【本編完結】ハリー・ポッターと何も知らない転生者   作:シャケナベイベー

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怒りは友のために

「……で、何か弁明はあるかハグリッド?」

 

マークからロンが噛まれたと報告を受けてすぐ、俺はハグリッドの小屋へ直行した。

とりあえずロンはマダム・ポンフリーのところで治療を受けていると聞くし、ハグリッドに言いたいことを言い終わったら見舞いに行こうと思う。

 

で、小屋に行った俺を待っていたのは落ち込むハグリッドとそれを慰めるハリーとハーマイオニーだった。

ハリーとハーマイオニーはやって来た俺を見て、すぐさまハグリッドから離れた。

そんなに怖い顔をしているのだろうか。

 

「俺は言ったよな?ドラゴンは危険だって。子供であっても怪我を負わせるだけの力はあるんだ。ましてやドラゴンの牙には毒があるんだぞ?」

 

俺の言葉にハグリッドはその巨体を小さくする。

 

「知らなかった…って訳でもないだろ?図書館に行って本まで借りてたんだから。なんでロンが怪我をした?ハグリッドの注意力が原因じゃないのか?」

「すまねぇ……ホントに、ホントにその通りだ……」

 

涙をハンカチで拭いながらハグリッドは言う。

 

「リオン。少し言い過ぎよ。ハグリッドもノーバートも決して悪気があった訳じゃ……」

「悪気があったらさらに問題だろう。重要なのは怪我を負わせてしまった点だ。ハーマイオニー。もし君のご家族がドラゴンに噛まれて怪我をしたとして悪気がないと言われて納得するのか?」

「それは……しないと思うわ」

 

ハーマイオニーもこの件に関して責任の一端を感じているのだろうか、罪悪感からか俺と目を合わせようとしない。

 

「事実ロンの家族に知れたら責められるのはハグリッドだ。そしてお前はそんなハグリッドを庇っている。悪気は無かったから───そんなことで家族が納得するわけ無いだろう!!」

 

ハリー、ハーマイオニー、ハグリッドが肩をビクッと震わせる。

俺は改めてハグリッドに向き直り、俯く彼の側でしゃがみ目線を合わせる。

 

「なぁハグリッド。貴方が魔法生物のことが凄く大好きだってのは、ちょっと関わっただけの俺でも分かる。でも、だからこそ手綱をしっかり握らなきゃ。誰かに怪我をさせたら取り返しのつかないことになるかもしれない。そんなことにならないようハグリッドが気を付けてくれれば皆も魔法生物のことを好きになってくれるかもだろ?」

 

ハグリッドは何度も何度も頷いていた。

涙を流すことは無くなったものの目元は未だ赤いままだった。

 

「ロンにはもう謝ったんだろ?」

「あぁ、あぁ。勿論だ…気にしてないって笑ってたよ…」

「なら良いさ。───チャーリーはいつ来るって?」

「今日の深夜来てくれるそうよ」

 

意外と早いな。まぁ、この子がしっかりと生きていけるようにするには専門家に預けるのが一番いいだろう。

 

ノーバートの頭を撫でながらそんなことを考えていると、「あの…」とハリーが遠慮がちに声を掛けてきた。

 

「その、ノーバートの引き渡しの事なんだけど…」

「何か問題があるのか?」

「……マルフォイに見られたんだ」

「……あー……」

 

その言葉に、ここ最近のドラコの機嫌の良さに納得がいった。ハリー達の秘密を握れてご満悦だったと言うわけか。

 

「何時ごろに来るかまでは流石に知らないんだろ?」

「うん……その筈だけど…」

「なら、何とかなるさ。とりあえず俺はロンの見舞いに行ってくるよ」

 

そう言って、俺はハグリッドの小屋を出た。

 

 

 

 

「災難だったなロン」

「まぁね。でも大した怪我じゃなくて良かったよ」

 

保健室で俺はロンの見舞いに訪れていた。

マダム・ポンフリーからはまだ体調が万全ではなく、1日安静が必要なため見舞いの時間は五分と言われてしまったが。

 

「そうは言うがな、ドラゴンの牙には毒があるんだ。最悪命に関わることもある。今回はまだ産まれたばかりだから良かったけど大人のドラゴンならこうはいかないからな」

「う…分かったよ…」

「なら良い。ま、今度は気を付けろよ」

 

