思い切りのいいハンドリングで車がコースを疾走する。その姿はさながら熟練のレーサーである。時速にしておよそ70km程だが二台の車はお互い並びながら次のコーナーへと突っ込んで行った。
「やるじゃないか始皇帝!!!」
「いや──」
「そちらこそ!前居た場所で培った技術に追いついてくるとはな!!!」
「待って──」
見事なコーナリング──そう思えたかのように見えた一台の車が、ハンドリングを間違えたのか急激に外側へと膨らんでいき──並行していた一台の車が抜かして行った。
「な、なにぃ!?」
「はっ!そろそろお前のタイヤはすり減ってきてるんじゃないか!!始皇帝!!」
「なんで助手席のブレーキ効かないんだよ……」
「くっ!?無茶なハンドリングで無理をさせてしまったか」
「おかしいよね君達、いつからここレース場になったの?」
綺麗に前へ立ち上がったオジマンディアスが乗っている車はラストスパートになり、エンジンを全力で吹かした。80、90、100と速度が乗っていき、後方の始皇帝が苦虫を潰したような顔してハンドルを殴っていた。
そして勝者の笑みを浮かべてゴールへ辿り着こうとした時、そこには人影が──
「ハハハハハハ!!俺の勝ちだ────」
「止まらんか、戯けが。
鎖が網状となり、車を受け止め。助手席に座っていた教官には保護宝具を用いてあらゆる衝撃から守り、前窓を壊しながら前方は吹っ飛んで行ったオジマンディアスは
──そのまま運転席のアホ面へ振り抜いた。車の側面を削り取りながら拳とともに車の後ろへと吹き飛んでいく始皇帝。
「ブベラバァ!?」
「アホ共が……!」
先程同様助けられた教官はそんな姿のギルガメッシュを見て戦慄していた。だってなんか鬼武者見えるんだもん、それに車壊してたし。
「……チッ、おい教官」
「は、はい!?なんですか!?」
「忘れろ」
「え、いや、でも」
「忘 れ ろ」
そういいなんとなしに2人の教官は手元を見ると100万円の束が置かれていた。そして鋭い眼光でこちらを睨むその姿に全力で顔を縦に振った。そのまま壊れた車から脱出した2人は腰が抜けたのかへたりこんでしまい、超常の現象を目撃した。
「ふんっ、これだけ魔力があれば魔法の真似事はできるか」
まるで逆再生するかの如く壊れていたはずの車が戻っていったのだ。その様子を見て教官の2人は頭がイカれたのかと、今週2度目の精神病院へ向かうことを決意したのであった。
「はぁ……ひとまず交渉は着いた」
「あいてててて、ん?どういうこと?」
「むぐもご!!」
「あぁ、金に物を言わせた」
犬神家状態のオジマンディアスを抜きながらそう言ったギルガメッシュに始皇帝はびっくり顔を晒した。正直そんなことをこいつがするとは思っていなかった。
「え、よくお前そんなことしたな?普段だとやらんだろ」
「めんどくさかった」
「えぇ……?」
「こいつこういうことするからなぁ」
やる時はやる、つまり手段を選ぶことをしないという意味でもある。なお内心としてはこの2人がまともにやることないだろうと確信していたからだ。実際問題こいつらはやらかした、まさかの教習所でレースをやっていたのだ。
「とりあえず、だ。一応免許は発行されるがAT普通免許だ、それ以上のは乗るなよ」
「へーい」
「うーす」
「乗 る な よ」
「「は、はい」」
迫真の威圧にオジマンディアスと始皇帝を囲む様に展開された対人型宝具が2人を狙っていたので大人しく言うことを聞くことにしていた。
「とりあえずこれでやることはやった。じゃあ次住む場所だ」
「そうだなぁ……やっぱ高層マンションだよなぁ!?」
「お、そうだなぁ……」
先程の出来事もあり周囲の人物から見られていたが、彼ら3人が教習所から出た瞬間彼らは何事も無かった如く各々の作業へと戻って言った。その教習所の中には何故か知らないが普段そこでは見られない蝶が飛んでいたとか──
「こいつらほんと……後始末まで全部俺任せかよ……」
「いやだって俺らそういったこと出来んぞ。魔術なんざ使えないし」
「そしたらお前の宝具使うしかないじゃーん?」
「うぐっ、まぁ……そうだよなぁ……」