こちら31Hホロックス! ぷらすみこにぇ!   作:たかしクランベリー   

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24話・会敵する怪鳥

 

━━▶︎ DAY4 11:20

 

〜《SIDE『ラプラス・ダークネス』》

 

行軍も滞り無く順調に進み。

作戦指示にもあった例の交差点で

31A部隊と別れた。

 

別れる前。

小休止の時間もあったが、

茅森というヤツが勝手に伝言ゲームを

始めた所為で心の方の

休息時間は殆ど無かった。

 

その後はと言うと。

ポイント丙、阿佐ヶ谷駅跡地の

制圧を済ませ……

 

現在はポイント丁、

高円寺駅跡地に群れを成す

キャンサーの掃討を行なっていた。

 

バリィィン!

 

「……ふぅ。これで

粗方キャンサーを掃討できたか。

どうだ、幹部。」

 

電子軍人手帳を確認した幹部が、

頷いた。

 

「ええ。残るは手指で数える程度……

周囲に点々と潜んでるキャンサーを

叩けば制圧可能で――ッ!?」

 

余裕そうな表情を見せてた鷹嶺の顔が、

豹変した。

驚愕と困惑、焦燥の混じった動揺。

 

吾輩の背筋にも、悪寒が奔った。

 

「どうした幹部ッ!」

 

「途轍もない速さで

中型のキャンサーが我々に

接近してます!!

恐らく、〝件のキャンサー〟かと……」

 

ズドォォンッ!!

 

「「「「「「――!?」」」」」」

 

大きな衝撃音の方へ

顔を向けると、問屋格子状の翼を

羽ばたかせた異質なキャンサーが

此方を見ていた。

 

滞空を維持できるとは

思えない3つの棒線型の翼。

イッカクの角を想起させる長い頭角。

 

鍾乳石を形作る特徴的な尻尾。

 

全長約26m。

 

文字通り。

ナスカの地上絵に描かれた

ハチドリを具現化したような

怪物が、我々の目の前に

立ちはだかっていた。

 

ウバシャアッ!

 

「総帥、私がトランシーバーで

31Aに支援要請をしておき……」

 

バチバチバチ……ガチィン!

 

「「「「「「――!?」」」」」」

 

トランシーバーが

scrap wingの身体に引き寄せられ、

張り付く。

 

――報告によると、

周囲の鉄屑を自在に操作したり、

圧縮して放つ事も出来るそうよ。――

 

ふと、ブリーフィングでの

やり取りを思い出す。

 

(事前報告通り……どうやら、

電磁力を自在に扱えるっぽいな。

奴の前で金属製品を晒すのは

迂闊か…………。)

 

セラフや電子軍人手帳を

引き寄せる事が出来ないのは

今ので確定した。

 

それが、不幸中の幸いって所だな。

……にしても。

 

「くっ……そこらのキャンサーより

大分面倒じゃねェか。」

 

「どうします。総帥。」 

 

「そんなのやるっきゃねェだろ!

支援要請や報告は後ですりゃいい!

今まで戦ってきた

惑星生物よりは弱ぇはずだ!!」

 

「御意です。総帥の意のままに。」

 

「貴様らも吾輩に続け!」

「「「「――YES MY DARK!!」」」」

 

「で、総帥。どう攻めるんですか。」

「ああ。吾輩、ちょうど今それを

考え中で……」

 

バチバチバチ……パシュンッ!

 

敵前で呑気にし過ぎたせいか、

サイコロ状に圧縮した金属片を

電磁砲として吾輩に放ってきた。

 

殺意の高さも、そこらの

キャンサーとは違うようだ。

 

「ラプ殿ぉぉおおおおお!!」

 

ビタッ。

 

「「「……え?」」」

 

みこ先輩、風真、沙花叉が唖然とした。

 

幹部と博士はholoXのベテランなので

見飽きてる能力だろうが、

3人にとっては衝撃だったらしい。

 

「ったく、せっかちなキャンサーだな。」

 

目の前で静止する砲撃物を

眺め、愚痴る。

 

風真は納得がいかなそうにツッコんだ。

 

「待て待て待てぇー何その新能力ぅ! 

風真そんな能力持ってるの

知らなかったでござるよ!!」

 

「まぁ、吾輩の能力じゃねェしな。

ほら、吾輩の頭の上見てみろ。」

「カァー。」

 

「……カラス?

それとラプ殿に、何の関係が……?」

 

「――魔力『未到達』。

ダークネス家の式神"カラス"が

所有する魔力です。

発動条件こそ限定的ですが、

一度発動してしまえば無敵の能力です。」

 

「幹部、説明感謝する。

分かったか風真。そーいう力だ。

でもコイツ結構気分屋だから、

吾輩に乗るコトは中々ないぞ。」

 

(それが原因で、

能力が気付かれにくいんだよな。)

 

魔力『未到達』。

 

ダークネスの血筋の者と

カラスが接触している時のみ

発動する特殊な魔力。

 

カラスと吾輩以外の

物理的接触を"未到達"にする概念能力。

 

未到達の術中に嵌った対象は

問答無用で接触を拒絶され、

あたかも、その場に固定化された

ように静止してしまう。

 

……という訳だ。

 

とにかく。

 

Scrap wingがその異常に困惑し、

数秒動きを止めてくれたおかげで

吾輩も策の組み立てが出来た。

 

(畳み掛けるなら、今しかないな。)

 

「仕切り直しですね。総帥。」

 

「違うぞ幹部。〝畳み掛け〟だ。

売られた喧嘩はとことん買う。

holoXの社訓……

忘れたとは言わせねぇぞ。」

 

「ええ。忘れた事は一度もありません。」

 

「幹部、博士は奴の両翼に射撃。

みこ先輩は2人の護衛に回れ!

