シャロン准将は金でしか動かない――地球防衛軍は地球を守らない 作:むーんしゃいん
シャロン准将はテクテクと統合省から外に出るとネームプレートをカバンに入れる。
そして、地下鉄の駅へと入った時。
トン。この辺ではあまり見ない女子高生が、シャロン准将の背後からぶつかってきた。
「あ、失礼しました」
シャロン准将が頭を下げるが、女性は足早に去っていった。足元にコインロッカーのカギが落ちてる。シャロン准将は直感で嫌な予感がした。
落ちたカギを拾い上げると、コインロッカーの場所へと向かう。
「…ここだね」
耳を当てて中の様子を確認する。特に物音はしない。
シャロン准将は、カギでロッカーを開ける。
「あぁ…だと思った」
生まれたての乳児がバスタオルにくるまれ放置されていた。
すぐさま、乳児の呼吸を確認する。息はある。
シャロン准将は、自分のスーツのカーディガンとジャケットを脱ぐと赤ん坊に巻く。
スマホから消防へと通報する。
「救急車を願ます。コインロッカーに乳児が1名です。呼吸、脈拍はあります。場所は…」
住所を伝えると、温かい駅員室に向かうと告げた。
「大丈夫。絶対助けるからねぇ~」
赤ん坊を後生大事に抱くと、急ぎ足で駅員室をノックした。
「どうされました」
「この子をコインロッカーで保護しました。構内は寒いので入れて下さい」
「どうぞ、中へ…!」
シャロンと赤ん坊を室内に入れる。
「おい!タオルもってこい!」
シャロンが赤ん坊の粘液の残る肌を擦る。乳児の鳴き声が響き渡った。
「大丈夫だよ~。もう安心だぁー頑張ったね~」
その後、救急隊員3名が到着する。
「私も連れ添います」
シャロン准将は救急車に乗り込む。総合病院へと向かった。
医師の診察を受ける乳児に保護者として待合室で連れ添っている。
そこに、警察官が2名が事件の第一発見者としてシャロン准将に事情聴取を行った。
「手帳を確認させて下さい」
ムっとした警官の手帳を確認すると、シャロン准将は名前から話す。
「シャロンさん。どちらへお勤めですか」
シャロン准将は、少しいい淀んでいる。
ここで喋らなければ、絶対、警察署に連れて行かれる。
令状を出せといえば、出るまで大量にまとわり付き永遠と説教される。
とにかく、自由はなく警察は苦手である。シャロン准将は名刺を名刺入れから出した。
「ああ…、EDFのお勤め」
巡査長は、本省課長級
巡査は特に考えず発言する。
「…なんだ、軍人さんね」
そんなに邪険にしないでほしい。
EDFが世論で叩かれている現実は、一呼吸置いたシャロン准将が重々承知だった。
それをワザとデカい声で巡査が言うから、周りがざわめき立つ。
「そもそも、あんたの子供じゃない? ネグレクトして恥ずかしいと思わないの?」
国民の全体の奉仕者として、職務の平等を問われる公務員とは思えない発言である。
暴言巡査に難があることは、年齢と階級。所属で察するところはある。
界隈の感覚なら自主退職しているレベルだ。
巡査長は、しまった。と言う顔をしている。
「偽証罪を問うなら、こちらは弁護士を立てますが?」
アウラを取り出し先程の発言を再生する。侮辱罪であった。
親告罪なのでシャロンの意思で訴えることは出来る。
先程の暴言警官は顔面を青くして黙った。
「失礼しました。私が対応します」
巡査長はマトモだった。
「人殺し」「調子に乗るな」「税金泥棒」
緊急外来に来ていた周りの患者家族から声が漏れる。
みなさま、職業に
まあ、
「ご協力ありがとうございました」
事情聴取が終わる。時刻は深夜2時を回っている。
居心地の悪くなったシャロン准将は待合室を出て廊下で立っていた。
救急車搬入口からの夜風が、カーディガンとジャケットがないシャロンには寒かった。
「シャロンさん。診察室へお入り下さい」
シャロンが診察室へと入る。一応、医者と対面した。
「発見が早くて助かりました。命に別状はありません」
「それは良かったです。ありがとうございます」
良かった。頑張ったね。ホッとしたシャロンは医者に頭を下げた。
「本省課長級
分掌官(ぶんしょうかん)は、国家公務員の役職配分の考え方の一つで、特定の所掌事務を複数の官で分担掌理しているものをいう。シャロン准将は参事官の役を得ている。