そう言って保健室から出る。

とはいえ、元気そうで安心したのはホントだ。

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

「だから、アイツらは今日の夜にドラゴンを運ぶのさ」

「それ、ホントなの?」

 

スリザリン寮に戻ってきたところで話し声が聞こえ、思わず隠れてしまう。

そっと様子を伺えば、そこにはすこぶる機嫌がいいドラコとそれに付き合っているパーキンソンとクラップにゴイルにダフネが居た。

 

「あぁ。ハグリッドの小屋でアイツらがドラゴンの世話をしているところを見たんだ。間違いない」

「でもドラゴンだろ?信じられないなぁ」

「僕の言うことが信じられないのか?」

 

そう言う訳じゃ…!とクラップが否定する。

 

「それに、だ。これもあるしな」

「何それ……本?」

「あぁ。右手に包帯を巻いたウィーズリーのお見舞いに行ったときにウィーズリーから貰ったんだ。アイツは犬に噛まれたって言い張ってたけどマダム・ポンフリーは疑ってたね。それで僕はこう言ったのさ。「ドラゴンの世話をしていることをバラされたくなかったらその本を寄越せ」ってね」

「まさかその為だけにお見舞いに行ったの?」

 

可愛げあるなドラコ。

と、ドラコはその本に挟まっていた一枚のメモを取り出す。

 

「このメモにはウィーズリーの兄が午前0時にドラゴンを引き取りに来ると書いてある。そこを捕まえてやるのさ」

 

そう言って得意気に胸を張るドラコだったが一方で俺は頭を抱えていた。

 

(しっかりバレてんじゃねぇか……)

 

うーん、今日の夜が心配だ……

 

 

 

 

 

 

 

「しまったしまったしまった!!寝過ごした!!」

 

午前0時を十分過ぎた時間に俺はホグワーツの廊下を疾走していた。

ドラコが寮を出るタイミングで連れ戻そうと思っていたのだが日頃の疲れでも溜まっていたのかそのまま寝てしまったらしく、談話室に行った時には既にドラコは寮を出ていったらしい。

 

「引き取る場所なら校庭だろうけど、そこだと目立つし…他に可能性のある場所だと──天文台か!」

 

ドラコの行き先を断定し、全力で駆け出した。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「見つけたぞ馬鹿ドラコ!!」

「はっ……な、アーデル!?」

 

天文台に続く廊下で身を潜めていたドラコに怒鳴り声を上げる。

ドラコは俺の予想外の登場に目を白黒させていた。

 

「お前…お前な……!自分が何やらかそうとしてるのか分かってるのか?ドラゴンの事を告げ口して、ハリー達を陥れようとでも考えてるのか?」

「……君が来るといつも面倒なことになる……グリーングラスから聞いたのか?アイツなら君に話すだろうしね」

 

ドラコがニヤリと皮肉げに笑いながらそんなことを言ってきた。

なんだってそこでダフネが出てくるんだよ。

 

「ダフネは関係ない。お前がつらつらとご満悦そうに喋ってるのを聞いただけだ。それで、こんなことして何になる?ハリー達を退学にでもする気か?」

「い…いや、退学にする気は……」

 

しどろもどろになりつつも、否定の言葉を述べるドラコ。……嘘は無さそうだな。

 

「はぁ……とにかく戻るぞ。こんなことやったってなんの得にもならない」

「………分かった」

 

渋々ではあるもののドラコも立ち上がり、廊下から退散しようとする。

 

 

 

 

「ドラコ・マルフォイ!リオン・アーデル!そこで何をしているのです!!」

 

 

「「あっ……」」

 

お互い、声のした方へと振り返る。

そこには鬼の形相をしたマクゴナガル先生と酷く落ち込んだ様子のハリーとハーマイオニー、そして何故かロングボトムがいた。

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

ノーバートを送る出来事でとんでもない事件もあったもんだ。

あの後、夜間外出を見咎められた俺とドラコはそれぞれ十点──スリザリンとしてニ十点の減点となってしまった。

 

 

しかし聞いた限りだとハリー達グリフィンドールはそれぞれ五十点──計百五十点という超減点を食らったようだ。

 

今朝見かけたハリーとハーマイオニーの顔は酷く暗かったし、ロングボトムに関してはそのまま泡でも吹いて倒れてしまうんじゃないかと思ったほどだ。

 

 

 

