ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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ご覧になっていただきありがとうございます。

今回から原作コミック第7巻に突入します。早いものですね。本当どうしようね。


居着くリョウさんと減量飯

結束バンドと過ごした元旦から数日が経過したある日、私は世間一般の労働者さん達より少し遅れたお正月休み(ただの公休)を満喫していた。いつもなら買い出しでひとりちゃんに食べさせる食材を物色しに行くところだけど、生憎ひとりちゃんが金沢八景へ帰って残された冬休みを満喫しているのでそれもできない。そのため元旦以降に溜まっている私の食べさせたい欲も絶賛持て余し中…ということはなく、実はここ数日は別の子が家に来てくれている。ほーら今もお昼過ぎに漸くひとりちゃんの部屋から出てきたよ。

 

「ふわぁ~…よく寝た。あ、晋作オジサンお腹空いた。おやつある?」

 

「おはようリョウさん。おやつはそうだな…残ったお餅でおしるこなんてどうかな?」

 

「やったぜ」

 

そう、ひとりちゃんと同じ結束バンド所属のベーシスト山田リョウさんである。一月三日にフラリとやってきておやつをねだってきたと思ったら、そのまま今日まで家に入り浸っている状態なのだ。リョウさん曰く「お年玉とご馳走が出てくるのはよかったけど、両親共にここぞとばかりにベタベタ接触してくるのが鬱陶しいから避難してきた」らしい。年頃の女の子って難しいね。私の家にいるのはいいのかと訊いたら「晋作オジサンはいい距離感を保ってくれるから楽」と言ってくれた。信用してくれるのは普通に嬉しいけど、リョウさんの御両親にはちょっと罪悪感があるな。まあ、今はそんな事よりも危惧すべき問題が発生しているのだけどね…。

 

「晋作オジサン餅は3個…いや4個で」

 

「うっうん、わかったよ。ところでリョウさん、ここ数日でなんだかその…ふっくらしたというか恰幅がよくなったというか…すごくがっしりした体型になったね」

 

「ん…そうかな?来た時とそんな変わらないと思うけど」

ムチィ

 

「そ、そう?まあ、そうなのかも?若干、ほんの少し頬や首周りがもっちりしてるくらい…?」

 

「そうそう、晋作オジサンの気のせいだよ」ムチムチィ

 

うん、絶対気のせいじゃないね。全体的に丸いしムチムチしてる。端的にいうとリョウさん太ったね。はい、私が調子にのって食べさせ過ぎたせいです。後悔はしてませんが反省はしてます。よく考えたらリョウさんは人前に出て演奏するバンドマン。もともとビジュアルが良くて、それ目当てのファンもいるくらいだ。もし今の太めリョウさんを目にしたらそのファンの人達幻滅しちゃうかも…?喜多さん辺りは「こんなのリョウ先輩じゃない!」って嘆きそうだね。そしてそのまま結束バンドの人気が落ちてしまって解散なんて事になったら…それはいけない!一刻も早くリョウさんを元に戻さないと!

「リョウさん、やっぱりおやつは止めて少し早いけど晩御飯にしようか。もうすぐ明日からの新学期のためにひとりちゃんがこっちに戻ってくるし…」

 

「?まあ晋作オジサンがそうしたいならいいよ」

 

「ありがとう。じゃあ早速用意始めておくね」

 

 

 

 

私が晩御飯の支度を始めてから少しして、ガチャリと玄関の鍵が開き扉が開く音と共に「あっただいまです」の声。私の愛すべき姪ひとりちゃんのご帰宅。元旦以来会ってないからなんだか久しぶりな感覚だな。実際は一週間も経ってないけど、日に日に募っていたひとりちゃんに食べさせたい欲は破裂寸前だったからとても嬉しいね。

「おかえりひとりちゃん。ちょっと早いけどもうすぐ晩御飯…え?」

 

「あっおじさん、こっ今年も結束バンドとかごっご飯とかよろしくお願いしまふぅ…うへへお腹空きました」デップリィ

 

ひとりちゃんも太ってるー!?ふとりちゃんになってるー!?いつものもちもちな頬っぺたも丸みが増してさらに柔らかそうな見た目に!なんてことだ…これは益々今日の献立を慎重に考えてなくてはならないな。

