[NEUE 惑星セルダール 空軍基地近郊 リゾートホテル"エレノアール"]
[現地時間 PM8:50 天候:曇り]
「さぁ、どうぞ食べていってください。新人社員達の練習にお付き合いいただく格好になってしまって申し訳ないのですが…」
「いえ、こちらこそすみません。わざわざ僕達の為に、こんな時間にビュッフェの用意をしていただけて…しかも全陣営、全クルーだなんて…」
「異世界からの宿泊客は、今でもホテルにとって貴重な経験ですのよ。特に今回は、初めて交流する世界の方々ですから」
聴取の最中に姿の無かったミントは、一時会談をタクトに任せて夕食と宿泊の用意を指示していたという。しかも驚いたことに、このリゾートホテルは先週落成式が済んだ新しいものというばかりか、プレオープンの予約客よりも早く自分達が宿泊してオープニングスタッフのトレーニングに付き合わせるという待遇だった。
タイミングや諸事情はあるが、まさか生きて完成直後の高級リゾートホテルに泊まれるとは思わなかった。エメリアとユージアしか知らなかったガブリエルにとっては、今後恐らく訪れないであろう非常に貴重な経験である。
「他の方々にはお会いしたのですか?」
「えぇ、主に重役の方々からお会いしていますが、キールさんに限っては特に心配でしたから」
「そう言われると、何と返したら良いか…」
「お気になさらなくても大丈夫ですわ。ただ私がキールさんの無事を確認したかっただけですの」
「恐縮です、ミントさん」
「では失礼して、他の方にもご挨拶を済ませてきますわ」
「分かりました」
しかし、いくら表向きは新人教育を兼ねたベッドメイクやディナービュッフェと言っても、遭難者と関係者への待遇としては凝りすぎている。恐らくミントの目的は他にあるはずだ。
ミント…いや、ブラマンシュ商会の目的は、
…そうか、UGSFがマイヤーを艦隊司令として寄越したのは、
もっともそう言ったところで、そんな大事なことを流石にガブリエルの耳に入るような範囲では話すまい。第一、ただの大学生がそれを聞いてどうする?
「…貴女がミント・ブラマンシュ総帥でしょうか?」
「はい、そうですが…もしや、あなたがマイヤー准将ですの?」
「そうです。お目にかかれて光栄です」
「いえ、こちらこそ…この度は遠方よりご足労いただき、恐縮ですわ」
(…なんてこった、僕に聞こえるところで会っちゃったのか!?)
「この度は我々の国の者が、大変なご迷惑をおかけした次第で…」
「とんでもない、むしろ助けていただきましたから…」
(…ミントさんは確か、僕の思考を読めたはずだ。多分、ここを離れていくんだろうな)
「積もる話もあるでしょうし、静かなところに参りましょう」
「分かりました、お願いします」
(ほら、やっぱり…流石に商談は民間人に聞かれちゃマズイよな)
予想通り、ミントとマイヤーは個室とおぼしきドアの向こうへと消えていく。
商談や密約の中身など、ガブリエルの知ったことではない。しかし
こんなことを気にするくらいなら、もっと他の人と話してみたいが…
「…君か、漂着時に私を助けてくれたのは?」
「あれっ…あなたは?」
「
「えっ、もうオーシア語を話せるようになったんですか!?」
「オーシア語?単に小型端末とやらの燕翻訳だかを咬ませて話しているだけだ」
「燕翻訳…あぁ、データスワローか、なるほど。同時翻訳機能が生きているんですね」
「仕組みは分からないが、そうなんだろうな」
次に現れたのは、昨日助けて今日の午前中に聴取を受けていた男、封建王朝国から来た呉林だ。もう
結局、翻訳にあたってトランスバールではなく
言語の壁を突破できたのなら、当初の目的であった亡命も容易いだろう。
「夕食と宿泊を勧められて、周りの職員共々来てみたんだが…なんとも慣れないな」
「食事がですか?」
「確かに見慣れない料理ばかりだ。"食べられそうな量で何でも好きに取れ"と言われたが、ビュッフェと言うのか。そんな食べ方にも馴染みがない」
「元の国ではこういうスタイルは無かったんですか?」
「食べ放題方式か。下町ではたまにあったが、そういうものは王朝の目にふれないようにやっていたから、私には経験がない。元々こんなに奔放な食習慣は、国を挙げて禁じられていたのもあるな」
「そうか、ビュッフェスタイルが禁制だなんて…食料の生産が人口に追い付いていないのかな…」
「だが何より慣れないのは、この珍妙な服装だ。葬式か?」
「そうじゃないですよ、この辺は多分歴史と文化の問題だと思います」
「その辺りは慣れるしかないな…とりあえず少しずつ取って、食べてみるか…」
呉林の文句も分からなくはない。食習慣や料理の場合はハッキリしやすいが、異文化に触れるというのはこういう困惑と隣り合わせであると思い知らされる。
実際、セルダールに来てからの自分も
そのギルバートはどこに居るのだろうか?