スリザリンの上級生は自寮の減点よりもグリフィンドールが痛い目を見たことが心底嬉しいらしく、ちょっとしたお祭り騒ぎだった。

しかし、俺達の同級生──特にパーキンソンとセオドールはそうもいかないらしく俺達は二人に詰め寄られていた。

 

「それで何か弁明は?お二人さん」

「いや、本当に悪いと思って──」

「ならなんで夜間外出なんてしたんだ?」

 

俺の意見は二人の怒気によって封殺されてしまった。

隣のドラコはなんか青くなってる。

 

「二人とも、そこまでにしなさい。リオンはともかくドラコが倒れそうよ」

「な、何を言ってるんだグリーングラス。ぼぼ、僕が倒れそうだなんてあるわけがが……」

「そういうところよ……」

 

ドラコのそんな態度を見たからか、パーキンソンとセオドールはこれ以上怒るのを止めてくれたらしい。

まぁしばらくは口を聞いてくれなかったが。

 

 

 

少しして談話室にいたスリザリン生が俺達を呼ぶ。

 

 

「二人に罰則についての手紙が来てるぞー」

 

あ、ドラコが倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

夜十一時。

冬も終わりに近付いたとはいえまだまだ冷え込む。

 

待ち合わせ場所に行くと、そこには既にグリフィンドール組と管理人のアーガス・フィルチ先生がいた。

 

「来たな。さぁ付いてこい」

 

そしてフィルチ先生に促されてホグワーツの外を歩く。

その間、フィルチ先生は俺達を怖がらせようと禁じられた森について喋っている。

ドラコとハーマイオニーは顔を青くしてるしロングボトムなんて泣き出しそうだ。

 

「フィルチか?急いでくれ、もう出発したい」

 

禁じられた森に着くと、そこにはハグリッドがいた。

ハグリッドの姿を見てハリーとハーマイオニーの顔に笑顔が戻る。

 

「えぇ、えぇ──禁じられた森がどれだけ危険かじっくりと教えていて遅れましてねぇ?」

「教えた?説教を垂れていただけだろう。お前ら、大丈夫だったか?」

 

ハグリッドの優しさが胸に染みる。まぁ、そもそもの原因はハグリッドがドラゴンの卵を貰ったことなのだが。

 

フィルチ先生はぶつぶつと何事かを喋りながら立ち去っていき、それを見たハグリッドが改めて俺達の方を見る。

 

「すまねぇな。俺のせいでこんなことになっちまって。折角リオンが警告してくれたってのに無駄にしちまった……」

「気にしないでいいよ。でも今度からは気を付けてくれよ?」

 

俺がそう言うとハグリッドは頷き、俺達を先導して森の中を歩き出す。

 

 

「僕は森へは行かない」

 

そうドラコがすがるようにハグリッドに進言したものの、「ホグワーツを退学になりたくないなら罰則を受けるべきだ」ということで渋々付いてきている。

 

 

そして目的地に着いたのか、ハグリッドが足を止めてこちらに振り返る。

 

 

「あそこを見ろ。地面に銀色に光った物があるのが見えるか?ありゃユニコーンの血だ。誰かに酷く傷つけられたユニコーンがこの森の中にいるんだ。もう今週になって二回目になる…水曜日に最初の死骸を見つけた。皆で可哀想な奴が居ないか探すんだ。もし、見つけても助からないなら、これ以上苦しまないようにしてやらねばならん」

「も、もしユニコーンを襲った奴が僕らを襲ってきたらどうするんだ?」

「安心しろ。ファングを付ける。こいつなら護衛にはピッタリだ」

 

とまぁ、そんなわけでユニコーンの安全確認をしようというのが罰則の内容らしかった。

 

捜索するに当たり、二つのチームに別れて行動する手筈となり、ハグリッドがチーム分けを行う。

 

俺はドラコとロングボトムと同じチーム。護衛としてファングが着く。

ハリーとハーマイオニーにはハグリッドが着くそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなこと、父上に知られたら何て言われるか…」

 

ユニコーンを探して森の中を歩くこと数分。ドラコがそんなことを言う。

 

「そもそも自業自得だろう。無視すれば良かったのにハリー達を陥れられるからって規則を破ったんだ。こうなるのは分かってただろ」

「それは…そうだが…」

 

まったく…止められなかった俺にも責任があるとはいえ、こうも意気消沈されると捜索も儘ならないな。

 

