【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者 作:シャケナベイベー
ついに二年生になったリオン達。新たな学年となった彼らを待つ悲劇とは……
秘密の部屋編、開幕です!
投稿が遅れた理由?ゼノブレイドやってたからだよ
待ち受ける“未来”
九月一日───新学期も間近に迫ってきた今日。俺は母さんと一緒に教材を揃えるべくダイアゴン横丁を訪れていた。
「これで全部かしら。とりあえず必要なものは揃ったわね」
母さんがメモを見ながら呟く。
「あ、なら母さん。ちょっと辺りを見てきてもいい?」
「えぇ、いいわよ」
ダイアゴン横丁を見回しながらそう聞くと、あっさり許可が貰えたのでぷらぷらと歩き出した。
◆ ◆ ◆
「ん…?あれは……」
気になる店を覗いたりとある程度探索し終えたところで母さんの下に戻ろうと踵を返したとき、視界の端で見覚えのある後ろ姿を捉えた。
「……ダフネ?」
「えっ?あ、リオン」
声を掛けると向こうも俺に気付いたのか、振り返って笑みを浮かべた。
「直接会うのは久しぶりだな。元気にしてたか?」
「えぇ、勿論。リオンこそ元気にしてた?」
「万全だよ……それにしても、髪型変えたんだな。よく似合ってるよ」
お互いに近況確認をしたところでダフネの髪型が変わっていることに気付く。一年生の頃はそのまま流されていた白金色の髪が、今はダフネの目の色と同じアイスブルーのヘアゴムで後ろに一纏めにされている──俗に言うポニーテールという髪型に変わっていた。
「ふふっ。ありがとう、新学期に向けて新しくしてみたの」
「いいじゃないか。心機一転って奴だな」
新学期に向けてイメチェンする人も珍しくはないし、ダフネもその類いだろうと当たりをつける。
「そういえばダフネ一人か?」
「いいえ。お父様と妹と一緒よ。二人とも買い物に行ってて私は欲しいものも無かったからここで待ってる──噂をすればね」
ダフネの視線を辿って体を向けると、大人の男性と小さな少女がこちらに歩いてくる所だった。
「お待たせ、姉さん。買いたいもの買え───えっと……?」
ダフネを姉さんと呼んだ少女が俺を見て困惑した表情をする。どう答えようか迷っていると男性が俺に声をかけてきた。
「……もしかして、君がリオン君かい?」
「えっ?はい、リオン・アーデルですけど……」
「そうか、君が……初めまして。私はルデア・グリーングラス。ダフネの父親だ。この子はダフネの妹のアストリア」
「初めまして。アストリア・グリーングラスと言います。姉さんからお話を聞いて一度お会いしたいと思っていました」
「あ、これはどうもご丁寧に……」
笑顔で話しかけてきた男性──ダフネの父親のルデアさんと妹であるアストリアが畏まった様子で話しかけてきたものだから俺も思わず頭を下げてしまう。
「しかしなるほど……あのダフネが笑顔で君の事を話すものだからどんな子か気になっていたけど優しい子なんだね、君は」
「ダフネが俺の事を?」
ダフネの方を見ると、彼女は顔を赤くしてそっぽを向いていた。
「え、変なこと言ったのか?」
「言ってないよ!?」
俺がそう聞くと悲鳴じみた声で否定してきた……逆に不安になるんだけどな……
「大丈夫ですよ。姉さんってば、友達が少ないものだからリオンさんっていう友達が出来てはしゃいでただけですから」
「アストリア!?」
ニコニコと、物凄い笑顔でそんなことを言ったアストリアを見たダフネが絶望したような声を上げる。こんなのバラされたら恥ずかしくて死んじゃうだろ。
「あぁ、いたいた。まったくもう、探したわよ」
