ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

134 / 138
ご覧になっていただきありがとうございます。

今回はアンソロジーコミック第6巻からのお話。


マイニューグラビアと姪と豚の生姜焼き

「あっお疲れ様です…ハァ、よいしょっと」

いつものようにバイトでSTARRYへやってきた。のはよかったものの、今日は学校でせっかくささささん達が話しかけてくれたのにうまく返せなかったことが心のキズとしてまだメンタルがやられている私…。ちょうど喜多ちゃんがトイレに行ってる時だったからフォローがなかったのが敗因で、微妙な空気のまま会話が終了してしまったのがとても心残りだ。こういう時はいつもの場所で深呼吸するのが一番。いつもの場所。そう、店長さんが用意してくれたこの私専用ゴミ箱(未使用消毒済み)に入って一呼吸。うん、狭くて落ち着く。改めて自分の存在の小ささ、そしてそんなちっぽけな私が抱えてた悩みの極小っぷりを再認識させられる。よし、これでバイトも少しは頑張れる。あっあっちに店長さんとリョウ先輩がいる…こっちに気付いてない?私の挨拶聞こえなかったのかな。もう少し近づいてもう一度挨拶を…

 

 

「あっあのお疲」

「今ぼっちのマイニューグラビアのこと考えてたんだけど」

 

「真剣な顔して何考えてるのかと思えばまたろくでもないことを…」

 

えっ私のマイニュー…何て?

 

「あ~ぼっちちゃんそういうの似合いそうだよね~」

 

あっ廣井お姉さんもいたんだ…ていうか3人ともまだ私に気付いてない?なっなんか話しかけづらくなっちゃったな…

 

「うむ。ぼっちのポテンシャルとエロい水着!これは売れること間違いなし!前回は晋作オジサンの予想外のセリフに阻まれたけど、露出の少ない衣装から始めて徐々に布面積を減らしていけばまだ可能性が!ゆくゆくはぼっちのたわわを自分で持ち上げたりよせて上げたり…」

 

「山田ちゃん前に公園で取った野草をおっちゃん家に持ってった時もそんなこと言ってたよねぇ~。おっちゃんがやんわり止めてたけど~」

 

「そりゃ晋作さんも止めるだろ。懲りないなお前も」

 

うぇ!?わっ私がグラビアで水着を…?おえ…急に吐き気が…そんな誰からも需要のない格好をするなんて拷問以外の何物でもない!

 

「まあでも実際ぼっちちゃんエロいよね~。あ、でもこの前行ったホットヨガで見たPAさんもかなーりすごかったよ~。ねぇ先輩」

 

「えっ?…ああ、確かにあれはすごかったな…すげーすごかったな」

 

「ほほう…つまりPAさんとぼっちであらゆる衣装とポーズと角度を網羅すればグラビア業界を席巻することが!」

 

へぇーPAさんってすごいんだ…もし本当にマイニューグラビアしたら私なんかよりずっと人気出るだろうな。

 

「じゃあいっそのことSTARRYの従業員でコスプレ大会とかどうです?」

 

「は?するかバカ」

 

「えー、一攫千金間違いなしなのに」

 

「と言うかもうその辺にしとけよ。これ以上そんなクズみたいな妄想に付き合ってられるか!」

 

「でも店長、グラビアって色んな服着るからもしかしたらぼっちのメイド服姿も見れるかもしれないよ?」

 

「うっ…ぼっちちゃんのメイド服姿…文化祭では結局見れなかったんだよな…」

 

私のメイド服なんて文化祭でも戦力外すぎて不必要な存在だったのに、店長さんの前で着たりしたら…おぇぇ…考えただけで吐き気が。

 

「でも実際ぼっちちゃんとPAさんのボディーならそっちの業界の天下取れると思うんだよねー」

 

「うむ。ちょっとばかり2人に肌を出してもらうだけで私の財布が潤って皆が幸せに!」

 

天下!?そっちの業界がどんなところかよくわからないけど、PAさんと一緒なら取れちゃう?つまり結束バンドの名前も売れてお役に立てちゃう?うへへへ…あっじゃあ早速善は急げだよね!

