【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者 作:シャケナベイベー
ほんっとうに申し訳ありません!色々とゴタゴタしていたもので中々執筆出来ませんでした
しかも散々待たせた上に短いです…リハビリがてらなので大目に見てくだされば……
ハーマイオニーの勉強に付き合うようになってしばらく。
恒例のホグズミードの日となった今日。リオンはやりかけであったスネイプからの課題を終わらせて彼のいる研究室へと向かっていた。
「失礼しますスネイプ先生。課題が終わったので渡しに───あー、出直しましょうか?」
扉をノックし、入室したリオンが気まずげに頬を掻く。
リオンの目に飛び込んできたのは何やら椅子に座らせられているハリーと、そんなハリーに詰め寄っているスネイプの姿だった。
「アーデルか。何の用かね」
リオンがやって来たことに気付いたスネイプがハリーから離れ、リオンに目を向ける。
「あー……いえ。提出された課題を終わらせたので見てもらおうと思ったんですけど、取り込み中ならまた後にしますね」
「構わん。我輩に寄越して待て」
そう言ってスネイプがリオンから紙を引ったくるようにして取り上げ、近くの机に置いて閲覧を始める。
手持ち無沙汰となったリオンは椅子に座って助けを求めるような目を向けてくるハリーに寄った。
「おいハリー。お前なんでここにいるんだ?スネイプ先生に何かやったのか?」
「やってないよ!ここにいるのは……何て言うか、その……」
何処と無く歯切れの悪いハリーに首をかしげるリオン。そんな二人にスネイプが疑問を明かした。
「勇敢にもハリー・ポッターは許可証を書いてもらっていないにも関わらず、ホグワーツを抜け出してホグズミードに通っていたのだよ。常々思っていたが正義の寮などと宣っておきながら堂々と校則を破り、あまつさえ他人に度が過ぎる悪戯を仕掛けるような生徒がホグワーツを素知らぬ顔で歩いていると思うと寒気がしますな?」
途中まではパラパラと紙を捲りながら話していたスネイプだったが、やがて暗い笑みを浮かべてその目にハリーを捉えながら話し出した。
そのあからさまとも言える挑発に沸騰した湯のように顔を真っ赤にしたハリーが言い返そうと立ち上がろうとするのをリオンが肩を押さえて押し止める。
「何で止めるんだよリオン!!」
「怒るのも分かるが落ち着けよ。その様子から察するに隠れてホグズミードに行ってたのは事実なんだな?」
リオンの問いにハリーが心底不機嫌そうな顔で頷く。それを見たリオンは軽く溜め息を溢すと、相変わらず意地の悪い笑みを浮かべるスネイプを視界に捉えた。
「それでスネイプ先生。ハリーがここにいるのはその件を問い詰めるためですか?」
「左様。我輩も聞いた時は耳を疑ったとも。しっかり伝えていたにも関わらず、許可証を書いてもらえなかったのは自身の責任であるというのに密かにホグズミードに通っていたのだから。……実に父親とそっくりだ」
最後に吐き捨てるようにして呟いたその言葉を聞いたハリーが我慢の限界とばかりにリオンを押し退けて勢い良く立ち上がる。
それを見たリオンは「あーあ」と諦めたように口に出し、もうどうにでもなーれと半ば思考放棄しながら事の成り行きを静観することにした。
「お前に父さんの何が分かるんだ!!」
「よく知っているとも。傲慢、目立ちたがり。実に今の貴様とそっくりではないか。ポッター?」
「結局悪いところしか言ってないじゃないか!!去年にレックスさんやダンブルドアから聞いた。父さんは確かに傲慢だったかもしれない、それでも正義の人だったんだって!学生の頃、父さんがお前の命を救ったんだ!そうやって馬鹿にすることしか出来ないお前が父さんのことを口にするな!!」
後ろで聞いていたリオンは思わず頭を抱えた。なぜ父さんはこんな火に油を注ぎかねない事を話したのだろう。いや、単純にハリーに父親の事を知ってほしかったのかもしれないがそれにしたって早過ぎやしないだろうか。
「なるほど。父親のことを聞いたか。ならばどれだけ自分があの傲慢なジェームズ・ポッターと似ているか理解できたのではないか?」
「あぁそうさ。僕は父さんと母さんの子供だ!!似ていて当然だ、お前なんかに言われなくても分かってる!!」
そのハリーの反論に苦虫を噛み潰したような顔をしたスネイプは「ポケットをひっくり返せポッター!今すぐにだ!校長のところに連れていかれたいか?」と声を張り上げる。
それに顔を青くしたハリーはノロノロとポケットからゾンコで売りに出されているような商品や羊皮紙を取り出した。
スネイプはそれらを取り上げると机の上に置き、再度ハリーの方を向く。
「これを何処で手に入れた?」
「……ロンがホグズミードで買ってきてくれたんです」
「なんとも仲睦まじいことだ。しかし我輩にはこれが何かとても恐ろしい道具に思えるのだがね?」
「そんなことありません。ただの羊皮紙の切れ端です」