と、後ろから声が掛かり、そちらに顔を向ける。やって来たのは母さんでどうやら俺を探していたようだ。
「あ、ごめん母さん。探させた?」
「何かに巻き込まれたかと心配したじゃない。何事もないようで安心したわ……あら」
話していた母さんの目が、グリーングラス一家へと向けられる。母さんはダフネとアストリアの前まで歩くと膝を折って二人と目線を合わせる。
「初めまして。金髪の貴女がダフネちゃん?」
「え?はい、ダフネ・グリーングラスと申します。あの、貴女はもしかして──」
「えぇ。私はエレイン・アーデル。リオンの母よ。会えて嬉しいわ」
「私もお会いできて嬉しいです。あ、この子は私の妹でアストリアと言います。ほら、アストリア」
「アストリア・グリーングラスです。初めまして、エレインさん」
互いに挨拶を交わした三人はそのまま楽しくガールズトークへと興じていき、俺とルデアさんは顔を見合せ困ったように笑った。
◆ ◆ ◆
楽しく会話していた三人だったが、ルデアさんの「妻を待たせている」との一言で俺達は別れ、グリーングラス一家はダイアゴン横丁を後にしていった。
「ふふふ、久しぶりに若い子と話せて楽しかったわ」
「それは良かった。まぁ俺とルデアさんも色々と話せたし楽しかったよ」
「あらそうなの?どんなお話をしたのかしら?」
「大したことじゃないさ。ホグワーツでのダフネの様子を聞かれたり、授業内容だとかそんなとこ」
そんな会話をしながら歩いていた俺達だったが、ふと先の方が騒がしくなっていることに気付いた。
「……なんか騒がしくない?」
「ほんとね……少し行ってみましょうか」
「へ?あ、ちょっ、母さん!?……行っちゃったよ」
浮き足立ちながら騒がしくなっている方向へと歩いていく母さんを見て、ため息を吐きつつも後を追った。
「で、騒ぎの元凶へ来てみた訳なんだけど──」
目線の先では大の大人二人が取っ組み合いをしているという珍妙な光景が広がっていた。
「なんだこりゃ」
「あっ、リオン!」
その光景に絶句していると俺を呼ぶ声が聞こえた。振り向いて声の出所を探してみると、俺を呼んだ人物がこちらに手を振っていた。
「ハリーにロン、ハーマイオニーまで一緒か」
取っ組み合いの光景を見て固まっている母さんを気にしつつ、三人のいるところへ向かう。
三人の待つ場所へ行くと、そこにはハリー達だけでなく、ロンの兄のジョージ&フレッド、そして見知らぬ赤い髪の少女が居た。
「フレッドにジョージも一緒に居たんだ」
「よぉリオン。僕達はいつでも一緒さ」
「ハリーがノクターン横丁に行くっていうハプニングはあったけどな」
「なんだそりゃ」
聞けば、煙突飛行を使う際にフルーパウダーでむせたハリーがダイアゴン横丁ではなくノクターン横丁に行ってしまったということだった。
「それで、そっちの子は?」
「妹のジニー。僕の妹さ」
と、ロンが自慢げに答え、ジニーに小突かれていた。
「えっと…初めまして。ジニー・ウィーズリーよ」
「初めまして、リオン・アーデルだ。君のお兄さんの友達だ。仲良くしてくれると嬉しいな」
挨拶を交わし、握手する。と、そんな俺達をハリーが羨ましげに見ていることに気付いた。
「ハリー、どうした?」
「ジニーは僕とは挨拶してくれないんだ……」
そう言って肩を落とすハリー。そんなハリーを見てジニーは申し訳なさそうにしながらも顔を赤くしてロン達の後ろに隠れてしまった。
「ほらね?」
そう言って落ち込むハリーだが、このジニーの様子は……
(ははぁ。なるほどな…気になる相手が目の前にいればこういう反応になるのも無理ないよな)
