ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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ありがとうございます!


今回は久々の二部構成。やっと本編が進むんやで。
あ、あとタイトル詐欺回でもあるかも。


自主企画ライブと姪とフライドチキン前編

12月24日

 

 

「よし、忘れ物はなし…と。戸締まりをして出発!」

気合い充分な私は必要な器具と食材を持って家を出る。世間では当然のようにクリスマスムード真っ只中で、本日開催される結束バンドの自主企画ライブのお手伝いのためにSTARRYへ赴くまでの下北沢の道もその例外ではなく、朝にも関わらず巨大なサンタのイラストで店の宣伝をしている所や、夜を彩るためのイルミネーションの準備をしている人等をちらほら見かけた。こういうキラキラしてて華やかなものが苦手なひとりちゃんが見たら体調を悪くしちゃいそう。いやしかし、今日はSTARRYでもそういう趣向の催しがあるのだからひとりちゃんだってウキウキの筈だ。私も早く行って準備しなきゃね!

 

 

 

「あ、晋作さんおはようございます」

 

「おや星歌さんおはようございます。いよいよ今日は結束バンドの自主企画ライブですね」

 

「ああ、そうだな!なんと言っても今日はクリスマスイブだしな!」ワクワクソワソワ

 

STARRYに着く前に星歌さんと遭遇。そうそう、今日は星歌さんの誕生日でもあるんだよね。虹夏ちゃんは今日のために手作りのケーキを用意するって言ってたっけ…これはもちろん星歌さんには内緒だから言えない。というか目の前の星歌さんすごくニコニコしてて機嫌が良いように見えるね。目がしいたけ状態だ。

「星歌さんはまだSTARRYに行かないんですか?」

 

「ああ、自分で言うのもアレだけど私の誕生日も兼ねてるライブだからな。私がいたら色々準備しづらいだろ?だから外で時間つぶしてるんだ」

 

「なっなるほど。今日は寒いですから気をつけてくださいね」

 

「うん。晋作さんも今日のライブ用の料理準備しに来てくれてありがとう。虹夏が忙しさでテンパってるだろうからフォローしてあげて」

 

「はい、任せてください」

 

「フフフ…♪どんなサプライズをしてくれるんだろう…」キラキラ

 

星歌さんはウキウキルンルンという擬音が聴こえてきそうなスキップをしながらキラキラな笑顔でその場を去っていった。きっと今夜のライブがすごく楽しみなんだろうな。私もその期待に応えられるように全力で料理するぞ!

 

 

 

 

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」

 

「あ!晋作さんおはよー♪絶好のライブ日和だね!」

 

「ねむい…晋作オジサン早いね」

 

「あっ叔父さんおっおはようございます」

 

私がSTARRYに入ると中には既に虹夏ちゃんとリョウさん、そして先に家を出ていたひとりちゃんがライブの準備で忙しそうに働いていた。喜多さんはまだ来てないようだ。リョウさんは眠そうに虹夏ちゃんに寄りかかりながらモップを動かしているね。朝弱いのかな?

 

「こっちはあたし達がやるから晋作さんはキッチンの方に集中してくれていいよ!何かわからないことがあったらあたしや近くのスタッフに遠慮なく訊いてね!」

 

「了解。とりあえず私は今日作る限定メニューの準備を始めていいのかな?」

 

「うん!必要な食材や容器は昨日の内から仕入れてあるから自由に使ってね!」

 

「わかった。一回本番用のを試作するから虹夏ちゃん味とか量とか確認してね」

 

「オッケー♪その時は呼んで!多分あちこち走り回ってていないかもだからロインで伝えてくれてもいいよ!」

 

「味見役なら私もしたい。あっ急にお腹が…」グゥゥ

 

「あっ私も…」グゥゥ

 

「えっ皆朝御飯食べてないの?」

 

「あ~そういえばあたしも今日の準備のことばっかり考えててちゃんと食べてないや」クゥゥ

 

「ふむ、先に皆に軽くつまめる朝御飯が必要だね。ぱぱっと作るから待ってて!」

 

私は急いでキッチンへと向かった。こんなこともあろうかと今日の特別メニュー以外の食材も持ってきて正解だったね。ひとりちゃんは私よりも早く起きてSTARRYに来てたみたいだし、3人とも朝から忙しなく動き回っていたのだろう。やらなきゃならない準備もまだまだ沢山残っている筈だしここは何かサッとお腹に入れておけるものを作ってあげようそうしよう。

