ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

131 / 138
ご覧になっていただきありがとうございます。

今回は久しぶりにSIDEROSの皆(+α)にも食べさせるお話です。

そして今年最後の投稿となります。



ゴトキンとオオツキンとアップルパイ

「ギュンギュンギュン!ハローオーチューブ!どっどうもゴトキンです!」

 

「オオツキンです」

 

「えっあっうっ…じっじゃあ今日はスペシャル企画をやっていきたいと思います」

 

【2人とも緊張しているようです(^_^;)】

 

 

 

ひとりちゃんとつっきーさんがオーチューバー『ゴトキン』と『オオツキン』を名乗って始まったコラボ動画撮影を撮影係の長谷川さんの隣で見守る。今回の動画撮影は、ひとりちゃんがSIDEROSの長谷川さんに連絡を取り自ら新宿FOLTに赴いて自主企画ライブの宣伝をしてもらうための動画を撮る約束を勝ち取ってきたことで実現したものだ。素晴らしい行動力だね!最初に送ったはっちゃけおじさん構文ロインなんて些細な問題だった!そしてこの状況を俯瞰で見た人が持つであろう素朴な疑問、現役女子高生バンド同士のオーチューブ動画の撮影現場に、何故叔父さんの私がいるのかというと話は数日前に遡る。

 

 

 

ひとりちゃんが新宿FOLT組に会いに行った日の夜、SIDEROSの長谷川さんからロインが届いた。もしかしてまたひとりちゃんが解読不能なロイン送っちゃったのかなと思いながら開いてみると…

 

 

この度ぼっちさんとヨヨコ先輩とでオーチューブ動画を撮ることになったんですけど、企画や演出が全てこの2人任せで動画として成立するか不安なので、保険としてぼっちさんの叔父さんとふーちゃんのコラボ動画第2弾を平行して撮っておけたらなと考えてます。もし叔父さんが可能であれば撮影の日にぼっちさんと一緒に来ていただけたら幸いです。お返事お待ちしていますm(_ _)m

 

 

ふむ、なるほど。ひとりちゃん家に帰ってきた時すごく達成感に満ちた顔をしてたから交渉うまくいったんだと思ってたけど、長谷川さん的には不安材料があるわけだね。私を頼ってもらえるのは嬉しいし、本城さんと一緒に料理するのは緊張したけど楽しかったから協力するのは吝かではない。よし、早速承諾の返事しておこう。

 

 

 

 

ということがあっての現在。裏では本城さんと私とのコラボ動画撮影の準備が進められていて、それが完了するまで私はひとりちゃんと大槻さんの撮影を見学させてもらっているのだ。なんだかテレビ業界のタレントになった気分だね。

 

 

「きょっ今日の企画はこちら!題して『メントスコーラ2リットルバージョン!』イエーイ!」

 

「イエーイ」パチパチ

 

【やけにノリノリな2人www(^∀^)】

 

メントスコーラ?それって結構前に有名なオーチューバーさんがやって少し流行ったやつだよね。そのネタは今も通用するのかな?私個人の意見としては、そういう食べ物を粗末にする遊びや悪ふざけはあまりいい印象が持てないんだけど…

 

 

「あーやっぱり…」ハァ

 

今まで静かに撮影係をこなしていた長谷川さんから小さなため息が漏れる。これは長谷川さんの予想通りになるのかな。ひとりちゃんは事前に渡されていたであろう台本の台詞じゃないところまで読み上げていて、それをつっきーさんにツッコまれている。

 

「これはウチの予想通りになりそうっすね。ぼっちさんの叔父さんを呼んどいて正解でした」

 

「あくびちゃーん、こっちの準備できたよー♪」

 

目の前でグダグダな企画を進行しているひとりちゃん達を見守っていた私と長谷川さんの下に、本城さんが撮影準備完了の旨を伝えに来てくれた。

 

「お、ちょうどいいタイミング。それではぼっちさんの叔父さん、ウチらはウチらでやっとくんで打ち合わせ通り奥でふーちゃんとの撮影始めちゃってください。よろしくお願いします」

 

「はい、了解しました。少しでも新宿FOLTちゃんねるに貢献できるように頑張りますよ」

 

