ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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ご覧になっていただきありがとうございます

今回は本編でチラッと出てきた情報の中に叔父さんをぶち込むという暴挙。どうなる?どうする?


コンセプトカフェとイライザさんとえれちゃんのあーん♡付き甘々ポークカレー

「おっちゃんさん!明日一緒にコンカフェに行きまショウ!」

 

「えっ?コン…何て?」

ひとりちゃんのいない週末、SICK HACKのライブのため、新宿FOLTに差し入れを持って早めにやってきた私に向かって、清水さんが開口一番聞いたことのない場所へのお誘いをしてきてくれた。

 

「コンセプトカフェデス!」

 

うん、略す前を聞いてもいまいちわからない。カフェってことは一緒にお茶しましょう的なお誘いだということは予想できたけど…。コンセプトってどういうことなんだろう。メイドカフェとは違う感じかな?

 

「おいイライザ、一から説明しないと後藤さんのおじさんわからないだろ」

 

未だ頭の上に?マークを量産している私のフォローのため、志麻さんが私と清水さんの間に立って説明を促してくれた。助かります。

 

「Oh!そうでシタネ!実は今私の行きつけのコンカフェでカップル限定で推しの店員と記念写真を撮れるイベントをやってるノデス!」

 

清水さんは喜多さんに負けないくらいの明るい笑顔でそう答えた。清水さんの頭の上にイライザーンって字が浮かんでるように見えるね。しかし…

「なんで私と?SICK HACKや他の皆さんは?」

 

「それがみんな別の用事があって断られちゃいマシタ…」

 

転じて今度は肩を落としショボーンとした表情の清水さん。一つ一つのリアクションがわかりやすいね。

「皆って全員ですか?」

 

「そうなんです。廣井はまた機材ぶっ壊したから金欠&自粛、SIDEROSはバンド練習、銀ちゃんはライブハウス仲間と共同イベントの打ち合わせで誰も都合がつかなくて…」

 

「えっと、じゃあ志麻さんは…?」

 

「私は廣井が迷惑をかけた店やバンドへの謝罪行脚だ…」

 

志麻さんは、どこからともなく取り出した菓子折りを私に見せながら心底迷惑そうにそう呟いた。廣井さん相変わらずだな…心中お察しします。

 

「きくりがやらかした後始末はいつも志麻がやってくれてるんデスヨ~」

 

「そっそうなんですか…大変ですね」

 

「うん。まあそれでどうしたものかと相談してたところに」

 

「ちょうど私が来たと…なるほど」

 

「そーゆー訳なので、もうおっちゃんさんしか頼める人がいないんデスヨ~…一緒にコンカフェに行ってくダサイ!お願いシマス!」

 

「うーん…」

この流れは断れないやつだ。まあこんな大っぴらに誘ってるってことは、そんなに怪しいお店ではないだろう。清水さんも純粋に推しの店員さんと写真を撮りたいだけみたいだし、それに付き合うだけなら問題ないか。

「わかりました。私で良ければご一緒しましょう」

ふむ、やはり押しに弱い私。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、私はロインで清水さんに指定された時間と場所へ足を運んだ。ロインでの清水さんは終始テンションが高く、本日の目的地であるコンセプトカフェがいかに素晴らしい場所かを懇懇と説いてくれた。なんでも日本文化の粋を集めた究極のエンターテインメントらしい。それは楽しみだね。

 

「おーい!シンサク~」

 

待ち合わせ場所にいる私の姿を見つけた清水さんは、パタパタと駆け足でこちらに駆け寄ってきた。これから行くコンセプトカフェがよほど楽しみなのか、いつも以上にパァとした明るい笑顔で手を振ってくる。かわいい。

 

「本日はお日柄も良く絶好のコンカフェ日和デスネ!」

 

「こんにちは清水さん、今日も元気いっぱいですね」

 

「NO!シンサク、今日の私達はアツアツカップルという設定で行くんデスヨ?そんな他人ギョーギな呼び方ではダメデス!」

 

「えっ」

 

「いつどこで刺客が正体を見破ってくるかわからないから油断大敵ダヨ!」

 

清水さんはキョロキョロと辺りを見回しながらそう語りだした。刺客って何?清水さんは誰と戦ってるのかな?あとアツアツカップル設定は初耳なんですけど…

 

「なのでシンサクも私のことは気軽にイライザちゃんって呼んでくだサイネ!」

 

「あっはい。…じゃあ行きましょうか。イライザ…さん」

とはいえ清水さんはれっきとした大人の女性だし、個人的にちゃん付けは控えたい。

 

「ムー…まあいいでショウ。その代わり~」

 

