ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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ご覧になっていただきありがとうございます。

ヤバイヤバイ更新遅れてるよヤバイよ。

本編が進んでるはずなのに脱線しまくってる気がするけど気にしない気にしない。

そんな後編やっていきましょう。そうしましょう。




自主企画ライブと姪とフライドチキン後編

前回までの流れ

 

叔父さん自主企画ライブに出す特別メニューのために朝からSTARRYへ

途中ウキウキルンルンの星歌さんに遭遇

STARRYで朝御飯を出したり特別メニューの仕込みをしたりと大忙し

お昼は虹夏ちゃんと一緒におにぎりを作る

午後は虹夏ちゃん達と一緒に星歌さんへのケーキを作ろう

今ココ!

 

お昼ご飯のおにぎりを食べ終え、星歌さんへの誕生日ケーキ作成のために虹夏ちゃんとリョウさんと共にキッチンへ向かう。聞けば星歌さんと結束バンドのマジパン(ケーキの上に乗る食べられる人形細工)を作って星歌さんを喜ばせたいとのこと。うん、素晴らしいアイデアだね!きっと星歌さんも大喜び間違いなしだ!

 

「お姉ちゃんそういうかわいい系のヤツ大好きだからね~。もったいなくて食べられないーとか言いそう」

 

「確かに、この前チョビ君ってワンちゃんを散歩させてた時すごく楽しそうにしてたからあり得るね」

 

「何そのからかい甲斐のありそうなエピソード。晋作オジサン詳しく」

 

「もう、今日くらい普通にお祝いしてあげてよね!」

 

「星歌さん、どんな誕生日にしてくれるのかすごく楽しみにしてたからこっちもすごいケーキ作ってお祝いしないとね」

 

「うん。虹夏と晋作オジサンのクオリティなら店長も文句あるまい」

 

「リョウは何目線の発言してるんだ?まあいいや、そういう事だからすごいケーキ作っていくよ!」

 

 

ボウルに卵、グラニュー糖を入れて湯煎にかき混ぜながら40℃程度まで温める。湯煎から外してハンドミキサーでもったりするまで混ぜ、振るった薄力粉を入れ粉っぽさが無くなるまで混ぜ合わせる。溶かしておいたバターとハチミツを入れたボウルに生地をひとすくい入れ、混ぜ合わせる。その生地を最初のボウルに戻し入れ、ムラが無い状態まで混ぜ合わせる。用意しておいた型に生地を流し入れたら170℃のオーブンで約25分焼き、粗熱をとっておく。

 

「おおーでは焼きたての味見おば」

 

「ダーメ!ほら冷ましてる間にクリーム作るからリョウも手伝って!」

 

虹夏ちゃんは味見をしようと伸ばしたリョウさんの手をはたいて氷水の入ったボウルを差し出した。まるでつまみ食いしようとする子供を叱るお母さんのようだ。

 

「ほら晋作さんも一緒にやろう!」

 

「あっうんそうだね」

 

ボウルに生クリーム、グラニュー糖を入れ氷水に当てながらハンドミキサーで泡立てておく。

 

「手が冷たい。もう離していい?」

 

「もうちょっとでできるから我慢して!あ、晋作さんはスポンジ切っといてくれる?」

 

「了解、任せて。ついでにこっちのいちごも並べやすいようにスライスしておくね」

 

「ありがとう~。よしクリームできた!じゃああたしはこれをスポンジに塗っていくからリョウはその上に晋作さんが切ったいちごを並べてって」

 

「うん。1枚くらいつまみ食いしても…」

 

「したら出来上がったケーキ一口もあげないから!」

 

「うう…じゃあ我慢する」

 

並べたいちごの上にクリームをのせたらいちごを隠すようにクリームを全体に塗り、スポンジを重ねて再度いちごを並べるを繰り返す。

 

「うんうん、いい感じだよ~♪これで周りをクリームで薄く塗ったら土台のケーキ完成だね!」

 

「デコレーションはどうする?絞り器使ったクリームといちごと…あと『誕生日おめでとう』のチョコプレートも定番だよね」

 

「店長のことだからそれだけだとサプライズ感を感じないかも」

 

「フッフッフ~♪ここでこれの出番なのだよ~!」

 

虹夏ちゃんは得意気にそう言うと、冷蔵庫から事前に買っておいた“それ”を私とリョウさんに見せてきた。おお、これはさっきも言っていたやつだね!

