【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者   作:シャケナベイベー

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またしても何も知らない転生者(11)


賢者の石
魔法使いになる準備


我輩は転生者である、名前は勿論ある。

 

交通事故に巻き込まれてポックリ逝ったと思ったら赤ん坊になってて、しかも魔法がある世界とはこれ如何に。

しかし、魔法ということは異世界ファンタジーかと思ったが思いっきり現代だったし、なんなら俺の知ってる地球そのものだった。

 

ちょっと異世界を期待していた俺は落胆したが魔法があるならそれでいっかと思考を切り替えた。

 

両親が杖を振るえばそこから火やら水やらが現れ、肖像画に描かれた人物は当然のように動くし、これぞ魔法、ファンタジーの醍醐味と言ったところだろうか。

 

そしてそんな摩訶不思議な魔法を何処で習うのかと言えば魔法を教えるための学校があるらしく、皆そこで魔法を学ぶようだ。

 

たしかホグワーツ魔法魔術学校だったかな?

兎に角、俺はその学校に通うらしい。通えなかったらどうするのという疑問の答えは両親が渡してきた手紙に記されていた。

 

 

 

 

 

リオン・アーデル、魔法使いになります。

 

 

◆◆◆

 

 

魔法使いと言っても何もない状態で通うわけもなく、入学に必要なものを揃えるために両親に連れられてダイアゴン横丁を訪れた。

 

ダイアゴン横丁はまさしく魔法の世界を体現したかのようにファンタジックな場所だった。

 

周りを歩くのはどれも魔法使い、魔女ばかりでホグワーツに入学するマグル(魔法が使えない普通の人のこと)からすればまさしく別世界にやって来たと思うことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

必要なものは杖以外揃えたので、いざ自分の杖を買いにオリバンダー杖店を訪ねた。

店の中に入ると丁度一人の男の子が自分の杖を買った所だったようだ。

黒髪に少し大きめの丸眼鏡にダボついた服と一言で言ってしまえば地味な少年なのだが、両親は少年を見た途端に固まってしまった。

 

「あっ…ご、ごめんなさい…」

 

と、少年はこちらに気付き迷惑だと思ったのか謝りながら道を開けてくれた。

 

「全然大丈夫だよ。ひょっとしなくてもホグワーツの新入生?」

「う、うん…もしかして君も?」

 

入学前に交流を深めるのも大事だよなと考えつつ、少年に話しかける。

少年は少し嬉しそうな顔をして聞き返してきた。

 

「そうだよ、俺はリオン。リオン・アーデル。宜しくな」

「よろしく、リオン。僕ハリー・ポッターって言うんだ」

 

お互いに自己紹介して握手を交わす。

……それにしてもハリー・ポッターか。何処かで聞いたことあるような…?

 

「“ポッター”…?」

 

ハリーの名前を聞いた父さんがか細い声で呟いた。

見れば、母さんも目を見開いている。

 

「…なぁハリー。ひょっとして君、有名人だったりするのかい?」

「え、どうだろ…でも、会う人皆に握手を求められたりはしたかな…?」

 

そんなもんバチバチの有名人に決まってるじゃん。

そんな感じにヒソヒソと話していると父さんが近づいてきた。

 

「初めまして…いや、久し振りになるかな?私はレックス・アーデル。リオンの父親で君のご両親の知り合いだったんだ」

 

ハリーはいきなり話しかけてきた人物に驚いたものの直ぐに持ち直して自己紹介をしていた。

 

「それで…あの、僕の父さんと母さんと知り合いって…?」

「ジェームズとリリー…君のご両親とは知り合いでね。所属する寮こそ違ったが彼らは有名人だったからよく知っているよ」

「レックス、そろそろ…」

 

懐かしそうな顔を浮かべる父さんに母さんが声を掛ける。

声を掛けられた父さんはハリーに「すまないね」と断りを入れて俺の方を向いた。

 

「昔話も良いが今日はリオンの杖選びだからな」

「えぇ、そうね。いくらハリーに会ったからと言って我が子を放ったらかしなんてあってはいけないものね?」

「うっ…いや、本当にすまないリオン。決してお前をないがしろにしていた訳じゃ…」

「分かってるよそれくらい。で、もう杖を選んでもいいの?」

 

母さんのジト目を受けて父さんがこちらに謝ってくる。俺としてはそんなに気にすることでもないので謝られても困るのだが…

 

「お待たせして申し訳ありませんオリバンダーさん。こちら、息子のリオンです」

「構いませんよ、さぁアーデルさん。杖腕はどちらで?」

「右です」

 

そうしてオリバンダーさんが耳を触ってきたり巻き尺で測ってきたりとしてきた後に、後ろにある箱の内の一つを俺に差し出してきた。

 

「イチイの木、芯はドラゴンの心臓の筋線、長さは二十六センチ。振りやすい杖です」

 

差し出された杖を手に取る。

 

 

───瞬間、辺り一面に草花やら果物の実やらが成った。

 

 

そしてどこか自分の中で欠けていたピースがカチリと嵌まるような、そんな感覚が襲ってきた。

 

「どうやら、この杖で間違いないようですな」

 

オリバンダーさんはそう言って穏やかに笑っていた。

 

 

◆◆◆

 

 

「僕、ホグワーツでやっていけるかな?唯でさえ魔法が使えるって知ったばかりなのに…四つの寮のどれにも選ばれなかったら…」

「別に魔法を知らない子がホグワーツに入学してくるなんて初めてのことじゃないさ。そう気負わずに行きなよ。それにホグワーツに入学してくる子は必ずどれかの寮に組分けされるからどの寮にも入らない、なんて事は起きない筈だよ」

 

オリバンダーの店を出た後、俺とハリーはほんの少しだが会話していた。

 

どうやらハリーは産まれたばかりの頃に両親を亡くし、それ以降はずっと叔母の家族のところで暮らしていたらしい。

その暮らしも決して良いものとは言えず、地獄のような日々だったとか。

そんな毎日だったせいかどうやらハリーは自分に自信が持てず、ホグワーツでやっていけるのか不安なのだと話してくれた。

 

それに対して、俺は当たり障りの無い事を言うくらいしか出来なかった。

両親を亡くしたわけでもない、辛い日々を過ごしていた訳でもない。俺にとってハリーの境遇は理解できないものだ。だから、その辛い毎日を魔法界に足を踏み入れることで少しでも和らげてくれれば良いとそう願わずにいられなかった。

 

「あ、そろそろハグリッドが迎えに来る時間だ!」

「そうなのか?なら、急いだ方が良いんじゃないか?」

「うん!ありがとうリオン!またホグワーツでね!」

 

そう言ってハリーは手を振りながら走り去っていった。

 

 

 

 

 

「そういや、ひょっとしてハリーって噂の“生き残った男の子”なのか?」

 

名前も一緒だし、ひょっとして気が付かなかった俺が無知だったのでは?

 

 

 

◆◆◆

 

 

「ねぇハグリッド。僕、ホグワーツで上手くやっていけるかも!」

「お!そうかそうか!なんか良いことでもあったか?」

「親切な男の子に色々教えてもらったんだ!ハグリッドは僕が何処の寮に組分けされると思う?」

「お前さんはグリフィンドールだろうな。ジェームズとリリーもそうだったからな!」

 

ハグリッドと会話していたハリーはホグワーツでリオンに会ったら改めてお礼を言おうと思った。出来ればリオンとも同じ寮になれたら良いなとも。




ハリーやらハグリッドやらの口調が怪しいかもしれない
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