「その代わり?」

 

「エイッ!」

 

イライザさんは、今度は私の横に移動して私の右腕に自分の両腕を絡めてきた。

 

「えっちょっ!?イライザさん!?」

 

「さあこれでどこからどう見てもイベント対象のカップルそのものデス!行きますよシンサク!」

 

グイグイと私の腕を引っ張りながら歩き出したイライザさんに(強制的に)付いていく私。うーん照れる。周りの人達からの視線が…しかし相手役を引き受けてしまった手前強く拒否することもできない。あとさっきからひとりちゃん並にふよふよとした柔らかい感触が…いや、無心だ、無心になれ私。

 

 

そんな状態で歩くこと約15分、漸く目的地であるコンセプトカフェに到着した。外観は普通の喫茶店のように見えるが、入り口のすぐ側に出ている立て看板には『本日カップル限定イベント開催中♡男の子同士でも女の子同士でもお気軽にご来店ください♡』という文がカラフルでファンシーな字体で書かれていた。うん、間違いなくここだね。

 

「さぁ着きましたよシンサク!ここから本当の勝負の始まりデス!」

 

フンス!と鼻息を荒くしてノータイムで入店していくイライザさんと私。躊躇なしですか。あ、今さらながらちょっと緊張してきたな。

 

カランカランと入り口の鐘が鳴り、すかさずキラキラと可愛らしい内装とその中でせわしなく動き回る店員さん達が目に入る。接客してもらってるお客さん達の幸せそうな顔も印象的だ。

 

「あ、イライザさん!いらっしゃいませ~♪また来てくれたんですね!」

 

「わ~い♪えれちゃ~んキタヨー!」

 

来店した私達にいち早く気付いて声をかけてきてくれた店員さんとイライザさんが、キャッキャとはしゃぎながら手を繋いでその場で跳び跳ねている。リアクションが大きいね。ん?えれちゃん?

 

「あー♪誰かと思えばリョウさんの給仕のおじさまじゃないですか~♪」

 

「あー…日向さん、ここでも働いていたんですね」

よく見ればイライザさんと絡んでいるのは、ひとりちゃんの後輩でSTARRYでもバイトをしている日向さん。少し不思議な言動をする長い黒髪と明るい笑顔が特徴的な女の子だ。

 

「そうなんです~♪えれ、ここで鬼連勤してて~イライザさんなんかいつも私を指名してくれてるんです~♪」

 

「なのデス!えれちゃんはここの人気メイドさんなんデスヨ!」

 

「なるほど」

日向さんをはじめとした店員さん達は、メイドっぽい制服を着ていてとても可愛らしい出で立ちだ。ただ、ガッツリと開いた胸元のおかげで目のやり場に困る。

 

 

「さあさあイライザさん、給仕のおじさま!こちらのテーブルにどうぞ~♪」

 

日向さんに席へ促され、店の奥のテーブルに対面で座る。すぐにおしぼりとお水が運ばれてきて、とりあえずは一息つくことができた。さて…

「メニューは…ふむふむ」

なるほどね。普通に食事として頼めるものから各店員さん(メイドさん)を指名して接客をしてもらうサービスまで多種多様なものが揃っているみたいだね。ここはコンセプトカフェ上級者であろうイライザさんに一任した方がよさそうだ。

「ふむ…コンセプトカフェのことはよくわからないからイライザさんに任せていいかな?」

 

「はい♪任せてくだサイ!この店一番のオススメを注文シマス!えれちゃーん」

 

「ありがとう、お願いするよ」

 

イライザさんは、注文を取りにきた日向さんにメニューを指差しながら「コレ!2つください!」と声高らかにお願いした。元気だね。

 

「は~い♡ご注文ありがとうございます♪少々お待ち下さ~い」

 

日向さんはニッコニコの笑顔のまま奥へと引っ込んでいった。どんなものを注文したのか楽しみだね。

 

「シンサクどうデスカ?皆とってもキュートデショ?」

 

「そうですね。日向さんも他の店員さんもとても素敵だと思いますよ」

確かに皆かわいい。かなり攻めた服装であることは否めないが、世のかわいいもの好きは皆例外なく魅了されてしまうことだろう。現に周りのお客さんは、接客してくれている店員さんととても楽しそうに話しているように見える。

 

「そうデショ~?私もジャパニーズメイド大好きなんデスー♪」

 

そう言うとイライザさんは私に向かって満面の笑みを浮かべてみせた。かわいい。直球で大好きなのが伝わってくるね。

 

「やっぱりネ~細かな装飾と~オモテナシの精神とのユーゴーがとてつもないケミストリーが起こって独自のカワイイを生み出すのが…」ペラペラ

 

