雀鬼ドラえもん   作:クリリ☆

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麻雀の牌姿(はいし)は
漢数字がマンズ、英数字がソウズ、〇囲み数字がピンズを表しています。

また、会話の中の牌の種類は、萬はマンズ、索はソウズ、筒はピンズを表しています。



イカサマ発覚

東2局、スネ夫の親番。

 

 

東家:スネ夫25000点

 

南家:しずか25000点

 

西家:ドラえもん31400点

 

北家:ジャイアン18600点

 

 

局の中盤に差し掛かった頃、ジャイアンからスネ夫にサインが通される。

 

 

(スネ夫、テンパイしたぞ。待ちは69索。高め9索だ!)

 

(OKジャイアン!)

 

 

そのサインを受けてスネ夫、手にあった9索を切り出す。そして次巡、スネ夫は適当な牌を手牌から抜き出して牌を横に曲げる。

 

 

「よーし、リーチだ!」

 

 

そのリーチを見てドラえもんは首をかしげる。

 

 

(おかしいなぁ、ボクの手牌予測ではスネ夫の手はまだ2シャンテン(※1)だったはずなのに…。いや待て、これは!)

 

西家のしずかがスネ夫のリーチに対して無筋の牌を強打する。それを受けてもスネ夫はあまり関心のない様子で、涼しい顔をして見送っていた。

 

 

(サーモグラフィーモード始動、スネ夫のバイタル確認…。リーチ前後での血圧、心拍数、体温変動無し。眼球運動軽微。しずかちゃんの捨て牌に対しての関心感じられず…。明らかにリーチをした時の精神状態からかけ離れている。恐らくこのリーチはノーテンリーチ(※2)だ!!)

 

 

この時スネ夫の手牌はバラバラだった。ドラえもんの読み通りスネ夫のリーチはノーテンリーチだった。

 

 

(そうか、恐らくスネ夫のリーチは囮。きっとスネ夫の現物(※3)でジャイアンが張っているに違いない! となると、くさいのはリーチ直前の9索の筋…)

 

ドラえもんがジャイアンの捨て牌を見ると、そこには3索が切られている。

 

 

(そうか、ジャイアンの待ちは69索の一点だ!)

 

 

この時のジャイアンの手牌、

 

 

一一一二三七八九78⑦⑧⑨

 

 

9索だと高めジュンチャン、ピンフ、三色、ダマでもハネ満まであった。

 

そしてドラえもんの手牌がこちら、

 

二二二三456666999

 

 

9索はスネ夫が1枚切っている。残り7枚の69索を全てドラえもんが手牌で使い切っていた。

 

 

(残念だったねジャイアン、その手は死んでいる。69索は全部僕が握り潰してるよ…)

 

そんな中、ドラえもんはひょっこり自らの和了牌である三萬をツモってしまう。

 

 

二二二三456666999 ツモ三

 

 

 

(あら、高目の三アンコウをツモっちゃったよ…)

 

 

が、ドラえもんは小考する。

 

 

(こんな手をアガってもしょうがない。それより流局させてスネ夫の手を覗いた方が面白そうだ。でも問題はしずかちゃんだな…)

 

 

しずかはここまで親リーに対して危険牌をガンガン押している。よほどの良い手なのだろう。

スネ夫はノーテン。ジャイアンの待ちはすでに死んでいる。ここで一番マズいのはしずかがアガり切ってしまう事だった。

 

 

「カン!」

 

 

ドラえもんは持っていた6索を暗カンする。するとしずかが悲しそうな表情を浮かべた。

 

「もうドラちゃんったら。親リーが入ってるのにカンするなんて、もうこれ以上押せないわ…」

 

「ごめんね、しずかちゃん…」

 

 

次巡、しずかは悔しげにスネ夫の現物を切り出していく。恐らくは面子の中抜きだろう。これでしずかは完全に死に体となった。

そして誰も和了しないまま、ついにラス牌となった。その瞬間、ジャイアンからスネ夫に再びサインが通される。

 

 

(スネ夫、差し込め!(※4))

 

(えっ、差し込みって、どういう意味だよジャイアン!?)

 

(どうせお前ノーテンだろ。だったらオレのロン牌をお前が切れよ!)

 

(無理だよジャイアン。ボクもうリーチしちゃってるからツモ切りしかできないし、それに手牌に69索がないよ!)

 

(バカ野郎、河(※5)から拾ってくりゃいいじゃんかよォ!)

