Fate?☓Faith〇 作:Faith
俺はFateの世界に転生した。記憶を思い出したのはじいさん…間宮切嗣が亡くなった時だ。まあ、全てを思い出した訳ではない。ストーリーの大まかな内容を思い出しただけで、前世の自分については全然だ。
「俺の名前は、間宮ゴロー…あれ?そんな名前だっけ」
きっと、記憶が完全に思い出せていないからだ。どっちにしても俺はじいさんの夢を継いだ。俺は魔術師なんだ。じいさんは魔術を使って人助けをしていたらしい。俺も魔術を使って人助けをしよう。
確か…『Fate/stay night』という作品の主人公が、間宮ゴロー?うん?まあ、そんなニュアンスだったからそうなんだろう。人助けするために生きてる主人公だったはずだ。なら、今の俺と同じだ。
俺は今、生徒会の壊れたストーブを魔術で直している。やり方がわからないけど、何か直れと思うと直る。つまり、俺は魔術師として優れている。凄い俺。
夕暮れになってきた時、カキン!カキン!と校庭から鉄がぶつかり合う音が聞こえた。
「ほう…ハルバードのクラスか」
「そういうお前は、アーチか。弓兵の分際でセーファーの真似事か!」
「フっ、真似事かどうか試してみるがいい!」
何だ、あれ…
片方はハルバードを振り回す青い全身タイツのおっさん。もう片方は両手剣を持ち、どこぞのお笑い芸人ヒ〇シみたいな感じのおっさん。何だよこれ…何か、凄く早く動いてキンキン聞こえる。俺の目がついていけてないのだろう、まるでスローに動いて『うわー』『うおー』とか気が抜ける声を言い合っているように感じる。
「誰だ!」
青タイツのおっさんが、俺に気づいた!
「早く呼ばないと、死んじゃうよ?お兄ちゃん」
「え、誰!」
誰か俺の後ろに突然現れて消えた。今のは幽霊?ってそんなこと言ってる場合じゃない!あのハルバード持ってるおっさんが…あれ、スローモーションで動いてる。え、なに?一応、逃げた方がいいのか…とにかくあの変質者達から逃げよう!
俺が家まで走り出すと、青いおっさんも走り出した。何だちくしょう、俺で遊んでるのか!それとヒ〇シ擬きは消えやがった、しかも消える時『フッ』とかカッコつけてクソムカつく顔でこっち見ながら!イライラするんだけど!
夕方の筈なのに誰もいない!何でだ!いつもの帰り道なら近所のおばさん一人ぐらいはいるのに!て、こんなストーリーだったっけ!何か凄い味方召喚するんだろ…そうだよ、確か土蔵から仲間を呼んで、あの青いタイツ変質者を倒してもらうんだ!
少し息切れしながら土蔵に直行する俺。青いタイツ男がハルバードを振り上げた!…振るの遅。
「よく避けた、小僧!」
「普通に走ってただけなんだけど!」
「ハっ、謙虚な奴だ!」
どうやら、相手からしたら俺がなんか避けたように見えているらしい。何なの?頭まで変なの、見た目だけでも変なのに存在が変なおじさんなの?
「イっ!腕が痛い!?」
「6人目のサーバントだと!」
何か右手にマジックで書いたような模様が出て来た。え、ナニコレ。しかも、何か床が光って女の人が出て来た!?そして青いタイツのおっさんを謎の風で吹き飛ばした。
「―――問おう。貴方が、私のマスターか」
夕暮れの光が彼女を照らす。俺はこの日の光景を忘れないだろう――夕暮れに照らされたボンテージ姿の中年女性が、カッコつけようとキリッとしているけど、全然カッコよくない光景を―ーー
「あ、貴方は…」
「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した…間違えました、セーファーです」
「え、あ、うん。」
「早速ですが、ゴロー」
「何で俺の名前知ってるの、こわ」
「魔力供給が必要です」
何かいきなり脱ぎだした!?あと、何で俺の名前知ってるのこの人!怖いだけど、とにかく、この人が脱ぐのを止めさせる…力つよ!?何だこれ、全然勝てねえ「そんなに急かさないでください」違うわ!何で顔を赤らめるんだお前は、あと何で青いタイツの方は見てるだけなんだ。吹っ飛ばされたけど庭に佇んでるし動かないし怖いは!
いくら何でも変だ。Fateの話はこんなはずじゃない…待てよ、俺の記憶では全年齢版しか知らなかったんだ。記憶は穴だらけだが、確か元々Fateはエロゲーが最初だったはずだ。つまり、この展開はR指定の方の展開なのか?まてまて、だとしても変だ。主人公の相棒は確か女性のアーサー王のはずだ。これは確かな記憶だ、でも俺の目の前にいる女性は…黒髪、アジア系の顔というか日本人じゃね?…???もしかして、俺の知らないFate作品の世界なのか!