「ではcookstarさんいきましょうー♪」

 

心なしかご機嫌な本城さんとともに撮影場所へと向かう。そういえば、今日は本城さんと一緒にお菓子を作るってことくらいしか聞いてないけど何を作るのかな。

 

 

ゴトキン&オオツキンの撮影現場から移動した先のキッチンでは、既にカメラや照明の設置が終わっていて、側には内田さんや銀次郎さんがニコニコ手を振ってくれている。それに調理台にいくつもの食材がキレイに並べられており、いつでも料理を始められるようになっていた。オーチューブ動画の撮影にこの本気度。素晴らしいね!

「内田さん銀次郎さんこんにちは。今日はよろしくお願いします」

 

「よろしくー。フフフ…今回もおじさんの浄化スイーツ期待してるわー」

 

「晋作ちゃんの料理スキルは前から知ってるけど、作るところ生で見るのは初めてだから楽しみにしてるわね!」

 

「ありがとうございます。御期待に添えるよう頑張ります」

 

「はーい、じゃあcookstarさんには今日作るスイーツとその流れの詳細を説明しておきますねー」

 

本城さんから説明を受けて大体の流れを把握したらいざ本番。カメラを構える銀次郎さんとカンペを持った内田さんの前に立ち、銀次郎さんのハンドサインを合図に本城さんのタイトルコールから撮影が始まった。

 

「ふーかのスイーツコーナー♪今日は前回好評だった大人気イソスタグラマーcookstarさんとのコラボ企画。その第2弾です~♪cookstarさんよろしくお願いいたしますー」

 

「どうもcookstarです。よろしくお願いします。また呼んでいただけて光栄です」

 

「前回のcookstarさんとの動画がすごく好評で~視聴者さんからも次のコラボいつですか?ってコメントが多かったんですよー」

 

「それはありがたいですね。今日も視聴者さんが思わず食べたくなっちゃうようなスイーツ作っていきますよ」

 

「そんなcookstarさんと作る今回のスイーツは~?冬こそ食べたい!焼きたてアップルパイですー♪」

 

「いいですねー。サクサクのパイ生地と甘酸っぱいリンゴの王道スイーツ!これは作り甲斐がありそうです」

 

「今回はスーパー等で普通に市販されてる冷凍食品のパイシートを使った手軽に作れるタイプを作りますー。パイシートは加工しやすいように常温に出して半解凍状態にしておきましょう」

 

「はい、こちらですね。大体10分~15分出しておくとちょうどいいくらいの柔らかさになりますよ」

 

「次にリンゴですー。今日は紅玉っていう加熱しても崩れにくい品種のリンゴを使いますよー」

 

「アップルパイといえばコレ!というくらい定番のリンゴみたいですね。酸味が強めだけど加熱すると甘味とのバランスが良くなるまさにアップルパイのためにあるようなリンゴです」

 

「ではこのリンゴの芯をくり抜いてから皮を剥いてくし型に切ったら5ミリ位の厚さにスライスしていきましょー。cookstarさんお願いしまーす」

 

「はい、お任せください」トントントントン

 

「次にフライパンでグラニュー糖をきつね色になるまで温めていきまーす。そしてcookstarさんが切ってくれたリンゴを入れて炒めてー」

 

「おおー、キャラメルとリンゴのいい匂いがしてきましたね」

 

「ここにバターとシナモンを加えてリンゴの水分がなくなるまでしっかりと煮詰めてー…はい、アップルパイの中身ができました♪」

 

「これだけでも立派なお菓子になりそうですね」

 

「これをバットに平らになるようにして冷ましておきますー。次にパイシートを薄く伸ばして型に入れたら底の部分にフォークで穴を空けます。そうしたらーcookstarさんはこっちのビスケットを粗めに砕いてくださーい」

 

「了解です。保存袋の中に入れて麺棒で叩くといい感じに砕くことができますね。はい本城さんどうぞ」

 

「ありがとうございまーす♪ではこのビスケットを型に入れたパイシートの中に敷き詰めてー冷ましておいたリンゴをたっぷりと詰め込みまーす」

 

