【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者   作:シャケナベイベー

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なんか最近一話ごとの文量が少ない気がする…いやごめんなさい


夢想の過去  愚者か賢人か

プチ騒動が起こったクィディッチから時が経ち、ついにクリスマスがやってきた。

外は一面雪景色で多くの生徒が自寮の暖炉で暖を取っている。

 

そしてスリザリンにはたくさんのプレゼントがところ狭しと並んでいた。

 

「おーい、これ誰のだー?」

「それ俺のー」

「お!これ欲しかった奴じゃん!」

 

皆思い思いに自分のプレゼントを開けている。

まぁ、そういう俺も自分宛に送られてきたプレゼントを確認しているのだが。

 

「おいブレーズ。お前百味ビーンズってさ…」

「いいだろ?クリスマスらしくてよ」

「ほとんど外れの罰ゲームじゃねぇか」

 

ブレーズから送られてきた百味ビーンズを手に持って溜め息を吐く。俺、百味ビーンズ嫌いなんだけどなぁ…

 

「えーと…セオドールからは魔法生物の本か。サンキューなセオドール!」

 

俺が声を掛けるとセオドールは片手を挙げたっきり読書に戻ってしまった。

 

「マークからは…本の栞か、親和性あるな。で、ランスからは…手編みマフラー?意外すぎだろ」

 

アイツこんな家庭的な物送ってきたのか…

 

「ハリーからはミサンガ…ロンはクィディッチの本…ハーマイオニーからも来たか。羽根ペンと」

 

最近、ハーマイオニーとも話すようになったからか彼女からもプレゼントが送られてきた。

 

「ダフネは……闇祓いのコラムか。で、父さんと母さんからは──ロケット?」

 

随分と傷付いたロケットで、相当使い込まれていたことが分かった。

同封されていた手紙には「肌身離さず身に付けているように」と書かれていた。

 

「謎すぎだろ。うお、イグネイシャス爺ちゃんとルクレティア婆ちゃんからも来てる……」

 

予想外に母方の祖父母のイグネイシャス爺ちゃんとルクレティア婆ちゃんからもプレゼントが届いていた。

二人から送られてきたのは大量の手作りクッキーだった。

有り難く頂こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスプレゼントを全て開け終え、夜も更けた頃。俺は気晴らしにと雪が積もるホグワーツを散策していた。

 

「……リオン?」

「うぉわ!?……って、ダフネか…あービックリした……」

「ご、ごめんなさい。驚かせるつもりじゃなかったの…」

 

突如後ろから声を掛けられ、勢いよく肩を跳ねさせる。振り返ると、申し訳なさそうな顔をしたダフネが首元にスリザリンカラーのマフラーを巻いて立っていた。

 

「何か用があったのか?」

「いいえ。外を歩いていたら貴方を見かけて声を掛けたのよ」

 

どうやら特にこれと言った理由はないようだ。

ダフネは少し考え込むような仕草をした後、「少し歩かない?」と提案してきた。

俺としても断る理由が無い為、頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

雪に覆われるホグワーツを二人並んで歩く。

景色はとても幻想的で、お互いにこれまでの事を話しながら歩いていた。

 

「その格好、寒くないの?」

 

気になったのかダフネが聞いてきた。

……まぁ確かに、スリザリンの服にローブ一着を羽織っただけというのは見る人も寒くなるような印象を与えるだろう。

 

「そこは問題ないさ。保温魔法をかけているから寒くはないんだ」

「あ、それなら私にもかけてくれない?マフラーを巻いてはいるけど手とかが冷えてきちゃって…」

「勿論。ほいっと」

 

ダフネに杖を向け、彼女の全身を覆うように杖を振る。

少しして保温魔法の効果が出てきたのか表情が和らいでいった。

 

そうしてホグワーツを宛もなくフラフラしていた俺たちだったが、ふと人影を見つけた。

 

「……こんな夜に人?」

「私たちも人の事は言えないのだけどね」

 

そんなことを言い合い、人影に近付く。──って。

 

「あれハリーじゃん」

 

なんと、人影は友人であるハリーだった。

右手に布のような物を持ったハリーはキョロキョロと辺りを見回すと、地下へ下りていった。

 

「地下に用があるのかしら?」

「地下なんて余計寒いだろ。セーター着てたみたいだけど」

 

とりあえずハリーが心配だということで俺達も地下へと下りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハリー?」

 

恐る恐る、といった感じでダフネがハリーに声を掛ける。

突如後ろから声を掛けられたことにハリーの肩がビクッと跳ねたものの、こちらを振り返ると笑顔を見せた。

 

「やぁリオンにダフネ。見てよこの鏡。僕の両親が写ってる…」

 

ぼんやりと心ここにあらずといった様子のハリーは目の前にある巨大な鏡を穴が空くかと思うほど見つめていた。

 

「……私は両親と妹が写ってるわ。見る人によって違うものが見えるの?」

「うん。ロンは首席になった自分を見たんだって。ハーマイオニーには普通の鏡みたいだったけど…」

 

