【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者   作:シャケナベイベー

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お久しぶり……です、ね……?
久しぶりなので文章ぐちゃぐちゃかも


チェックメイト

 ハリー達の仲直りから三ヶ月ほどが経過し、ついにこの日がやって来た。数多の学生にとっての最大の敵、期末試験だ。

 基本的にテストが好きな奴なんて居ない。例外としてレイブンクローやハーマイオニーのような人達も居るがそんな彼等もこの期末試験中だけは目が死んでいた。さながら社畜根性極まった社会人の如く、黙々と勉強に励む姿はスリザリン生ですら同情の視線を投げ掛ける程だった。

 とはいえそんな他人の様子も気にかける暇などなく全員が漏れなくそれぞれテストを解くのに必死になったわけだが。

 

───そしていよいよ最後の試験である占い学が終わり、終了の鐘が鳴った途端に生徒たちは歓声を上げた。

 トレローニー教授が何かを言っているが生徒たちにとってそんなものは気にかける必要もなかった。そそくさと荷物を纏め、一人、また一人と教室を出ていく。

 リオンもその一人でゲッソリとしているセオドールにザビニと共に肩を貸しながらスリザリン寮へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、ハリー達じゃないか」

「あ、リオン!丁度良いところに!」

 

 セオドールを運び終わったリオンは何の気なしに校内をぶらついていたのだがハリー達三人組を見つけて声をかける──と、そんなリオンに気付いたハリーが笑みを浮かべながらリオンに駆け寄ってくる。

 

「三人はどこか行くのか?」

「えぇ。私たち三人の件でハグリッドに色々迷惑をかけちゃったからそのことを謝りに行こうって話してたの。勿論、リオンにも声をかけるつもりだったわ」

 

 リオンの疑問にハーマイオニーが答える。ハーマイオニーの言う『三人の件』と言うのは三人の間で起きた喧嘩のことだろう。

 ハグリッドのことだ。そんな謝罪をされても困るだけだと思うんだが──とリオンは考えたもののそれを口には出さずに仕舞い込んだ。

 

「そっか。なら俺も同行させてもらうよ」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「そうだリオン。君達、さっきまで占い学の試験受けてだろ?トレローニーになんか可笑しなこととか起きてなかったかい?」

「いや別に……あの人がどこかしら不思議な言動なのはいつものことだろ?なんかあったのか?」

 

 ロンの話に首を傾げたリオン。そんなリオンを見た三人はアイコンタクトで『話す?』『話しちゃおうぜ』『駄目よ。こんなことを話してリオンが真面目に取り合うなんて思えないわ』といった会話をしていたのだが、結局話すことに決めたのかハリーが「実は──」と切り出す。

 

 曰く、試験中にトレローニーの様子がおかしくなった。──いつものことじゃんとリオンは思ったが黙っていた──トレローニーは水晶玉を抱えながらいつもと違う荒々しく太い声でこう語ったという。

 

 

「闇の帝王は友もなく孤独に朋輩に打ち棄てられて横たわっている。その召使いは12年間鎖に繋がれていた。今夜、真夜中になる前その召使いは自由の身となりご主人様の下に馳せ参ずるであろう」

 

「闇の帝王は召使いの手を借り再び立ち上がるであろう。以前よりさらに偉大により恐ろしく。今夜だ。真夜中前。召使いが。そのご主人様の下に馳せ参ずるであろう」

 

 

 それは闇の帝王の部下が戻り、闇の帝王が復活することを予言していた。あまりに荒唐無稽。とてもではないが信じられるものではない。

 だが、予言は()()()()()()()()()()()()()。それを告げたあと、間髪入れずにトレローニーは語った。

 

 

「闇の帝王の友足り得た者。その者、己が血の奥に潜み機をうかがう。その者が目覚めるとき、闇の帝王にその刃を突き立てるであろう」

 

「されど気を付けよ。友足り得た者目覚めしとき、その器は脆く崩れ去るであろう。それを避けたくば器は心に目を向けよ」

 

 

 と。これが二つ目の予言だったようだ。

 

(闇の帝王の友……考え付くとすればそれは祖父のエドワードだけど、血の奥に潜むってのはどういうことだ?)

 

 予言の内容を聞いたリオンはそれが自身の祖父エドワードを指すのではないかと当たりをつけた。が、肝心の内容がさっぱりだった為に一度切り上げて目の前に見えたハグリッドの小屋へ意識を割くことにした。

 

 

 やって来たリオン達をハグリッドは笑顔で出迎えた。ベッドに座らせ、紅茶を取り出そうとするのをリオンとハーマイオニーが手伝う。その時、ハーマイオニーが驚愕したように声を出すのでその場の全員がハーマイオニーを注視した。

 

「ロン───し、信じられないわ──スキャバーズよ!!」

「何を言ってるんだよ君は?」

 

 突然のハーマイオニーの言葉にリオン達が疑問に思いながらバケツの中を覗き込むと、そこには必死に外に出ようともがくスキャバーズの姿があった。

 

「スキャバーズ!お前こんなところでなにやってるんだよ!」

「……というか無事だったんだなこの鼠」

 

 バケツの中から抱き上げ、満面の笑みを浮かべるロンともう死んだものとしてハーマイオニーに謝らせてしまったことを少し後悔するリオン。

 しかしスキャバーズは主人であるロンのことが分からないのか必死にロンの手から逃れようともがき続ける。

 