 

ひとりちゃんが玄関からリビングへ進む足取りはのっしのっしと力強く風格があり、リョウさんと並んだら横幅がすごいことに。

 

「フフ…ぼっち、今年はバリゴリに売れてやろうぜ」ムチ♡

 

「あっはい。もっもちろんですよリョウ先輩へへ」 タプ♡

 

ダメだよひとりちゃんリョウさん、そのビジュアルだと下手したら今の2人目当てのファンが離れていってしまうよ。一部の人には刺さるかもしれないけど。あ、もしかしたら演奏そのものにも影響が出てしまうかも?それはいけない!早急に何とかしなくては!

「2人とももう少し待っててね。今美味しい晩ご飯用意するから」

 

茄子を半分に切り皮目に沿って包丁で実を切り抜いて小さめの賽の目切りにする。鶏ムネミンチ、卵、パン粉、豆腐、茄子、塩コショウをよく混ぜ合わせる。茄子に合わせたタネを詰めてシュレッドチーズをかけたらオーブンで10分焼いて「完成」

 

小口切りにした長ネギ、カニカマボコ、鶏がらスープの素、ごま油、塩をよく混ぜ合わせ、油抜きをして横半分に切った厚揚げの上に乗せる。マヨネーズを網目状にかけたらオーブンで焼き目が付くまで焼いて「完成」

 

フライパンにアルミホイルを広げて鮭、しめじ、えのき茸、玉ねぎを敷き詰めて塩コショウ、醤油、酒、バターを入れたらアルミホイルを閉じる。フライパンに水を入れ蓋をして中火で15分蒸し焼きにする。鮭に火が通ったら「完成」

 

 

本日の晩御飯

炊きたてご飯(ササシグレ)

鶏ミンチと茄子のチーズ焼き

厚揚げのネギダレマヨネーズ焼き

鮭とキノコのホイル蒸し

レタスと卵のあっさりスープ

 

「では手を合わせてください」

 

「あっはい」タプタプ♡

 

「うまそう」ムチムチ♡

 

「「「いただきます」」」

 

今日のメニューはひとりちゃんとリョウさんの減量を目的とした高タンパク低糖質な食材を使ったヘルシーなおかずを用意したけど、果たして2人の口に合うだろうか。

 

「はむっもぐもぐ…んっんっ…うむ!うまい!ふわふわの鶏とチーズが合う!」

 

「あむあむ…んぐんぐ…あっこの厚揚げとネギも美味しいです」

 

「それはよかった。2人ともたくさん食べてくれるのは嬉しいけど、落ち着いてよく噛んで食べてね」

 

「あっはい。もぐもぐもぐもぐ…」

 

「んむんむ…ごくん。晋作オジサンご飯おかわり」

 

「う、うん」

ふむ、全然落ち着いてないね。むしろ食欲が増進しているように見える。しかし食べている姿はかわいい。なのでもう食べちゃダメとも言えない。わかってはいるけどついつい甘やかせてしまうな。このままだと私共々虹夏ちゃんに怒られてしまうかもしれない。

 

「そういえばそろそろ新学期だけど2人は準備とか大丈夫かな?」

「うぐっぐふっ…あっそうだった忘れてました」シュン

 

あ、ひとりちゃんちょっとだけスリムになったね。新学期で学校へ行かなければならない事へのストレスかな?相変わらず不思議な体の構造をしてるね。

 

「うちは周りの受験生に配慮して年明け確認テストみたいなのもないから余裕」

 

「そうなんだ。じゃあリョウさんは結束バンドの新曲作りに集中できそうだね」

 

「うん。期待しておくといいよ」

 

任せてと言わんばかりに、おかわりのご飯を受け取りながらフフン♪と上機嫌でドヤ顔をキメるリョウさん。かわいい。この後2人は用意した晩御飯を全て平らげてくれた。一応今日は糖質や油分を控えたメニューにしたけど、これだけたくさん食べたらあんまり意味がないかも…まあ明日からちゃんと節制したメニューと量にすればいいよね!