 

食パンの耳を切り落としてバターを塗る。ハム、スライスチーズを挟みホットサンドメーカーで両面をこんがり焼く。斜めに切って皿に並べたら「完成」

 

本日のお手軽朝食

叔父さん特製ハムチーズホットサンド

 

「虹夏ちゃん、これ作ったから皆で食べて。先ずはお腹を満たして力を付けて」

 

「うわ~いい匂い♪晋作さんありがとー!」

 

「あっありがとうございます」

 

「助かる。これで1日頑張れる」

 

「じゃあ皆手動かしながらでいいからありがたくいただこう!手を合わせてー」

 

「「「いただきます」」」

 

「こっちにも置いておくから喜多さんや他のスタッフさんにあげてね。私は奥で特別メニューの準備始めてるから」

 

「ありがとう!ん~♪カリサクのパンとハムチーズが合う~♪」

 

「んっんっ…あっ温かくて美味しい。なっなんだか力が漲ってきます」

 

「うむ、うまい!早く起きた甲斐があった」

 

よしよし、これで皆の活力になったかな。ひとりちゃん達が美味しそうにホットサンドを頬張るのを見届けた後キッチンに戻る私。本当はもっとひとりちゃん達の食べている姿を見ていたかったけど、今は張り切って今日のための特別メニューを仕込んでいこう。

 

 

手羽元の端をキッチンハサミで切り落とし、骨の中央に沿ってハサミを入れ肉と骨を切り離す。肉を巻き上げながらチューリップ型になるように形を整え、醤油、酒、おろしにんにく、塩コショウで下味を付ける。 牛乳、卵、おろししょうが、薄力粉、片栗粉を合わせてバッター液を作っておく。手羽元の肉の部分をバッター液にくぐらせて薄力粉、米粉、ガーリックパウダー、パプリカパウダー、粉末コンソメ、ガラムマサラ、ハーブソルト、ナツメグ、コショウを合わせたシーズニングを纏わせる。

 

よし、こんなところか。下味を付けた手羽元と特製のシーズニングは今のうちに大量に準備しておこう。自主企画ライブが始まった時にスムーズにお客さんに提供できるようにしておかないとね。

 

 

その後黙々と仕込みを続けること2時間。ふと時計を目にすると、時刻は正午を回ろうとしているところだった。ちょうどいい、今のうちに1つ試作を作って虹夏ちゃんに見てもらうか。

 

余分な粉をふるい落とし、160℃の油で4分揚げたら一度取り出し2分置く。油の温度を180℃に上げて再度4分揚げる。油を切って骨部分にマンシェット(紙製の持つ所)を付けたら虹夏ちゃんが用意してくれた専用のカップにフライドポテトを敷いて主役のフライドチキンを2本ずつ差し込んで…できた!本番用の試作品。我ながら会心の出来だ。早速虹夏ちゃんに持っていって感想を聞こう!

 

 

 

…と思ってキッチンから出てSTARRY内を探し回ったがどこにも虹夏ちゃんの姿はなく、スタッフさんに訊いたら「さっきまでいたのに」という返答ばかりが返ってきた。虹夏ちゃん忙しくてあっちこっち走り回ってるって言ってたっけ…とりあえず入れ違いになっちゃいそうだし、ステージ付近に居ればその内戻ってくるかな?

 

「あっおっ叔父さんお疲れ様です」

 

「ひとりちゃんお疲れ様…って何してるの?」

私がメインの会場となるステージ前へ来ると、ひとりちゃんが何やら作業をしているところだった。のはいいんだけどライブハウス内で『フィンランド交通安全大使』と書かれたたすきをかけ、祭と書かれた赤提灯を壁にかける様はなかなかの異様さを醸し出している。側には立派な装飾が施されたお神輿やAIロボットのペェパー君に仙台七夕祭りの竹飾りのような物まで配置されていた。それどこから調達してきたの?