そんなハリーとジニーの様子を微笑ましい気持ちになりながら少し離れたところにいたドラコがハリーに絡んでいるのを見守った。
ふと気になって母さんの方を見てみると、母さんが笑顔で取っ組み合い中の二人に近付いていくのが見えた。
「うわ……あの笑み、絶対キレてるよ……」
あの張り付けたような笑みは父さんが何かやらかしたときによく見る物だ。父さんが電子レンジを壊した時なんかもあんな笑顔でキレてたっけ。
「あらあらあら。アーサーにルシウス。相変わらず仲が良いわね?こんな道の真ん中でじゃれあうなんて」
「え、エレイン!?いや、ち、違うんだこれは!!」
母さんが詰め寄ると取っ組み合っていた二人の男性は慌てて立ち上がり、赤毛の男性が必死に弁明していた。
「あの赤毛の男性ってウィーズリー家の人?」
「そう、僕らのパパ」
ロンに尋ねると小声で返答してきた。流石に恥ずかしかったのだろうか。
「じゃあもう一人はドラコのお父さんってことか」
「おいリオン。何でそこで悩まないんだ」
「だってアーサー・ウィーズリーさんとあんな取っ組み合いするのなんてルシウス・マルフォイさんくらいしか聞いたことないんだけど」
俺の言葉にドラコは「うぐっ…!」と呻いた後、何も言わなくなってしまった。しかし父親はウィーズリーと因縁があってその息子はポッターと因縁があるとは…つくづくグリフィンドールとスリザリンの噛み合わなさを実感するなぁ……
通行人の邪魔にならないよう移動しながら二人に説教を続けている母さんを見て、軽く現実逃避したくなった。
◆ ◆ ◆
「じゃあ母さん。行ってきます」
「えぇ、行ってらっしゃい。お父さんのことよろしくね、何かドジ踏んだりしないように見張っていてね」
「流石に四六時中は無理だろうけどね。まぁ授業の時は気を付けてみるよ」
駅のホームで母さんと会話し、ホグワーツ特急に乗り込む。ちなみに、今年の防衛術の教師となった父さんは先に乗り込んでおり、今頃授業の段取りを確認しているのだろう。
空いてるコンパートメントに座り、荷物を置くと楽な姿勢になる。そして俺のいるコンパートメントにやって来たマークとランスと会話をしていたのだが、列車が発車してすぐ、俺の意識は眠りについていった。
『この、穢れた血め!!』
『“継承者の敵よ、気を付けろ”……?』
『お前は誰だ?』
「──ン。─オン。リオン!」
「はっ……!?」
聞こえた声に慌てて飛び起きる。視線を向けると、マークが心配そうな顔をしてこちらを見ていた。
「ホグズミード駅に着いたけど……大丈夫?魘されてたみたいだけど……」
「あっ、あぁ。大丈夫、大丈夫。……ちょっと嫌な夢を見ただけだ……」
「汗もスゲーかいてるぜ?ホグワーツに着くまでに拭いといた方がいいんじゃないか?」
「そうするよ……」
二人の心配する声に答えつつ、恐らく夢であろう光景について考えを巡らせる。
(何だったんだ、あれは……夢にしてはリアルすぎる……)
思わず古びたロケットを握り締める。エドワード爺ちゃんが俺に渡すよう手紙に遺していたそうなのだが、爺ちゃんが亡くなったのは父さんが十六歳の時のこと。当然俺のことなんて知らないはずなのだが……
「気にしててもしょうがないよな」
そしてホグズミード駅を過ぎ、俺達はホグワーツへと帰ってきた、帰ってきたのだが……
「聞いたかいリオン。ウィーズリーとポッター、列車に乗り遅れたんだってさ」
そんなことを嬉々として伝えてきたドラコにそんな話を聞かされ、頭を抱えてしまった。
あー……胃が痛い。
なんとかしてリオンとダフネのイチャイチャを書きたい衝動に襲われてる……まだだ、まだ我慢しろ作者…!