【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者   作:シャケナベイベー

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今回はマホウトコロを訪れたリオンのお話


マホウトコロ 前編

 ミーンミンミン。

 

 燦々と日差しが照り付けセミが元気に合唱する。2011年7月某日、イギリスから遠く離れて日本の南硫黄島に降り立ったリオン・アーデルは長い石造りの階段を登っていた。

 

「日本の夏ってのはこれだから……」

 

 額に纏わりつく汗を拭う。

 まぁこの時期はまだ過ごしやすい方だったなとかつてを思い出して懐かしくなる。やがて長い長い階段を登り終えると目に飛び込んできたのは城かと見紛うほどに豪華な宮殿───という名の学校と大きく開かれた門。そしてその前に佇む一人の少女の姿だった。

 

「リオン・アーデル様ですね? ようこそおいでくださいました。私は魔法学校『魔法処』の十一年生──そちらで言い直せば七年生ですね──の『篠原晴奈』と申します」

 

 艷やかな黒髪と黒い目を持つ日本人の少女──『篠原晴奈』は滑らかな英語を披露し、たおやかに微笑んでから優雅に一礼する。彼女が纏っているのは黒の着物に赤の帯、その上から黄金色のローブを羽織り、そして腰には鞘に収まった刀が差してある。物騒極まりなくない?

 

「篠原……というと日本魔法界御三家の?」

「ご存知だったのですね。はい、まさしくその篠原に間違いありません」

 

 『日本魔法界御三家』とは日本の魔法界において最も偉大な三名の魔法使い……もとい陰陽師を祖とした一族のことである。

 『安倍』、『賀茂』、『篠原』。この三家が御三家と呼ばれ、日本魔法界において最も重要視される家柄だ。

 

 そして晴奈の隣を歩きながらリオンはあれこれと質問する。その顔には穏やかな笑みが広がっており、マホウトコロについてもっと知りたいという好奇心が見え隠れしていた。

 マホウトコロの敷地は古き良き日本の『和』と言った感じでとても落ち着いた雰囲気だ。火山の頂上に位置するのだからもう少し岩肌とかでゴツゴツしてるのかと思っていたがどうやらそうでもなかったらしい。庭園や桜の木など自然も盛り沢山で美しい田園風景がそこかしこにある。

 

「それにしてもアーデル様は日本語が流暢なんですね」

「………日本贔屓なものでね」

 

 嘘である。なんなら前世はバリバリの日本人だったのだ。しかも今の年代的にもとっくに生まれている頃だ。

 

「そうなんですね。意外です……その、こう言っては失礼かもしれませんがイギリス魔法界は他の地域の知識が乏しいものと聞き及んでいたもので……」

「そんなことはないさ。昔からボーバトンやダームストラングとは積極的に交流していたそうだし排他的な訳ではない……まぁマグルへの差別が根強いという点は認めるけどね」

「非魔法族……我々日本魔法界は昔から魔法族と非魔法族の関わりは強かったですから差別するというのとは無縁でしたね」

「良いことだ」

 

 イギリス魔法界なんてヴォルデモート亡き今でさえマグルやマグル生まれに対する偏見が凄まじいというのに……だがそのイギリス魔法界も新たな風が吹こうとしている。

 最近はマークがマグル界の電化製品の凄まじさに感銘を受けて魔法界でも扱えるようマグルの電化製品に手を加えたと話していた。スマホがその最たる例だろう……まぁ幼い頃から電化製品に触れていたマグル生まれの人たちはともかく生粋の純血の人間は扱いに少々苦労しているらしい。

 

 リオンの周りでマトモにスマホを使いこなせているのなんてそれこそ発起人のマークやマグル生まれのハーマイオニーやランス、そして前世現代日本人のリオンくらいだ。いや、リオンに関しては生粋の魔法族なのに何故そんなにスマホを使い熟せるのかと疑問に思われたが。

 

「魔法処は約千年前に安倍晴明が京都に創設したんです」

「京都に?」

「はい。当時は陰陽師と呼ばれていた彼らが創設し、無辜の人々を守るために設立されたと聞き及んでおります……そして近年の非魔法族の急激な近代化に伴い場所を京都からこの南硫黄島に移したのです」

「随分思い切った引っ越しをしたな」

「誰もこんなところに学校があるなんて考えもしないでしょう? とは言え近くに軍事基地があるので飛行術の訓練などは気を付けなければいけませんが……」

 

 そこまで語ったところで晴奈は御殿のある扉の前で足を止めた。そしてその木製の扉を叩き声を掛ける。

 

「校長先生。リオン・アーデル様がお越しになられました」

 

 晴奈の声に扉の向こうから「お入り」という柔らかな声が返ってくる。それに晴奈は扉を開いてリオンを中に案内した。

 部屋にいたのは一人の老人だった。黄金の羽織を纏い、シワだらけの顔にまるで獅子を思わせる力強い瞳をした彼こそこのマホウトコロの校長───『千手ノリヒコ』である。

 

「英国から遠路はるばるよくぞ参られたお客人。私は千手ノリヒコ。このマホウトコロの校長にして、そちらの校長であったアルバス・ダンブルドアと多少の交流があった者だ。

 今回の君の訪問理由としては……九月にホグワーツで行われるインターコンチネンタル・ウィザード・トーナメントについての話し合いということであっているかな?」

「その通りです千手校長……あの、失礼ながら一つお訊きしても?」

「何かな?」

 

 リオンはどこか子供のように目をキラキラさせながら目の前の老人を見つめ、その名前を聞いてから気になっていたことを確認してみることにした。

 

 

 

 

「大樹を生やして攻撃したりって出来ます!?」

「出来るわけなかろう」

 

 愚か者を見る目で見られた。




はい、ということでマホウトコロのお話です。安倍晴明が創設したっていうのは完全に妄想です


千手ノリヒコ:ハリー・ポッター魔法の覚醒に登場するキャラ。ダンブルドアの旧友。ぶっちゃけ名字的に不思議な細胞とか持っててもおかしくなさそうな感じする。

篠原晴奈:オリキャラ。マホウトコロ最高学年にして首席。日本魔法界御三家(オリ設定)の一つ篠原の娘。めちゃくちゃ強い。魔力量と才能に関してはトム・リドルことヴォルデモートの九割に該当する。


後編へ続く
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