 

「このマジパンペーストでお姉ちゃんとあたし達の人形を作ります!」

 

虹夏ちゃんが出したのはマジパンペーストという砂糖とアーモンドの粉を練り合わせてできた洋菓子素材。よくクリスマスケーキの上に乗ってるサンタの人形等が有名で、ケーキのデコレーションとしてとても優秀なのだ。食用色素を加えたりして自由な形に整形することができるからオリジナルのデコレーションケーキを作るのに最適な素材と言ってもいいだろう。虹夏ちゃん良いチョイスだね!

 

「おおー。でも虹夏、こんなクリーム色の粘土みたいなので私達の人形全部作れるの?」

 

「任せて!あたしこういうの結構得意だから!」

 

虹夏ちゃんはマジパンペーストを開封しながらニシシと小さく笑った。そして慣れた手つきで各パーツ用に千切り、色を付けてから捏ねたり丸めたりして形を整えていく。なんという手際の良さだろう。これはプロ顔負けだね!

 

「はいできた。これが主役のお姉ちゃんで、こっちが結束バンドの皆ね!それでこっちがPAさんで~」

 

「すごい。どれも特徴をよくとらえててそっくりにできてるね」

 

「えへへ~♪でしょ?そして最後にこれが…晋作さん!」

 

「えっ私のもあるの?」

 

「もちろん!晋作さんだってSTARRYの一員だからね!」

 

「うむ。主に食べ物関連で私の胃袋の助けになってる」

 

「あっありがとう」

次々に出来上がっていくマジパン人形に感心していたら、虹夏ちゃんが最後に作ってくれたのがまさかの私!しかもSTARRYの仲間に入れてもらえるとは感激だ。こんな地味なアラフォーのおじさんをこんなに可愛らしい人形にしてもらえて嬉しいね!

 

「でもこれ全部上に乗せたらちょっと子供っぽすぎない?」

 

「お姉ちゃんこういう可愛いの満載にした方が喜ぶんだよね~」

 

「まあ腹に入れば何でもいいか」

 

「まーたそういうこと言う。ほらリョウも上の飾り付け手伝って!」

 

「うん」

 

ケーキの上に出来上がったマジパン人形やフルーツを乗せ、クリームをふんだんに絞り最後にお誕生日プレートを添えたら…

 

「完成!どう?晋作さん、なかなか良い感じにできたと思わない?」

 

「そうだね。すごくかわいいケーキになったと思うよ」

 

「では余ったクリームとトッピングは私のおやつに」

 

「こら、そんな暇ないよ!これから出演バンドを交えたリハやるんだからリョウもくるの!晋作さんもよかったら見てってよ」

 

「うん。そうさせてもらおうかな」

 

虹夏ちゃんは完成した誕生日ケーキを冷蔵庫にしまうと、リョウさんを連れてステージの方へ小走りで移動していった。忙しそうだ。本番までにやることたくさんあるんだね。ふむ、私の方の準備はほとんど終わってるし、そのリハとやらを見学させてもらおうかな。

 

 

 

「あっ叔父さんお疲れ様です」

 

「叔父様おはようございまーす♪」

 

「おじさまお疲れ様です~♡」

 

「喜多さんとPAさんお疲れ様です」

私が再びステージ付近に行くと、会場の飾り付けを進めていたひとりちゃんの隣に喜多さんとPAさんもいた。よく見るとお昼ご飯の時よりもさらに人が増えているね。虹夏ちゃんリハーサルやるって言ってたし、もうすぐ兄さん達もくるだろう。それに喜多さん、クリスマスの装いをした下北沢の映える街並みに足止めされてたみたいだけど間に合ったようでよかった。

「…ってひとりちゃん、随分いろんなもの作ったんだね」

 

「あっはい、今日の自主企画ライブ盛り上げたいのでがっ頑張りました…あっこのお神輿なんか自信作です。上に乗せたミラーボールがキラキラしてて」

 

よくぞ聞いてくれました!といった感じで飾りの解説を始めるひとりちゃん。私が虹夏ちゃん達とケーキ作りをしている間にバージョンアップしていたお神輿は、新たにミラーボールが装着されていて謎の動力でゆっくり回転してSTARRYの照明を反射させながらキラキラ輝いている。すごいけどまさかこれをライブ中に担ぐとか言わないよね?