「これは食べごたえがありそうですね。この上に残りのパイシートを網目状に置いていくんですね?」

 

「そうですー。そして縁をフォークで押さえて接着してからハケで溶き卵を塗ります」

 

「ふむふむ、こんな感じですか?」

 

「そうですそうですー♪やっぱりcookstarさんお上手ですねー」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「次はいよいよ焼く行程ですよー♪200℃に温めたオーブンで20分焼いたあと180℃に温度を下げてさらに20分焼きまーす」

 

「かなりじっくり焼くんですね」

 

「その分サックリとしたのができるんですよー」

 

「なるほど、完成が楽しみですね」

 

 

 

「はーいオッケーよ!一度カメラを止めるわね!」

 

ここでパイが焼き上がるまで小休止。本城さん、内田さん、銀次郎さんとでしばし談笑の時間。今回のコラボ動画撮影までの経緯や普段のSIDEROSメンバーの様子、つっきーさんの上げる動画だけ再生数が伸び悩んでいること等の話を聞くことができた。こうして話してみるとSIDEROSも結束バンドに負けないくらいの仲良しっぷりなのがよく分かる。特につっきーさんが他のメンバーから慕われていることが本城さん達の話しぶりからすごく伝わってきて、改めてSIDEROSが魅力的な人気バンドであることを再認識させてもらえた。

 

「そろそろパイが焼けるので撮影再開しましょー」

 

「そうですね。内田さん銀次郎さん、またよろしくお願いします」

 

「任せて♪晋作ちゃんのことさっきよりイケメンに撮っちゃうから♡」

 

「どれ程の浄化スイーツに仕上がってるかワクワクね~」

 

 

 

 

 

「はい、合計40分。パイが焼き上がりましたー。どんな仕上がりになってるか楽しみー♪」

 

「ではオーブンから取り出してみましょう」

 

厚手の鍋つかみで取り出したアップルパイは、こんがりと見事な焼き色とツヤツヤの照りを纏った最高の出来栄えに仕上がっていた。お世辞じゃなくそこらのケーキ屋やパン屋に引けを取らない完成度ではないだろうか。

 

「完成ー♡見た目100点満点の出来ですねー♪」

 

「そうですね。これは味の方も期待大ですね」

 

「それではこの後、スペシャルゲストによる味見タイムでーす」

 

 

 

 

「はーいオッケー!じゃあ冷める前に早速場所移して次の撮影いくわよー」

 

「了解でーす♪じゃあcookstarさんいきましょー」

 

「あっはい」

 

ここからがおそらく今回のメイン企画。私もさっきその全容を知ったのだけれど、きっと素晴らしい内容になること間違いなしだろう。私達は出来上がったパイと必要な器具類を持ってまだ撮影を続けているゴトキンとオオツキンの下に移動した。

 

「あっあの、うまいですね…」セナカガクスグッタイ

 

「当たり前でしょ!私を誰だと思ってるの」ジャンジャンジャン

 

【しれっと完コピさすがです(^_^ゞ】

 

 

「えーと、2人は今何やってるのかな?」

 

「あ、ぼっちさんの叔父さんお疲れ様です。今は二人羽織しながら結束バンドさんの曲弾いてみた!をやってるところです。ウチ的にはもっとキャッキャウフフしたのを想像してたんですけど、この2人にそれを望むのは酷だったみたいです」トレダカガマッタクネェ

 

そう嘆く長谷川さんの前には、ひとりちゃんのジャージを捲って背中に入り込んでギターを演奏するつっきーさんの図があった。ビジュアルレベル高めの2人が密着することで何か面白い反応が生まれると踏んでやらせてみたんだろうけど、ひとりちゃん達にその手のリアクションは難しかったようだね。

 

「あくびちゃんこっちの準備はできてるよー」

 

「ふーちゃんナイスタイミング。じゃあ一旦止めて先にそっちの企画やっちゃいましょうか。ヨヨコ先輩とぼっちさーん、そろそろそれ終わらせて次の企画やるっすよー」

 

