【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者 作:シャケナベイベー
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「こいつが僕の両親を殺したんだ!」
「信じられない……君なのかフランク?」
「私、誰にも言わなかったのに!」
「お前は、永遠に赦されることはない」
◆ ◆ ◆
「──オン。リオン?」
「はっ……!?……ハァ……ハァ……」
目を開けて飛び起きる。……ここは何処だ。今は一体何時で……
「大丈夫?魘されていたようだったけど……」
横からの声に目を向ける。そこには俺を心配する表情のダフネが俺を覗き込んでいた。
「……あっ、あぁ。大丈夫。ちょっと変な夢を見ただけさ」
「そうなの?ならいいけど……そろそろ布団をしまいましょう。さっきダンブルドア先生がいらっしゃって布団を片付けるように言ってたわ。朝食を用意するからって」
「分かった」
立ち上がり、布団を片付ける。そしてテーブルと椅子が運ばれてくるのをぼんやりと眺めながら俺はさっきの夢について考えていた。
(あの夢……一年前に見た夢に似てるな。夢に出てきたのはハリーとハーマイオニー、それに俺と顔がよく見えなかった誰か……それにあの場所、ホグワーツじゃなかったみたいだけど一体何処だ?)
ぐるぐると頭の中で思考する。この夢の見方は一年前にホグワーツ特急で見た夢と似たものだった。
思い返せば夢で見た内容はその後実際に起きた。となれば予知夢のようなものなのか?
そんなことを延々と考えている内にテーブルに料理がところ狭しと並べられるのを見て、慌てて席についた。
朝食を終えると、俺達はダンブルドア先生の指示に従ってそれぞれの寮に戻った。あれからブラックを見つけることは出来なかったことで生徒は皆不安がっていたがダンブルドア先生が大丈夫だと言うのなら信じるしかないだろう。
とはいえハロウィーンを終えても次の課題がある。グリフィンドールVSハッフルパフのクィディッチの試合が迫っていたのだが、最近は悪天候が続いていることもあって練習がやりづらいとハリーが嘆いていた。
元々グリフィンドールVSスリザリンの予定だったのだがシーカーのドラコの腕がまだ治ってないとかなんとかで対戦相手を変更したらしい。正直アイツの腕はもう治ってるだろうと思ったが、部外者の俺が言ったところで聞き入れる連中じゃないので何も言わずにおいた。
そんなこんなであっという間にクィディッチ前日となる中で行われた闇の魔術に対する防衛術の授業はいつもと違っていた。
「遅れてすみませんルーピン先生。僕──」
「授業は十分前に始まったぞポッター。グリフィンドールから十点減点」
そう。体調を崩したルーピン先生に変わってスネイプ教授が防衛術の担当になったのだ。
相変わらずハリーをイビるスネイプ教授とそれに反抗するハリーだったがなんとスネイプ教授が五十点も減点したことで渋々ハリーは席についた。
加えて、あろうことかこの性悪教師は『人狼』について話し始めやがったのである。
しかもご丁寧に人狼化を防ぐ薬である脱狼薬も見せるというオマケ付きだ。全然嬉しくない。
その光景を見て思わず頭を抱えてしまった。
実を言えば、俺はルーピン先生が人狼なのではないかと疑っていた。
先生は満月の夜になると体調を崩したと言って休むことがあったし、以前スネイプ教授の部屋を訪れた時に今見せびらかしている脱狼薬をルーピン先生が目の前で飲んだからだ。
恐らくルーピン先生は俺が脱狼薬を知らないだろうということで飲んだのだろうが、それを見ていながら人狼について語る
◆ ◆ ◆
ついにグリフィンドールVSハッフルパフの試合当日となった。残念なことに天気は生憎の嵐で、あまりの暗さに廊下の蝋燭を増やした程だ。
しかしこんな嵐でも試合を見ようとピッチの観客席は満員となっていた。俺もその一人であり、観客席の真ん前に座っていた。
そんな俺だが、ある懸念を抱えてもいた。
クィディッチピッチの外には大量のディメンターが跋扈しているということだ。
ディメンターは人の幸福の感情を餌とするため、今のところ誰の感情も吸い取れていないこの状況でクィディッチという幸福溢れるイベントが近くで起こればピッチに侵入してくるのではないかと考えたのだ。
