漢数字がマンズ(m)、英数字がソウズ(s)、〇囲み数字がピンズ(p)を表しています。
また、会話の中の牌の種類は、萬はマンズ、索はソウズ、筒はピンズを表しています。
20世紀 VS 22世紀
「へえ、それでキミ達、ドラえもん君に負けちゃったんだ」
スネ夫宅にて、タンタンと一定のテンポで牌を打つ乾いた音の中に、一際澄んだ声が響き渡る。
「でもよぉ、ドラえもんの野郎、流れが科学的に解明されたとか言いやがって、裏ドラから山の構成まで全部計算式で算出しちまうんだぜ!」
それに応えるのは対照的なダミ声の持ち主、ジャイアンである。
「そうそう、確か…、イレギュラー効率とか言ってたよ。しかもボクが牌をすり替えたんだけど、未来道具でサマの瞬間の証拠写真まで撮られちゃって、手も足もでなかったんだよ!」
ジャイアンに付け加えるようにスネ夫が言った。それを聞いて澄んだ声の持ち主が小さく笑う。
「フフフ、それで指をくわえて素直に敗北を受け入れちゃったんだ…」
「じゃあ、お前だったら勝てるのかよォ、出来杉!!」
澄んだ声の持ち主は出来杉だった。出来杉はますます口角を大きく吊り上げ、大笑いを始める。
「もちろんさ。キミ達は本当に鈍いねえ。いや、思慮が浅いと言い換えてもいい」
「て、てめえ。ぶっ飛ばされてえのか!」
「あ、それだ。ロン!」
「ああっ!?」
ジャイアンの言葉を意に介さず、出来杉は牌を倒した。
「タンピン三色ドラドラ、12000点。これでトビだね」
「くっ…」
「どうだいジャイアン君、これでもキミは僕がドラえもん君に負けるって言うのかい?」
「ああ、いくらお前が上手くたってあいつはツモ牌が全部分かってるんだ。勝てっこねえよ…」
「フフフ、痩せた考え」
「じゃあ、てめえは何か策があるって言うのかよォ!!」
「ああ、キミ達に答えを見せてあげるよ」
そう言うと出来杉は目の前の山を崩し、手で掻き回し始めた。
「おい出来杉、何をやってるんだ? 牌を中央の穴に入れれば、後は卓が勝手に洗牌(※1)してくれるじゃねえか」
「あれぇ、まだ気付かないのかい? フフフ、なるほど凡夫だ」
「な、何だと!?」
「山の構成を全部、計算で導き出せるだって? それなら最初から自分の思い通りになるように、全部自分で山を積み込んじゃえばいいじゃないか。これならすり替えや拾い込みと違ってイカサマの証拠写真を撮られる心配もない」
「おお!!」
「その手があった!」
ジャイアンとスネ夫もピンと来たらしい。パァっと表情が明るくなる。
「22世紀麻雀の弱点は、手積み麻雀には全く通用しないって事さ。勝負はもう、山を積んだ時点で決しているんだよ」
「さすがは出来杉、これなら怖いものはねえぜ!」
「積み込みには、もちろんキミ達にも協力してもらうよ」
「おお、任せておけ出来杉! 三人で積み込めば完全に無敵だぜ!」
「フフフ、これでドラえもん君は詰んだ! キミに見せてあげるよ、一分の隙もないパーフェクト麻雀を!」
「おう! 積年の恨み晴らしてやるぜドラえもん!!」
「まさか22世紀の最先端麻雀が、20世紀に編み出された古代技術に敗れるとはね。これは傑作だ、笑いが止まらないよ」
三人の笑い声がいつまでも部屋の中にこだました。
続く☆
※1 洗牌(しーはい)
牌をかき混ぜてバラバラにする事。