ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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ご覧になっていただきありがとうございます。

WE will B円盤発売まであと少しです。楽しみですね!

今回は廣井きくりの深酒日記からのお話です。


ホットヨガと大人組と中華ランチ

「んぐっ…んぐっ…ぷはぁ~!やっぱりおっちゃんのご飯からのおにころは別格らねぇ~♪」

 

「気に入ってもらえてよかったよ。でもひとりちゃんもいるし、飲むのはほどほどにしてくださいね」

 

「あっわっ私は全然気にしないので…」

 

「わかってるわかってるって~」

 

平日の夜、いつもと少し違った晩御飯風景。目の前の酔っぱらいベーシストが、うまいうまいと連呼しながら私の作ったご飯を食べながらおにころをキメている。数十分前、ひとりちゃんが金欠で行き倒れてたという廣井さんを家まで連れてきた。困っている人をほっとけないひとりちゃんは本当に優しくていい子だね。

 

「あっあの叔父さんすいませんすいません!そっ外寒いしお姉さん薄着だし、あっあのまま放置してたらマズイかなと思って…」

 

「大丈夫、廣井さんがこういう人なのはわかってるし、私が同じ立場でも心配になって家に連れてきたと思うから、ひとりちゃんは気にしなくていいんだよ」

 

「あっはっはい、ありがとうございます」

 

「うぇへへへ~♪おっちゃんもぼっちちゃんも優しいんら~お姉さん感動ら~」

 

まあ晩御飯の食材はいつも少し多めに仕込んであるから廣井さん1人増えるくらい全く問題はないし、食べさせることができる人が増えるのは素直に嬉しい。ただこう頻繁だと廣井さんの普段の食生活が心配になってくる。まさか全部酒代につぎ込んでたりしてないよね?

「食べに来るのは一向に構わないけど、廣井さんせっかく可愛らしい顔立ちしてるんだし、もう少し健康にも気を遣わなきゃダメだよ?ちょっと痩せ気味な気がするからもっと食べてお肉を付けよう」

 

「ふぇ!?かっかわっ!?」

 

ふいに廣井さんと目が合う。ふむ、よく見ると廣井さんさっきより顔が真っ赤だね。ここに来るまでにいったい何本のおにころを飲み干したのやら。

 

「あっあ~それなら大丈夫大丈夫!明日先輩達とホットヨガ行く約束してるからね!」

 

「ホットヨガ?星歌さん達と?」

 

「そーそー。なんか下北のビルの一室がヨガ教室になっててね~。そこで先輩達3人でデラックスしてキレイになってくるよ~!」

 

「デラックス?デトックスのことかな?」

 

「ホッホットヨガ…でっできる大人の女ってイメージで、わっ私なんか近づくことすらおこがましい陽キャマダム御用達のあのホットヨガ!きっきっと皆最初から全てのヨガをマスターしてて付いてこられない人は容赦なく切り捨てられるんだ…」

 

ひとりちゃんはホットヨガというワードを聞いて何やら葛藤が始まってるね。しかし廣井さんもそんな女子会みたいなことするようになったのか。

 

「なんならおっちゃんもくる?一緒にヨガろうぜ~?」

 

「えっ私?」

 

「おっちゃんなら先輩達も喜ぶと思うよ~?」

 

うーん…ホットヨガか。確かに体にはよさそうだし、健康のためにやってみるのも悪くないけど…そういう場所ってひとりちゃんが言ってたみたいに若い女性の割合が多そうだよね。そんな中にアラフォーのおっさんが混ざってホットヨガは場違い感が半端ない。丁重にお断りしておこう。

 

「あ、そもそも3人で予約してるからおっちゃん入れないわ~。でもおっちゃんならお願いすれば飛び入り参加OKになるかもよ~?」

 

「私は遠慮しておくよ。星歌さん達に悪いしね」

 

 

 

 

翌日

 