吾輩と沙花叉は脚を攻撃する!

いろはは隙の出来た奴に

大きな一撃をかませッ!!

準備はいいな!!」

 

「「「「「――YES MY DARK!!」」」」」

 

ババンッ!

 

幹部と博士が砲弾を放つ。

 

それを合図に、

吾輩と沙花叉も踏み出して接近する。

 

スッ。ヒュンッ!

 

即座に上昇し躱したか。

優れた飛行能力を有してるのも

前情報通りだな。

 

だが残念ながら、

その回避も我々の想定内だ。

 

『プランB。』

 

――タッ。

 

吾輩と沙花叉が両翼に近寄る。

そして。

 

「やれ幹部!」

「了解です。総帥!」

 

ズドドォォンッ!

 

「キギィァッ!」

 

奴の両翼に、通り過ぎた筈の

砲撃が突如〝着弾〟した。

 

「ナイス『イーグル・トリック』

だぞ幹部ぅ! いろはァ! 

そのままやっちまえぇ!!」

 

砲撃と吾輩たちの位置が

〝入れ替わった〟所為で聞こえてるか

分からないが、心で通じ合ってるようだ。

 

滞空姿勢を崩した

Scrap wingの上に、

刀を構えたいろはの姿が確認できる。

 

「――風真流居合術抜刀、

『鳳凰門・海桐花』」

 

地に降り立つは、

海桐花を散らす一閃。

 

会心の一撃が命中し、

仕留められたと思いきや……

致命傷には至らず。

 

攻撃される特定外殻のみに

砂鉄を密集させ、

首の皮一枚繋がった状態で

絶命を免れていた。

 

しかし、滞空維持すら出来なくなる程の

相当なダメージを負っている事実。

 

地へと失墜してく

Scrap wingを、

ここで易々と逃す訳にはいかない。

 

(我々が此処で……確実に仕留める!!)

 

幸いにも奴は、

博士の〝射程圏内〟に入った。

 

逃げられると思うなよ。

 

「博士ぇっ!!」

 

「分かってるよラプちゃん!

――『過重力実験』っ!!」

 

ズズゥゥウン ドゥオオンッ!!

 

急に失墜速度が加速し、

Scrap wingは見えない重石に

潰されたかのように地面に張り付く。

 

地表は奴の形を描く窪みを作り、

周辺のコンクリートにも亀裂が広がった。

 

メキメキメキッ…………。

 

――魔力『ラボ・プール』

 

射程圏内であれば、

凡ゆる実験が可能となる

博士の能力。

 

その中でも、

特定の対象に過剰な重力負荷を

与える〝過重力実験〟は

衰弱した相手を

確実に拘束する出し得技だ。

 

奴を捉えられたのが

余程嬉しいのか。

博士は満足気な笑みを浮かべ、

歩み寄っていく。

 

吾輩と沙花叉、いろはは

トランスポートで後衛待機している

みこ先輩、幹部と合流し

その様子を見守っていた。

 

博士の後ろ姿は、

ヒートアップした興奮で震えており、

コヨーテの獣人らしく

ふさふさの尻尾を散歩待ちの

飼い犬のようにブンブン振っていた。

 

「はぁ……はぁっ❤︎

やっとお近づきになれたね、

Scrap wing君。

君の戦いっぷり、本当に良かったよぉ。」

 

ほら、例の如く研究者の本能が

露呈してやがる。

 

「緻密な電磁力操作、

いろはちゃんの

大技を耐える耐久性と能力の応用。

……素敵だぁ❤︎

只のキャンサーとして屠るなんて、

勿体無いくらいだよ。」

 

「ウキャァッ……!」

 

キャンサーに語りかけて、

何がしたいんだ博士は…………。

 

「あはっ……❤︎

そんなにこよと話せるのが

嬉しいんだぁ〜♡ 奇遇だね。

こよもおんなじ気持ちだよ。

叶う事なら君を生捕りにして、

ラボで一生被験体として

飼い慣らしたいんだけど……」

 

博士が大砲型のセラフを向ける。

 

バチバチバチバチ……

 

(ん? 何だこの漏電音は……)

 

「ごめんねScrap wing君。

軍の指示で、こよは君を

葬らなきゃいけないんだ。

悪いけど、 君とはここでさよならだよ。

んーまっ❤︎」

 

セラフの銃口にエネルギーが

収束し、放たれようとしたその時……

 

突如吾輩の悪寒が最高潮に達し、

それは嫌な形で実現してしまった。

 

「待て博士ぇっ!

様子が可笑しいぞ!

周りをよく見てみろ!!」

 

「え……?」

 

博士とScrap wingの周囲を

取り囲むように浮遊する

数多の鉄屑。

 

その原因が誰のモノであるかは、

この場にいる誰もが

一瞬で理解した。

 

そして、今から

始まろうとしてる最悪の事態も。

 

「ウバシャアッ!!」

 

バチバチバチバチバチバチ!!

 

「何…………これ。」

 

荒れ狂う鉄屑の災禍に、

博士は…………。

 

「――博士ぇぇええええええっ!!!」

 

 





どうも、たかしクランベリーです。
     

Scrap wing君、
2ヶ月以上前から名前出てるのに
10月入るまで
まともな出番なかったのか。
可哀想すぎる……。

と、いう話は置いといて。

今更ですが、こちホロにて
holoX側の時系列は
『ホロックスみーてぃんぐ!』
の14話以降です。
よろしくお願いします。
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