ホテルに誘われたのはダライアス軍も同じのはずだ。あんなにあからさまな飛行機野郎っぷりを持つギルバートが、こういう集まりを断るとは思いがたい。他陣営のエースと関わる絶好の機会なのだから。
周りを見回してみると、ギルバートはバーカウンターでケヴィンと飲み交わしていた。思った通り、グラディウス軍と接触したのか。
「…おっ、キール君か」
「お邪魔します」
「ご苦労だ、ガーベラ」
「とりあえず1杯やるか、タダだし。酒は呑めるか?」
「辛いものでなければ…マスター、このミント・スペシャルとは?」
「それはグループの総帥ミントお嬢様をイメージした、お菓子の甘さを活かしたカクテルです」
「ミントさんの…ではそれでお願いします。」
「わかりました。異世界人に振る舞うのは初ですよ」
バーテンが酒を作り始める間に、ギルバートとケヴィンの酒を見る。
見たところ、2人が呑んでいるのはブルームーンだろうか。異世界なのに見覚えのあるカクテルがあるのは、何とも不思議な気分だ。それも2人は結構飲み進めているようで、顔が赤い。
「何の話でしたか?」
「何って、バクテリアンが何なのか聞こうとしただけさ」
「そうだな、君も来たことだし改めて話そうか。UGSFには既に伝えてあることだがな」
「バクテリアン…何者なのでしょう?」
「文献で確認される限りでは、グラディウスの民が1350年以上にも渡って戦っている敵だ。一説には、元々グラディウスに居た先住民の一部らしいんだが…」
「先住民?」
「リーク人と言うんだが、私もその末裔だ。当時のリーク人が何を考えてグラディウスと張り合ったのかは、我々にもよく分からない」
「13世紀も経てば戦争を始めた当事者達は皆居なくなってるよな、普通に考えて」
「グラディウスの民は後に地球と呼ばれる惑星を開拓し植民星としたが、しばらく後に今度は人間大サイズのバクテリアンが現れてな。その対応にも追われている」
「地球を開拓してからどれくらい経って現れたんですか?」
「最初のグラディウス人が辿り着いてから2000年は間違いなく経っているな。その為、グラディウス本星の文献と大きなズレがある」
「単純計算で3350年前か?」
「恐らくもっと長いだろう。そもそも地球に現れた小型バクテリアンが、グラディウス軍が長らく戦ったバクテリアンと同一なのかも解明できていない」
「分かってないのか?散々戦ってきたのに?」
「ビックバイパーの延長線で造られた
「サンプルが残らないのはやり過ぎじゃないか?」
「戦ってる当人達は、そこまで考える余裕が無いのかもな。あるいはバクテリアン側の機密保持で、わざと残骸が残らないようになってるのかもしれない」
「グラディウス軍に情報を与えない為に…理にかなってますね」
先程まで戦ったバクテリアン、グラディウス管理下の地球で現れた小型バクテリアン…いずれもグラディウス人達の頭を悩ませる様だが、分析はそんなに進んでいないようだ。それがバクテリアン側の作戦なら、素人目にもかなり巧い。
同時に数十世紀にも渡って戦って尚グラディウス軍とバクテリアンの戦いが決着しないのは、相当対応に困っていることが見て取れる。互いに決定打を与えられるような戦略が無いのだろう。
「お待たせ致しました、ミント・スペシャルです」
「あ、ありがとうございます…下は赤いシロップでしょうか?」
「…何だこれ、上の層は宝石っぽい青さだな。酒でこんな色が出来るのか?」
「それに混ぜてあるのは小さなゼリービーンズか。これでもかというくらいの多さだ」
「ホイップクリームにカラースプレーチョコ…お菓子のアイコンをここに持ってきたのですね」
「ゼリービーンズはお嬢様のお好みで下はストロベリーシロップ、その上の青い酒がグループ極秘調合の菓子由来のリキュールです」
「お菓子から作る酒…イメージしにくいですが、実在するんですね」