下北沢の某ホットヨガスタジオでは、伊地知星歌とPAさんが普段通っているジムのつてで予約した無料体験コースを満喫するため、廣井きくりを含めた3人で午前中からヨガスタジオの受付に集まっていた。

 

「…てな感じでおっちゃん誘ったけど断られちゃいましたよ~」

 

「そりゃ晋作さんも知らない女だらけのところに混ざってのホットヨガなんて居心地悪いだろ」

 

「それにおじさまの前でこんなへそ出しルックは恥ずかしくてまともにヨガポーズできる気がしないですね~♪」

 

「だな。とてもじゃないが今のこのお腹は晋作さんには見せられないぞ…」

 

「2人共お腹充分キレイじゃないですか~、それにおっちゃんそういうの気にしないと思うけどな~」

 

「「私が気にするんだよ(です)」」

 

見事にシンクロした発言をする星歌さんとPAさんそして廣井きくりの3人は、普段不健康になりがちな昼夜逆転の生活でやさぐれていく心を、朝から運動をして充実した大人の休日のように過ごすことで脱やさぐれ、そして大人のいい女を目指すためにホットヨガでいっぱい汗をかいて綺麗になることにしたのでした。

 

 

 

数時間後

 

「ふースッキリした~!シャワーまで借りれてラッキーだった~♪ 」

 

「ああ、いい汗かいたな!」

 

「いい感じに体がほぐれましたね~無理して早起きした甲斐がありました♪」

 

時刻は午前11時45分。ホットヨガ体験レッスンを終えた3人は、身も心も綺麗になった(ような気がした)ようでとても晴れやかな表情で下北沢の道を歩いていた。

 

「これはかなり充実した大人の休日になってるんじゃないか?」

 

「ですねぇ~♪しかも朝から活動してるから1日が長く感じてお得ですよ」

 

「いや~こういう健康的な生活って私には無縁だと思ってたんだけど案外…あ」グウゥゥゥ

 

「このタイミングで腹の虫鳴らすなよ。優雅な大人の気分が台無しだぞ」

 

「うふふふ、もう廣井さんたら」

 

「だって朝からあんなに動いたらお腹空きますって~」

 

「じゃあこのまま大人なおしゃれランチでもいくか」

 

「いいですね~」

 

「さんせーい!」

 

「どうせならここはオーガニックなサラダでも」

 

 

そんな会話をしているとふいにごま油やニンニク等が入り混ざった独特の匂いが3人の鼻を刺激してきた。

 

「この匂いは…あっ」

 

「あっ」

 

「あれは…」

 

その匂いを放つ主はすぐ目の前にあった。人気中華料理チェーン店『餃子の大将』下北沢店。そこから漂ってくるあの中華料理屋特有の香りは、今の3人の食欲を誘うのに凄まじい効力を発揮していた。

 

「いやいやいや、さすがにここはない」

 

「でっですよね~。いくらなんでも」

 

「でも先輩…運動の後の火照った体に昼間から飲むキンッキンに冷えたビール」

 

「うっ…」

 

「それを取り囲むできたての中華の数々…」

 

「ううっ…」

 

「先輩…私達もうゴールしてもいいんじゃないですかね?」

 

「だ…だめだ!今日くらいはおしゃれに…はっ!」

その時、伊地知星歌に電流走る。午前中のヨガ体験でほぐれた体と消費したカロリーに対しての中華チェーン店でのランチは、背徳感と罪悪感が計り知れない。しかし自分達はもう中華のあの味とビールの口になってしまっている。目の前の『餃子の大将』に入ってその欲を満たすことは容易い。だが同じ中華でも“あの人”が作ったものならどうだろうか?これまで何度もごちそうになっているが、毎回店で食べるものと遜色ないクオリティで出してくる料理の数々…しかもこちらで食材を用意して一緒に作ることである程度罪悪感を軽減し、優雅な大人の休日という体を保つことも可能!この手しかない!

