【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者   作:シャケナベイベー

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今回は皆大好きロックハートとアンブリッジが登場するよ!(尚、ロックハートは今回で退場する模様)


閑話 闇祓う者達

 ギルデロイ・ロックハートの逮捕状が届いた。

 その知らせを受けた闇祓い局は、それはもう大騒ぎだった。随分前から、闇祓いはロックハートをマークしていたものの中々決定的な証拠を押さえることが出来ず、長い間野放しとなっていた。

 そんな男をついに捕まえることが出来る。そんなこともあってかこの日の闇祓い局はいつも以上に賑やかだった。

 

「……まぁ、若干私怨が入ってる奴もいそうだけどな」

 

 闇祓いとしての制服をキッチリと着こなし、紅茶を嗜む男の名前はレックス・アーデル。闇祓いの中でも指折りの実力者で次期局長の座を同期のキングズリー・シャックルボルトと二分する男だ。

 

 レックスは浮き足立つ後輩達を眺めながらロックハートに突き出す逮捕状を見つめていた。

レックスからしても、ギルデロイ・ロックハートという男は受け入れがたい人物だった。

 才能がないから、唯一才能があった忘却術のみを鍛え上げてきた努力は認めよう。実際、魔法省には忘却術を専門とした部署だってあるのだ。しかし彼はその忘却術を他者の記憶を奪い、自分の手柄とするために使い続けてきた。

 そうなっては、もはや悪人と呼ぶ他ないだろう。

 

「全く……能力の無駄遣いって奴だよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 イギリス魔法界のとある場所。そこでは多くの女性が一人の男を囲み、サインを貰おうとしていた。

 その目的の人物こそギルデロイ・ロックハート。キザったらしい笑みで握手をするロックハートのことを忘却術で他人の功績を奪っている魔法使いだと知らない彼女達からすればロックハートはまさしくスターのような存在なのだろう。

 

「失礼。少し通らせてください」

「ちょっと!割り込まないでよ!」

 

 突然割り込んできた男性に憤慨する女性だったが、男性が闇祓いの制服を着ているのを見ると口を閉ざす。

 

「すみませんロックハートさん。こちらにサインを頂きたいのですが」

「おや!珍しい。男性のファンの方ですか!男性のファンは珍しいですからね。私で良ければ喜ん…で…」

 

 男性──レックスの姿を見たロックハートが笑顔のまま固まる。少しするとその笑顔が引きつった物へと変わり、冷や汗を流す。

 ロックハートを囲んでいた女性達はどうやら只事ではないと感じ取ったようでロックハートと四人の闇祓いから離れていった。

 

「おや。酷いじゃないですかロックハートさん。折角やって来たファンを無視するなんて」

「そ、それは失礼…闇祓いの服装をされているものだから思わず固まってしまいまして…」

 

 そう言いつつ、ロックハートは視線をあちらこちらへとさ迷わせる。明らかにこの場から離れようとしている動きだ。

 

「そんなに挙動不審になられると何かやましいことがあるのかと勘ぐってしまいますよ?」

 

 ロックハートを囲んでいる闇祓いの一人が声を掛ける。いつ逃走しても捕まえられるように後ろ手に杖を握りしめていた。

 

「は、ははは……やましいことなど何一つありませんよ。あっ、申し訳無い!次の予定があるのでこれで……」

「インカーセラス!!」

 

 姿くらましで逃走しようとしたロックハートの体に闇祓いが唱えたインカーセラスの縄が巻き付く。さらにレックスが武装解除呪文でロックハートの杖を回収する。

 

「大人しくしておけロックハート。忘却術乱用による人的被害、さらに詐欺の疑いで逮捕状が出ている。一緒に来てもらうぞ」

 

 レックスが言い放つと余計に抜け出そうともがくロックハートだったが闇祓いに両脇を固められ無理矢理に立たされる。

 

「くそっ!!何故、何故なんだ!!わた、私にはこれしかなかった!こうすることでしか日の目を浴びることがなかったのに!!」

「お前の忘却術の才能は本当に目を見張るものがあった。魔法省にだって忘却術士がいるからそこで才能を発揮することも十分出来た筈だ。結局自分の才能を捨てたのはお前自身なんだよ」

 

 ロックハートの、いっそ憐れみすら覚える叫びをレックスは一刀両断する。

 項垂れたロックハートを伴って闇祓いの三人は姿くらましで去っていった。

 

「……さて」

 

 少しめんどくさそうにレックスが女性達の方を向く。案の定、女性達は騒ぎ出し、レックスへと詰め寄った。

 

 

 

 

厄介事を押し付けられたレックスは辟易としながらも今回の件についての説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギルデロイ・ロックハート逮捕!栄光の人生は偽りだった!』

 

 次の日、ロックハートの存在はさらに有名になった。無論悪い意味でだが。日刊予言者新聞の見出しを飾ったのは連行されるロックハートの姿と彼のこれまでの悪行を載せた文だった。

 

「ロックハートの奴……捕まってもこっちに面倒事を残してきますね……」

「仕方無いだろう。何も知らなければ、彼はまさしく様々な冒険をしてきたヒーローなのだから。ま、その本性を知って彼を崇拝する人は一人も居ないようだが」

 

