ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。
10話達成めでたいね。これも読んでいただいている皆様のおかげです。さーて、今日も張り切ってひとりちゃんに食べさせるぞ。


貼りまくる姪と粉ものスペシャル

ひとりちゃんは結局3日徹夜して歌詞を完成させた。

すごいね。頑張ったね。一度出来上がった歌詞をバンドメンバーに見せたらしく、その子のアドバイスをもとに書き直したからそれぐらい時間がかかったみたい。暗い歌詞だけど、誰かに深く刺さると言ってもらえたと。意気揚々と帰って来て得意気に話してくれた。今は疲れがドッと出たのか部屋で仮眠している。途中、ガタガタごそごそと物音が聴こえてきたけど興奮して寝付けなかったのかな?

 

そんなひとりちゃんとは対照的に、いつになく落ち込んで帰宅した私。仕事でミスをした。お客様に迷惑をかける類いのミスではないが、事前に防ぐことができたはずの初歩的なもの。不覚だ。全然取り返しのつくものだが、お豆腐メンタルの私には深く刺さる…。

 

「こういう時は…」

 

嫌なこととかモヤモヤした気持ちとかを振り払うのにいつもやっているルーティーンのようなもの。まな板と包丁を用意して冷蔵庫の野菜室に鎮座する大玉のキャベツを取り出しひたすら無心で千切りにしていく。タンタンタンタンとリズミカルに切られていくキャベツを横目に1玉全部を(手前味噌だが)見事な千切りに仕上げていく。気付けばザルの中には到底2人では食べきれない量が出来上がっていた。しまったやりすぎた…。

 

この大量のキャベツをどう使おうか…。ああ、アレならそこそこ消費できるかな。

 

 

 

晩御飯の仕込みが終わったのでひとりちゃんを起こすためにドアをノックする。

 

「ひとりちゃん、そろそろご飯だけど起きられるかな?」

 

…返事はない。3徹したんだし無理もない。もう少しだけ寝かせておこう。そこから30分後、ひとりちゃんが部屋から出てきた。

 

「あっおはようございます」

 

「おはよう、よく眠れたかな?」

 

「あっはい。すっすいません晩御飯の時間なのに…」

 

「気にしない気にしない。 ひとりちゃんの疲れをとる方が大事だからね。ご飯はすぐ食べられそうかな?」

 

「あっはい。ペコペコです」

 

「よしきた」

 

 

本日の晩御飯

叔父さん特製粉ものスペシャル

 

 

小麦粉、卵、キャベツ、揚げ玉、山芋、紅生姜を合わせて空気を含むようにサックリと混ぜ合わせる。温めたホットプレートに1枚分を流し入れ、空いたスペースで豚バラを焼く。片面が焼けたら豚バラの方にひっくり返す。ヘラで押さえたりしてはいけない。これ大事。両面が焼けたらソースを塗り、マヨネーズをかけて鰹節と青のりを散らす。食べやすいサイズに切り分けて「完成」

 

「はい豚玉お好み焼きです。では手を合わせてください」

 

「あっはい」

 

「「いただきます」」

 

ひとりちゃんは、香ばしいソースの匂いに「ふぁ…」と声を漏らしながら、手にしたヘラを器用に使い一口齧る。

 

「はふっあっあふっ!」

 

できたて熱々なので食べるのに苦労しているようだ。私的にお好み焼はこうやって「ハフハフ」言いながら食べるのが一番美味しいと思う。ただひとりちゃんには熱すぎたかもしれない。

 

「ごめんね、熱かったら少し冷ましてこようか?」

 

「あっ大丈夫です。これくらい熱い方がほっ本格的な感じがして好きです。こっこのお好み焼もフワフワで美味しいです」

 

「そうかい?よかった。次も用意してるから待っててね」

 

「あっはい」

 

私はキッチンで焼いていたものをホットプレートに移す。

 

「はい、こちら海鮮ミックスお好み焼きです」

 

「おおっ…あっ匂いが違いますね」

 

「エビとイカとホタテ入りだよ。熱いから気を付けてね」

 

「あっはい」

 

一枚目で学んだのか、今度は念入りにフーフーしてから口に運ぶ。かわいい。

 

「あっこっちもフワフワです。魚介味美味しいです」

 

「気に入ってもらえてよかったよ。まだまだあるからね」

 

「あっはい」

 

スペースの空いたホットプレートに生地を薄く伸ばし、上にキャベツ、天かす、豚バラを盛る。ひっくり返して豚バラを焼き、キャベツを蒸らす。隣でそばを焼き、ソースで色と味をつけておく。キャベツが蒸れたらそばの上に乗せる。卵を割り入れて円形に伸ばしながら焼く。卵の上に生地を乗せてソースとマヨネーズと青のりをかけて「完成」

 

「広島お好み焼きです」

 

「あっありがとうございます」

 

切り分けた1切れを豪快に頬張る。事前のフーフーも忘れてない。

 

「あっふ…んっ、あっソースこっちの方が甘いんですね」

 

「わかるかい?広島の方はキャベツとそばがメインになるから甘めのソースなんだってさ」

 

「そっそうなんですね。これも美味しいです」

 

「次は何にする?モダン焼きとかもんじゃ焼きとかも出来るよ?」

 

「あっもっもうかなりお腹いっぱいなので…大丈夫です。なっなんかたくさんありますね」

 

「いやぁ、実は夢中になってキャベツ切りすぎちゃってね。残ったお好み焼は明日の叔父さんのお弁当にするよ。どんなに良いものも作りすぎちゃうのは良くないね」

 

「作りすぎは…ですか」

 

「過ぎたるは及ばざるが如しってヤツだね。叔父さん仕事で余分に料理作りすぎて怒られたことあるし。反省だ」

 

「…」

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「あっあの叔父さん」

 

「うん、どうしたの?」

 

「あっ私大きめの写真立てが欲しいんですけど…」

 

「写真立て?飾りたい写真があるのかい?」

 

「あっはい」

 

ひとりちゃんは自分の部屋のドアを開けて見せた。そこには異様な光景が広がっていた。

 

「えっ?」

 

部屋一面に何かが貼り付けられている。御丁寧に天井までびっしりと。えっ何?絵?写真?

 

「あっあのこの写真を飾りたくて」

 

ひとりちゃんが渡してきたのは、部屋中に貼られているものと同じものだ。

 

「これは…友達との写真?」

 

「あっアー写です。アーティスト写真」

 

アーティスト写真?初めて聴く単語だ。おそらく芸能人の宣材写真みたいなもの?よく見たら喜多さんも写ってるね

 

「さっさっきの叔父さんの過ぎたるは…って話を聴いて、ちっちょっと飾りすぎたかもしれないって思ったので…おっ大きいの1つにしておきます…へへへ」

 

「うん…えっとね、基本的にひとりちゃんの部屋は好きに使ってくれていいけど、叔父さんの家賃貸なのでできればこういう魔改造は自重していただきたい…かな」

 

「あっ…すっすすすすすすいませーーーーん!!」

 

その後私達は、大量印刷&貼り付けされたアー写を壁や

天井に跡が残らないように剥がす作業に追われた。

疲れました。




次回 金欠腹ペコベーシストと姪と◯◯

ゲスト回ですよ。いったい誰が食べに来るのかなー?皆も予想してみよー。
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