「どうなることやら……」
「何か言った?」
「いや、なんでもない」
思わずぼやいていると、隣に座っていたマークが聞き返してきたのでそれとなくはぐらかす。
そしてマダム・フーチの声も聞こえない豪雨の中でグリフィンドールVSハッフルパフの試合が始まった。
前後左右も分からないどしゃ降りの中、両チームは懸命にしのぎを削りあっている。
一度グリフィンドールがタイムアウトを取り、そこから試合が再開したがやはりこの悪天候もあって皆思うような動きが出来ていないらしい。
「あ、おいあれ!スニッチじゃないか!?」
防水呪文を掛けた双眼鏡で事の成り行きを見守っていたランスが声を張り上げる。
俺も双眼鏡を取り出して見てみれば確かにスニッチが高速で飛んでおり、それを追いかけるハッフルパフのシーカー、セドリック・ディゴリーの姿があった。
そして少し遅れてウッドの声で気付いたハリーも全速力でスニッチを追いかける。
そしてスニッチを挟むようにして二人が並んだ瞬間、ピッチ全体をゾッとするような寒気が襲った。
この寒気を知っている。ホグワーツ特急でも感じた体の底から冷えていくような、深い水底に落とされたような感覚───
「ディメンター……ッ!?まずい!!」
ピッチに侵入してきた百余りのディメンターに驚愕していたが、弾かれたように上空を見る。
案の定、ハリーが箒から地面に向かって落下していた。杖を取り出し、地面を出来る限り柔らかくする。
気を失ったハリーの体が柔らかい地面に投げ出される。とりあえず大きな怪我は無いだろうと安心したのも束の間、ディメンターの群れが倒れたハリーに向かって群がり始めた。
瞬間、ピッチの外から銀色の光が溢れ周囲のディメンターが去っていく。
そして観客席からも銀色の光───守護霊が飛び出しハリーの近くにいたディメンターを吹き飛ばした。
ピッチに降りたダンブルドア先生はカンカンに怒っており、去っていくディメンターを睨んでいたが横たわったハリーを見て担架を出すとマダム・ポンフリーの所へ連れていくよう指示を出した。
担架に乗せられて運ばれていくハリーを見送っていると、フレッドとジョージが口パクで「ありがとう」とお礼を言ってきたので胸に手を当てて頭を下げる。
◆ ◆ ◆
あの後、クィディッチはセドリックがスニッチを取ったことでハッフルパフの勝利として終わった。
セドリックはやり直しを望んだらしいが少なくともスニッチを取った事実があるためそれが受理されることはなかった。
そしてハリーのお見舞いに行ったのだが本人は酷く落ち込んでいた。
試合に負けたこともそうだがハリーの愛用していたニンバス2000が暴れ柳に突っ込んで粉々になってしまったらしい。
その無惨な姿を見た俺は「あの時一緒にニンバスも制御しておくべきだった」と頭を下げた。
ハリーは慌てながら気にしてないと言っていたがどう見ても無理をしていた。
「とりあえず怪我が無いようで良かった」と言って、医務室を後にした。
「リオン。少しいいかの?」
医務室を出て寮に戻っているとダンブルドア先生に呼び止められた。
「はい。どうしました先生?」
「ここでは人目が多い。校長室に行こうかの」
「それで一体どうしたんですか?」
校長室にやって来た俺は先生の差し出した紅茶を飲み、問い掛ける。
「まずお礼を言わねばの。ハリーが箒から落ちた時に地面を柔らかくして助けてくれたじゃろう?」
「あれは体が勝手に動いたというか……余計なお世話だったでしょうか?」
「そんなことはないとも。君の行動が無ければハリーはあのまま地面に真っ逆さまだったはずじゃ」
ダンブルドア先生がそう言って優しい笑みを浮かべた。
「さて、儂が君を呼び止めたのはこれが理由なのじゃ……リオン。守護霊の呪文を覚えてみる気は無いかね?」
「守護霊の呪文をですか?」
先生の提案に目を見開く。
「え、でも俺は閉心術の訓練も……」
「閉心術は大方完成しておる。後は実践あるのみじゃしそうなれば毎日のように訓練するわけにもいかぬ。故にこそ君には守護霊の呪文を学んでもらいたいのじゃ。ハリーの助けとなるために」
ダンブルドア先生の言葉に少し考え込むも、了承することにした。
「守護霊の呪文を覚えるのは良いんですけど誰が教えるんですか?ダンブルドア先生?」
「いや儂ではない。ルーピン先生に頼むと良い。儂からも伝えておこう」