 

 

 

 

 

ブゥゥゥゥゥン ブゥゥゥゥゥン

 

おや、ロイン通話だ。星歌さんから?

 

「はいもしもし」

 

『もしもし晋作さん、突然ごめん。今家にいますか?』

 

「えっ今?うん、今日は休みだしちょうどお昼ご飯作ろうかなと思ってたところだよ」

 

『実はかくかくしかじかで…』

 

「なるほど、皆の口が中華を欲していると。わかりました。私に任せてください!とっておきの中華ランチ作るので是非皆で家に来てください」

 

『そ、そうか!ありがとう!こっちで色々食材買っていくから、晋作さんは待っててくれ!』

 

ふむ、廣井さんが言っていたホットヨガって相当お腹が空くみたいだね。けど思いがけずに星歌さん達にご飯を振る舞えるとは今日はいい日だ。さて、食材が届くまでにご飯炊いたり中華スープ作ったりできることは先にやっておこうかな。

 

 

 

 

 

ピンポーン

暫くしてインターホンが鳴り、玄関を開けるとたくさんの荷物を持った星歌さんとPAさんと廣井さんが立っていた。3人とも心なしか顔つきがキリッとしててザ・大人の女性って感じがするね。

 

「急に押しかけてすまない晋作さん。どうしてもがっつり中華で一杯やりたくなってしまってな…これ、買い出ししてきたから私達も一緒に作るよ」

 

「おじさまお邪魔します~♪おじさまのおかげで充実した大人の休日を続けることができそうです♪」

 

「おっちゃん昨日ぶり~。もうお腹ペコペコだよ~」

 

「皆いらっしゃい。来てくれてありがとう。中華をご所望ってことだったから色々できるように準備してあるよ」

 

さてさて、星歌さん達が買ってきてくれた食材と私が準備しておいたものを合わせて皆が満足してくれるような中華ランチを作っていこう。

 

 

キャベツとピーマンを食べやすい大きさに切る。中華鍋にごま油を引き、強火でキャベツとピーマンをさっと炒めて火が通ったら取り出す。同じ鍋にごま油を足して豚バラ肉を炒め、肉の色が変わってきたらキャベツとピーマンを戻して甜麺醤、豆板醤、酒、しょうゆ、砂糖を合わせた調味液を加えて手早く炒めたら「完成」

 

豚レバーを食べやすい大きさに切って牛乳に15分漬け込み、よく洗って水気を拭き取ったら生姜しょうゆに漬け込んで下味を付ける。レバーに片栗粉をまぶしフライパンで揚げ焼きにして油をきっておく。中華鍋にごま油と薄切りにしたニンニクを入れてニラともやしを炒め、レバーを戻し入れたらオイスターソース、酒、砂糖、しょうゆ、鶏ガラスープの素で味を付けながらさっと炒めて「完成」

 

 

「おお~あっという間に次々料理が完成していく~おっちゃんさっすが~」

 

「おじさまの料理姿…いつ見ても惚れ惚れしますねぇ♪」

 

「お前らも見てないで手伝えよ」

 

「あ~い、じゃあビール用のコップ用意しときま~す」

 

「私は完成したものをテーブルに並べていきますね~」

 

私の隣でPAさんと廣井さんに文句を言いつつ、冷食のシュウマイをレンチンしながら餃子を焼き、中華スープに溶き卵を入れている星歌さん。その手際の良さ…また料理のレベルが上がったみたいだね。後ろでパタパタと動きまわってあれこれ準備してくれるPAさんと廣井さんも頼もしいね。私も一緒に作ってて楽しくなってきちゃうな。

 

 

本日の昼御飯

五目チャーハン

叔父さん特製ホイコーロー

叔父さん特製レバニラ炒め

焼き餃子

カニ玉甘酢あんかけ

エビシュウマイ

レタスとワカメの中華サラダ

中華卵スープ

 