「あっあの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ピロン

お、ひとりちゃんからのロインだ。

 

 

もうすぐ帰ります。あとリョウ先輩も一緒ですけど大丈夫ですか?

 

 

今日はリョウさんも一緒か。食べさせる人が増えるのはありがたいね!返信っと。

 

 

 

もちろん大丈夫だよ。美味しいの用意して待ってるから気を付けて帰っておいで。

 

 

 

「あっただいまです。えへへ」

 

「晋作オジサンきたよ。今日のご飯は何?」

 

「2人ともおかえり。すぐご飯にするからね」

しばらくしてひとりちゃん達のご帰宅。ひとりちゃんは何だか機嫌がいいね。STARRYでいいことあったのかな。

 

「天下…取れちゃう…うへへへへ」

 

「…」

 

 

すりおろした生姜、酒、みりん、砂糖、醤油を合わせる。薄切り豚ロースに軽く塩コショウをして下味を付けておく。肉に茶漉しで小麦粉を軽くふるって余分な粉を落とす。油を引いたフライパンを熱して肉同士が重ならないように両面しっかりと焼く。肉を端に寄せて薄切りにした玉ねぎとニンニクを炒め、玉ねぎがしんなりしてきたら合わせておいた調味料と追加で細めの千切りにした生姜を加え、肉と玉ねぎとニンニクを混ぜながら全体に絡めたら山盛り千切りキャベツを盛った皿に盛り付けて「完成」

 

本日の晩御飯

炊きたてご飯(ヒノヒカリ)

叔父さん特製豚の生姜焼き

ちくわとこんにゃくのピリ辛炒め

ブロッコリーのごま昆布和え

キムチ乗っけ冷奴

きのこたっぷりすまし汁

 

「では手を合わせてください」

 

「あっはい…へへへ」

 

「うむ」

 

「「「いただきます」」」

 

今日のメニューは豚肉料理の大定番の生姜焼き。お腹を空かせた2人にたくさん食べてほしくて多めに作ったけど反応はどうかな?

 

「はむっ…んっんっ…うん…うむ、うまい!生姜焼きの王道すぎる米が欲しくなる味がたまらん!」

 

「あむ…もぐもぐ…んっあっ美味しいです。いっいい感じに生姜が効いてて、添えてあるキャベツとも合いますね」

 

「口に合ったようでよかったよ。ご飯も多めに炊いてあるから遠慮なくおかわりしてね」

 

さすがはおかずの王様生姜焼きだね!うまいうまいと連呼しながら生姜焼きとご飯を交互に掻き込むリョウさんとニコニコしながら生姜焼の汁を吸った千切りキャベツをシャクシャク頬張るひとりちゃん。うん、どっちもかわいい。

 

「もぐもぐゴクン…うん、やはり晋作オジサンクオリティでの生姜焼きは神すぎる!ご飯おかわり」

 

「あっわっ私もおかわりいいですか?」

 

「はいはい喜んで」

 

よしよし、食べ盛りの2人に生姜焼きは大正解だったようだね。ご飯も多めに炊いておいてよかった。この後ひとりちゃんとリョウさんは生姜焼きとおかわりした分のご飯もペロリと平らげてくれた。2人のいい食べっぷりを見られて私も大満足だ。

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「晋作オジサン少しいい?」

 

「ん?どうしたのリョウさん」

 

「ぼっちのことなんだけど…」

 

晩御飯の後、後片付けをしている私のすぐ隣にいつの間にかリョウさんがピッタリとくっついて話しかけてきた。いつもより小声なところを見るとひとりちゃんに聞かれないようにしているのかな?

