?」
「ぬわははは!素直になれない悪い子にはお仕置きやで?」
「こ、この…っ!茜、やめ…っ!」
なんだか茜と話してるとスッキリしたような気がした、気恥ずかしいけど……。
頭をむちゃくちゃにわしゃしわしゃされつつも、自分が凄いどうでもいい事で悩んでいたんだというのを知る事ができて
自分でもなんだか呆れてきてしまった、そうだ…茜にやった時のようにしてみればいいんだ。
人間相手には嫌われるかもしれないけど、でも…変に意識して小夜らしくなくなるくらいなら…
どんなに変に思われようとも小夜らしく話しかけてみよう…。
「(そしたら……きっと………)」
「ん?小夜、どうしたんや?なんかニヤついて」
「ううん……なんでもない…♪」
その日の深夜、小夜はこっそりときりたんの部屋に侵入してバレないように布団の中に入り込んだ。
ちゃんと見てなかったきりたんの顔を見るためと、それと…『よろしく』という意味を込めて…。
なんだか恥ずかしくなってすぐに軽く目を閉じて寝ようとしたが眠れず、すぐに布団から出てしまったが
きりたんと初日だけど、近くになれたような気がして…小夜は心の中が暖かくなるのを…
部屋を出る途中…そう感じたのだった……。