「そ、そうだね。これはいろんな意味で目立つんじゃないかな」

 

「ぼっちちゃん喜多ちゃん、リハやるよ~」

 

「あっほら2人とも、虹夏ちゃんが呼んでるよ」

 

「あっはい」

 

「はーい♪」

 

出演バンドの人達が集まり、虹夏ちゃんがそれぞれのバンド名とそのバンドメンバーが集まっているかの確認を始め出す。そういえば兄さんのバンドも出るって言ってたけどもう来てるのかな?

 

「ここにいるぞ!」

 

「あっ兄さんいたんだね」

 

「おう、さっきSTARRYに着いたんだ!他のメンバーもちゃんといるぞ!」

 

「ひとりちゃんから聞いてたけど、本当に出るんだね」

 

「ひとりがいつもお世話になってる方のライブだからな!ここは一肌脱がないといけないだろ!」

 

「ふたりちゃんも出る気満々で毎日タンバリン叩いてるって言ってたけど?」

 

「それなら俺達の曲の合間に一曲やらせてもらえるようにしてもらったぞ!」

 

ほら!と兄さんが指差した先には、ステージ用に可愛くおめかししたふたりちゃんが見知らぬバンドのお姉さんに元気よく話しかけて今日自分が披露するタンバリンを嬉しそうに見せつけていた。ふたりちゃんすごいね。

 

「晋作の方はどうだ?今日のライブを盛り上げる特別メニュー任されてるんだろ?」

 

「うん、バッチリだよ。後で出演者の皆にも振る舞えるくらい仕込んであるから楽しみにしててね」

 

「ぼっちちゃんのお父さんそろそろリハ始まるんでよろしくお願いいたしまーす!」

 

「はい了解でーす!じゃ、晋作も頑張れよ!」

 

兄さんのバンドもリハーサルに合流して大まかな流れの確認等のやり取りがされている。はずなのだが、虹夏ちゃんが後一組来ていないことを嘆いている声が聞こえてきた。全員揃ってないのは困るよね。

 

「すいません遅れましたー!エレ&ネネです!!」

「遅くなりましたおはようございます~♪」

 

STARRY内のざわめきを吹き飛ばすくらい元気な挨拶で入ってきたのは大山さんと日向さん。いつもSTARRYで一生懸命バイトをしてるひとりちゃん達の後輩だ。2人ともギターケースを背負っていて、エレ&ネネと名乗った後リハーサル中のバンドマン達に混ざっていったところを見ると、あの2人も今日何かを演奏するのかな?

 

 

無事出演バンドが全員揃い、リハーサルもつつがなく終了。そしていよいよ結束バンド自主企画ライブの始まり。私は持ち場についてオーダーを待つ。なんだかワクワクと緊張が混じった不思議な感覚だ。

 

「すいませーん。コーラと…あとこの本日限定フライドチキン1つください」

 

「はい喜んで!」

さあさあでは作っていきましょう。私は私なりに結束バンド自主企画ライブを盛り上げますよ!

 

事前に一度目の揚げを終えておいたフライドチキンを180℃の油に入れて再度4分揚げる。専用カップにフライドポテトを引き余分な油を切りマンシェット(紙製の持つところ)を付けたフライドチキンを2本入れたら「完成」

 

本日の自主企画ライブ特別メニュー

叔父さん特製フライドチキン

 

「お待たせしましたー。はいどうぞ、熱いので気を付けてくださいね」

 

「ありがとうございます。ふわぁ…すごいいい匂い」

 

「なんだ?すっげぇ食欲を刺激する香りが…」

 

「今日限定のフライドチキンか。すいません俺にも1つください」

 

「私も私も!」

 

「はいかしこまりました。すぐ用意しますね」

 

出来上がったフライドチキンの香りに誘われてお客さんが次々に注文してきてくれる。嬉しい。最初のお客さんの方を見ると、すぐにフライドチキンを一口パクリと頬張って「んま~♪」というリアクションをしているのが見えた。よしよし、うまくできてるようだね。

 

ここからお客さんをなるべく待たせないように次々にフライドチキンを揚げていく。揚げたての一番美味しいのを出したいからギリギリまでやっておけることをと思って一度目の揚げを先にやっておいたけど正解だったね。

 

「うっま!?何このフライドチキン!カリサクで中超ジューシーじゃん!」

 

「うますぎる!やっぱクリスマスはチキンだよな!」

 

「このスパイスの配合どうやってるの!?専門店顔負けの味ね!」

 

「やば、これ2本じゃ足らん!すいませんフライドチキンもう1つ…いや2つください!」

 

私の作ったフライドチキンは飛ぶように売れ、どのお客さんも満足そうな顔をしていた。これでライブを盛り上げるのに少しは貢献できたかな?

