ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。
今回は今までの食べさせたい叔父さんの中で真っ先に思い付いた話だったりします。やっと書けた…。


誤解を生む姪とエビマヨ

最近バンドメンバーとの会話の中でちょいちょい登場するぼっちちゃんのおじさんの家が気になる。聞けばリョウも喜多ちゃんも既に行っていて、ご飯までご馳走になってるとか。2人とも口々に美味しかったと言っている。ズルい、あたしも行きたい。しかし、そんな子供みたいなワガママを言ってぼっちちゃんやおじさん宅に迷惑をかける訳にはいかない。突然お客として押し掛けたら作るご飯の量が増えるし奥さんもきっと大変だろう。

 

「ぼっち、今日家行ってもいい?」

 

「あっはい、でも喜多さんとの練習の約束もあるのでご飯はその後になるかもしれません」

 

「リョウ先輩ごめんなさい、後藤さんと先に約束しちゃって」

 

「ラジャ。それくらいは待てる」

 

って思ってるそばからまたおじさん家に行く流れだ…。

「リョウって最近よくぼっちちゃんのおじさん家に行くよね」

 

「うん、ビンボー学生の心強い味方」

 

「リョウの場合は貧乏なんじゃなくてただの散財だろ!あんまり頻繁に行って困らせちゃダメだよ?」

 

「オジサンはいつでも来ていいって言ったよ」

 

「社交辞令だよ!限度を弁えろ!」

 

「あっあの、叔父さんはリョウさんや喜多さんが来るのほっ本当に楽しそうなんで…たったくさん作って食べてもらうのが好きみたいです…」

 

「そうそう」

 

「そうなの?あれ、おじさんがご飯作ってるの?奥さんじゃなくて?」

 

「叔父様は独身ですよ伊地知先輩」

 

「うん、優雅な独身貴族」

 

「えっ?」

ちょっと待ってそれってヤバくない?

「つまりぼっちちゃんは独身中年男性の一人暮らしの部屋で寝泊まりしてるってこと?」

 

「あっはい」

 

はいアウトー!!

「ぼっちちゃん!もう少し危機感を持って!!」

 

「えっえっあっあの」

 

「虹夏落ち着いて。オジサンはそういうんじゃない」

 

「そうですよ伊地知先輩。叔父様はとってもいい人ですよ」

 

既に2人も懐柔されている!?

「ぼっちちゃん、そのおじさんは本当に大丈夫な人なの?過度なスキンシップとかされてない?」

 

「あっはいだっ大丈夫です」

 

「マッサージと称して変なとこ触られたりしてない?」

 

「あっはい大丈夫で……あ」

 

「心当たりがあるんだね!?」

 

「えっそうなの?後藤さん!」

 

「オジサンやることはやってたのか。ロックだぜ」

 

「あっいや違っあっあれはただの人命救助で…」

 

 

\ワーキャーイヤーヒュー/

 

 

「という訳であたしたちでぼっちちゃんのおじさんの本性を暴きに行ってくるね!帰ったら晩御飯作るからお姉ちゃんはご飯だけ炊いといて!」

 

「ええ…」

 

 

 

 

ピロン

ひとりちゃんからのロインだ。今日は少し遅めだね。

 

 

すいません今日バンドメンバー皆が来たいそうです大丈夫ですか?

 

 

おっと、メンバー皆って4人てことだよね。これは作りがいがあるぞ。返信。

 

 

大丈夫だよ。気をつけて帰っておいで。

 

 

さて、忙しくなってきたぞ。

 

 

ピンポーン

 

「はーい」

インターホンが鳴り、玄関を開けるとひとりちゃんと見知った2人、喜多さんと山田さんがいた。それともう1人、以前見た結束バンドのアー写に写っていた黄色い髪のサイドテールの女の子。おそらくこの子が…。

 

「あっただいまです。すっすいません本当は今日はきっ喜多さんだけだったんですけど断りきれずに…」

 

「うん、おかえり。喜多さんと山田さんもいらっしゃい。そちらの子は初めましてだね?」

私がそう言って目を向けると、キッと睨むような目で視線を合わせているその子が口を開いた。

 

「初めまして後藤ひとりちゃんのバンドメンバーでバイト仲間の伊地知虹夏です。今日は突然の訪問でごめんなさい。これつまらない物ですが!」

 

「これはこれはどうもご丁寧に。さ、上がって」

気のせいだろうか?虹夏さんの視線と語気が鋭いような。

 

「クンクン…いい匂い。今日もご馳走の予感!」

 

「お邪魔しまーす。今日の晩御飯も楽しみにしてます叔父様♪」

 

「いや2人とも遠慮がないな!ホントすいませんおじさん」

 

「大丈夫だよ。美味しいの作るから待っててね」

 

「あっあたしは家にお姉ちゃんがいるので…そこまで甘えるわけにはいかないです」

 