イライザさんのメイド愛スイッチがONになったのか、いかに日本のメイド文化が素晴らしいのかを私に熱く語ってくれた。好きなものをこれだけオープンにさらけ出せるというのはなかなかできることじゃない。そこがイライザさんの魅力なんだね。

 

 

 

 

 

「お待たせしました~♡甘々ポークカレーとラブラブトロピカルジュースのセットです~♪」

 

暫くして日向さんがイライザさんの注文した料理を運んできた。メニュー名がかなり個性的だね。

 

本日の昼御飯

甘々ポークカレー

ラブラブトロピカルジュース

 

「キャー♪カワイイデスネ!さすがはカップル限定メニューデス!」パシャパシャ

 

「ああ、これがイライザさんのお目当ての限定メニューだったんですね」

 

「ハイ!他にも色々あったけど、シンサクと食べるならこれが一番イイかなと思いマシタ!」

 

なるほど、イライザさんはコンセプトカフェに慣れてない私のことも考えて注文してくれたのか。本当に心の優しい子だ。

「ありがとう。いい匂いでとても美味しそうだね。それじゃあ早速手を合わせて」

 

「ハイ♪」

 

「「いただきます」」

 

「ではオプションの方を始めさせてもらいます~♪」

 

「えっオプション?」

 

「ハーイ♪えれちゃんお願いシマース♪」

 

「えっ」

何故か配膳後もその場に立って私達に笑顔を向けていた日向さんは、オプション開始の宣言と同時にイライザさんのスプーンを手に取り、ポークカレーを器用に一口分掬うと、ゆっくりとイライザさんの口元へと運んでいく。何が始まるんですか?

 

「は~いイライザさん、あーん♪」

 

「あーん♡」

 

「!?」

 

「ハムッ…モグモグ…ん~~!!超デリシャスデス!!」

 

えっどういうこと?あーんって!日向さんがイライザさんにあーんって!

 

「イヤ~やっぱりえれちゃんのあーんは一味違いマスネ!」

 

「いつもありがとうございます~♪」

 

「えっと、イライザさんこれは…?」

 

「あれ?言ってませんでシタカ?私が注文した甘々ポークカレーには指名したメイドさんが一口目にあーん♡してくれるオプションがあるんデスヨ~」

 

「初耳です!」

 

「そういう訳で~給仕のおじさまにも。はい、あーん♡」

 

「えっ」

日向さんは、いつの間にか私のスプーンで掬ったカレーを私の目の前に差し出してきた。少し前屈みになった姿勢のせいで、スプーンの奥にあるガッツリ開いた胸元が視界に飛び込んでくる。あっこれはダメなやつだ。

「あっいやさすがにこれは…」

 

「シンサク!遠慮はいらないデス♪えれちゃんのあーん♡は魔性の味デスヨ~」

 

「さあさあ給仕のおじさま~♡ウチのカレーはじっくり炒めた玉ねぎの甘味と豚骨と香味野菜の出汁と炙り豚バラの脂がとろける極上の逸品なんですよ~♡」

 

「意外にも本格的ですね!?」

 

「は~い、あーん♡」

 

「う…」

これは食べないと終わらないやつですね…いや、日向さんもお仕事でやっているんだ。今の日向さんは接客のプロとして誇りを持ってあーん♡をしてくれてるんだから、お客としてそれに応えなくては失礼というものだ。ええいままよ!

「あっあーん…んっんっ…うん、甘口でとても食べやすいね。豚肉も柔らかくて美味しいよ」

 

「それはよかったです~♪えれも給仕のおじさまの照れ顔を間近で堪能しちゃいました♡」

 

「今のシンサクのあーん♡はバッチリ撮影しておいたから安心シテネ!」

 

「イライザさん、安心要素が何もないです」

 

 

 

ごちそうさまでした

 

 

 

「はぁ~美味しかっタヨ~♪」

 

「やれやれ…カレーは美味しかったけど変な緊張が続いてちゃんと味わえなかったな…」

 

「さて、ではシンサク最後のイベントデスヨ!」

 

「えっまだ何かあるんですか?」

 

「じゃあ2人の間に失礼しま~す♪」

 

日向さんはイライザさんと私の間に割って入り、双方の腕を自分の腕に絡めながら密着してきた。すると、どこからともなく大きめのカメラを持ったメイドさんが姿を現し、私達の前でカメラを構えた。そういえばイライザさんの目的は日向さんと記念写真を撮ることだったね。

 

「えへへぇ~♪両手に花ですぅ~イライザさんも給仕のおじさまもビジュヤバすぎ!」

 

「ほらほらシンサク、えれちゃんとの記念写真デスヨ!スマイルスマイル!」

 

2人とも今日一番のテンションだね。私はいっぱいいっぱいだよ。

 

「それでは素敵なお嬢様とおじ様♡撮りますよ~ハイチーズ♪」パシャパシャ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま…ふぅ」

イライザさんとのコンセプトカフェデート(?)からなんとか帰宅。お店の雰囲気とイライザさん達のテンションに圧倒されっぱなしだったな。でもあれはあれで楽しかった…かな?