という長谷川さんの言葉とともにひとりちゃんとつっきーさんを椅子に座らせ、今完成したばかりのアップルパイを切り分けて盛り付けた皿がテーブルの前に置かれた。そのあまりの早業に2人はポカンとしたまま動けなかった。

 

 

本日のスイーツ

ふーかとcookstarさん特製アップルパイ

 

「あっえっこれ何…?」

 

「どういうことよ?」

 

【突然のおやつタイムに戸惑う2人ww( *´艸`)】

 

「サプライズ企画っすよ。いいから2人ともそれ食べるリアクション動画撮るんで試食お願いします。多分メントスコーラとかよりずっとマシなの撮れると思うんで」

 

「私とcookstarさんが作った自信作ですよー」

 

「冷めないうちに食べてもらえると嬉しいです」

 

「なっ何だかよくわからないけどいいわ。普通に美味しそうだし…ほらゴトキン食べるわよ!」

 

「あっはい。じゃあてっ手を合わせて」

 

「「いただきます」」

 

今回本城さんと作ったスイーツはアップルパイ。長谷川さんの提案で、私達が作ったスイーツをひとりちゃん達が食べるおやつテロ動画を撮ろうということになり、急遽私が参加する形になったのだが我ながら出来は上々だと思う。2人の反応はどうかな。

 

【ふーこ&cookstarの極上アップルパイ実食!】

 

「ふぁ…すっすごくいい匂いです。はむっ…んっ…あっパイがサクサクで中のリンゴが温かくて甘酸っぱいです」

「あむっんっ…んぐっ、うっまぁ…パイとリンゴのバランスが絶妙だわ!そこいらで売ってるやつより遥かに美味しいわね!」

 

 

 

「いいっすよ~さっきまでのカメラ意識ゼロの真顔や台本丸読みグダグダ進行がチャラになるくらいの撮れ高っす」

 

「あらあら~2人に憑いてるすんごいのが吹き飛んでっいっちゃったわね~おじさんの浄化力がまた上がっててびっくり~」

 

「気に入ってもらえたようで何よりです」

 

「cookstarさんとのコラボスイーツ今回も大成功ねー♪」

 

「やっぱり惜しいわー。晋作ちゃん!いつでもウチ(新宿FOLT)に来てくれていいから考えておいて!」

 

「あはは…」

何はともあれ、本城さんとのスイーツ作りとそれをひとりちゃんとつっきーさんに食べさせる作戦は大成功と言っていいよね。あとさっきから銀次郎さんの熱い眼差しが…。

 

【残りのアップルパイはスタッフが美味しくいただきました!(^^)】

 

 

ごちそうさまでした

 

 

後日収録した動画の幾つかはオーチューブにアップされ、ひとりちゃん達がアップルパイを食べるだけの動画も一緒に上がっていた。「オオツキンのモグモグカワイイ」とか「ゴトキンの素顔見たい」等のコメントで盛り上がっていて、かなりの再生数を稼いでいる。どの動画にも結束バンドの自主企画ライブの宣伝が入っていて、そのおかげで念願の出演バンドの依頼がきたとひとりちゃんが歓喜していたので多少なりとも協力できたみたいで一安心だ。

 




皆様よいお年を。来年も食べさせたい叔父さんをよろしくお願いします。

次回 犬と星歌さんと◯◯

深酒日記からのあの神回のお話です。

↓おまけ


異世界でも叔父さんは食べさせたい

※誰が何と言おうとパラレルワールドです。

前回までのあらすじ
楽器の修理のために出掛けていった結束バンドを見送った大人組のところに叔父さんを倒そうとする挑戦者が現れた!全部やっつけたので結束バンドはこの事を知りません。そして修理に必要な素材集め編がはーじまーるよ?

