「じゃあねミーちゃん」
夕暮れ時のとある民家の屋根の上、ドラえもんはガールフレンドであるミーちゃんとデートを楽しんでいた。帰り際、ふとドラえもんがハッと思い出して言った。
「そうそう、ママからもらった煮干しをあげるよ。美味しいよ」
「ミャアミャアww」
全身を白い毛に覆われ、首から赤い紐で結ばれた鈴をつけたミーは喜んでそれにかぶりつく。
「フフフ、それじゃまたね」
ドラえもんは満足そうな笑みを向けると、ポケットからタケコプターを取り出し、それを頭に装着し岐路に着く。
そして2階の窓からのび太の部屋に戻ると、そこには誰もいなかった。ただ座布団とアカギのコミックスが1冊、無造作に投げ出されたように置かれていた。しかし、部屋はもう薄暗くなっており、ドラえもんはそれに気付かなかった。
「あれ、のび太くんはどこかに出かけてるのかな?」
その時、階下からのび太の母親である
「のびちゃん、ドラちゃん、ご飯よー」
「はーいママ」
ドラえもんは大声で返事をすると、そのまま階段を降り、キッチンへと向かう。そこには料理を盛り付ける玉子と、のび太の父であるのび助が食卓に向かい新聞を読んでいた。玉子はドラえもんの姿を見て軽く首をかしげる。
「あら、ドラちゃんだけ?」
「あれ、のび太くん先に来てなかったんだ」
「こっちにはまだ来てないわねえ。てっきり部屋にいると思ったんだけど、いなかった?」
「うん、部屋にはいなかったよ」
「あら、それじゃトイレかしら」
そうして3人で5分ほど待つがのび太は現れなかった。
「ボク、もう一度見てくるね」
「お願いねドラちゃん」
ドラえもんはキッチンを飛び出し、トイレのドアをノックする。しかしそこには全く人の気配はなかった。そしてそのまま階段を上がり部屋へと向かうが、やはりのび太の気配はなかった。
ドラえもんは部屋の明かりを点ける。すると、部屋の中央に無造作に置かれたアカギのコミックスがドラえもんの目についた。のび太はだらしないイメージが強いが割と几帳面な所があり、部屋はいつもキレイに片付いていた。このように漫画本を出しっ放しにする事はほとんどない。ドラえもんはイヤな予感がした。
「ま、まさか…」
ざわ・・・
ざわ・・・
ドラえもんは恐る恐るコミックスを拾い上げ、中を確認してみる。するとそこにはのび太が麻雀を打っている姿が発見された。
「の、のび太くん!?」
ドラえもんが慌ててポケットの中を確認すると、予想通り絵本入り込み靴が1組なくなっている。
ドラえもんはページを流し読みすると、のび太がワシズに振り込むたびに自身の血液を抜かれているシーンが描かれている。東1ですでに7本場、ワシズは三倍満、親満ツモの後に2900点や5800点などを小刻みにのび太からアガり、泣きわめくのび太を眺めては恍惚に浸っていた。
ドラえもんがさらに続きの巻数のコミックスを開くと、そこにのび太の姿はなく通常の物語になっていた。どうやらのび太が入り込んだコミックスだけがストーリーが変化している、いわゆる
「大変だ、すぐに助けにいかないと。待っててのび太くん!」
ドラえもんは四次元ポケットから絵本入り込み靴を取り出すと、それを履いてコミックスの中に飛び込んだ。
続く☆