「ひとりちゃんがどうかしたの?」

 

「今日のぼっち機嫌良かったでしょ」

 

「え?うんそうだね。帰ってきた時からずっとニコニコしてたしね。STARRYでいいことでもあったのかなと思ってたんだけど違うのかい?」

 

「えっと…まあ実はかくかくしかじかで」

 

リョウさんの話によるとSTARRYでリョウさん達が、ひとりちゃんとPAさんがマイニューグラビア?やコスプレ界で天下を取れるくらいすごいモノを持っている。という話をしていたところをひとりちゃんが聞いていて、ひとりちゃんが悪い意味でその気になってしまったということらしい。

 

「ぼっちには冗談だよって言ったんだけど、いまいち伝わってないっぽい」

 

「なるほど。ひとりちゃんのことだから多分その会話の『すごいモノ持ってる』とか『天下取れる』って所だけ話し半分に聞いてて肝心のグラビアやコスプレの部分をよくわかってない可能性があるね」

 

「うん、おそらくそうだと思う。このまま放っておくと自分で本当にやりかねないからちょっと心配」

 

「あー…私からもそれとなく止めるよう言っておいてほしいってことだね?」

 

「…まあそういうこと」

 

リョウさんは少しばつが悪そうに私から目を反らした。ふむ、自分の発言でひとりちゃんが暴走してしまわないか不安になったってことか。リョウさんなんだかんだで後輩思いなところあるんだね。かわいい。

「わかった。私もひとりちゃんには結束バンドの方で頑張ってほしいから変な行動力を発揮しないように話しておくよ」

 

「ん、そうしてくれると助かる」

 

「ちなみに参考までに訊くけど、リョウさんはひとりちゃんにどんなマイニューグラビアやコスプレをさせるつもりだったんだい?」

 

「……晋作オジサンのエッチ」

 

「うん。その発言で大体察したよ。叔父として絶対させないから安心して」

 

この後私の方からひとりちゃんに聞き出してみたら、リョウさんの予想通りコスプレ専用の危ないアカウントを作る気満々だったので、ひとりちゃんがショックを受けないようにかなり遠回しにその行為がひとりちゃんの純潔的な意味で危険であることを伝えて阻止させてもらった。翌日、家に帰ってきたひとりちゃんから「にっ虹夏ちゃんからも叔父さんと同じようなこと言われて怒られちゃいました…」と嘆いていた。これでひとりちゃんの貞操は守られた。虹夏ちゃんグッジョブだね!




リョウさんと廣井さんがどんなマイニューグラビアの妄想をしていたかはアンソロジーコミックで確かめましょう。

次回 おままごととふたりちゃんと◯◯

アンソロジーゾーンが続くでぇ。


↓おまけ
異世界でも叔父さんは食べさせたい

※はいそうですパラレルワールドです。

前回までのあらすじ
楽器の修理に必要な素材集めはどちらのチームも無事1つずつゲット。残りの素材を集めるために日を改めてもう一度出掛けるよ。

キャラ紹介
後藤ひとり
転生先の世界でも叔父さんと同居。スキルの効果で自力でモンスターを倒せない。でも前衛がすごく強いので全然問題ない。新たなスキルでいつでもギターが弾けるようになりました。

叔父さん
異世界でもひとりちゃん達に食べさせる生活を目指す。作った料理に体力と状態異常回復&経験値取得の効果が付くスキルを持っている。さらにパーティ内に女性が多いと物凄く強くなるスキルも習得。戦闘でも頼れる神おじさん。

山田リョウ
特典ほぼなしで転生してきた不憫な子。スキルのせいで戦闘中は強いけどすぐお腹が空くのであまり戦いたくない。叔父さんのご飯が大好き。現状真面目に戦うと結束ギルド内で一番強い。

喜多郁代
叔父さんの家に住みながらSTARRY異世界店へ通う。戦闘もひとりやリョウの代わりに率先して行う聖人陽キャ。STARRY異世界店や結束ギルドの看板娘的存在。お日様が出てる間は火と光属性無効の無敵陽キャ。

