こちら31Hホロックス! ぷらすみこにぇ! 作:たかしクランベリー
「「「ござーる……ござーる…………
――ストップっ!!!」」」
みんなでやると、楽しいでござるな。
「「…………。
((え、何の時間?))」」
「偉いじゃん……やるやん。
えらい!!」
「偉い……ふふ。そうでしょう。
なにせこのわたしは、
天才剣士なのですから。」
「…………。
(この阿呆共置いて帰りたい……。)」
おや?
これは風真の大成功なのでは?
「あなた達の言いたい事、
心身の澄んだ今なら分かります。
――わたしという『師』が
欲しかったのですね。」
暗い雰囲気は吹っ飛んだけど、
ニヤニヤと口角を上げる彼女の表情は
とても澄んだモノには見えない。
この己が欲望に忠実な顔つき……
嫌って程、ラプ殿がよく見せている。
――『邪念』そのものだ。
「……ふふ。今回も武術祭には、
30Gから白河さんが出場します。
ですが、わたしの流派をモノにした
あなた達2人が彼女を倒せば、
わたしが
最強の剣士である証明になる。」
「証明の仕方が
卑劣極まりないでござるよ!?」
「卑劣で結構大結構っ!
さぁお二人さん、わたしのために
白河さんを倒してください!
その為の努力は惜しみません!」
開き直ったでござる……。
「まず手始めに、わたしのことを
お師様と読んでいただきましょうか。
はいせーのっ!」
「お師殿っ! 宜しくでござる!」
「…………。
(付き合いきれん。)」
「お師殿……ですか。
それも悪くないですね。
風真さん、期待しておいてください。
このわたしの教えが
無駄になる事は決して…………」
トコトコトコ……。
呆れた表情を浮かべ、
夏目殿はナービィ広場から
離れていった。
「あれ? あのーお弟子さん?
わたしの教えは貴重ですよ?
お弟子さぁーん?
お弟子さぁぁあああああんっ!!」
「おい風真、こんな時間に
何ほっつき歩いてんだ。
皆心配してたぞ。」
「あ、ラプ殿。」
「夜更かしは身体に悪いから、
さっさと吾輩と帰るぞ。」
そろそろキリの良い時間だし、
悲しみを叫んでる
師匠には悪いけど……帰ろう。
「お師殿ぉー、
風真も帰るでござるよー。」
「ちょっ、待ってください!
修行はこっからですぅ!!
立て続けに帰らないでくださいぃいいっ!
――って、あれ?
風真さんの姿が消えた。……気配も。」
ぽつんと取り残された少女は、
寒々とした夜風を浴びて
数秒固まる。
「……ふふ。この一瞬で
気配を感じ取れない程
遠くへ移動しましたか………。
時が吹っ飛んだような
気がしたんですけど、
多分気のせいでしょう。
これは将来有望なお弟子さんですね。」
虚しさを誤魔化すように
彼女は希望を見出し、その場を後にした。
一方、時が飛ばされた中
31Hの2人が向かったのは……
葬儀場であった。
「あれ、ラプ殿帰るって言ってなかった?
風真の聞き間違いでござるか。」
「んや、間違ってないぞ。
只個人的に気になる事があってな。」
そう言って、
ラプ殿は風真の懐に指を差した。
「気付いていたでござるか。」
隠し通すのは無理だと悟り、
例のモノを懐から取り出す。
「……やはりか。
『風真・大伍郎』の遺影。
今宵、弔うつもりだったんだな。」
「本当は、こっそり独りで
済ませるつもりだったでござるよ。」
「……全く、ウチの用心棒は素直じゃねぇな。
隠し事なんて、どう秘匿したって
いずれバレるモンだぞ。
いいか。世の中正直モンの方が
好かれるように出来てんだよ。
ま、吾輩も人のこと言える立場じゃないが。」
コトッ。
ラプ殿が、白衣を着た男の遺影を置いた。
holoXの研究員だろうか……?
「ラプ殿、彼は……」
「『マルコ博士』だ。
風真や沙花叉は知らんだろうが、
今のholoXが在るのは
彼の助力があってこそなんだ。」
「……でも、holoXの博士は
こより殿1人だって以前…………」
「すまんが、それ以上の詮索は止せ。
今は亡き者たちの為、
黙祷する事に意識を向けろ。
ここは談話室なんかじゃないんだ。」
「そうでござるな。」
「じゃあ、吾輩に続けよ。
――黙祷。」
「「………………。」」
――いろはよ、お前も
立派に育ったモノだな。
このまますくすくと成長し。
いつかお前が一人前の侍になったら、
この妖刀『猫又』を
託してやるぞ。――
――いいの!?
やったぁー、わたし
大伍郎おじいちゃん大好きー! ――
「……いろは?」
「ご、ごめんでござる。」
最近おかしい。
違う……セラフ部隊に所属してからだ。
ふとした瞬間に、
自分の過去を思い起こしてしまう。
その過去の内容は
点でバラバラなもので、
自分自身が何をどうしたいのか……
考えが纏まらない。
「いろはお前、最近変だぞ。
放心状態になる事が
多くなったというか……」
「風真も、分からないでござる。」
「そうか……んっ!」
ラプ殿が閃いたように
目を見開き、此方に向き直る。
「どうしたでござるか?」
「いろはお前、アレじゃね?