 

「あっえへへ…いっ今虹夏ちゃんに頼まれてSTARRY内の飾りつけをしてるんです。なっなので盛り上がりそうなものをドンドン作ってて…どっどうですか?なかなか良い感じになってると思いませんか?」

 

ひとりちゃんは上機嫌で私にそう問いかけてきた。ひとりちゃん兄さんに似て結構器用なんだね。ふむ、どう返答したものか。せっかくひとりちゃんが頑張って飾りつけしたのだから否定的なことは言えないな。それにこれは結束バンドの自主企画ライブなのだし、ひとりちゃん達のやりたいようにやらせる方がいいよね。

「そ、そうだね。他のライブハウスで見たことない独自性があるね」

 

「あっでっですよね!あっそうだ!これからパルテノン神殿も作ろうかなって思ってて…どっどう思います?」

 

「うん…いいんじゃないかな。すごいライブになりそうだね。それより虹夏ちゃん見なかった?完成した特別メニューを見てほしいんだけど」

 

「あっ虹夏ちゃんなら控え室にいる出演バンドさんに挨拶しに行ってたと思います」

 

「控え室だね。ありがとうひとりちゃん。飾りつけ頑張ってね」

 

「あっはい。えへへへ」

 

 

 

ひとりちゃんに教えてもらった通り、虹夏ちゃんは控え室にいた。出演バンドの人達とライブの打ち合わせで何やら真剣に話し合っている。話しかけて大丈夫かな?

 

「あ、晋作さん。どうしたの?何かあたしに聞きたいことがあったの?」

 

「うん。今日のための特別メニューを試しに1つ作ってみたから虹夏ちゃんに見てほしくて」

 

「本当!?見せて見せて!」

 

「こんな感じで2本ずつ付けて持つ所を上にしてフライドポテトを添えて…」

 

「お~!すごい美味しそう♪さすが晋作さん!これならお客さんも大喜び間違いなしだね!」

 

「よかった。じゃあ本番もこの形でいくね。あ、皆に振る舞う分も確保してるから安心してね」

 

「うん♪ありがとう!…ってもうこんな時間!?あたしもそろそろお姉ちゃんのケーキ作り始めないと!」

 

「虹夏ちゃん忙しそうだね」

 

「そうなんだよ~正に目が回る程の忙しさでさ~朝からスケジュール確認とか打ち合わせでずっとSTARRY内バタバタ走り回ってるよ~」

 

虹夏ちゃんは喜びと大変さとが入り混じった複雑な表情でそう答えた。嬉しい悲鳴というやつだね。

「虹夏ちゃん。星歌さんのためのケーキも大事だけどそろそろお昼だから休憩を入れよう。虹夏ちゃん達はこの後ライブもやるんだからしっかり体力付けておかないと」

 

「あ~そういえばお腹空いてきたかも。そうだね!じゃあ晋作さん、STARRYの皆にお昼ご飯作ろうと思うんだけど手伝ってくれる?」

 

「もちろん。STARRYの皆に力を付けてもらって今日の自主企画ライブ絶対盛り上げようね!」

 

 

という訳で先にSTARRY内にいるスタッフや出演バンドの人達に出すお昼ご飯作りだ。また虹夏ちゃんと料理ができるのは嬉しいな。

 

「晋作さん何作る?大抵のものは作れるように仕入れてあるけど」

 

「フフフ。こういう時はパパっと食べれてそれでいて満足感のある大定番のアレが一番さ!私が持ってきた食材も合わせればいろんなバリエーションのものが作れるよ!」

 

「アレ?」

 

洗って浸水しておいたお米(銀河のしずく)を炊いて大きめのボールに広げて塩(またいちの塩)を少量ふり軽く混ぜる。梅、おかか、ツナマヨ、辛子明太子、あさりしぐれ(叔父さんの手作り)等の具材を優しく包み込み手早く握ったら焼き海苔を巻いて「完成」

 

「いっぱいできたねー。これだけあれば全員のお腹いっぱいになるかな!」

 

「そうだね。これを持っていって皆でお昼ご飯にしよう」

 

 

本日のお昼ご飯

叔父さんと虹夏ちゃん特製おにぎり

あったかほうじ茶

 

 

「みなさーん!あたしと晋作さんでお昼ご飯作ったんでよかったら食べてくださーい!」

 

「あったかいお茶もありますよー。一息ついて午後からも頑張りましょう」

虹夏ちゃんと一緒に出来上がったばかりの大量のおにぎりが乗ったお盆とお茶の入ったポットを運び、ステージ前のテーブルに置いた。私達の呼び掛けとおにぎりの匂いにつられて沢山の人が集まってくる。

 

「えーいい匂いー」

 

「金欠でガムしか持ってなかったから助かるー」

 

「うまそー。いただいていいの?」

 

「どうぞどうぞ」

 

「あたしと晋作さんの力作だからね!味は保証するよ~♪ぼっちちゃんもお疲れ様。一旦休憩にしよ!」

 

「あっはい。いっいただきます」

 