 闇祓いの後輩の愚痴にレックスは苦笑しつつも書類を片付ける。

 これらの書類は全て何故ロックハートをもっと早く捕まえなかったのかという抗議文のようなものだった。中々に証拠を押さえられなかったのも事実なのでレックスは一通一通丁寧に返事を書いて送っていたのだ。

 

「さてと…こんなもんかな。悪い、ボーンズ部長に呼ばれてるから後は頼むな」

「えぇ~~!!そりゃないっすよレックス先輩!」

「ははは、悪いな」

 

 レックスの言葉に作業をしていた後輩の闇祓いが嘆く。確かに残りの膨大な量の仕事を片付けるのに四名では足りないだろう。

 

「まぁ、お前らも闇祓いになってかなり経ったんだ。デスクワークも慣れたものだろ?」

「それとこれは話が別なんですよ~!!」

「先輩の鬼!悪魔!吸魂鬼!!」

「この前何もないところで躓いたの知ってますからね!」

「この前女性と仲良さげに話してたってエレインさんに言ってやります!!」

 

 凄まじいブーイングの嵐だ。というか後半はレックスの暴露話になっていた。後輩たちがやいのやいのと騒ぐ姿に頭を抱えつつ、「今度何か旨い飯を奢ってやる」とレックスが言うと彼等は一斉に口を閉ざして黙々と仕事に取り掛かる。現金な連中である。

 そんな後輩たちの欲望への頑張りを背に、レックスはアメリアの待つ魔法法執行部長室へと歩を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します。ボーンズ部長」

「来たわねレックス。座ってちょうだい」

 

 扉を明け、入室してきたレックスを見たアメリアは椅子と机を出現させてそこに座るよう促す。

 

「さて…今日呼び出したのは他でもありません。今回、貴方が正式に『闇の魔術に対する防衛術』の教師に就任することが決定しました。これがダンブルドア校長と理事会からの任命書です」

 

 手紙を受け取ったレックスは軽く目を通す。そこにはレックスをホグワーツの臨時教師として雇うことが書かれており、さらにはダンブルドアと理事長のルシウス・マルフォイのサインが記入されていた。

 レックスはその手紙を懐に仕舞うと「謹んでお受けします」と頭を下げた。

 

「色々大変だろうけど頑張ってね。先輩として応援するわ」

「ありがとうございますアメリア先輩」

 

 しばし他愛もない話をしていた二人だったがコンコンと扉をノックする音で会話を切り上げる。アメリアの入室を促す言葉と共に扉が開き、一人の魔女が入室してきた。

 やって来た魔女の顔を見たレックスは露骨に嫌そうな顔をし、アメリアも僅かに目を細める。

 

 

 

「ご歓談中失礼しますわボーンズ部長」

「……構いませんよ。それで、どうなさったのですアンブリッジ上級次官?」

 

 やって来たのは全身ピンクのコーデに身を包み、そのガマガエルかと見紛う容姿に口からシュガーのように甘ったるい声を発する魔女──ドローレス・アンブリッジだった。

 

「えぇ。次年度の『闇の魔術に対する防衛術』の教師の件についてですが……」

「その件であれば、担当するのはそこにいるレックス・アーデルに決定しました」

「えぇ。耳にしましたわ。ボーンズ部長、私はその件に異議を申し立てに来ましたの」

「……異議?」

 

 何言ってんだこいつ、という顔をするアメリアが見えていないのかアンブリッジはニコニコと笑みを浮かべ、尚もその甘ったるい声で喋り始めた。

 

「私、これでも上級次官です。ですから一闇祓いの人間よりもより具体的な内容をお教え出来ると思っているのですが──」

「確かに闇祓いと上級次官では貴女の方が階級は上でしょう。しかし、『防衛術』とあるようにこの科目では本を読むだけでなく、より実践的な魔法の使い方を勉強します。それ故に“一闇祓い”の中でも様々な実戦経験のあるレックスを任命することはホグワーツの生徒達にもより良い経験となる……私はそう考えています」

 

ドローレスの言葉に被せるようにして、やや熱が入ったようにアメリアが語る。

 

「もしこの件にまだ不満があるようでしたらコーネリウス・ファッジ大臣か、アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア校長に申してみるのをお奨めします。とはいえ、お二人ともレックスが赴任することには大いに賛成のご様子でしたが」

「……分かりました。そこまで仰るのでしたら異論はありませんわ。お二人の正式な決定とあれば私が意見するわけにも行きません。それでは、私はこれで失礼します」

 

 そう言い残すと、アンブリッジは執行部長室を去っていった。去り際にレックスを睨んでいたが。

 

「……俺が会話に挟まる余地がありませんでしたね」

「寧ろ挟まらなくて正解よ。貴方が何か言えば向こうが余計に面倒くさい事になっていたでしょうね」

 

 アメリアの言葉にそれもそうかと一人納得するレックス。確かにアンブリッジはレックスが教師として赴任することに不満が大有りのようだったし、もしここでレックスが何かをアンブリッジに言ったとしても余計な火種を増やす事態に成りかねなかった。

 そういう意味では自分が会話に混ざらなくて正解だったかもしれないとレックスは思い直した。

 

「…何はともあれ、この一年間頼むわね」

「分かりました」

 

次年度から忙しくなりそうだと、レックスは必要になりそうなものを頭の中でリストアップしていった。




最近暑くね?
皆さんも熱中症には十分気を付けてくださいね!
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