「まあいいさ……あぁ、今回の件は一応目を瞑ってやるよ。おん?」
「スンマセンッシタ」
「声が小さくて聞こえねぇなぁ?」
「すんません」
「よろしい」
正座。腰にある謎の円が床に突き刺さっているところ以外は見事な正座を披露しているオジマンディアス。目を細めながら下を見ているその姿はまるで雨に打たれている子犬のようで──内心はどうでもいいことを考えている。
(やっぱギルガメッシュってあれだよな……陽光のせいで眩しすぎて直視出来ねぇわ。なんだよあの金ピカ鎧、石化無効くらいしか効果ないがもしかしてあれか?鏡なら石化光線反射できるからピッカピカなのか?そうなのか?)
とまぁ反省の色は一切見えないが、そこもまたオジマンディアス(中の人)クオリティ。外見だけは反省しているように見せかけることは容易く──尚且つ付き合いが長いためギルガメッシュにはバレている。始皇帝はスフィンクスを弄るのにハマったのか猫吸いならぬスフィンクス吸いをして満面の笑みを浮かべている。無駄にいい笑顔だ。
「まぁ貴様が反省してないのは分かってたことだ」
「(ビクゥ──流石にもう騙しきれんか〜)」
「とりあえず雨は止んだ、止めたとも言うがひとまずそれはいい。そんなもん後にしときゃなんとかなる、仮にも俺たちは英霊の体を持ってるんだ、しかも能力ごとな?」
「あー……カリスマとかか。確かに厄介事すぎるな」
「朕考えたんだけど、下手しなくても国家に喧嘩売れるよね?」
「ぶっちゃけ言うとギルガメッシュ単騎で行ける」
「え?そこまでこの体スペック高いの?」
「忘れちゃいけねぇ、この世界は神秘がねぇんだ。つまり制限となりうる抑止力共も存在しないわけだ」
オマケに俺たちの魔力は全ての宝具をフルスペックで使用している状態で数時間全力戦闘ができ、その状態ですら全体の数%程の魔力しか使用されていなかったのだ。つまりどういうことかと言うと聖杯数個分の魔力を常に作り続けていることになる。
普通そんな存在が生まれていて、枷が無い状態の英霊がいた場合抑止力が必ず介入するはずなのだ。だがこの世界は神秘が存在しない、完全物理世界。
「ギルガメッシュが多数保有する宝具、その中で一番やばいのが乖離剣エアだ」
「はぁ……」
「はぁ、じゃねぇよ把握しとけや」
「いやちょっとあんまり現実味がないというか……他人に言われた方がまだ信じられるんだわ。話し続けてくれ」
「お、おう……んん、で何が問題かと言うと、乖離剣エアには2段階の出力が存在する」
「地の理とか天の理とか言うやつか?」
徐に黄金の波紋から赤黒い3つの円筒で出来た剣、らしきものを取りだした。それは脈打つかの如く緩やかに回転していた、どうやら無意識で魔力を込めているようで慌てて手を離し乖離剣エアを地面へと置いた。なお始皇帝はスフィンクスを2匹捕まえてスフィンクス吸いダブルバージョンをしている。
「地の理は〜、まぁ……山ひとつ消し飛ぶくらいだと思っとけ、うん」
「いや雑!てか威力よ」
「は、天の理はそんな次元じゃねぇぞ。乖離剣エアの本領だ、原典のギルガメッシュ曰く「生命の記憶の原初であり、この星の最古の姿、地獄の再現」ということ。
「は???」
「要は地球をぶっ壊す兵器」
「(宇宙猫)」
宇宙猫になってしまっつギルガメッシュを放置し、スフィンクス吸いしている始皇帝の首根っこを掴み、寝っ転がっている体勢から座ってる体勢へと強制的に変えて目の前に座るオジマンディアス。
「なんだよスフィンクス吸ってたのに、1匹くれね?」
「次にお前、お前も宝具の使い方間違えたらやばいから言っとく。1匹くらいやるから話聞け」
「やった……でなんだよ?」
「お前の宝具である、
「ほん……?でもそれ王じゃなきゃ無理じゃない?強いけどさ」
「いやぶっちゃけ言うとこれ多分、政府と取引しちゃえば簡単に条件揃うんだわ」
「あー、なるほどな……いやでもそんなめんどくさいこと──」
「お前さん過去の所業忘れましたかぁ?大学の校長相手に学科から諸々全部変えさせたことあるよなぁ???」
「馬鹿だがらわかんね☆」
ため息ひとつ、こいつら自分たちの脅威を理解していない。ギルガメッシュはやると決めたら止まらず、恐らくブチギレた時が一番ヤバイ。始皇帝は自由気ままであるが故に自身の行いを捻じ曲げられることを嫌う、故にこそ最悪ここ日本がこいつの領土になっている可能性すらある。
「そういうオジマンディアスもやばいぞ?」
「おん?」
「声に出てたよ、俺たちがやばいって……でもお前が一番ヤバイよ?」
少し立ち直ったギルガメッシュが、そういいオジマンディアスを見ながらニコニコと笑っている始皇帝のその姿を見ていると不思議に思う。
(そういえばこいつ、いつから己の自由を押さえつけるようになったんだ?)
「まぁまぁ、それは一旦あとにしろ……オジマンディアス、お前が言いたいことはわかった。最悪俺たちだけで国家を相手取り、なおかつ勝利することができるんだろ?」
「ん、まぁそうだな。だから身の振り方を考えなきゃ、俺たちはストッパーが居ないんだ。止まれねぇぞ?」
「そう、だな〜。確かにそうだわ。あれ??やばくね?」
「今更気づいても遅いぞ」
だからこそ自身の能力の把握と裏付けが必要だったのだ。そういう意味では先程までの大喧嘩は自身の能力を把握するということでは最上であっただろう。ただ被害を考えなければだが。
「だから、どうする?」
「どうするって言われてもなぁ……そりゃもう普通に各々が好きなことをして過ごす?能力的にも単独で完結してるじゃん俺ら」
「あー、そうだな。特に俺が一番ヤバイか」
「黄金律Aだな。直感Aが擬似的な未来視が可能になるってことは──まぁやばいわな」
「うーわ、じゃあこの安アパートにいる必要性ないってことじゃん……ギル、養って☆」
「お前なぁ。まぁいいけどよ……」
「わーい、オジマンディアスはどうすんの?」
「俺は──そうだなぁ……すること……ないなぁ……」
「じゃあとりあえずだが、街歩いてみるか?」
手を合わせてそう提案するギルガメッシュ。その言葉にぱちくりと瞬かせたオジマンディアスは、ニンマリと笑い。
「それいいな、カリスマ系の効果も知りたいし」