虹夏ちゃんと協力して作った特製おにぎり。果たしてスタッフさんやライブ出演してくれるバンドの皆さんの口に合うだろうか。

 

「うっま…!?米うま!中の具もうま!」

 

「形はしっかりしてるのに口の中でほどける~♪」

 

「梅の酸味と塩気が染みるわ~」

 

「あむっ…んっあっツナマヨ美味しいです」

 

ひとりちゃんを始めとしたSTARRYの面々は、次々とおにぎりを頬張っては美味しいリアクションを私に見せてくれた。皆かわいい。これでこの後の士気上昇に少しでも貢献できたかな。

「いっぱい作ったんでドンドン食べてくださいね。…あれ?そういえばリョウさんはどこいったのかな?」

 

「リョウならあたしにくっついてサボってた罰として外の掃除させてるよ~」

 

「あらら…それなら私が呼んで「虹夏掃除終わったお腹空いた」ググゥゥゥゥ

 

「その必要なさそうだね。ほらリョウ、あたしと晋作さんでおにぎり作ったから食べなー。その代わり午後からはサボらずにちゃんと働いてよね!」

 

「虹夏と晋作オジサンのおにぎり美味しい…2人とも好き」モグモグ

 

「リョウさん、まだまだいっぱいあるから焦らずゆっくり食べてね」

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「そういえば喜多さんはまだ来てないんだね」

 

「喜多ちゃんなら家からの道のりにあるクリスマス映えスポットトラップ全部に引っ掛かって大幅に遅れてるよ~」

 

虹夏ちゃんはそう言うと喜多さんがイソスタに投稿したであろう画像の数々を私に見せてくれた。ふむ、イルミネーションやたくさんの飾りで彩られた大きなツリーをバックに喜多さんが自撮りした写真でいっぱいだね。

 

「あ、郁代カフェの外観の写真上げてから更新がない。これは一息ついてるな」

 

「喜多ちゃんネットリテラシー低すぎだよね。まあ時間までにはちゃんと来るでしょ。じゃああたしはお姉ちゃんの誕生日ケーキ作ってくるね。晋作さんはどうする?一緒に作る?」

 

「うん、そうだね。どんなケーキを作るのか興味があるし、特別メニューの準備はほとんど終わってるから私もそっちに行こうかな」

 

「私も行く。味見役なら任せて」

 

「そんな事言ってまたサボる気じゃないよね?」

 

「ハハハいやそんなまさか。虹夏のケーキの味見は私の役目」

 

「もう!」

 

「まーまー虹夏ちゃん。皆で作ればきっと星歌さんも喜ぶ素敵なケーキができると思うよ」

 

虹夏ちゃんと作る星歌さんのバースデーケーキ。どんな風になるのか楽しみだね!結束バンド自主企画ライブまであと5時間。午後もしっかり準備していこう。

 

 

 

 

後編へ続く




次回 後編

物凄く今さらだけど原作維持しつつ叔父さんを混ぜるのムズいね。叔父さんがいるので虹夏ちゃんの機嫌がいい。


↓おまけ


※パラレルワールド過ぎてヤバイです。


↓前回までのあらすじ
ついに結束バンドの楽器が直りました。長かったね!

キャラ紹介
後藤ひとり
転生先の世界でも叔父さんと同居。スキルの効果で自力でモンスターを倒せない。でも前衛がすごく強いので全然問題ない。結束バンドの活動が再開できて嬉しい反面久しぶりのライブに緊張の日々。

叔父さん
異世界でもひとりちゃん達に食べさせる生活を目指す。作った料理に体力と状態異常回復&経験値取得の効果が付くスキルを持っている。パーティ内に女性が多いと物凄く強くなるスキルも習得。

山田リョウ
特典ほぼなしで転生してきた不憫な子。スキルのせいで戦闘中は強いけどすぐお腹が空くのであまり戦いたくない。叔父さんのご飯が大好き。とても燃費は悪いけど現状真面目に戦うと結束ギルド内で一番強い。自分の楽器が直ってとてもご満悦。

喜多郁代
叔父さんの家に住みながらSTARRY異世界店へ通う。お日様が出てる間は火と光属性無効の無敵陽キャ。楽器は直ったけど他のメンバーよりも勘を取り戻すのに苦労してる。