 

 

 

 

「メリークリスマスイブー!!」

 

「数ヶ月頑張って練習したので聴いてください~」

 

目の前では今日のために結成した即席バンド『エレ&ネネ』の2人が星歌さんの誕生日を祝うためにハッピーバースデートゥユーを演奏している。ぎこちなく上手な演奏と言うわけではないけど、その一生懸命さと熱意。そして星歌さんにおめでとうを伝えたい気持ちがものすごく感じられる。後でリョウさんから聞いた話だと、サプライズのために内緒でリョウさんから楽器を教わっていたらしい。500円で。ちゃんと課題のフレーズや指の動きを撮った動画も作って指導していたようで、ただのお金儲けじゃなくてしっかり後輩の面倒をみていたみたい。リョウさん音楽に関しては真面目なんだね。

 

「コーチハッピーバースデー!!」

 

「これからもよろしくお願いしまーす!」

 

「で、星歌さん。あの子達ああ言ってますけど行かなくていいんですか?」

 

「やだよ恥ずい。あいつらのせいでお客さんにも注目されるじゃねーか」

 

いつの間にか私の隣で他人のフリをしてた星歌さんは、顔を真っ赤にしながら目を背けている。星歌さんそんな調子で大丈夫かな?多分結束バンドを始め全部のバンドから今みたいなハッピーバースデー的なコメントが飛んでくると思うけど。

 

 

 

 

「店長誕生日おめでと~!!」

 

 

 

「店長さん誕生日おめでとうございます!今日は誘ってくれてありがとうございましたー!ほらふたりもお礼言っとこう」

 

「うん!星歌お姉ちゃんたんじょーびおめでとー!」

 

 

 

「これからも何十年も続く箱にしろよ!誕生日おめでと!」

 

 

次々に星歌さんへのお祝いメッセージを送る出演バンドの皆さん。その度に赤面したり号泣したり照れくさそうに笑ったりと近くで星歌さんのいろんな表情を見ることができた。かわいい。

 

「あーあと星歌もういい年なんだし毎晩抱いて寝てるぬいぐるみじかちゃんに洗ってもらうんじゃなくて自分で洗えよ~?」

 

「んな!?」

 

「それと最近じかちゃんもお気に入りのおじさんといい感じらしいじゃん。そのままゴールインするなら式には呼べよ~?」

 

「んが!?」

 

あの人達は星歌さんが所属してたバンドのメンバーか。ドラムの人は前にスランプ中の虹夏ちゃんにアドバイスしてくれたんだっけ。星歌さんのことをよくわかっているからこそ出てくる言葉だね。しかし虹夏ちゃんのお気に入りのおじさんって誰のことだろう。星歌さんとも仲がいいみたいだし…ちょっと気になる。

 

 

 

 

 

 

「皆さんメリークリスマース!」キタキターン

 

「今日はクリスマスなのに来てくれてありがとねー」

 

 

そうこうしてる内に結束バンドの順番が回ってきた。4人の服装はしっかりとクリスマス仕様になっていて、喜多さんと虹夏ちゃんはサンタ衣裳。リョウさんはトナカイでひとりちゃんはフライドチキンの被り物を装備してのご登場。皆かわいい。だけどひとりちゃん、その被り物はどこに売ってたの?