「うひょ~これこれ!やっぱおっちゃんに頼んで正解だったよ~」

 

「店入るの我慢して買い出ししてきた甲斐があったな」

 

「ウフフ♡ですね~」

 

「では皆さん手を合わせてください」

 

「「「「いただきます」」」」

 

今日のお昼ご飯は星歌さん達のリクエストで定番の中華料理をあれこれ作ってみた。本当は餃子の大将に行こうとしてたのをやめてわざわざ私の家まで来てくれたということなので無駄に張り切ってしまったけど3人の反応はどうだろうか。

 

「ハフッハフッもぐもぐ…んはぁ~レバニラうめぇ~♪からのーゴキュッゴキュッゴキュッ…くっはぁー!ビールサイコー!!」

 

「んっんっうん…。このホイコーロー豚とキャベツに付いた甘辛な味付けがたまらんな…そしてそれらに合わせて作ってあるやさしい味付けのチャーハンがまた合う!」

 

「やっぱり運動した後は油と塩分ですよね~。午前中に消費したエネルギーが瞬く間に補給されていく感じです♪」

 

「だな。運動したからプラマイゼロだよな!」

 

「そうそう!ポジティブにいきましょーポジティブにー!」

 

「おかわりもできますからどんどん食べてくださいね。あっデザートでマンゴープリンも用意してますよ」

 

「「「いただきます!」」」

 

おお、見事なシンクロだ。

 

「まあ晋作さん作だし、何気に野菜もたくさん摂れてるわけだし、私も一緒に料理して余分にカロリー消費したから問題ない問題ない」

 

「おじさま作ならそこまで凶悪な塩分油分ではないはずですからね~。最悪家に帰ってから追いヨガすればいいだけの話ですし」

 

「そうれすよ~店で食べるよりずっと安あがりらし、浮いた分のお金をおにころに回せると思えばおっちゃんに頼んだのは大正解らったと言えるよれぇ~♪」

 

3人は、まるで自分に言い聞かせるように熱く語りながら目の前の中華料理を一口、また一口と口へ運んでいった。うんうん、やっぱりいっぱい食べる姿は健康的で素敵だね!

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「いや~食った食った!おっちゃんありがとれぇ!おかげで充実した大人の休日過ごせちゃっらよ~♪」

 

「そうだな。晋作さんがいなかったら餃子の大将の誘惑に負けてホットヨガの分がチャラになるところだった」

 

「おじさまの家でランチデートというサプライズイベントもこなせたことですし悔いはありませんね~♡」

 

「満足してもらえたようで何よりです。だけど廣井さんはちょっと飲み過ぎじゃないですか?」

 

「固いこと言うなっれ~おっちゃんの飯を前にして飲まないとかあり得ないかられぇ~」

 

「お前はもうその辺にしとけ!」

 

「うげ…先輩ギブギブ」

 

「それではおじさま、またSTARRYで♡」

 

「あっはいまた…」

 

満腹&ほろ酔い(廣井さんはベロンベロン)の3人を見送る。星歌さん、廣井さんに文化祭ライブの時に披露したようなヘッドロックをかけながら帰っていったな…元気だね。

 

 

翌日。STARRYから帰ってきたひとりちゃんから、体の調子がよくて肌が妙にツヤツヤな星歌さんとPAさんがすごく上機嫌でバイトしやすかったと教えてもらった。ホットヨガの効果が早くも出てるみたいだね。帰り際かなり酔っていたけど、廣井さんも健やかな体になってるといいな。




ホットヨガの様子が気になる人は廣井きくりの深酒日記5巻を読んで確かめよう!

次回 ケンカした姪と◯◯

アンソロジーコミックからのお話だす

↓おまけ

異世界でも叔父さんは食べさせたい

※圧倒的パラレルワールドです。

前回までのあらすじ
お金を稼ぐためにお昼に食堂として営業を開始したSTARRYだったが、忙しすぎるので人手を増やすことにしました。PAさんが来ました。音響スタッフが確保できたね!