スネイプの質問に笑みを浮かべて答えるハリー。しかしスネイプもそんなハリーを見て笑みを浮かべると「ただの切れ端ならば我輩が捨てても構わんかね?」と言って手に持った羊皮紙を暖炉に投げ入れようとする。
「止めて!!」
それを見たハリーが大声で静止すると、スネイプは先程よりも笑みを深くしてハリーを見る。
そしてスネイプは羊皮紙を杖で突き、「汝の秘密を顕せ!!」と唱えるが効果は無く、羊皮紙は白紙のまま。「正体を顕せ!」と呪文を変えて再度唱えるも変化は無かった。
「ホグワーツ校教師セブルス・スネイプ教授が汝に命ず。汝の隠せし情報を差し出すべし!」
スネイプが一層杖で強く叩いて呪文を唱えると、白紙だった羊皮紙に文字が浮かび上がった。
「私、ミスター・ムーニーからスネイプ教授にご挨拶申し上げる。他人事に対する異常なお節介はお控えくださるよう、切にお願いいたす次第」
「私、ミスター・プロングズもミスター・ムーニーに同意し、さらに申し上げる。スネイプ教授はろくでもない、嫌な奴だ」
「私、ミスター・パッドフットは、かくも愚かしき者が教授になれたことに、驚きの意を記すものである」
「私、ミスター・ワームテールがスネイプ教授にお別れを申し上げ、その薄汚いどろどろ頭を洗うようご忠告申し上げる」
そうしてひとしきりスネイプを侮辱した羊皮紙は再び閉じてしまった。
あまりの衝撃にハリーは固く目を瞑り、リオンは「ボロクソに貶すじゃん……」と頭を抱えた。
しかし、当の侮辱されたスネイプは気に止めることもなく、暖炉の前に立ちルーピンの名前を大声で呼ぶ。
少しして埃まみれのルーピンが暖炉から現れ、顔を真っ赤にしたスネイプと羊皮紙───忍びの地図の出所について議論を始めた。
スネイプはハリーが忍びの地図をこの地図の製作者から受け取ったと考え、対してルーピンは頑なにゾンコにあったものではないかと意見を曲げなかった。
このまま平行線かと思われたところでロンが研究室に飛び込み、「その地図をハリーにあげたのは自分だ」と主張したのだ。
「なるほど。ではこの件はここまでで良いねセブルス?これは私が預かっておこう。ハリー、ロン、リオン。一緒においで。吸血鬼のレポートについて話があるんだ」
そそくさと話を切り上げたルーピンが三人を手招きするとハリーとリオンも困惑しながらスネイプの研究室を後にした。
◆ ◆ ◆
「危なかったねハリー。大丈夫だったかい?」
研究室を出た後、ルーピンから軽く説教を喰らったハリーとロンは並んで歩きながら話し合っていた。
「ありがとうロン。あそこで君が来てくれなかったら地図も没収されてたかもしれない」
一先ずスネイプの手に渡らずに済んだことに胸を撫で下ろすハリー。
そんな二人を後ろから見ていたリオンは「二人とも、少しいいか?」と声を掛けた。
「どうしたの?」
「ハーマイオニーのことなんだが……」
その名前を出した途端、ロンが嫌そうな顔を浮かべる。
「へぇ、僕のペットを食べたことを認めなくて私のペットは悪くありませーんなんて言うハーマイオニーのことがどうかした?」
「……一応聞いておきたいんだけど二人はハーマイオニーと仲直りしたいって思ってるか?」
ロンの言い草にジト目を向けながら、リオンは切り出す。
「僕はアイツが謝るまで許すつもりはないよ。謝ったってスキャバーズが戻ってくるわけでもないけど」
「じゃあロンはハーマイオニーが非を認めて謝りさえすれば考えてやる……そう言いたいのか?」
「そうさ」
ロンの言い分に少し考える素振りを見せたリオンは一つ一つ言葉を選びながら話し始めた。
「なるほどね。じゃあロンは、今ハーマイオニーがそんな暇もないくらい忙しいって知ってる?」
「暇がない?そんなのいくらでもあるじゃないか。授業が始まる前だったり、寮に戻るときだって」
「そのどちらも君達二人で行動しているし、何よりハーマイオニーが話し掛けたって無視しただろう?」
リオンの言葉に思い当たることがあるのか二人が顔を逸らす。
「今のハーマイオニーはとても忙しくしてる。十二科目全てを受けていることもそうだし、何より二人とも。ハグリッドの授業で何か助け船を出したりした?」
「「あっ……」」
「そういうこと。だから謝りたくても謝れる状況じゃないんだよ彼女は。だけど、だからといって二人の方から謝れなんて俺は言えない。当事者じゃないしな」
「……けど、スキャバーズの事は許せないよ」
ロンが拗ねたような、哀しそうな声で言う。それにリオンも頷き、「そうだな。それは間違ってない」と肯定した。
「大事なペットを喪って悲しい気持ちもあるからそう簡単に許せるなんてことはない。でも、これまでハーマイオニーと過ごした三年間を思い出してほしい。それを踏まえた上でもう一度落ち着いてよく話し合うんだ。少しずつ歩み寄っていけばいいさ」
それから数日。三人が仲直りしたと耳にしたリオンは目先の問題が一つ解決したことに安堵するのだった。