 

「それでは早速結束バンドから歌のプレゼントいきまーす! ギターと孤独と蒼い惑星!」

 

喜多さんのMCから自然に曲に入る結束バンド。ライブの進行が上手くなってるね。4人ともとても楽しそうだ。去年の台風の中でのライブは1曲目の演奏がボロボロで大変だったと聞いたけど(叔父さんは仕事で観に行けなかった)この1年ですごく成長したんだね…。おっといけない涙腺が。

 

 

 

 

「はい!じゃあ最後にサプライズターイム!店長さんステージに上がってきてくださーい♪」

 

「はぁ?私?」

 

全ての演奏を終えた結束バンドが星歌さんをステージへ呼んだ。よく見ると虹夏ちゃんの姿がない。あーなるほど、昼過ぎから作ったあれを出すんだね。

 

「じゃーん♪ハッピーバースデーお姉ちゃん!手作りのお誕生日ケーキでーす!」

 

 

本日のサプライズ

虹夏ちゃん特製お誕生日ケーキ

 

「う…」

 

「どうしたの?早く食べてよ」

 

「いや、こんなかわいいケーキもったいなくて食べられないだろ…」

 

「食べないなら私が食べる。いただきます」グサー

 

「おいこらてめぇ!」

 

途中からまたフライドチキンの販売に戻った私は遠目から星歌さんの様子を見守る。うんうん、どうやら星歌さんも喜んでいるようだ。あ、次はプレゼントタイムか。星歌さん本当に皆から愛されてるなぁ。

 

「すいませーん、特製フライドチキン3つとコーラとジンジャエールとオレンジジュースくださーい」

 

「はい、ありがとうございます。少々お待ちください」

 

 

 

お疲れ様でした

 

 

 

一月以上前から準備していた結束バンド自主企画ライブも無事終了。虹夏ちゃんからお願いされて一緒に考えた特別メニューは私の予想を上回る売れ行きで、後で出演者やスタッフに振る舞う分から拝借しなければ足りなくなるくらいであった。1人1本ずつになってしまったが仕方ない。打ち上げ用の他のメニューでなんとかするか。とりあえず片付けを終わらせて早く結束バンドの皆を労いたいな。

 

「晋作さんお疲れ」

 

「あ、星歌さんお疲れ様でした。これ片付けたら皆の分の料理運びますから」

 

「ああ、ありがとう。あいつら今家に集まって何かやってるみたいだぞ」

 

「星歌さんの家に?」

 

「うん。…もしかしたらここからが本当のサプライズなのかな?二次会始まっちゃうのか!?」

 

「あー、そうかもしれませんね。大勢からの賑やかな祝い方も楽しいですけど、身内だけで改めておめでとうをしたいのかもしれないですよ?」

 

「だよな!ついにぼっちちゃんからケーキをあーんされたり…あ、文化祭の時見れなかったメイド姿になって待ってくれてるかも!?」

 

星歌さんは何やらひとりちゃんにサプライズで何かしてもらえるかもしれないと期待で目を輝かせてるね。かわいい。

 

「よし晋作さん行くぞ!今日はクリスマス!夜はこれからだ!」

 

「えっあっはい」

 

 




自主企画ライブは終わったけど本編はもうちょっと続くんやで

次回 家出の喜多さんと姪と◯◯


↓おまけ

異世界でも叔父さんは食べさせたい

パラレルワールドにもほどがあります。


↓前回までのあらすじ
STARRY異世界店に勇者が現れた!魔王を倒すために叔父さんを勧誘しに来たよ!どうする叔父さん。どうする結束バンド。

キャラ紹介
後藤ひとり
転生先の世界でも叔父さんと同居。スキルの効果で自力でモンスターを倒せない。でも前衛がものすごく強いので全然問題ない。叔父さんがいなくなると生活に支障をきたすので動揺中。

叔父さん
異世界でもひとりちゃん達に食べさせる生活を目指す。作った料理に体力と状態異常回復&経験値取得の効果が付くスキルを持っている。その噂を聞き付けて勇者がやってくるほど。

山田リョウ
特典ほぼなしで転生してきた不憫な子。スキルのせいで戦闘中は強いけどすぐお腹が空くのであまり戦いたくない。叔父さんのご飯が大好き。なので叔父さんがいなくなるととても困る。

喜多郁代
叔父さんの家に住みながらSTARRY異世界店へ通う。お日様が出てる間は火と光属性無効の無敵陽キャ。忙しいけど日々が充実してて毎日キタキターン状態。

伊地知虹夏
叔父さん以上に特典盛り盛りで転生してきた元下北沢の大天使。異世界でのライブハウス運営が楽しくてしょうがない。突然やってきた勇者に叔父さんを連れていかれそうでとてもショック。