軽く話す間に出された酒は、グラスにビルドされた青と赤の鮮やかなカクテル。その境界にはゼリービーンズが浮かび、上にはパフェを思わせるようなクリームが乗っている。
下のシロップがイチゴなのは想像しやすいが、青い酒が菓子由来?同時にイチゴやゼリービーンズと調和する?しかも飲むときはデザートスプーンが必須らしい。
菓子の甘さを活かしたと言っていたが、これではまるで甘いもののゴリ押しだ。それで酒として成立するのか気掛かりだが…。
「まずはお試しを。異世界人の口に合うか、我々も気になります」
「そうでしたか。それでは…」
「…男が真顔でクリームをつつくって不恰好だな」
「ゼリービーンズも取りにくそうだ」
「…あっ、ゼリービーンズにチョコレートボンボンの味がする…」
「チョコレートボンボン?ゼリービーンズも菓子の味をした特注品ってことか」
「…青い酒はブルーキュラソーっぽいのに、わたあめみたいな優しい甘さがある…不思議な味ですね…」
「ザラメの風味があるのか。随分変わった酒だな」
「…そうか、イチゴのシロップは青い酒を飲みきってから口直しになるように入れてあるのか。爽やかな味の品種を使ってるんですね」
「お嬢様は1杯だけ飲んでお休みになられるようにしているので、口直しに別のグラスを用意せずに済むようにしたそうです」
「1杯限りで口直しまで計算に入れたカクテルって、あまり聞いたことがありません」
「悪酔いせずに済むという訳か。パイロット向きのカクテルかもしれないな」
目が眩むような強い酔いは、このカクテルには無い。1杯限りを前提とした暴力的な甘さの割には、非常に飲みやすかった。
引き続きケヴィンとギルバートの話を聞くことにしたガブリエルだが、心なしか若干空腹を覚える気がする。
「すみません、話の途中でしたね」
「では次は…ダライアス軍の話を聞きたいな」
「ってことは俺の番か。よし、軽く話すか。聴取の時に話したことだけど…」
「あの魚介類っぽい戦艦の軍ですね。ベルサーと言いましたか」
「そう、ベルサーはダライアス連合軍の守備範囲外にも広く展開してる連中だ。目的は宇宙の制覇と言われてるが、その先にあるものはまだ分かってない」
「何が狙いで宇宙を征服しているのか分からない…バクテリアンにも通じる不気味さだ」
「目的が分からないと対策のしようもありませんよね」
「更に言えば、ベルサーと同じ種類の戦艦を持っている別の勢力も居てな」
「別の勢力?」
「俺達は
「ダライアスの敵対勢力は海と縁でもあるのか?」
「さぁな、でもそうとも勘繰りたくなるレベルだ。逆に船らしい軍艦を見たのは、今回で久々かもしれない」
「そんなに言うほど魚ばかりだったのか。錯覚があってもおかしくない状態だな」
「ベルサーと
「とりあえず
「ということは、
「ベルサーが最初にダライアスに侵攻して今まで1700年は戦ってるから、
「気の長い話だ。グラディウスとダライアスは、もしかしたら同じ理由で疲弊しているのかもしれないな」
「俺もそう思ってるぜ…それに正直、
「守備範囲を広げないといけない訳ですから、気にもなりますよね。相手の規模も分からないのなら尚更…」
今の時点で100年以上続くと見込まれている
「キール君は大学生だったか。軍人じゃないってことは、最前線の事情とかは知らないよな」
「そうですね…直近では強いて言えば、軍事帝國と呼ばれている異星人と戦争が始まっているくらいです」
「軍事帝國か。それがどういう国なのかは分かっているのか?」
「まだ調査中のようです。捕虜も亡命希望者も居て、彼等からの話を元に文化や政治体制を推定しているらしいのですが、それも複数説があるらしくて…」
「相手が人間であると分かっているだけでも、バクテリアンよりはマシかもしれないな」
「もちろん人間じゃないエイリアンだって存在しますよ。大学の講義で聞いたのは
「エイリアンという表現をするのなら、言葉が通じる種類の生命体ではないのだろう」
「そのはずなのですが、
「そいつ、機械なのか?