伊地知虹夏
叔父さん以上に特典盛り盛りで転生してきた元下北沢の大天使。異世界でのライブハウス再開のために今日も奮闘する。一応この異世界のお姫様だけどその設定が忘れられそうな勢い。

伊地知星歌
伊地知虹夏と共に転生してきた伊地知虹夏の姉。叔父さんと一緒に保護者役として結束バンドの冒険に付いていく。STARRY異世界店の店長もやっている。怒らせると(物理的な意味で)とってもコワイ。

PAさん
しれっと転生していた黒髪ロングでピアスなお姉さん。朝が弱いのでお昼からなら働きます。ティズワラ編の時にお留守番だったのが寂しかった模様。事前の情報収集も欠かさない出来る大人。

廣井きくり
転生特典で愛用のベースを持って転生してきたSICK HACKのベーシスト。伊地知姉妹のお城に住まわせてもらえるようになりました。ついでにお仕事も貰えたようです。今回の素材集めにはお城の兵士から借りたお金を返すために参加しました。


必要素材を集めよう虹夏チーム編その2

素材集め2日目の朝。伊地知虹夏、伊地知星歌、山田リョウ、廣井きくりの素材集めチームその1は、2つ目の素材であるバリカタシの木の枝を入手するために初心者の森【ヤソークエの森】の入り口に集合していた。

「やってきたぞヤソークエの森!」

「まあお馴染みの場所だよね。私やぼっちや晋作オジサンが転生した時にいた場所だし、野草集めクエストやレベル上げでも来てたし」

「そーなん?じゃあ楽勝じゃん。先輩もいることだし午前中に終わっちゃうんじゃない?」

「確かにこのヤソークエの森は初心者に優しいけど私達が今から向かうのはこの森の深部。一定のレベルまで到達してないと入ることが許されない高難易度の森になってるから注意しろ」

「うへぇ…何それー。低レベルの私が行っていい場所じゃないじゃーん。ここで待ってるから先輩達だけで行ってきてよー」

「大丈夫だ。死んでも私達が死体を病院まで運んで蘇生魔法かけてもらうから」

「何それすごい怖い!」

「一緒に来ないなら城の貯蔵酒勝手に飲んだことをバラす。戦闘に貢献できないならせめてこの道具袋持ってろ」

「こんなか弱い女の子に荷物持ちまでさせるなんて先輩の鬼!悪魔!」

「お姉ちゃん達じゃれあってないで早く行くよ~」

「とっとと終わらせて晋作オジサンのお弁当を食べる」

「そうだな。じゃあ行くか」

「あーん待ってよ皆~。ってこの道具袋地味に重い!」

伊地知虹夏率いる素材集めチームその1は目標であるバリカタシの木を目指して出発した。途中出てくるモンスターも最序盤の雑魚モンスターなため全く苦戦することなくあっという間にヤソークエの森深部の境界線までたどり着く。

ヤソークエの森深部。序盤の初心者に優しい難易度とは打って変わって、厳しい自然と狂暴なモンスターが蔓延る魔境となっている。そのため初心者冒険者が間違って入らないように強力な魔法で作られた結界が張られており、一定のレベル以下の者は通ることができない仕様になっている。