伊地知星歌
伊地知虹夏と共に転生してきた伊地知虹夏の姉。叔父さんと一緒に保護者役として結束バンドの冒険に付いていく。STARRY異世界店の店長もやっている。

PAさん
しれっと転生していた黒髪ロングでピアスなお姉さん。朝が弱いのでお昼からなら働きます。異世界でのSTARRY本格営業再開と叔父さんのご飯のおかげでお肌の調子がいいらしい。

廣井きくり
転生特典で愛用のベースを持って転生してきたSICK HACKのベーシスト。お城の酒の管理が厳しくなったのでちょくちょくSTARRYにやってきてはツケで飲みに来るようになった。

叔父さんの選択

「お願いします!私と一緒に魔王を倒してください!」

突然現れた勇者の叔父さん勧誘発言に結束バンドの面々は驚いて言葉が出なかった。叔父さんが勇者と共に魔王を倒しに行くということは、STARRY異世界店から叔父さんがいなくなるということ。当然だが叔父さんのご飯もしばらくおあずけ状態である。

「えっえっと…」

「ダッダメ!晋作オジサンがいなくなると私が餓死する」

「そ、そうだよ!晋作さんはSTARRY異世界店の大事な戦力なんだから!」

「叔父様なしではお昼の営業に支障が出ます!そうよね!ひとりちゃん!」

「えっあっはい」

「お前ら落ち着け。こいつが人が飯食ってる時に襲撃してきた非常識な勇者なのは事実だが、勧誘されてるのは晋作さんだぞ」

「ですね~。マナーがなってない勇者さんに嫌悪感を禁じ得ませんが、おじさまがどうしたいかが大事ですよ~」

「酷い言われようだけど事実だから反論できない!その件は本当にすいません!それで、どうですかおじさん?おじさん程の戦士が来てくれると大変助かるんです!」

「えっえーと、私はこの子達やSTARRYに来てくれるお客さんにご飯を作るのが好きなただのおじさんであって、あなたが思ってるような戦士では…」

「うむ。晋作オジサンはスキルの効果で周りに女を侍らせてないとそんなに強くない。なのでそちらの男所帯のパーティに入っても役に立たないよ」

「そうそう!だから晋作さんはそちらの戦力にはなりません!」

「皆さん必死ですねぇ~」

「えっそうなんですか?」

「あっはい。そのようです」

「なるほどわかりました!では明日までに女だらけのパーティ編成にしてもう一度伺います!もちろん美人揃いにしますから安心してくださいね!」

声高らかにおじさんにそう宣言した勇者は、床で気絶している男達を抱えて帰っていった。

「ふむ、どうしたものか…」

「な、なんだかとても急な展開になりましたね」

「どうしようお姉ちゃん!晋作さんが魔王討伐のために出ていっちゃうよ!」

「落ち着けって。さっきも言ったが決めるのは晋作さんだぞ」

「そもそもこの世界に魔王がいること店長は知らなかったの?」

「ああ、私の周りでそんな話は聞いたことないな」

「護衛団長の店長さんが聞いたことないって相当認知度の低い魔王なんですかね」

「どっどうなんでしょう…あっあんなに熱心に叔父さんを勧誘してたから、すっすごく手強い魔王なのかも…」

「手強い魔王か…あの勇者さんも大変な使命を負ってるのかもしれないね」

「晋作さん…」


そんなこんなで翌日のSTARRY

「おはようございまーす!早速昨日の返事を聞きに来ました!」

「うわもう来た!」

「開店前なのに…やはり非常識勇者」

「それに昨日より人数が多いですね~」

「また迷惑な…」

「打倒魔王のためには何でもやりますよ!約束通りキレイな女性ばかりのパーティの編成でやってきたのでおじさんも強くなります!」

勇者は叔父さんのために集めたという美人冒険者達をSTARRY内に連れてきた。その数なんと11人!