キャラ紹介
後藤ひとり
転生先の世界でも叔父さんと同居。スキルの効果で自力でモンスターを倒せない。何だかんだで飲食業バイトができちゃってるのに気付いてない。

叔父さん
異世界でもひとりちゃん達に食べさせる生活を目指す。作った料理に体力と状態異常回復&経験値取得の効果が付くスキルを持っている。STARRY異世界店の調理部門と冒険時の保護者役担当。

山田リョウ
特典ほぼなしで転生してきた不憫な子。スキルのせいで戦闘中は強いけどすぐお腹が空くのであまり戦いたくない。しかし叔父さんのご飯が大好きなのでお弁当を用意すればちゃんと戦ってくれる。

喜多郁代
叔父さんの家に住みながらSTARRY異世界店へ通う。喜多郁代が結成したギルド『結束ギルド』も少しずつ知名度が上がってきたかもしれないし気のせいかもしれない。

伊地知虹夏
叔父さん以上に特典盛り盛りで転生してきた元下北沢の大天使。異世界でもライブハウスSTARRYを作り、結束バンドも再結成。したいけどまだまだ先は長そうな予感。

伊地知星歌
伊地知虹夏と共に転生してきた伊地知虹夏の姉。立場的には伊地知虹夏の護衛団長、そしてSTARRY異世界店の店長。最近昼の営業中店員達(結束バンド)に言い寄る男が増えてきたので睨みを利かせている。

PAさん
しれっと転生していた黒髪ロングでピアスなお姉さん。スキルのせいで朝がすごく弱いので昼からなら働きます。


ティズワラへ行こう

PAさんを加え人手の増えたSTARRY異世界店は、昼に食堂を営業して夜は内装をライブハウス仕様に変えるために少しずつ改装を繰り返し、徐々に理想の形に完成しつつあった。