「ここから先がヤソークエの森深部になるな」

「なんか一歩進んだだけなのに雰囲気がガラッと変わったね」

「心なしか周りの木々が暗くてどんよりしたような…」

「せっ先輩~私マジで戦闘弱くてすぐ死ぬから守ってくださいよー?」

「わかったよ。わかったから腰にしがみつくのは止めろ!歩きづらいだろ!」

「でも廣井さんこの結界通れてるってことはそれなりにレベルが上がってるってことじゃないの?」

「それはおっちゃんのご飯食べたからレベル上がってるだけでこんなとこのモンスターと戦闘なんて無理だって~」

「レベル上がってるなら一撃で死ぬこともないだろうし私が守ってやる必要もないな」

「やだー!」

「そんなことよりお姉ちゃん、バリカタシの木はまだ先なの?」

「ああそうだな。事前の調べによると一際デカい木がこの奥に一本あるそうだ。その木の枝を手に入れるよりもそこにたどり着くまでが大変だって噂だぞ」

「へ~、じゃあ気を引き締めないとね!リョウ、いざという時は頼りにしてるよ!」

「必要なら戦うけどもうあんな飢餓状態になるのはやだ」

「晋作さんお弁当大盛りにしてくれたでしょ?」

「できれば平和に終わって普通に味わいたい」

そんな会話をしている虹夏チームにいつもとは違う色合いのスライムが数匹襲いかかってきた!

「スライムだ!でもなんか色が白いね」

「こいつはハクダクスライムだ。いつも倒してる青いやつより強いから気を付けろ!」

「白色…カ◯ピス味?」

「変なこと言ってないでいくよリョウ!」

「うん」

伊地知虹夏と山田リョウはハクダクスライムに攻撃。ハクダクスライムAに122、ハクダクスライムBに246のダメージを与えた!ハクダクスライムAハクダクスライムBを倒した!

「なんだ~全然弱いじゃん」

「余裕」

「油断すんなよ?スライムはまだいるぞ!」

伊地知星歌はハクダクスライムCに素早い斬撃を浴びせた!ハクダクスライムCに607のダメージを与えた!ハクダクスライムCを倒した!

「いいぞ~先輩達どんどんやっちゃって~♪」

廣井きくりは前衛を応援した!特に効果はなかった!

「お前も戦えバカ!」フン

「そーだそーだ!」ヌ”ーン

「働かざる者なんとやら…あっお腹空いてきた」

虹夏チームはハクダクスライムの群れを蹴散らした!しかしハクダクスライムの体液が身体中に飛び散っていた!

「うえ~なんかベタベタして気持ち悪い」

「おー、虹夏の顔がハクダクスライムの色も相まってセンシティブなことに」

「お前もそんな変わらんだろ」

「お姉ちゃんだって顔とかにいっぱい付いてる…あれ?」ガクン

「なんか力が…抜ける」ガクン

「しまった、特殊効果持ちだったの忘れてた」

伊地知虹夏、山田リョウは状態異常“敏感”になった!伊地知星歌は高レベルなため回避した。

「えー。先輩これどうするんですか?」

「とりあえず皮膚に付いてるスライムの体液を拭き取るぞ。あとお前が持ってる道具袋に状態異常を回復する万能薬があるからそれを使う」

「オッケー。妹ちゃん山田ちゃんすぐ治すからね!」フキフキ

「ヒャッ!?なっ何か拭かれた所がすごくジンジンするんだけど!?」ビクビク

「正座で痺れた足に触られた時みたい」ゾクゾク

「こんな調子じゃまともに進めないな。モンスターとの戦闘は可能な限り避けた方がよさそうだ」

「さんせー!とっとと目的の枝見つけて帰りましょう先輩!」

伊地知虹夏と山田リョウの状態異常を回復した後、虹夏チームはモンスターと遭遇したら全力で逃げながら一層慎重に進みつつバリカタシの木を探し回った。そして生い茂った木々を抜けた先に周りよりも明らかに巨大な木が生えているのが4人の目に飛び込んできた。

「うわ~でっかい木だね~!あれがバリカタシの木かな?」

「樹齢1000年は軽く越えてそう」

「ああ、幹の太さや葉の形も教えてもらってる特徴と一致してるし間違いないな」

「あれの枝を取れば今日のミッション達成?じゃあ早く終わらせて打ち上げで一杯やろうよ~」

「打ち上げするかどうかはともかくまたいつモンスターが出てくるかわからないからな。手早く終わらせるぞ!」

伊地知星歌は高く飛び上がりバリカタシの木を切り付けた!がしかし

「…くっ!?なんだこの木。めちゃくちゃ硬いぞ」

「お姉ちゃんの攻撃で切り落とせないって相当だね」

「バリカタシって名前で予想はしてたけどこれは想定外」

「えーじゃあどうする?燃やしちゃう?」

「こんな霊験あらたかな御神木みたいな木にそんなことしてバチ当たりじゃない?」

硬すぎるバリカタシの木からどうやって枝を入手しようか相談していると、空からバリカタシの木と同じくらい巨大なドラゴンが現れた!