「ちょ!?俺のズボンを下ろすな!」
「何を言ってるんですか!魔力供給が無いとハルバードを倒せません!」
「何するんだよ!?」
「私に魔力を注ぐんです!マスターとして当然の義務でしょう!」
---俺はこの時の事を忘れないだろう―ーービリビリに破かれた俺のズボンを片手に、出会って早々合意もないまま魔力供給させられた日の事を―ーーついでに、魔力供給しながら謎のビームで青いタイツ男を消し飛ばした女性を見て、忘れることができなくなった。
そして唐突に現れるヒ〇シ…お前、俺に怨みでもあるのか?魔力供給してる俺を見てニヤケるのを止めろ。しかも、人家の塀に立ちやがって!
「貴方がセーファーのマスターになるなんて…間宮ゴロー君?」
「誰だよ」
「あら、遠坂 蘭よ。蘭でいいわ、ゴロー」
「馴れ馴れしいなお前」
「私とあなたの仲じゃない」
「話したの今が初ですよね?」
「あーお腹空いた。ゴロー何か作って」
「おい、待てよ。え、どうやって家の鍵開けたの?何で合鍵持ってるの?こわ」
ヒ〇シと蘭が来て、何か無駄に魔力供給を迫って来る女性…気持ちの整理が追いつかない。でも、自分の家だし中に入る。お腹がへっているし、意味がわからないので仕方なく料理を作ってやることに。
「この味噌汁の味がなってないな」
「だったら食うな」
「この肉炒めも美味しくない」
「文句あるならお前が作れ」
「この漬物はもっと漬けろ」
「それはスーパーの品だ。お前、料理したことないだろ」
クソムカつくヒ〇シからの言葉攻めを受け流しつつ、蘭から聖杯戦争について聞いた。こんな、変質者や痴女、ヒ〇シみたいな奴らが殺し合ってるだって!なんて地獄なんだ聖杯戦争。よし、俺はマスター権を放棄しよう。
「喜びたまえ、君の願いはようやく叶う」
何故だ…俺はマスター権を放棄しようとしたら、教会に行けば放棄できると聞いたんだ。そこにいた神父様に聖杯戦争について改めて説明を受けた後、放棄したいと伝えた。名前も伝えたら突然笑い出してさっきの言葉だ。意味がわからん。
「あの、神父様?」
「正義の味方になりたいのだろう?」
「いえ、別に人助けさえできれば」
「喜びたまえ、君の願いはようやく叶う」
「それさっき聞きましたから!俺はマスター権を放棄したいんです」
「喜びたまえ―ーーー」
「あ、駄目だこれ。ドラクエ方式の奴だ」
協会から出ると、痴女とヒ〇シ、そして蘭がいた。俺はどうやら逃げられないらしい。これも主人公の運命なのか。誰か変わってくれ…
「ふーん。続けるんだ、マスター」
「俺は放棄したいと伝えたぞ」
「じゃあ、ここからは敵ね」
「ねえ、話聞いて?」
蘭は何か黒い球を指に集めて霊丸みたいなポーズしてきた。同時に痴女のセイ…セーファーが俺の前に出る。いや、当然のように魔力供給を要求するな!
「お兄ちゃん。セーファーのマスターになったんだね」
何で俺の周りは突然現れる女性しかいないの?あ、あの時、俺の後ろに消えた幽霊女性。何で俺より年上そうな女性にお兄ちゃん呼びされなきゃいけないの?新手の拷問ですか?いや、この意味わからん状況そのものが拷問だけどさ。
「やっちゃえ、バーザーガー!」
「こんどは裸のおっさんかよ!何なの、聖杯戦争はおっさんとかしかでないの!」
「くっなんて威圧感なの!」
「え、どこが?」
俺の目には中年のハゲたおっさんにしか見えない。確かに筋肉質ではあるが、どっかしらにいそうな日本人…聖杯戦争…恐ろしすぎる。いろんな意味で、だがわかった。こんな怒涛な展開繰り返してたら印象に残る。これを修正していってFateになったんだな、なるほど有名になるだろう。少なからず、俺にとって一生のトラウマになりそうだ。
俺が考え込んでる間、ヒ〇シとセーファーが戦っていた。…あれ、あのバーザーガー強くね?あの怪力セーファーを持ち上げてるだと!めっちぇ足がプルプルしてるけど。そのまま投げ飛ばし、木をなぎ倒しながらセーファーがこっちに飛んできた!?
「くっ、強い!」
「大丈夫かセーファー!」
「ゴロー!魔力供給です!」
---俺はこの時の事を忘れないだろう―ーービリビリに破かれた俺のズボンを片手に、合意もないまま魔力供給させられた日の事を―ーーついでに、魔力供給しながら謎のハゲのおっさんを消し飛ばした女性を見て、忘れることができなくなった。
俺…主人公なのかな…だったらお願いします。誰か、交代してくれ。
見てくれてありがとうございます。