キャラ紹介
後藤ひとり
転生先の世界でも叔父さんと同居。スキルの効果で自力でモンスターを倒せない。でも前衛がすごく強いので全然問題ない。新たなスキルでいつでもギターが弾けるようになりました。

叔父さん
異世界でもひとりちゃん達に食べさせる生活を目指す。作った料理に体力と状態異常回復&経験値取得の効果が付くスキルを持っている。さらにパーティ内に女性が多いと物凄く強くなるスキルも習得。そのせいでSTARRYにやってくる挑戦者が後を絶たない。

山田リョウ
特典ほぼなしで転生してきた不憫な子。スキルのせいで戦闘中は強いけどすぐお腹が空くのであまり戦いたくない。叔父さんのご飯が大好きなので賄い飯を大盛りにすると戦ってくれるかもしれない。

喜多郁代
叔父さんの家に住みながらSTARRY異世界店へ通う。戦闘もひとりやリョウの代わりに率先して行う聖人陽キャ。STARRY異世界店や結束ギルドの看板娘的存在。

伊地知虹夏
叔父さん以上に特典盛り盛りで転生してきた元下北沢の大天使。異世界でのライブハウス再開のために今日も奮闘する。一応この異世界のお姫様だけどその設定が忘れられそうな勢い。もう少しでバンド活動が始められそうなのでテンション高め。

伊地知星歌
伊地知虹夏と共に転生してきた伊地知虹夏の姉。叔父さんと一緒に保護者役として結束バンドの冒険に付いていく。STARRY異世界店の店長もやっている。怒らせると(物理的な意味で)とってもコワイ。

PAさん
しれっと転生していた黒髪ロングでピアスなお姉さん。朝が弱いのでお昼からなら働きます。ティズワラ編の時にお留守番だったのが寂しかった模様。

廣井きくり
転生特典で愛用のベースを持って転生してきたSICK HACKのベーシスト。伊地知姉妹のお城に住まわせてもらえるようになりました。ついでにお仕事も貰えたようです。よかったね!


必要素材を集めようと思います

「という訳であたし達の楽器の修理に必要な素材を教えてもらったから手分けして集めに行くよ!」

「その素材を持っていったら格安で直してくれるんですよね!」キターン

「うむ。私はなるべくモンスターとの戦闘がない所希望」

「あっできれば私も…」

「戦闘が起こりそうな場所は私や晋作さんが同行するから安心しろ」

「皆張り切る気持ちはわかるけど、今日一日で無理に集めようとしないで安全第一で行動してね」

「うん!わかってるよ~。中にはまだ行ったことのない町のとこもあるから慎重にね!これが集める素材のリストだよ!」

必要素材リスト
・バリカタシの木の枝(ヤソークエの森深部)
・金属スライムの皮膚(ニューヤード周辺)
・ヌマリゲーターの牙(アンダーノース地下ダンジョン)
・アナホリサンドラゴンのヒゲ(アンダーノース周辺)

「ニューヤード周辺が一番遠いですねー。歩き疲れそうですし私は近場希望ですー。あ、おじさまと一緒なら尚良しですね♪」

「私も晋作オジサンとヤソークエの森がいい。一番楽そう」

「あっじゃあ私もそこに…」

「おいこら勝手に決めるな!晋作さんは貴重な戦力なんだからちゃんも考えて振り分けるんだよ!」

「二組に分かれて2日間で1ヶ所ずつ回るのが妥当か。それぞれの組に晋作さんか私がいれば問題ないだろ。あと廣井のやつにも声かけとくか」

「そうですね。遠いところは私が引き受けますよ」

「はいはーい♪私も頑張ります!」キターン

話し合いの結果

星歌、虹夏、リョウ、廣井チーム

バリカタシの木の枝&ヌマリゲーターの牙

叔父さん、喜多、ひとり、PAさんチーム

金属スライムの皮膚&アナホリサンドラゴンのヒゲ

という事でそれぞれの担当が決まった。

「よーし、じゃあ早速廣井さんも呼んで出掛けよう!」

「待て待て、今日はSTARRYの昼営業もあるから皆で行くなら明日だ」

「虹夏ちゃん、早く楽器を直したい気持ちはわかるけど焦りは禁物だよ。明日までにしっかり準備してからの出発でも遅くはないよ」

「むぅ…晋作さんがそう言うならしょうがないか」

「こっち(STARRY)の活動も大事ですからね!」

「おじさまのご飯を楽しみにしているお客さんが多いですからね~」

「晋作オジサン、今日のまかないも期待してるよ」

「そんじゃ昼の営業始めるからな」

開店準備のために伊地知星歌がSTARRYの扉を開けた途端、外から何人もの人が雪崩れ込んできた。
「たーのもー!!」
「勝負勝負ー!」
「おっさん!今日こそその命もらい受ける!」
「おじさん倒してデート!デート!」

(((わ、忘れてたー!)))

