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ヨシ(現場猫)
誰も見てないだろうから初投稿です
髪を片手で乱雑に掻き乱す。今眼前に余計なものがぶっ刺さっているせいである。
赤黒く脈動するそれが明確に脳天を狙ってきていた事が避けなければ頭部に直撃していただろうことから分かる。視線を横にずらしその発生源を見やる。そこには多少なりとも整った顔をしているフードを被った不審者がいる。
(……怪異らしき存在を追ってきただけなんだがな)
最初からずっとなんかよくわからんシルクハットの男を追って路地裏に入ったらこれである。治安どうなってやがる。
そういえば、と彼らのような存在は一応縄張りという概念があることを思い出す。都会に生きているというのにそのような野生動物のような決まり事があると思うと、彼らはかなり苦労して生きていることが伺える。
原作に比べれば一段と危険なこの世界、例えそれが
「一先ず、だ」
「あ?なんで死んでねぇんだよお前」
「この目の前にある薄気味悪い触手をどけろ」
「なんで餌如きの──」
「どけ」
この身に宿る神威をぶつける。肉体の元の持ち主からしたら余計なものであろうそれをぶつけられた喰種は一瞬にして過呼吸となり、維持が途切れたのか目の前から赫子が霧散していく。
「カッハ──!?」
「やはり便利なものだな。神威とやらは」
「な、か、むい……神威!?なんでてめぇみたいなやつが!」
「ほう、知ってるのか……もしや貴様、神、あるいは神に連なる何かに遭遇した事があるな?」
意外なものだ。この世界に存在する神格はある程度把握しているが故に生き残っている事を不思議に思う。それと神秘がないのになぜ神がいる、と思われるかもしれないがその神秘という概念は型月世界由来のものだ。確かにこの世界は型月世界とクロスオーバーしている訳では無いので神秘がないが、この世界には神秘に頼らない神々がいる、ただそれだけ なのだ。まぁそれが信仰心なのか、生物としてそうなのかは分からないが……少なくとも分かることはほぼ全ての神は邪神の類であるということだろうか。
「ふむ、ではこうしよう。貴様を見逃す代わりに貴様が遭遇したことのある神威を放った存在の話をせよ」
「は?」
「嫌か?ならば仕方あるまい、少なくとも人類社会に身を置いているのだ。平和を脅かす存在は……殺すしかないな」
黄金の波紋を背後に浮かばせて、そこから対人型宝具や対生命宝具を、そこにあるだけで人型や生命あるものは恐怖するそれを三十門ほど向けてやる。
「ひぃっ……!?わ、分かりました!話します!話しますのでどうか……!命をぉ……!」
分かりやすく命乞いをする。無駄に抵抗されるよかありがたいが……まぁプライドがないやつは生き残りやすいんだろうな、その代わりウザイが。
「ほら、疾く話せ」
「っぁ、3年ほどま、前に千葉県で……神にあった事がある、あります……」
「会ったのは神そのものか、でどのような奴だ?神といえど見た目だけで良い、それでおよそが分かる」
「鱗と皺──ぁああぁ──粘液が!目が、6つの手が!ぬめりぃとぉ!!!!!」
「──ッチぃ!発狂か!」
話していると思ったら急激に体が跳ね、尾赫がめちゃくちゃに周囲へ当たり散らかし始めた。恐らく無意識に忘れ去っていた神を思い出し、狂気が噴出したのだろう。結界系宝具を展開し拒絶する。
思い出すだけ、知覚するだけで発狂する。割と溢れてはいるがその中でも特に狂気に関した神、そんな存在がいる特徴的な神話。
「クトゥルフ由来の神か、面倒な……鱗、皺、粘液、目、6つの手、なんだ……?有名な神では無いのは分かるが」
だが無貌の神では無いのは確かだ。あ奴ならばもっとこの男は愉快なことになっていたはずだ……しかし情報という点で見るとノイズだな、無貌の神は。
(……先程のシルクハットはまずクトゥルフ神話由来では無いな、我の知らない原作由来か。後でオジマンディアスに確認せねばな)
とりあえず、と。眼前で暴れる喰種を見やる。
「……約束を違えるつもりはなかったが、もはや貴様はただの害だ。死ね」
未だ閉まっていなかった宝具を全て射出する。半分ほどは赫子により弾かれたが残りの半分は刺さる、が止まらない。心臓にさえ突き刺さっているはずなのに、手足さえ今や稼働すら難しくなっているはずなのに。
その狂気の目だけはギルガメッシュを捉えて離さなかった。そしてその血が溢れる口から無数の粘液が溢れ出し、泡を形成し、ごぽり……ごぽりと音を立て始めた。
(……これは)
「珍しく他所の神威を感じたと思えば……完璧の王か、死んだのではなかったのか?」
「なに……?」
「いや……そうか、化外の神の仕業か。忌々しい、全の王すら触れることすら叶わぬ神が居ようとはな」
「貴様ッ!我の正体を知っているつもりか!」
「いや、気にすることでもない……化外の神は我らに触れることすら能わぬからなぁ」
……お互い不干渉の存在、という事か?ならば我らはいったいなんのためにこの世界に送られた?ただこの世界で生きるだけならここまで過剰な力は要らない──いや、今は不要な考えか。必要なのは今眼前にいる神の干渉を受けているこの男への対処だ。
「そういきり立つな、何もするつもりは無い」
砲門をさらに70門追加し、100門全てに対神性宝具で路地裏どころかビル街ごと消し飛ばすつもりで向けると宥めるように穏やかな声が響く。
「神の言葉は信用ならんな」
「完璧の王、その名は我々神々の間でも有名でな。神話と人類の決別をした王。如何に力をつけようと其方は我々の首を取れる存在だ、故に敵対するつもりは無い」
「……知らんな。貴様が居るだけで今この場所は歪み始めている──やはり神は要らぬ」
「ほぉ?それは其方の意思か?」
「
「……まぁ良い、如何に其方に敵対されようと我々はこの星から去ればなんの問題もないからな。ただ此度はこちらの落ち度、甘んじてその罰を頂戴しよう」
「では死ね」
仕方が無いので無抵抗になった男を1本だけ射出して消し飛ばす。大人しく死んでくれるならば被害を最小に収める必要がある。
頭部をはじき飛ばしながら背後のビルの壁を何枚もぶち抜きながら飛んでいく宝具を軽く眺めながら思案する。その穴から大量にこちらを見据える人々が見えるが無視して路地裏から出ていく。煙で見えないことは把握済みだ。
「……厄介な」
厄介だ。オジマンディアスから聞いた話だとギルガメッシュは確かに神が嫌いだ、ただそれでも敬意を持つ神も居ると聞く。なのに今脳内に神々を思い浮かべるだけで異常に殺意を持ってしまう。
「……化外の神、我らをこの世界に送り込んだ神。何が目的だ?」
収穫は新たに疑問が浮かんだだけであった。