「ふむ、それじゃあ帰りにお姉さんの分のおかずをお土産に持たせるよ」

 

「いえいえそんな」

 

「いやいや大丈夫大丈夫」

 

「いやいや」

 

「いやいや」

 

しばしのいやいや合戦は私の勝利。お姉さんを含めて私の料理を振る舞うことができる。嬉しい。

 

下処理したエビに片栗粉をまぶす。180℃に熱した油でカラッと揚げる。牛乳、砂糖、ニンニクを合わせてさっと沸かせたらマヨネーズ、ケチャップ、レモン汁を入れてよく混ぜてマヨネーズソースを作る。マヨネーズソースに揚げたてのエビを絡めて…「完成」

 

ふと後ろからの視線に気が付いて振り向くと、虹夏さんがまじまじと私の調理の様子を眺めていた。「おおぉ…」と声が漏れている。

「叔父さんが料理する姿は珍しいかな?」

 

「あっいや、何か手慣れててスゴいなと思って。あたしも料理するんですけど全然違うなーって」

 

「虹夏さんも料理を?家庭的なんだね」

 

「えへへ~そんな普通ですよ~」

 

その上謙虚ときた。絶対良い子だ。かわいい。

「さっできたよ。ご飯にしようか」

 

本日の晩御飯

炊きたてご飯(富富富)

叔父さん特製エビマヨ

花シュウマイ

中華クラゲ

エビ出汁酸辣湯

 

 

「では手を合わせてください」

 

「あっはい」

「はーい♪」

「うぃ」

「はい」

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

4人とも一目散にエビマヨに箸がのびる。いいねぇ。この食いつきは作った側としては最大の誉れの1つだ。

 

「うっまっ…!!」

 

最初にリアクションしたのは虹夏さん。思わず声があがったのを恥ずかしそうに口元に手を当ててモグモグしている。イイね!

 

「エビがプリップリで美味しい~♪このマヨソースもただのマヨネーズだけじゃ出せない味ですね」

 

「んむっ!はむっ!んっ程よい酸味と甘味。箸が止まらん!」

 

「んぐんぐ…あっ美味しいです」

 

それぞれが四者四様の美味しいの反応を見せてくれる。

ここは天国かな?

 

「エビはまだあるから遠慮なく食べてね」

 

「ご飯、おかわりください」

 

「はいはいどうぞ」

 

「はっ!しまった。食べるのに夢中で写真撮るのを忘れてたわ!」

 

「私が撮ったのがあるから必要なら送るよ?」

 

「ありがとうございます叔父様♪」

 

こんなに賑やかな食卓は初めてだな…。ほんの少し前までは1人で作って1人で食べてそれで満足してたけど、“皆で食べるご飯は美味しい”って本当なんだね。これも全部ひとりちゃんのおかげだね。感謝。

「フフッ」

 

「…」

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「皆きれいに食べてくれてありがとう。また来てね」

 

「今日も美味でした。ゴチです」

 

「叔父様、今日の分のイソスタも楽しみにしてますね!」

 

「あの、おじさん」

 

「ん?どうしたの虹夏さん」

 

「今日はごちそうさまでした。お姉ちゃんの分までいただいちゃって…すいません」

 

「いいんだよ、来てくれてありがとう」

 

「…実は本当はおじさんが怪しい人なんじゃないかって疑ってたんですけど…ぼっ、ひとりちゃんに変なことしてないですよね?」

 

ああなるほど。だから最初会ったとき睨んでたんだね。

「うん、してないよ。ひとりちゃんを心配してくれたんだね。そうだよね、普通はその心配をするよね。うんうん」

虹夏さんは良識人だな。ひとりちゃんの身を案じて私を疑ったのか。ひとりちゃんはいい仲間に出会ったんだね。

 

「一応信じます。また来るので今度は料理教えて下さい」

 

「うん、わかった。また来てね」

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~」

 

「おかえり。ぼっちちゃんのおじさんはどうだった?」

 

「うーん、多分いい人。ご飯も美味しかったし。あっこれおじさんから、お姉ちゃんの分って貰っちゃった。手洗ったらそれ温めてすぐご飯にするから待ってて!」

 

「ああ。…なんだろう?…あエビだ。どれ、あむっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっまっ…!!」

 

 




次回 もう1人の姪と◯◯

夏休みなのでゲスト回が続くよ。
つぎはだれがたべにくるのかな?

↓人物紹介4

伊地知虹夏
叔父さんに胃袋を掴まれちゃった系女子その4。初めは叔父さんを危ない人かもと疑っていたが、今回の訪問で少しだけ信用するようになった。それとは別に叔父さんの料理する姿を見てぼんやりと父性的なものも感じている。

伊地知星歌
叔父さんに胃袋を掴まれちゃった系女子(?)その5。まだ会っていないのに、やたら美味いものを作るぼっちちゃんのおじさん(多分いい人)として認識してる。

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