そう、現在アンダーノースでは『地下食堂STARRYにいるおじさん料理人を倒すと賞金500万ドリトスとSTARRYで働いている好きな子と1日デートできる権利を与える!挑戦は1日1回5000ドリトス』というクエストが発生していて、前回の挑戦者全てを叔父さんが一撃で返り討ちにしたことで逆にSTARRYの知名度が上がり、挑戦者の数が急増する事態に発展してしまっていたのだ。そしてその時にSTARRYにいた叔父さん、伊地知星歌、PAさんはなんだかんだでクエストを取り消すのを忘れていた。

「そうだった…結束バンドの楽器が直せそうってことに気を取られてクエスト削除依頼するのすっかり忘れてました」

「こいつら性懲りもなくまたぞろぞろと…」

「ど、どうします?またおじさまが一人一人相手しますか?」

「えっ何なのこの人達?まだ開店時間じゃないよね?」

「あっえっ?」

「おー晋作オジサン大人気だね」

「皆さん口々に叔父様と勝負しろって言ってますけど」

「これはさすがに対処しきれないな。晋作さん、私も手伝うから全員追い出すぞ」

「そうですね。このままじゃまたまともにお昼の営業ができなさそうですし仕方ありません」


パパパパーン


叔父さんは挑戦者全ての頬に平手打ちをお見舞いして全員をSTARRYから文字通り叩き出した。



\オボエテロヨー/


「えっ本当にあの人達何だったの!?」

「まあ、なんか知らない間に私に挑戦して勝ったら賞金がもらえるってクエストが発生してて…」

「あっえっ叔父さんにですか?」

「そうなんだよ。しかも勝ったやつはSTARRY内の好きな女とデートできる権利っていう謎の副賞まで付いててな」

「おじさまが賞金と副賞に目が眩んだ有象無象をバッタバッタと張り倒してくれたんですよー♡」

「叔父様に勝ったらリョウ先輩とデートできる…?」ゴクリ

「あっあの、喜多ちゃん?」

「へーそんなことがあったんだ。お姉ちゃんも晋作さんも言ってくれればよかったのに~」

「いやまあ、クエストの内容が内容だけになんとなくお前らに言いにくくてな…」

「とりあえず今すぐクエスト案内所まで行って件のクエストを削除してもらってきますね」

「そうだな毎日これじゃまともに営業できないしな」

「それにしても誰がこんなクエストを出したんでしょうか?」

「あーあれ私」

「リョウ先輩が!?」

「リョウ!?」

「あっえっリョウ先輩がですか?」

「うん、晋作オジサンなら絶対負けることないから挑戦料5000ドリトス取り放題」

「お前な…」

「好きな女の子とデートの副賞付けたの何でですかー?」

「そ、それくらいの副賞付けたら晋作オジサンが全力で阻止してくれると思って…」

「もう!そんな理由で晋作さん利用するなんてダメでしょ!」

「うっ…反省してます。まさかここまで大変なことになってるとは思わなくて。晋作オジサンごめん」

「うん…そうだね。もし私が負けてたら君達が大変な目にあってたかもしれないんだから、もうこういうことはしないでね?」

「ん…わかったもうしない」

「とりあえずリョウさんは罰として今日のまかないのご飯とおかずは小盛りにします」

「そんな殺生な!?」

「まあ自業自得だね」

「まかない無しじゃないだけマシと思えバカ」

「わっ私の分のまかないを分けてあげるのは…」

「ダメ!それじゃリョウの為にならないよ!」

「もう絶対変なクエスト出しません…」

山田リョウは深く反省して自らクエストを削除しに行き、お昼の営業後に小盛りのまかないを完食した。お腹の音は晩御飯まで鳴り止まなかった。明日は必要素材収集だけどこんな調子で大丈夫なのか結束バンド。


つづく(来年もゆっくりじっくり続けます)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。