 

 

ごちそうさまでした

 

 

翌日から私は、ひとりちゃんとリョウさんに振る舞う食べ物の分量に気を配るようにした。濃い味つけや高カロリーな食材は避け 、自然と噛む回数が増える献立を食卓に並べるようにしつつ、なるべく食事制限を感じさせないよう心がけた。1日でも早く元の2人に戻ってもらわねばならないからね。後日虹夏ちゃんからやんわりとお叱りを受けました。ただ好き勝手に食べさせるのもよくないことだと実感したお正月になったね。




次回 席替えしてきた姪と◯◯


↓おまけ

叔父さんは太い子が好き?

新学期前の結束バンドメンバーミーティング

「そんな感じでここ数日晋作オジサンのご飯が低糖質高タンパクなメニューになったよ。美味しかったけど」

「新年早々晋作さんに迷惑かけちゃダメでしょ!ていうかリョウもぼっちちゃんも、一週間やそこらでよくそこまで太れたね」

「あっ両親も叔父さんも甘々でストレスとか一切なかったので…へへへ」ムチムチ

「同じく。全ては晋作オジサンのご飯が美味しいのがいけない」モチモチ

「叔父様は途中でマズイと気が付いてメニューを変えたみたいですね。さすがにまだ効果は現れてないですけど」

「だね~。それでも多少痩せたんだろうけど、ピーク時はもっと丸々としてたんだろうな」

「まあ晋作オジサンはよくたくさん食べて肉を付けろと言ってたからね。晋作オジサンのために実行したまでだよ」

「ウソつけ」

「あっつまり今の私の体型は世の中の大半の人が羨むパーフェクトボディ?こっこれでステージに立てば注目間違いなし…うへへへ」

「ダメよひとりちゃん!そんなのいつものカッコいいひとりちゃんじゃないわ!」

「虹夏も郁代ももう少し食べて肉を付けるべき。痩せすぎはよくない。晋作オジサンも言ってた(嘘)」

「そっそんなわけないじゃん!バンドマンが全員太ましかったら様にならないよ!」

「あっでも叔父さんこの前、たったくさん食べてる廣井お姉さんを見てニコニコしてました(本当)」

「ほほう、それはきっと丸々肥えさせた後に美味しくパクリンチョする気だね」

「お、叔父様に限ってそんな事…」

「そ、そうだよ!晋作さんはただ食べてるところ見てたいだけの人だよ!」

「でも少なくとも全然食べなくて痩せてる子よりモリモリ食べて太めの子の方が晋作オジサンの好みってことでしょ?」

「うっ…それはなんとなく感じてたけどさ。だからって限度というものが」

「わ、私やっぱりもっとお肉付けた方がいいのかしら…叔父様のご飯ならひとりちゃんみたいに胸囲を中心に…」

「喜多ちゃん!?真に受けないで!?」

「虹夏も認めてしまおう…晋作オジサンのご飯を食べまくって一緒に理想的ナイスなバディを手に入れよう」

「怪しい団体の勧誘みたいなこと言わないで!もー!皆あたし達はステージに立ってお客さんに見られる仕事なんだから見た目も気を付けてよ~!」


\ワーワーギャーギャー/


「…」


別の日の開店前のSTARRY

「…ってやり取りしてたぞあいつら」

「うっ…すいません。私も調子にのって食べさせ過ぎました」

「まああの増量の原因が全部晋作さんとは思ってないけど、あいつら晋作さんのご飯になると異常な食欲発揮することあるから」

「リョウさんのアレは完全にやりすぎました。次からはもう少しヘルシー志向のメニューも考えておきます」

「いや、そこまでガチガチに節制しなくていいですよ。注意って程でもないし、リョウの完全な自己管理不足だから。今後ちょっと念頭に置いておいてくれって話です」

「はい、わかりました。考えておきます」

「…あーそれと」

「あっはい」

「わ、私は別に痩せてるとかじゃないから普通体型だから」

「えっ」

「な、なんなら少し…ほんの少しだけふとm…いやなんでもない!」

「えっ?」

叔父さんご飯なので仕方ない


つづく(叔父さんが悪いね)

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