風邪を患う前触れとかなんじゃね!」
「あー、言われてみればそんな気が
しなくも……」
「しょうがないな。
吾輩が直々に測ってやるよ。
ほらいろは、しゃがめ。」
手で額越しに
直接熱を測るやつでござるな。
風真の母上もよくやってた……
懐かしい。
「こんな感じに
しゃがめばいいでござるか?」
「ああいいぞ。
さっさと済ませるから、
その姿勢を維持しておけ。」
トンっ。
「――ッ!?」
(総帥のバカタレぇぇええええっ!!)
「吾輩の読み通り……熱いな。」
ななな、何でラプ殿は
平気そうな顔で居られるの!?
おでことおでこが
くっついてるのでござるよ!!
うぅ……顔近いし。
動悸も速くなって、
ラプ殿に聞こえるんじゃないかと
心配になるくらいバクバクいってる……。
落ち着け風真・いろは。
こういう時こそ、
修行で培った精神力の活かし所!
(明鏡止水、明鏡止水、明鏡止水……
――もう無理!
終わってくれでござるぅぅう!)
「ふぅ、お前の具合は大体分かった。
しかしこれは重症だないろは。
風邪を引かれては
直近の任務に支障が出る。」
誰の所為だと思ってるんだバカタレぇ!
「とりま、風呂でも行くか。
今あるバイ菌落とせば、
多少症状が和らぐだろ。」
「患う前提で言わないでよ!?」
お互いに遺影を片付け、
着替えセットを部屋で回収したのち
風呂場へと移動した。
「「――!?」」
脱衣所に入って早々、
風真とラプ殿は驚いた。
カゴに仕舞われた衣服が
2着と、着替え用パジャマ2着。
下段上段で
2箱ずつ丁寧に分けられている。
右のカゴは31A部隊の制服。
左は、そこに在る事自体が
珍しい見慣れた上着があった。
「なぁ……アレって
『沙花叉の上着』だよな?
吾輩、疲れて幻影でも見てるのか。」
「いやいや、風真の目にも
ハッキリ見えてるでござるよ。」
「百聞は一見にしかずだ。
行くぞ、いろは。」
「待つでござるよ。
風真たちまだ服を着たままで……」
「――!?」
一瞬で身体が軽くなった。
そう、タオル一枚だけを
身体に巻いてるような。
あれ、じゃあもしかしてラプ殿も……
うん。風真がこうなってるって事は、
そっちも当然、
タオル一枚装備でござるよな。
「……時を消し飛ばした。
この世には、我々が脱衣して
タオルを身体に巻いた。
――という結果だけが残る。」
この総帥、
能力の悪用が毎度の如く酷い。
自分で脱衣する時間すら
与えてくれないなんて。
「吾輩はこの真相を知らねば
気になって夜も眠れん。
この目で直接確かめるぞ。」
「分かったでござる……!」
バッ!
間髪入れず、戸を開けて
ラプ殿と共に風呂場へ足を踏み入れる。
「月歌っち! いい身体してんねぇ!」
「いやいや、
クロっちの方こそ凄いぜ!」
「「うぇーいっ♪」」
「「――沙花叉ァ!?」」
本当にクロヱ殿が風呂場に居た。
しかも、当人もノリノリの様子だ。
……というか、
風呂場でハイタッチするって
どんな状況!?
「あ、ラプちゃんといろはちゃん!
どもどもー!」
「どもどもー、じゃねーわ!
風呂嫌いはどうしたッ!?
何楽しそうに風呂入ってんだよ!?」
「んー、確かに風呂嫌いではあるけど。
月歌っちに誘われたら
なんかお風呂断れないんだよねー。
むしろ、身体が入浴を求めてしまう
感じになるっていうか……
ま、そんな感じ!」
よく分からないけど、
どうしても沙花叉に風呂入って
欲しい時は茅森殿にお願いしよう。
その夜。
風真は心にそう決めたのであった。
*
━━▶︎ DAY2 8:30
――武術祭会場、場内。
「夏目、風真。」
「「……?」」
昨日、頼み事をしてきた先輩隊員が
声をかけてきた。
「急に声をかけてきてすまない。
2人には、昨日の件の
感謝を伝えなければと思ってな。」
風真たち、無理矢理
弟子入りさせられただけでござるが……
あれは一件落着と見ていいのだろうか。
「感謝する。2人のおかげで
小笠原は元気を取り戻した。」
元気を取り戻したっていうか、
自ら生み出した邪念に溺れたと
言った方が正しい気がする。
うーん。どう返したら
いいか分からないでござる。
「そ、それよりも先輩殿。
司会が何やら説明してるでござるよ。」
「ああ。そうだな。」
大会に選ばれた選手ともあろう者が、
大事な話を聞き逃してはいけない。
一旦私語を慎み、
選手らは司会の方へ顔を向けた。
「この武術祭では、全てが備わった剣士。
――そう、『最強剣士』を決定する!」
別に風真、最強剣士を目指してる
訳ではないんでござるよなぁ。
「武術祭のルールは簡単だ。
三日間、アリーナ内の
エミュレーションによる
仮想ダンジョンを利用して、
お前ら9人に
様々なミッションをこなしてもらう。」
3日……。
結構な長丁場になりそうでござる。
どうも、たかしクランベリーです。
ホロサマ歌枠リレーに、
holo Advent活動スタート。
マリン生誕LIVE2023。
(3期生4人のクローソング
聴けるの衝撃だった。)
ヘブバンでは
なんかのオーブ実装と、
色々見所たっぷりの1週間でした。
……という訳で、
シオリ・ノヴェラさんは
いつか、こちホロに
登場させるかもしれません。
よろしくお願いします。