伊地知虹夏
叔父さん以上に特典盛り盛りで転生してきた元下北沢の大天使。異世界でのライブハウス再開のために今日も奮闘する。楽器が直って気分もウッキウキ。

伊地知星歌
伊地知虹夏と共に転生してきた伊地知虹夏の姉。叔父さんと一緒に保護者役として結束バンドの冒険に付いていく。STARRY異世界店の店長もやっている。怒らせると(物理的な意味で)とってもコワイ。

PAさん
しれっと転生していた黒髪ロングでピアスなお姉さん。朝が弱いのでお昼からなら働きます。異世界でのSTARRY本格営業再開に少しワクワクしてる。

廣井きくり
転生特典で愛用のベースを持って転生してきたSICK HACKのベーシスト。お城の酒の管理が厳しくなったのでちょくちょくSTARRYにやってきてはツケで飲みに来るようになった。


スカウトがやってきた

\コンバンハーケッソクバンドデース!/

結束バンドの楽器が直ってから数日後。STARRY異世界店では連日結束バンドによるライブが昼夜ともに行われていた。昼は叔父さんのご飯目当てのお客さんを相手に、夜にはこの世界にはない『ライブハウス』としての営業をするための宣伝として路上でも演奏するようになっていた。この日もSTARRY異世界店の外は結束バンドの演奏を聴くために多くのお客さんが集まり、中には噂を聞きつけて別の町から足を運ぶ人も少なくなかった。

「みなさーん!今日も集まってくるてありがとー!ここ、STARRY異世界店ではあたし達みたいにステージで演奏してくれる人を募集してまーす!」

「お昼にはお食事中のお客さん相手に演奏もしてまーす♪私達と一緒にライブしてみませんかー?」キターン

「今なら晋作オジサンのまかないも付いてくる」

「あっよっよろしくお願いします!」


そんな結束バンドの宣伝活動はかなり効果が高く、最近の結束ギルドの活動の成果も相まって結束バンドの存在はアンダーノースだけに留まらず、世間に広く知られていった。


「結束バンドメンバーミーティング~!はい拍手!」

「あっはい」パチパチ

「ウフフ♪」パチパチ

「うん」パチパチ

「ここ数日充実してて結束バンドもSTARRYもすごく盛り上がってるね!今日も張り切ってライブしていくよ!皆気合い入れてこー!」

「あっはい」

「最近ではお昼は外まで大行列になるくらい人気になってますから、今日もたくさんのお客さんが私達の演奏を聴きに来てくれると思うとワクワクしてきますね!」キターン

「晋作オジサンのご飯の噂も同じくらい広まってる。これはもう音楽と食で天下を取ったも同然」

「あっでっですね。ふへへへへ」

「という訳で晋作さんの料理に負けないくらいすごい演奏するからよろしくね!」

「うんわかった。私もお客さんに満足してもらえるようなご飯を作るよ」

「お前らそろそろ店開けるぞー。ミーティングは切り上げて開店準備しとけよ」

「「はーい!」」

「あっはい」

そんなこんなでSTARRY異世界店のお昼営業が始まった。と同時に来店するお客さんが多数。どうやら開店前から並んで待ってくれていたようだ…。

「いらっしゃいませー♪」

「STARRY異世界店へようこそー」

「あっいっいらっしゃいませ…」

「今日のおすすめは晋作オジサン特製チャーシュー丼セット。あ、あんまり頼むと私のまかない分がなくなるからほどほどに」

「おいこら」

STARRY異世界店は開店してわずか30分で満席となり、結束バンドも店員として接客した。破裂したり溶けたりしなければビジュアルレベル最強の後藤ひとり。時に妹のように時に母親のように愛のある接客で魅了する伊地知虹夏。ユニセックスな見た目で男性からも女性からも見とれられる山田リョウ。キラキラ眩しい陽キャスマイルとコミュ強ムーブでお客さんと打ち解けていく喜多郁代の4人は、連日の結束バンドのライブで上がった知名度も相まってすぐにSTARRYの名物店員となった。