「スキャバーズ──このっ、大人しく──あっ!」

「大変、追いかけましょう!ハグリッド、今回のこと色々ありがとう!」

「迷惑かけてごめんねハグリッド!行こうロン!」

「ごめんよハグリッド!待てよスキャバーズ!」

「お、おう───な、何が何やら──」

「慌ただしくしてごめんなハグリッド。俺もハリー達を追い掛けるよ」

 

 口々にお礼を言ってスキャバーズを追い掛けていく三人組に混乱するハグリッドだったが、リオンが声をかけ小屋を出ていくとひっくり返ったバケツを元に戻してくつろぎ始めた。

 

 

 

 

 

 リオンが三人組に追い付いた頃には再びスキャバーズはロンの手の中に収まり、抜け出そうともがいていた。

 

「このっ、僕のこと分からないのかスキャバーズ!」

「駄目だな。完全に錯乱してる。ロン、スキャバーズをこっちに。この際失神呪文で気絶させて──」

 

 リオンが言い切る前にスキャバーズが再びロンの手から離れて駆け出す。それを追おうとした四人より早く、ハーマイオニーの飼い猫のクルックシャンクスがスキャバーズに飛び掛かった。

 あまりの出来事に一瞬硬直した四人だが、茂みから何かがヌッと躍り出たのを見てそちらに顔を向ける。そこにいたのは一匹の大きな黒い犬だった。その犬はハリー達を見つけると大きくジャンプしてこちらに迫ってくる。

 なんとか体を捻ってかわしたリオンは杖を取り出して黒犬に向ける。杖を見て怯んだ黒犬は近くにいたロンに標的を変えて飛び掛かると、その足に噛み付いてズルズルと引き摺っていく。その後を追おうとした瞬間、ドンッ!という鈍い衝撃と共にリオンの体が吹っ飛ぶ。慌てて周りを見てみれば太い木の幹が周囲を覆っていた。どうやら知らず『暴れ柳』の近くにいたらしい。

 暴れ回る『暴れ柳』から逃げつつ、何とか安全な場所に退避したリオンだったが、ハリーとハーマイオニーと離されてしまった。

 

「リオン!大丈夫!?」

「俺たちは大丈夫だ!それより二人は誰か大人の人を呼んできてくれ!」

「分かったわ!」

 

 ハリーの心配そうな声に手を振りつつ、リオンが誰かを呼んでくるよう頼むと二人は駆け足でその場を去っていく。

 

「急がないと……」

 

 黒犬が去っていったであろう方向を見ながら、リオンは駆け足でその後を追った。

 

 

 

 

 

 杖先にルーモスで光を灯しながら長いトンネルを下っていくと大きな扉が見えた。リオンは緊張しつつも、勢いよく扉を開けて中に滑り込む。

 そして周囲を見回し、ロンの姿を見つけるとほんの僅か力が抜ける。

 

「ロン、無事──」

「危ない!」

 

 急いで駆け寄ろうとしたリオンにロンが警告を発する。何が──と問う暇もなく、突如として横からの衝撃にリオンの体は倒れる。

 その衝撃でカラカラ──と音を立てて杖が床に転がる。しかし、そんなことを気にする暇もなく、リオンは胸倉を掴み上げられた。

 

「ぐっ──!」

「答えろ、何の目的でハリーに近付いた?ハリーを騙そうとでも考えたのか腐れスリザリン」

 

 その時、リオンは初めて相手の顔を見た。無造作に伸ばされた髪と髭。目の下には隈があり、体も驚くほど細かった。しかし、その目だけは強い光を宿していた。

 

「貴方は──ぐぅっ!」

「答えろ!!」

「止めろ!!リオンから離れろ!!」

 

 何か話そうとしたリオンをさらに掴み上げる男にロンが大声を上げる。

 すると、先程までの力が嘘のように抜け、掴まれていた力を失ったリオンはその場に尻餅をつく。

 

「あでっ!」

「リオン──リオンだって?」

 

 痛みから尻を擦るリオンを見つめ、男は確認するかのように尋ねる。

 

「君の名前は──リオン・アーデルなのか?」

「───えぇ。そうです」

 

 立ち上がり、男と視線を交えながらリオンは答える。その答えを聞いた男は嘘のように大人しくなった。

 

「すまない。感情的になりすぎたようだ……」

「あー、いえ。大丈夫です……?」

 

 あまりの態度の違いに思わず疑問系で返すリオン。そしてリオンは男の正体を看破する。

 

「貴方はもしかして──シリウス・ブラック?」

 

 リオンの問い掛けに男はゆっくりと頷く。それを見て尚、リオンはなにかしら警戒する様子を見せなかった。

 

「なぜ、君は私の名前を聞いて身構えない?」

「そう言われましても──その、俺の中では貴方は警戒対象じゃないって言うか──あ、この場合眼中にないとかじゃなくて貴方が悪い人だと思ってないって意味で──」

「……なに?」

 

 シリウスは怪訝な顔をする。自分がアズカバンに投獄されて十二年。自分の悪評は魔法界全体に行き渡っている。ホグワーツに通っているのなら自分のことはよく知っているはずだ。なにより、それが()()()()()()()()の息子なら尚更だ。

 自分を捕らえた男の息子は自分を全く危険人物と見なしていない。これにシリウスの頭は混乱した。

 

「何故私が悪人ではないと?」

「シリウス・ブラックさん。十二年前のポッター夫妻の襲撃事件の犯人。あれは貴方じゃありませんよね?」

 

 今度こそ、シリウスは目を見開いた。

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