ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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猛練習する姪とあんかけスパゲッティ

結束バンドの新曲ができたらしい。山田さんはひとりちゃんの書いた歌詞を読んでインスピレーションが沸いたそうだ。しかしすぐにライブハウスで披露できるわけではなく、STARRYの店長さんの審査によるオーディションに合格しなければならないそうだ。ひとりちゃんはこの日から新曲の練習に励んでいる。いつもより長く防音室に籠って頑張ってるみたいだ。しかも喜多さんの練習にも付き合っている模様。学校やスタジオ、家でも練習の日々…多忙だね。私にできることは美味しいご飯で元気をつけてやることくらいだ。今日は少し変わったメニューにするか…それでいて食べるのが楽しみになるようなもの…ちょうどお取り寄せで手に入ったしアレかな。

 

 

太めのスパゲッティをたっぷりのお湯で茹でる。玉葱、ピーマン、コーン、赤ウインナーを炒めておく。専用の鉄板を温める。スパゲッティをザルにあけて油を絡める。鉄板に溶き卵を流してその上にスパゲッティを盛る。炒めた野菜、湯煎で温めていたソースをかける。「完成」

 

 

「ひとりちゃーん、ご飯の用意できたけど食べられそうかな?それとももう少し練習する?」

 

「あっはい、ちっちょうど一区切りついたのでごっご飯にします…そういえばおっお腹すきました」

 

「うん、わかった」

相当集中してたんだね。私が直接防音室の扉を開けて聞くまで全然気づかなかったし。

 

 

本日の晩御飯

あんかけスパゲッティ(卵、ミラカン、???、???)

だいこんサラダ

冷製枝豆ポタージュ

 

 

「ここで仕上げをします」

 

「しっ仕上げですか?」

 

スパゲッティの上にチーズを乗せてバーナーで炙る。

チリチリジュワジュワと音を立てながらチーズが溶けて

焦げ目がついていく。それを見たひとりちゃんは「ほあぁ…」と声を出し生唾を飲む。かわいい。

 

「まだあります」

 

「えっまだ?」

 

最後に用意しておいた取っておきのトッピングをスパゲッティの脇に添える。

 

「カニクリームコロッケです」

 

「おお…」

 

内心ドヤる私。これでボリューム満点トッピングマシマシの鉄板焼きあんかけスパゲッティの完成だ。

 

「では手を合わせてください」

 

「あっはい」

 

「「いただきます」」

 

「鉄板もスパゲッティもすごく熱いから気を付けてね」

 

「あっはい」

 

私の忠告を守り、フォークでソースを絡ませたスパゲッティを持ち上げてフーフー冷ます。それでもまだ熱々だったのか慎重に口へ運んだ後も「ハフハフ」と飲み込むのに苦戦してる。

 

「あっ…おいひいです。このソース、初めての味です」

 

「トマトをベースにコショウが効いてるソースなんだって。トッピングはこのソースに合いそうなのを選んでみたよ。いっぱい食べてね」

 

「あっはい」

 

カニクリームコロッケを取り一口。サクサクという音と「んっんっ」という声の合奏。エクセレント。ある程度温度が落ち着いてきたら食べるペースも早くなってきた。ふと気になったので、口に付いたソースを気にすることなくミラカン(野菜と赤ウインナー炒め)をモグモグする姿を眺めながら、私は練習の進捗具合を聞いてみた。

 

「新曲の練習はどうだい?形になってきたかな?」

 

「あっはい、後3日ですけどなっ何とかなるかと…」

 

「そっか。喜多さんも練習頑張ってるんだっけ」

 

「あっはい、すっすごく前向きでどんな困難な箇所もめっめげずに練習して、どっどんどん上手くなってます」

 

「そうなんだ。きっと先生の教え方も上手なんだね」

 

「あっそっそうですかね…へへへ」

 

「オーディション頑張ってね。叔父さんは応援することぐらいしかできないけど。ご飯はいっぱい作るからね」

 

「あっはい、がっ頑張ります」

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「あっ美味しかったです。あんなスパゲッティはっ初めて食べました」

 

「ネットで調べてたら見つけてね。私も食べたくなってついお取り寄せを注文しちゃった。あっ片付けはやっておくからひとりちゃんは練習戻っていいよ」

 

「あっはい、ありがとうございます…あっあの叔父さん」

 

「ん?どうしたの?」

 

「おっ叔父さんは今回のオーディション、ごっ合格するのに何が必要だと思いますか?」

 

「ふむ、必要なことか…審査するのは店長さんだったね」

 

「あっはい」

 

「多分だけど、店長さんが結束バンドに求めてるものは、演奏の上手さとか正確さとかではない気がするな。そりゃお客さんの前で演奏する最低限の技術は必要だろうけど、店長さんはきっと、結束バンドがどういうバンドで、どれくらい伸び代があって、これからどんな成長を見せてくれるのか。そういう可能性を見定めたいんじゃないかな…。ってド素人の私が個人的な予想を言ってみる。まあこんなの何の参考にもならないだろうけど」

 

「あっいえ、そっそんなことないです…にっ虹夏ちゃんも似たようなこと言ってました」

 

「虹夏さんも?確か店長さんとは姉妹だったよね。お姉さんのことよくわかってるんだね」

 

「あっはい」

 

「叔父さんその虹夏さんにはまだ会ったことないけど、きっとすごく優しくて良い子なんだろうね。ひとりちゃん達4人なら絶対合格できるって信じてるよ」

 

「あっはい、えへへへ…」

 

ひとりちゃんは顔を赤らめてはにかんだ後「がっ頑張ります、おやすみなさい」と言い残して自室に戻っていった。かわいい。本音だったとはいえちょっとセリフがクサすぎたかな?とにかく後3日、ひとりちゃんが悔いのないように過ごしてくれることを切に願う。




次回 理由を考えると姪と◯◯
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