「1日でよくもまあこんなに集めたな」

「あっどっどの人も喜多ちゃん並みにキラキラしてて眩しい」

「ほほう、しかも皆胸や尻がデカい。あれに対抗できるのはぼっちとPAさんくらいか。これは晋作オジサンも大歓喜。毎日横に侍らせてその豊満な体に身を寄せて」

「するわけないでしょそんなこと!…しないよね?」

「叔父様に限ってそんなはずないですよ!ね!ひとりちゃん!」

「えっあっはい」

「あらら、これはまた随分とたくさん集めましたね」

「はい!全てはおじさんに喜んでいただくため!どの子も是非おじさんと魔王を倒しに行きたいと快く付いてきてくれたんですよ!これもおじさんの人徳ですかね!」

「噂のメシウマおじさんと旅ができると聞いて!」

「実物は想像以上に素敵ね♪」

「キャー今私目が合ったわ!」

「夜になったらアンナコトヤコンナコトしてあげる♡」

「さあおじさん、これだけ女性がいればあなたも最強の冒険者!一緒に魔王を倒しましょう!」





「あっすいません。私は一緒に行きません」

「えっ!?」

叔父さんは勇者の勧誘を断った。

「そ、そんなどうしてですか!?」

「昨日1日考えたんですけど、やっぱり私は料理を作って食べさせるのが好きなただのおじさんなのです。戦闘の強さなんておまけに過ぎません。私はここでご飯を作りながらそれを食べるお客さんや結束バンドの皆を見守っていたい。せっかくのお誘いですが、すいません。あなた達と一緒には行けません」

「晋作さん…」

「叔父様…」

「…」

「叔父さん…」

「ふっ」

「店長嬉しそうですねー?」

「うっせ」

「うぐぐ…そうですか。残念です…」

「気休めかもしれませんが、1日でこんなにたくさんの素敵な仲間を集められる力を持ったあなたなら、私なんていなくても魔王を打倒できると思いますよ」

「そ、そうでしょうか?」

「はい。あ、そうだ!皆さんせっかくここまで来たんだし、よかったご飯食べていってください」

「えっ?」

「そうだよ!晋作さんのご飯を食べればパワーも漲るよ!」

「うん。晋作オジサンのご飯は最強への近道」

「叔父様のご飯のおかげで解決した問題もいっぱいありましたからね!効果は私達が保証しますよ!」キタキターン

「あっですね。レッレベルも上がって戦闘も楽になるかも」

「食ってかないなら営業の邪魔だから早く帰れ」

「たっ食べます食べます!是非いただきます!」

こうして勇者と11人の美人冒険者達は、叔父さんの特製まかないご飯を食べて帰っていった。風の噂では、彼らが叔父さんご飯の効果でレベルが爆上がりして魔王討伐までの道のりを無双したとかしなかったとか。

「それにしても叔父様よかったんですか?勇者さんと一緒に行かなくて」

「そうだよ~。あれだけ女の人に囲まれてればスキルの効果でめちゃめちゃ強くなってたのに~♪」

「しかも全員晋作オジサンに好意的だった。絵に描いたようなハーレムで毎日毎晩選り取り見取り」

「うん。さっきも言ったけど私はお客さんや皆にご飯を作るのが好きなんだ。それに結束バンドのこれからの活躍を近くで見ていたいしね」

「そっかそっか~♪晋作さんがそう言うなら仕方ないね♪」

「やはり晋作オジサンは私のご飯係として側にいる運命♪」

「叔父様の期待に応えられるように結束バンドの活動も頑張らないとですね♪」キターン

「皆さんご機嫌ですねー」

「お前らわかりやすいな」

「そういうお姉ちゃんだって晋作さんが残るって言った時内心ホッとしてたくせに~」

「なっ!?いや違」

「店長もなんだかんだでおじさま大好きですからねー♪」

「フフフ。晋作さんが決めることだ!キリッって言ってたくせに実は心配でたまらなかったと」

「店長さんも素直じゃないですね♪」

「あんまおちょくるとそろそろ怒るぞ」

「ま、まあまあ。私も星歌さんと一緒に働けるのすごく楽しいのでこれからもよろしくお願いします」

「…!?晋作さんは本当そういうところだよ」

「えっ」

「その優しさで皆勘違いするんだよ?」

「えっ」

「天然たらし」

「えっ」

「罪な叔父様です♡」

「えっ」

「あっでもそっそれが叔父さんらしいと思います」

「ひとりちゃんまで!?」

こうしてSTARRYに残ることを決めた叔父さんは相変わらずご飯を作る生活を続けるのでした。


つづく(話のネタ降りてこい)
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