雀鬼ドラえもん   作:クリリ☆

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麻雀の牌姿(はいし)は
漢数字がマンズ(m)、英数字がソウズ(s)、〇囲み数字がピンズ(p)を表しています。

また、会話の中の牌の種類は、萬はマンズ、索はソウズ、筒はピンズを表しています。

※は最後に用語解説をしております。


出来過ぎな配牌

日曜日、ドラえもんとのび太は時間通りにスネ夫宅に来ていた。スネ夫の自室の中央には紺色の敷布で覆われた雀卓が一台置かれている。

 

「やあ、よく来たねドラえもん君。キミとの闘牌を心待ちにしていたよ」

 

「出来杉君、ボクの腕前はジャイアン達から聞いてると思うけど、いいのかい?」

 

「構わないさ。ボクも麻雀の腕には自信があるからね」

 

「そうかい」

 

「フフフ、ボクはね、キミ達が夏休みのたびに海底だとか魔境だとかで遊んでいる間に、ずっと麻雀を打っていたからね」

 

「あの命がけの冒険を、遊んでいただって!?」

 

「そうさ。ボクは家庭の事情で生活費を全て自力で賄わなくてはならなかった。その生活費を稼ぐために幼少の頃から麻雀を打っていたんだ。そして、麻雀に負けて何日も満足に食事も取れない事もあったし、何度も死にかけた。だから、未来道具という保険付きのキミ達の冒険なんて、ボクから見たら所詮は児戯なのさ」

 

「出来杉君、キミが思っていた以上の修羅場をくぐっていた事は分かったよ。でも、麻雀に関してはボクも負ける訳にはいかない。さあ、始めよう」

 

「いいだろう、ルールを説明するよ」

 

「うん」

 

「ルールは食いタン、後付けアリ。その他何でも(イカサマも含めて)アリアリアリアリのブチャラティルール(※1)だ! そして、一度牌が倒されたらその結果が全て。物言いは無しだ。いいかい?」

 

「いいよ。その代わり、こちらからも一つ提案がある」

 

「何だいドラえもん君?」

 

「勝負は半荘2回の合計点数で決める。これでいいかい?」

(出来杉達は何を仕掛けてくるか分からないからね。短期決戦は危険だ。半荘2回なら対策もできるからね…)

 

「いいだろう。受けよう」

 

「グッド!」

 

 

すると、そこにジャイアンが付け加えて言った。

 

 

「それと、ただの麻雀勝負じゃつまらねえ。多少は賭けようぜ。点5(※2)でいいか?」

 

「いいよ、受けよう」

 

 

すると、ニヤニヤしながらスネ夫が卓を覆っていた敷布とバッと取り除いた。すると、卓は電気的な動力の一切無い木製の卓だった。そのテーブル上には一組の麻雀牌が置かれている。

 

 

「こ、これは!?」

 

「どうしたのドラえもん君? 今回の麻雀は手積み麻雀さ」

 

「手積みだって!?」

 

「何か不服でも? 別に手積みだって立派な麻雀だろ?」

 

 

すると、ジャイアンは怯んでるドラえもんを無理に卓の一席に座らせる。

 

 

「さっさと座れよドラえもん。さあ、早く()とうぜ!」

 

「くっ…」

 

 

ドラえもんは一瞬で手積みの意味を悟った。すなわち、山を積む際に牌の構成を自分の都合の良い様に自由に作り放題なのだ。しかもそれを3人がかりでやられては、さすがのドラえもんもひとたまりもない。

そんな中、場決めがされた。東南西北の4つの牌をつかみ取り。真っ先に引いた出来杉が『東』の牌を手にした。これもすでにジャイアン達の間でサインが決められ、出来杉に東の牌がいくように仕組んであったのだ。

その後、ジャイアンは北、スネ夫は南、そしてドラえもんは西を掴んだ。そして席順が決まった後に出来杉はサイコロを振った。出目は5。親は出来杉に決まる。

 

 

東家:出木杉

南家:スネ夫

西家:ドラえもん

北家:ジャイアン

 

闘牌開始!!

 

出来杉は再びサイコロを振る。出目は6だった。

 

「右6だね」

 

 

出来杉はジャイアンの山の右から6つを残し、山の7個目から配牌を取り始める。そして配牌はジャイアンの山を終わり、出木杉の山に差し掛かり、最後にスネ夫の山から取り出す。そして、ドラえもんの積んだ山はそっくりそのまま残った。

 

(ボクも一応自分の山の牌は全部記憶したけど、果たして…。そして気になるのはサイコロの目が6だった事だ。これで配牌は全て出木杉たち3人が積んだ山からだ。ただの偶然かそれとも…。そもそも出来杉はダイスの目も自由に操る事ができるのか? 仮に出来るとすれば、この局から何かしら仕掛けてくる公算は高い…)

 

すると、14枚の配牌を取った出来杉は、なかなか牌を切らずに手牌を並び替える。

 

 

「あっれー??」

 

「どうしたのさ出来杉君。親が切らないと始まらないぜ」

 

「いや、それが…、和了(アガ)ってるんだよ!」

 

「ええっ!?」

 

 

出来杉は手牌をバラバラと倒す。

 

一二三四五六m222s⑤⑤⑤p南南

 

「ツモ、天和(テンホー)(※3)。16000オール!」

 

「やられた…」

(まさか、ここまで露骨に仕掛けてくるなんて…)

 

東家:出来杉:25000⇒73000(+48000)

南家:スネ夫:25000⇒9000(-16000)

西家:ドラえもん:25000⇒9000(-16000)

北家:ジャイアン:25000⇒9000(-16000)

 

「さあ、次の局へ行こうか」

 

 

 

出来杉は山を崩し、再び牌をかき回し始めた。

 

続く☆

 




※1 ブチャラティルール
ジョジョの奇妙な冒険・第5部に登場するブチャラティというキャラ。ブチャラティは相手をフルボッコにする時に『アリアリアリアリアリアリ…』という独特の掛け声を発声するため、何でもアリのアリアリ麻雀をブチャラティルールと呼ぶ。
なお、ここだけの造語なため、他じゃ使えないから注意してください。


※1 点5
麻雀の賭け金。
点棒1000点を1点に換算し、1点を50円とする事を点5という。多くのフリー雀荘で採用されている基本レート。
ちなみに1点を100円にする事は点ピンという。一部の雀荘で採用されている少し高めのレート。
これ以上高いと遊びの範疇を超えるので注意。


※3 天和(テンホー)
親が配牌の時点で和了している事。
手牌の形はなんであれ、役満扱いとなる。
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