二人の会話が耳に入らない。目の前の鏡に写った姿に思わず吸い込まれそうになる。

 

───あぁ、俺はまだ……

 

 

「……リオン?」

 

フラフラと、覚束無い足取りで鏡に向かう。

 

鏡には三人の男女が写っていた。

二人の男性が肩を組んで笑い合い、その隣で女性が優しく微笑みながら手を振っていた。

その全員が黒髪で東洋人──日本人の顔立ちをしている。

この中の二人いる男性の内の一人を、俺は誰よりも良く知っていた。

 

 

この三人はかつての俺───■■■■という人間の前世だ。

 

 

 

 

 

もう戻れないと分かっているはずなのに、それなのにどうしても鏡の中の光景に惹かれてしまう。

未練があると言うのだろうか?この世界でリオン・アーデルという人間として生きると決めておきながら、俺はまだ───

 

 

 

「それ以上近づいてはならんぞリオン」

 

その言葉で我に返る。

 

振り返ると、机の上に半月眼鏡の白ひげ老人が腰掛けていた。

ダンブルドア校長だ。鏡に気をとられ過ぎて全く気付かなかった。

 

「その鏡に魅入られては戻ってこられなくなるでの」

「す、すみません…」

 

危なかった…もしダンブルドア先生が止めてくれなければ一体どうなっていたことやら…

 

「あの…ダンブルドア先生。この鏡はどういう物なんですか?」

「この鏡は「みぞの鏡」。自分が心の奥底で強く望んでいることを写し出す鏡じゃ。ハリー、君にはご両親と仲良く暮らしている夢を。各々が強く望むものを写し出してその鏡の虜にしてしまうのじゃ。その鏡に魅入られたものは鏡の世界と現実の区別がつかなくなり発狂したものも多くいる。努々、心を強く持つのじゃ。」

 

ダンブルドア校長の言葉に頷きを返す。

 

「この鏡は、後日他所へ移す。魅入られて戻ってこられなくなる生徒が出てきては困るからのう。……さぁ、もう夜も深い。早く寮のベッドで休みなさい」

「あの…ダンブルドア先生は何を見たのか聞いても良いですか?」

「儂かね?儂は厚手のウールの靴下を一足持っておるよ」

 

そうおちゃらけて語るダンブルドア校長の目が、一瞬だけ悲しみに揺れた気がするのは気のせいだろうか。

 

「そうですか……ありがとうございますダンブルドア先生。おやすみなさい」

 

ダフネとハリーが頭を下げ歩いていく。

俺も後に続いて歩こうとすると───

 

「おぉ、リオン。すまぬが君は残ってくれんか。話したいことがあるのじゃよ」

「?分かりました……ごめんダフネ。先に戻っててくれ」

 

心配そうな顔をするハリーとダフネを寮に戻るように促すと、彼等が出ていったのを確認して改めてダンブルドア校長に向き直る。

 

「それで、お話って何でしょう?」

「なに、そう対した話ではないとも。リオン、君は何を見たのかね?君の様子は尋常ではなかった。何を望んだのかね?」

 

半月眼鏡の奥で輝くブルーの瞳を見る。さっきの悲しみに揺れた目を思い出す。あれは──あの目は、先生も大切な誰かを亡くしたのだろうか?

俺は、話すべきか迷ったものの包み隠さず話すことにした。今まで誰にも話すことがなかった……今後一切明かすことはないだろうと思っていた俺の前世を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───とまぁ、俺の経緯としてはこれで全部です」

 

ふぅ、と軽く息を吐く。少し長くなっちゃったかな。

ダンブルドア校長を見ると、その目には驚きと僅かばかりの好奇心が浮かんでいた。

 

「なんとも──なんとも摩訶不思議な話じゃの。生まれ変わりという概念自体を知ってはおるが実在したとは」

「俺も全然分かりませんけどね。生まれ変わり──それも前世の記憶を持ったまま転生だなんて“例のあの人”でも実行しようなんて思わないでしょう」

「そうじゃのう。死を恐れておる彼奴からすればまっぴらごめんだろうと思う。じゃが、何故儂に話すのかね?」

 

心底疑問に思ったのか俺にそう問いかけてくる。

 

「鏡の中に何が見えたのか聞いたでしょう?俺が見たのは前世の友達と笑いあってる姿なんです。もう、とっくに諦めはついたと思ったんですけどね……やっぱり未練タラタラだったみたいです」

 

それを聞いて納得したのか、ダンブルドア校長は深く頷いた後こちらに向き直って優しげな笑みを浮かべる。

 

「話してくれてありがとう。儂に何が出来るのかは分からぬが、何かあれば頼ってほしい。それに君の前世に劣らぬほど楽しい日々をホグワーツで過ごせることを祈っておるよ」

「はい、ありがとうございますダンブルドア校長」

 

頭を下げる。もう少し厳しい感じの人かと思っていたが入学式の一言を思い出して「元々愉快な人だったな」と思った。




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