 

ピロン

ん、イライザさんからのロインか

 

 

 

シンサク!今日はとっても楽しかった!男の人とコンカフェに行くのは初めてだったからすごく新鮮だったヨ!シンサクさえ良ければまた行きまショウ!

 

 

 

という文面と一緒に私があーんされてる画像が添付されてる…ふむ、照れる。しかしどうやら楽しんでもらえたようだ。私のようなおっさんと一緒で大丈夫か不安だったけど、イライザさんが満足したようで何よりだね。

 

 

 

 

ピロン

あれ?またイライザさんから?

 

 

 

 

ついしん

今度は私からもあーん♡してあげるから期待シテネ!

 

 

 

 

 

恥ずかしさが天元突破するので勘弁してください。




次回 リョウさんと厄介なファンと◯◯

↓おまけ

異世界でも叔父さんは食べさせたい

※めちゃくちゃパラレル時空なのです

前回のあらすじ
転生した後藤ひとりと叔父さん。特典盛り盛りの叔父さんのおかげでなんとか住むところは確保しました。

後藤ひとり
転生した際にもらったスキルのせいで自力でモンスターが倒せない。しかしそもそもモンスターの出る場所に行く気がないので問題ない。

叔父さん
食べると体力、状態異常回復&経験値を取得できる料理を作ることができるスキルを持っている。

「ひとりちゃん、朝御飯できたよ」

「あっはい、ありがとうございます」

本日の朝御飯
バタートースト
スクランブルエッグ
オニオンサラダ
カボチャスープ


「では手を合わせてください」

「あっはい

「「いただきます」」」

ひとりちゃんとの異世界生活も一週間が過ぎた。といっても転生特典でもらった家の中は前に住んでいた部屋とほぼ同じだからあんまり異世界感はないんだけどね。しかしのんきなことは言ってられない。なぜならこの家にある食料が大分減ってきたからだ。まあ当然と言えば当然か。この一週間はひとりちゃんの安全確保&お世話と情報収集に時間を使ってたからね。

「さてひとりちゃん、私は今日クエストの受注をしてこようと思います」

「あっクエスト…ですか?」

「うん、この世界で生きていくためには先ずはお金を稼げるようにならないとね。この一週間で得た情報を整理すると、一般的な冒険者は大体毎日クエストをこなして生計を立てているらしい。まあ簡単に言えば単発バイトだね」

「あっなっなるほど。やっぱりどこの世界も働かないと生きてはいけないんですね…」

「幸いこの街は初心者に安心なレベルに設定されてるから、私でもなんとかやっていけると思うんだ。ひとりちゃんはどうする?」

「えっわっ私ですか?」

「うん、この一週間一歩も外に出てないみたいだし、ワタシと一緒なら簡単なクエストをこなせるかもしれないよ?」

「でっですよね。学校もないしギターもないので本当にやることがなくてどうしようかと考えてたところなんで…こっ怖いけど叔父さんと一緒ならやってみようかな」

「うん、決まりだね。じゃあ朝御飯の後、今日のクエストを見に行ってみようか」

「あっはい」


ごちそうさまでした


はじまり街【アンダーノース】の中央にある大きな建物に到着した後藤ひとりと叔父さん。

「ここで私達ができそうなクエストを選んで受注していこう。ものによっては定員があるみたいだから早い者勝ちみたいだね」

「なっなんか市役所みたいですね…あっ人がいっぱいいる…厳つい人から世紀末風の人まで…おっ叔父さんから離れたらしっ死ぬ…」

「ふむふむ…ひとりちゃん、今初心者の森【ヤソークエの森】で食べられる野草を集めるクエストがあるよ。モンスターの相手は私がするからやってみないかい?」

「あっ野草集め…そっそれならできそう!」

「それと最近【ヤソークエの森】に住み着いてるレアモンスターが野草を食い荒らしてるらしくて、このモンスターを討伐したら報酬がもらえるそうだよ」

「えっレッレアモンスター?…こっ怖い!」

「そうだね。これは受注しなくても討伐したら報酬を貰えるタイプみたいだから、私達は野草集めだけしてすぐ帰ろう」

「あっはい、そそそそそれがいいです!草だけ取ってすぐ帰りましょう!」

クエスト受注
【ヤソークエの森】で食べられる野草集め(難易度1)