「……と。ロングボトム、大丈夫か?」

 

後ろに振り返り、ロングボトムに声をかける。

側にはファングがいるため襲われることは無いだろうが、夜の森が怖いのかその歩みは細々としていた。

 

「う、うん…大丈夫だよ…それ、と…あの、僕の事はネビルでいいよ」

「オーケーだネビル。辛くなったら言ってくれよ。休憩するから」

「アーデル。僕は疲れたんだが…」

「お前はまだ歩けるだろ」

 

そんな会話を繰り広げている内にネビルも森に慣れたのか歩くスピードが俺達と同じくらいになった。

 

「あのね。僕、君のこと実は入学したときから知ってたんだ。お父さんの名前ってレックスさんでしょ?」

 

隣を歩いていたネビルがそう聞いてきた。

その顔には朗らかな笑みが浮かんでいる。

 

「そうだけど…父さんの知り合いなのか?」

「うん。僕のお父さんとお母さんの友達なんだってお祖母ちゃんが言ってたから。お父さんとお母さんのお見舞いによく来てくれるんだよ」

 

お見舞い?ネビルのご両親はどこか悪いのだろうか。

 

「…二人とも、死喰い人にやられて廃人だって癒者の人が話してたんだ。お見舞いに来てるレックスさん、いつも悲しそうにしてたんだ…」

「そう、か…そのゴメン。変なこと聞いちゃったな」

 

少し空気が重くなったように感じる。けど…死喰い人にやられて廃人だなんて……

 

「でも、でもね!この前、お祖母ちゃんからの手紙で二人とも少しだけだけど会話が出来たんだって!だから夏休みになったら会いに行くんだ!!」

 

ネビルは瞳を輝かせて本当に嬉しそうに話す。

 

「だから、そのときは良かったらリオンも──うわぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

「どうしたネビル!?」

 

何かを伝えようとしていたネビルが叫び声を上げ、杖から花火を打ち上げる。

ネビルの後ろを見てみると、なにやら挙動不審な動きをするドラコ(馬鹿)の姿が。

 

「ドラコォ!!」

「いや、その、ごめ──「謝って済む問題かこの大馬鹿!!」」

 

 

その後、駆けつけたハグリッドにドラコはこってりと絞られ、チーム変更となった。

ネビルとハーマイオニー。ハリー、ドラコ、俺というメンバーに変更され、改めて捜索を開始した。

 

森の奥へと進んでいく度、銀色の血の量は増していく。

 

 

 

 

そうして巨大な樫の木がある拓けた場所で、ついにそれを見た。

 

月の光に照らされるその姿は神々しく。

物言わぬ体となって尚、その輝きが衰えることはなかった。

 

そんなユニコーンの死体に何者かがかぶりつくようにして体を丸めていた。

いや、よく見ればその影はユニコーンの血を飲んでいた。

 

 

母さんから聞いたことがあるが、ユニコーンの血を飲むと寿命が伸びるらしく、昔はそんなユニコーンの血を求めて多くの密漁者がユニコーンを狙ったのだそうだ。

 

では、あの人影の目的も寿命を伸ばすことなのだろうか?

態々ダンブルドア校長のいるこのホグワーツに?ユニコーンの血を求めて?

 

“影”の顔が起き上がり、こちらを見る。

いや、正確にはハリーをじっと見つめている。

 

すっ…と、音もなく立ち上がった“影”は這うようにしてこちらに向かってきた。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ドラコがあまりの恐怖に逃げ出し、ファングがその後を追う。

……つまり、この場には俺とハリー、そして“影”しかいないことになる。

 

ハリーを庇うようにして飛び出し、杖を向ける。

 

「ステューピファイ!!」

 

失神呪文を放つ──が、それはいとも容易く弾かれてしまった。

ならばと、凍結呪文を唱えようとしたところで“影”は踵を返し、森の奥へと消えていく。

 

「待て!!」

 

その後を追おうとした次の瞬間には“影”はその姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

そうして俺達はハグリッドが来るまで、そのまま呆然と立ち尽くしていた。




展開が駆け足気味だぁ……賢者の石編も終わりが近い。

そういえばアンケートの締め切りとかを特に決めてませんでしたが、集計はこの時点で終了として現在の票の結果の多い方を採用させていただきます。

追記 ロングボトム夫妻の症状回復を採用させていただきます。皆さん、アンケートへの回答ありがとうございました!
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