「活動資金も貯まってきたし、あと少しでSTARRY異世界店を本格的なライブハウスとして始められそうだね!」

「ですね!環境が整ったら次はいよいよ私達の楽器を揃える番ですよ!」キターン

「仕事しながらでも晋作オジサンのまかないを食べてたおかげでレベルがいい感じに上がってるからモンスターには苦戦しないはず」

「あっですね。わっ私は何レベルになっても戦闘の役に立てないですけど…」

「じゃあ次の定休日に皆で音楽の町“ティズワラ”へ行くよ!」

「朝から出かけるのなら私はお留守番してます~」

「そういえばPAさんは朝から正午まで弱体化しちゃうんでしたね」

「私と晋作さんが付いてるからそれでも問題ないだろ」

「そういうことなら明日は特製のお弁当を作っていくから楽しみにしててね!」

「晋作オジサン私の分はおかず大盛りでよろしく」

「あはは、了解。あ、もちろんPAさんの分も作っていくので食べてくださいね」

「ありがとうございますおじさま♪」

翌日
STARRY異世界店定休日の早朝、結束バンド一行(PAさんはお留守番)は楽器用の軍資金と叔父さん特製のお弁当を持って音楽の町“ティズワラ”へ出発した。

「さあ皆張り切っていこう!」

「なんだか遠足みたいでワクワクしてきますね!」キターン

「これが下北から御茶ノ水なら3、40分で着くのに」

「あっですね…」

「こっちの世界だと徒歩で舗装されてない道をモンスターに気を付けながら進むから時間がかかっちゃうね」

「そうだな。だから半端なレベルの冒険者はティズワラに辿り着くことすらできないんだ」

「そっそんなに過酷な道のりだったんですね…わっ私なんかが一緒にいて足手まといになってきょっ今日中に辿り着けないなんてことになったら…」

「安心してひとりちゃん!私がひとりちゃんの分まで戦うわ!」キタキターン

「今のあたし達なら大丈夫だよぼっちちゃん。お姉ちゃんと晋作さんも付いてるしね!」

「そうそう、全部郁代と晋作オジサンに任せて怠けてればあっという間」

「おいこらリョウも戦え」

「お腹空くからやだ」

「まあまあ、とにかく進んでみよう。モンスターとの戦闘も極力避けていけば大丈夫だよ」

道中何度か戦闘をするが、前衛の喜多、星歌、叔父さんが大体一撃で倒すので特に苦労をせず中間地点まで進むことができた。

「着いた!お姉ちゃん、ここがティズワラ?」

「いや、ここはアンダーノースとティズワラの間にある『ニューヤード』って町だな。大型のオフィスビルや学校が多いから冒険者よりもビジネスや勉学のためにくる人が多いぞ」

「へー。なんだか新宿みたいな町ですね!」キターン

「仕事や学校…う…わっ私には向いてない町ですね」

「でも疲れたからここで休憩しよう。晋作オジサンのお弁当を食べよう」

「モンスターと戦ってくれたの主にお姉ちゃんと叔父さんと喜多ちゃんだけどな」

「じゃあどこか落ち着いて座れそうなところを探してお昼ご飯にしようか」

「あっはい」

「「「さんせーい!」」」

本日の昼御飯
叔父さん特製スタミナ弁当

「では手を合わせてください」

「「「「「「いただきます」」」」」」

結束バンド一行が叔父さんの弁当に舌鼓を打つ。そこへ1人の人間が弁当の匂いにつられてよってきた。その人物は…

「うう…いい匂い…お腹…空いた」

「えっお前は!?」

「廣井さん!?」

「あっおっお姉さん」

「あっ…ぼっちちゃんや先輩の幻覚が見える…もはやこれまで」

「廣井さんしっかり!ほらっ弁当、私の分分けてあげるから!」

なんとそこにいたのは廣井きくり。餓えと疲労で瀕死の状態だったが叔父さんから弁当を分けてもらって元気を取り戻した。

「んぐんぐ…ぶはぁ~生き返った~!死ぬかと思ったよ~みんなありがとね~♪」

「あっよかったです」

「おお、さすが晋作さんのご飯」

「叔父様のスキルで回復したんですね!」

「私のご飯が役に立ったようで何よりだよ」

廣井きくりは気がついたらここニューヤードにいて何日も彷徨っていたらしい。

「おっお姉さんも転生してたんですね」

「そーなんだよ~。まいっちゃうよねー。途中で持ってたスーパー酒天童子EX盗られちゃったしもう最悪」

「えっ!?廣井さん楽器持ってたんですか!?」

「うん。なんかテンセイトクテン?とかで最初から一番私に合った武器をくれるって」

「でもそれを誰かに盗られちゃったと…」

「そーだよー!なんとか取り返したいけどもう体力も残ってなくて途方にくれていたところにおっちゃんのご飯!本当に助かったよ~」

「噂では私達の世界の楽器はこの世界では高く売れるらしい。見たこともない素材の知らない技術で作られているからかもしれないな」

「だったら廣井さんの楽器もティズワラにあるんじゃない?世界中の楽器が集まる町なんでしょ?」

「可能性はありますね!私達ちょうど自分達の楽器を揃えるためにそこへ行こうとしてるところなんです!廣井さんも一緒に行きませんか?」キターン

「えっいいの?」

「どのみち放ってはおけないからな。いいだろ晋作さん」

「うん、もちろん。皆もそれでいいかな?」

「いいよー。大勢いた方が楽しくなりそうだし」

「ですね!旅は道連れ世は情けです!」キタキターン

「戦力が増えるのはありがたい。私がサボれる時間が増えるから」

「お前だけここに置いてってやろうか?」

という訳でティズワラに行く途中で廣井きくりが仲間になりました。この後結束バンド一行に更なる苦難が待ち受けているかもしれないしそうでもないかもしれない。(作者の気分次第)


つづく(ゆーっくり進めていくんやで)
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