 

(そんな無茶なぁ…)

 

(やれ、スネ夫。それとも、オレの言う事がきけないのかよォ!)

 

(わ、分かったよジャイアン…)

 

 

ノーテンリーチは流局時にチョ ンボ扱いで満貫分の支払いとなる。親の満貫も子のハネ満も同じ12000点。どうせ同じ点数の失点ならジャイアンに差し込んだ方がマシだ。そんな利がスネ夫を後押しする。

 

トクン、トクン…。高鳴る鼓動を感じながらスネ夫は手の中に牌を1牌握りこみ、山からツモる時に河の9索を拾いこみ、手の中の牌と入れ替える。さらに今度はツモった牌と、拾った9索を入れ替え、さも9索を今ツモったかのように、9索を卓に強打する。

 

 

「ロン、ハネ満だスネ夫!」

 

 

一一一二三七八九78⑦⑧⑨ ロン9

 

 

「うわぁ、やられたよジャイアンー」

 

 

スネ夫はわざと大げさに演技をしてイカサマをごまかした。

 

しかし、すぐにドラえもんはその不正行為に気がついた。

 

 

「ちょっと待った! 今イカサマしたでしょ!」

 

「ああ? 何言ってるんだドラえもん」

 

 

当然のごとくスネ夫はしらばっくれる。

 

 

「イカサマだっていうなら証拠でもあるのかよォ。憶測で物を言うんじゃねぇ!」

 

 

ジャイアンもスネ夫を援護する。

 

「証拠ならあるよ」

 

「何だと!?」

 

 

するとドラえもんは腹部に付いている四次元ポケットから何やら道具を取り出した。

 

「タイムカメラー!」

 

「タイムカメラ!?」

 

「このカメラはただのカメラじゃない。撮りたい時間をセットすると過去にさかのぼって写真を撮ることができるんだ。これで取り逃したベストショットも再度取り直せるという訳さ!」

 

「な、何ィ!!」

 

 

するとドラえもんはタイムカメラでスネ夫がハイテイ牌をツモった時間をセットし、写真を撮る。すると、まさにスネ夫が手の中の牌と河の9索を入れ替える瞬間が写し出されていた。

 

 

「さあ、これをどうするスネ夫!」

 

「対局中に未来道具を持ち出すなんてズリいぞ」

 

「何言ってるんだ、ズルをしたのはキミ達だろう!」

 

「うぐぐ、くそ…」

 

 

さすがに証拠写真とあっては言い訳の余地が全くない。ジャイアンとスネ夫はただ引き下がるしかなかった。

 

「まあいい、今回だけは子どもの悪戯だと思って見逃してあげるよ。」

 

「え、いいの!?」

 

「今回はイカサマ前にツモった牌でゲーム続行にしてあげる。それより今度こんなナメた真似したら、その指を全部切り落とすからね」

 

「ええっ、指を切り落とす!?」

 

「フフフ、ケガしたくなかったら大人しくしている事だね。それとも、ボクの手みたいになりたいのかい?」

 

 

そう言うとドラえもんはジャイアンとスネ夫に見せ付けるように、自身の白く丸い手をまざまざとかざしてみせる。それを見て、二人の顔から血の気が引いていった。

 

そして、誰も和了できず、流局が成立する。

 

 

「さあスネ夫、見せてもらうよ、そのリーチの中身を!」

 

 

ドラえもんがスネ夫の手牌を倒すと、案の定スネ夫の手牌はノーテンだった。

スネ夫、ノーテンリーチ発覚により4000オールの失点。

 

 

 

東家:スネ夫13000点(-12000)

 

南家:しずか29000点(+4000)

 

西家:ドラえもん35400点(+4000)

 

北家:ジャイアン22600点(+4000)

 

 

 

続く☆




※1 2シャンテン(リャンシャンテン)
テンパイ(あと1牌で和了できる状態)になるまであと2牌の有効牌が必要な状態。

※2 ノーテンリーチ
テンパイ状態じゃないのにリーチをする事。発覚した時点でチョンボ(不正行為)扱いとなり、満貫分の支払いになる事が多い。

※3 現物(げんぶつ)
相手が捨てた牌。ルール上、自分が捨てた牌では和了できないため、対戦相手からすれば絶対に安全な牌。

※4 差し込み
故意に相手の和了牌を捨て、相手に和了させる事。

※5 河(ホー)
捨て牌を置いておく所。
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