「…」ニンゲンヨコノヨウナチニナンノヨウダ

「で、出た~!?この木の門番的なモンスター!?」

「…」ワレハコノチヲマモルヨクリュウ

「お~デカイ。コワイ」ガクブル

「しかも脳内に直接話しかけてきてるよ!?」

「…」コノキヲケガスヨウナラバヨウシャセンゾ

「これはさすがに戦ってどうにかなる相手じゃないな…」

「…」オトナシクカエレ

「ど、どうしようお姉ちゃん」

「…」ナンカイイニオイガスルナ

「でも何かこっちの様子を見ているようにも見える。すぐに襲ってくるわけじゃないなら話が通じる相手なのかも」

「よし妹ちゃん!元下北沢の大天使パワーで交渉だ!」

「えぇ~!?」

「バリカタシの枝がないと虹夏のドラムセットが直らないよ?」

「うっ…あーもう!お姉ちゃんとリョウ!何かあったらあたしを守ってよね!」

伊地知虹夏は巨大ドラゴンにバリカタシの木の枝がどうしても必要なこと、数本枝が手に入るならこれ以上バリカタシの木を傷つけたりしないことを懇切丁寧に説明した。

「という訳でどうかこの木の枝を分けてもらえませんか?」

「…」ソウイウコトナラエエヨ

「おー!巨大ドラゴンが大きく頷いてるよ!」

「つまり取っていいってこと?」

「…」タダシジョウケンガアル

巨大ドラゴンは廣井きくりが持っている道具袋に視線を向けた。

「…」ソコカラウマソウナニオイガシテイル

「えっ何!?」

「…」ソレヲワケテクレルナラエダヲトッテヤロウ

「うまそうな匂いってもしかして晋作さんのお弁当のことかな?」

「試してみる価値はありそうだな。おい廣井、道具袋に入ってる晋作さんのお弁当をドラゴンの前に出してみろ」

「あいあーい!」

「えっやだ。晋作オジサンのお弁当は私の生命線なのに」

「我慢してリョウ。これもバリカタシの木の枝のためだよ!」

巨大ドラゴンは廣井きくりが差し出した叔父さん特製のお弁当を弁当箱ごと一飲みにした。

「…」ウマーーーーーイ!!

「うわぁ、脳内に直接ドラゴンのウマイ発言が木霊してくる!?」

「ああ…私のお弁当が!あっ急に空腹が」ググゥゥゥ

「諦めろ。帰ったら晋作さんに頼んでやるから今は我慢だ」

「…」ケッコウナオテマエダッタゾ!バリカタシノキノエダモッテイクガイイ

巨大ドラゴンはバリカタシの木から数本の枝を千切って伊地知虹夏の前に置いた。

「…」ヨケレバマタモッテキテクレ!デハサラバダ!

「や、やったよ!バリカタシの木の枝ゲットだよ!」

「よし早く帰ろうすぐに帰ろう。そして晋作オジサンのご飯を」グーググゥゥ

「手に入ったはいいけど無事に帰るまで油断するなよ?とりあえず枝は廣井が運べ」

「そう言うと思ったー。運びますよ運べばいいんでしょ。その代わり私もおっちゃんのおつまみで一杯しますからね!」

こうして虹夏チームは2つ目の素材バリカタシの木の枝を入手することに成功した。残るは叔父さんチームの黄金スライムの皮膚のみとなった。果たして全ての素材を集めて結束バンドの楽器を修理することはできるのだろうか。

つづく(続けていこう絶対に)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。