1ヶ月後、この日の昼営業もSTARRY異世界店はたくさんのお客さんで賑わっていた。

「スタミナもりもり定食とふわトロ親子丼あがるよー」

「はーい♪叔父様、追加であつあつ豚汁うどんお願いしまーす♪」

「4番テーブル空いたから次のお客さん通すよ~」

「あっはい。あっ定食のスープ入れ終わりました」

「ん、ご苦労ぼっち。2番テーブルのオーダー海老カツサンドとミートドリアね」

「はい了解。すぐ作るから待っててねー」

「合計で2800ドリトスですー。はいちょうどお預かりしまーす♪ありがとうございましたー」





本日のまかない
叔父さん特製ハッシュドビーフ
葉野菜とチーズのサラダ

「では手を合わせてください」

「「「「いただきます」」」」

「「「いただきます」」」

「はむ…うんっうむっ!うまい!これはおかわり必至」

「あーん…んっん~♪今日のまかないもうま~♪晋作さんこれどうやって作ったの?」

「お肉の切れ端や香味野菜を集めて適当な香辛料や果実酒で煮込んだだけだよ。レシピ教えるから今度虹夏ちゃんも作ってみる?」

「あたしでも作れるかな~。あむ…ん~♡」

「うん…うん確かにうまい。適当で作ったまかないでこのクオリティか。相変わらずすごいな晋作さん」

「何気にルーに溶け込んだお野菜もいっぱい摂れて健康的ですね!」キターン

「ウフフ♡最近昼も働いておじさまのまかないも食べるようになってお肌の調子がいいですー♪」

「それは何よりです。皆おかわりもできるから遠慮なく言ってね」

「あっはい。じゃああの、おっおかわりお願いします」

「私もおかわり。ルー多めでよろしく」

「はいはい喜んで」

「2人とも食べるの早!?」

本日のSTARRY異世界店昼の営業が終わり、全員でまかないご飯を食べながら憩いの時間を過ごしていると、突然入り口の扉が開き数人の武装した男達が入ってきた。

「たーのもー!!」

「ここにいるやたら強いおっさんとやらと勝負がしたい!」

「勝負しないなら店内で暴れるぜー?超迷惑だぜー?」

急に店内に押し入ってきた男達を見て数人の視線が山田リョウに向けられた。

「リョウ?もうあんなヘンテコな依頼は出さないって約束したよね?」

「おいリョウまだ懲りてなかったのか?」

「リョウさんなの?さすがに今度ばかりはまかない抜きにせざるをえないよ?」

「えっ!?ちっ違うよ。私は知らない」

焦る山田リョウに詰め寄る叔父さんと伊地知姉妹。そんなことはお構いなしに叔父さんに飛びかかる男達。

「おらおら覚悟しろやおっさん!」

「ハーレムランチとはいいご身分だなおらぁ!」

「ウラヤマウラヤマウラメシヤー!」

「あなた達はあなた達で非常識ですよ。少し痛いかもしれないですけどお仕置きです」

叔父さんは襲いかかってきた男達の右頬に一発ずつ平手打ちをした。男達にそれぞれ8888のダメージを与えた!男達はおとなしくなった!

「すんませんした…」

「ごめんなさい…」

「もうしません…」

「それで?お前らいったいなんなんだ?」

「せっかくの昼休憩が台無しだよ」

「迷惑料払え」




「申し訳ない。全ては私がやらせたことなのです!」

その時いつの間にかSTARRYの中へ入ってきていた謎の男がそう発言した。

「えっ誰!?誰!?」

「不審者がまた一人」

「申し遅れました。私ユー・シャーデスと言います。一応この世界の魔王を倒すために旅をする勇者をやってます」

「えっ!?勇者さんなんですか!?」

「ていうかこの世界って魔王いるんだ…」

「なんだお前コイツらの親玉か?勇者だかなんだか知らんが営業の邪魔だからコイツら連れてとっとと帰れ」

「店長ぶれませんねー」

「あっすいません。さすがに非常識でした。ただ、そちらのおじさんの力を試したかっただけなのです」

「私の?何でそんなことを?」

「実は風の噂でアンダーノースにラストポーション並の回復効果の超絶うまいご飯を作る戦闘もめちゃくちゃ強いおじさんがいると聴きまして…」

「あーそれ晋作さんのことだね」

「あっですね」

「何気にあちこちで強敵を平手打ち一発で倒してるから」

「そういう噂があってもおかしくないですね!」キターン

「やっぱり!噂は本当だったんだ!さっきの戦闘も見事なものでした!あ、貴重な休憩時間に襲撃してしまってすいません。おじさんの実力が本物かどうしても確かめたくて」

「いや休憩時間じゃなくても襲撃してくんな。そして帰れ」

「ド正論」

「それは本当すいませんでした!それでですね、私さっき言った通り勇者でして…魔王を倒すために仲間を集めてるところなんです!」

「は、はあ…」

「なのでお願いしますおじさん!私の仲間になってください!一緒に魔王を倒しましょう!」


つづく(つぅづぅくぅ)
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