「さて、森に着いたけどレアモンスターに遭遇するのは嫌だから早いとこ野草を集めてしまおうね」

「あっはい!即行で終わらせます!」

2人で野草を集めていると、たまにスライム等のモンスターが出現したが、全て叔父さんが相手をして後藤ひとりは野草集めに集中。特に問題もなく野草を採り終わった。

「うん、これだけ集まればクエスト達成と言っていいかな」

「はぁ…ふぅ…あっよっよかったです」

「それじゃあこれを納品して報酬受け取って家に帰ろうか」

「あっはい…あっ」

「ん?どうしたのひとりちゃん?」

叔父さんのすぐ後ろにある木が不自然に揺れた。後藤ひとりがその事を知らせようとした瞬間、叔父さんの頭上から落ちてくる大きな物体が一つ。

「おっ叔父さん危ない!」

「うわ!」

後藤ひとりの声に反応して咄嗟に飛び退く叔父さん。その物体は叔父さんの持っていた野草を奪い取り、ムシャムシャと咀嚼しながら2人を威嚇する。

「モグモグゴクン…フシュゥ~グルルルル」

「えっ!?」

「えっきっ君は…!?」




野生の山田リョウがあらわれた!

「リッリョウ先輩!?」

「リョウさんなのかい!?」

「フゥゥゥゥ…えっあれ?ぼっちと晋作オジサン…?」


野生の山田リョウから話を聞いてみると、転生こそさせてもらったが後藤ひとりや叔父さんのような特典をもらえたわけではないので、森で野草を食べたり街に来て自分のビジュアルを駆使してご飯を奢ってもらったりして過ごしていたらしい。

「ええ…よく今まで生きてられたね」

「うん…でももうギリギリ…腹ペコが限界…何故かこの世界に来てからやたらお腹が空く…」グゥゥゥゥ

「あっそれで野生動物みたいになってたんですね…」

「最近は街まで行くエネルギーがなくて、野草を取りにきた人の分を横取りしてたら新種のモンスター扱いされて危うく狩られそうになるし…」グゥゥゥゥ

「あっクエストに出てたレアモンスターってリョウさんのことだったんですね…」

「それでこの森にずっと…えっと、モンスターの相手は大丈夫だったの?弱いとはいえ結構頻繁に出てこなかった?」

「あーあのスライム?なんか手で払っただけで弾け飛んでた」グゥゥゥゥ

「えっ素手で!?」

「あっリョウ先輩強いんですね。レッレベルいくつなんですか?」

「えっ?何レベルって」ググゥゥゥゥ

「あー…その辺の説明もされてないんだね」


山田リョウ レベル5



ステータス
体力 36
攻撃 24
防御 18
俊敏 12
魔力 14
幸運 22


スキル
1.カロリークイーン
効果:戦闘中全ステータスが上昇するがお腹が減りやすくなる

2.???

3.???

「なるほど、リョウさんがすぐ腹ペコになるのはスキルのせいだったんだね」

「ふーん…そんなことより晋作オジサン…」ググゥゥゥゥ

「そうだね、急いで家に帰ろう」

「あっですね」


空腹の限界で動けない山田リョウを背負って叔父さんと後藤ひとりはお家に帰宅。

「リョウさん大丈夫?すぐご飯にするからね!」

「あ…晋作オジサンの家の幻覚が見える…もはやこれまで…」

「あっリョウ先輩、幻覚じゃないです。ここは叔父さんの家です」


本日の昼御飯
叔父さん特製おにぎり(山盛り)
野草炒め
きのこ(無毒)汁

「リョウさんどうぞ」

「はいいただきます!」モグモグモグモグ

「お、落ち着いてリョウさん。のど詰まらせちゃうからゆっくり食べてね」

「うん…うん!うまい!やはり晋作オジサンのご飯は魔性の味!」

「あっよっよかったです。元気になったようで…」

「正直死ぬかと思った。いや一度死んでるからここにいるんだけど」

「リョウさん行くところがないなら家にいるといいよ」

「えっいいの?」

「うん、リョウさんさえよければだけd」
「お世話になります!あときのこ汁おかわり」

「あっはい」


ごちそうさまでした

オジサンの家の同居人が増えました
そして野草集めのクエストは(自分達で食べたので)失敗しました

つづく(ゆる長やでゆる長なんやで)
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