「分かりません、実際に会った訳ではないので…」
「流石に接点は無いか。それじゃ知りようもないな」
一通り話し終えた後で、ガブリエルの腹の虫が鳴り始めた。まだ本格的に何かを食べるには早いと思っていたが、予想以上に消耗していたらしい。
もう少し話を聞きたかったが、仕方無い。ガブリエルは一度退席するしかなく、その足でテーブルに向かうのだった。
「…あ…」
「何だよ、何も食べずに呑んでたのか?悪酔いするぞ、それ」
「すみません、話が興味深かったので…」
「今からでも遅くない、何か食べると良い。特にリブステーキが非常に美味かったぞ」
「ありがとうございます、失礼します!」
「…大学生の割には、やたらと異世界に興味を持つな。外交官向きか?」
「どうかな。だが悪い気はしないね。将来有望だ」
一通り料理を取ってからテーブルに戻ると、明らかに自分のスペースが向かいの席に侵食されているように見えた。
椅子から脚を伸ばしても相手を蹴らないような、かなり幅があるテーブルのはずだ。ところがその過半には、スペースを埋め尽くさんばかりの皿の数々に、まさに食の万国博覧会の様相を呈する料理が並んでいた。
食欲の大小はあるだろうし、ガブリエル自身も比較的よく食べる方なので、相手の気持ちは予想できる。だがそのレパートリーと量を見れば、向かいの席の人は美食家ともフードファイターとも見分けがつかない。
「…失礼します…」
「うん、いらっしゃい」
「…んっ?その声はもしや?」
「ガブリエルだね、さっきはお疲れ様」
「あ…インパルさん…」
「もう
フードファイトとおぼしき量の料理に挑んでいたのは、数時間前まで自分とエレメントを組んでいた青髪の女性だった。
どこぞの高校生や大学生によくある健康的な体つきだが、ドレスのせいか色っぽく引き締まって見える。あんな華奢な身体のどこに、こんな大量の料理が収まるというのか?
どこから話題に上げて良いのか呆気にとられるところだが、ガブリエルも空腹なので着席し食べ始める。奇しくも食べ始めたのは、彼女が今まさに手をつけているものと同じボルゴデレスト風肉厚プライムリブだった。
…いや、NEUEなのだからボルゴデレスト風であるはずはないか。確か解説には「クリオム風プライムリブ」と書いてあった気がする。
「…そう言えば約束、果たさなくちゃね」
「約束?」
「うん、生還したら名前を教えるって約束」
「覚えていたんですね。あれ、何かの冗談かと思いましたよ」
「最初はそのつもりだったけど、教えないのも悪い気がしてさ」
「そんなしょうもないことでからかっちゃダメですよ」
「だよね…ワイン、呑める?」
「大丈夫です、いただきます」
「よし、グラスを出して…」
インパルと名乗っていた女は、ガブリエルにスパークリングワインを薦める。
食前酒を飲むようなタイミングではないはずだが、断る理由はないのでガブリエルはグラスを渡し、注がれる様子を眺めた。思えばセルダールに流れ着いてから、初めて酒を呑む気がする。しかもワインと言いながら、好みのウスティオ産とは随分と香りが違う。
「…乾杯しますか?」
「良いよ。でもその前に…」
「…?」
「約束だよ。私はフィオナ」
「フィオナ…さん?」
「そう、フィオナ・アルベルト。UGSF所属…って、もう知ってるよね」
「さっきまで一緒に飛びましたからね」
「まぁね。とりあえず、生還おめでとう」
「乾杯…」
名前を勿体ぶるという妙な初対面の割には、あまり変わった名前ではなかった。まさかのUGSFの英雄ハイニック一族でも名乗るのかと思ったが、期待しすぎたようだ。
しかし、フィオナ・アルベルトか。他のクルーが
最初は自分と同じく数合わせで起用されたのかと勘繰ったが、まさかあの
「オーシア語、上手なんだね。データスワローを使わないでオーシア語を話す人は久々だよ」
「そう言うフィオナさんはオーシア語じゃありませんね。どちらかと言うとノルデンナヴィク語に聞こえます」
「ふぅん、どうしてそう思ったの?エストバキアみたいな訛りは無いつもりなんだけど」
「言葉の選び方です。
「そっか、さっきの
「もしかして違いました?」
「ううん、ノルデンナヴィク語で合ってるよ。単にそっちを聞いて育っただけなんだけどね」
データスワローの同時翻訳を介さずオーシア語が通じる。しかも相手はほぼ同じ言語のノルデンナヴィク語で応えられる。それどころか訛りの強さで有名なエストバキア語も知っている。やはりフィオナは異世界人ではない。
ここに来て、ようやくガブリエルは同郷の仲間に会えた気がした。実際は同郷どころか遥か遠くの星の民かもしれないのだが、UGSF所属という意味ではストレンジリアルの同郷、同じ
本当はタスクフォースとして先に接触したアレクセイ・マイヤーやイリーナ・スターレンスに対してそう思うべきなのだが…。
「…
「えっ?」
「
「
「
「いや…」
「
「
「
「…
「…ぷっ…ふふ…」
「くくく…ははは…」
「しょうもないなぁ、こんなことで意地張っちゃって…」
「ですよね、たかだかエメリア語が話せるだけで…」
フィオナがエメリア語まで話せるのは意外だった。
もはや地球上のエメリア人以外に、エメリア語を話す者など居ないと思っていたのに。むしろ銀河連邦の中ではオーシア語に塗り潰されそうになっている言語ですらある。
それをわざわざ覚えたのか、あるいは身近でエメリア語話者が居たのか。いずれにせよ、フィオナの口調はネイティブのガブリエルが聞いてもかなり慣れた感じだった。
これだけで、彼がフィオナに好意を抱くには十分であった。それが吊り橋効果故なのかもしれないと思いつつも…。
「
「明日聞こうと思ってる。予報だと明日は豪雨で、宇宙に上がれないんだってさ」
「雨で宇宙に出られない?」
「雨雲で敵襲を捉えられない可能性を気にしてるのかもね」
「…外にはベルサーもバクテリアンも居るんですよね?」
「そのはずだよ」
「…僕、無事に帰れるでしょうか?」
「帰してあげるよ、安心して」
「…お願いします。もう皆さんに頼るしかないんです」
「弱気だなぁ…まぁ、この状況じゃ仕方ないか…」
今はとにかく、無事に
フィオナもUGSFのクルーも、他の陣営の皆も、自分のために粉骨砕身で戦ってくれている。
頭では分かっていても、ガブリエルの不安はどうにもならない。今はただ、食べて呑んで不安を忘れるしかない…。
「…ガブリエル、ケーキ取りに行こうよ」
「えっ、もう食べ終わったんですか?かなりありましたよね、あのリブロースとかミートパイとか…」
「いやぁ、あんなの軽い軽い!」
「えぇ…どうなってるんだろう…」
「ほら、行くよ!次はチーズタルトが来るって!」
「あ、はい…」