ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。
今回はひとりちゃん不在回。でも叔父さんの家にあの子がご飯食べにやってきます。


金欠腹ペコベーシストとスベリヒユ

今日はひとりちゃんは実家にいる。結束バンドの皆も集まるらしい。ライブで着るバンドTシャツのデザインを考えるそうだ。どうして知ってるかって?ひとりちゃんから聞いた…ってだけではなく、さっきから喜多さんから逐一ロインで連絡が入ってくるからです。

ピロン

ほーらまたきたよ。

 

 

伊地知先輩と後藤さんの家の最寄り駅に着きました!

叔父様の家と比べたらかなり遠いですね!楽しみです!

 

 

という文面のあと、すぐに虹夏さんとのツーショット写真が送られてきた。ロインIDを教えてから喜多さんは頻繁に連絡をくれる。こんなおっさんにそこまでしてくれなくてもいいのに、ひとりちゃんや結束バンド関連の話は大体は喜多さんが教えてくれる。

ピロン

あ、また喜多さんからだ。

 

 

リョウ先輩は来れないそうです。何でもおばあさんが

10回目の峠らしいです。何か特別な理由があるみたい!

 

 

山田さんは行ってないのか。自由な子だね。それとも本当に退っ引きならない事情があるのかもしれな

ピンポーン

 

おっと、今度はインターホンが

「はーい」

 

玄関を開けるとそこには…

 

「オジサンやっほ。これでご飯食べさせて下さい」

 

野草を手にご飯を懇願する山田さんだった。

 

「山田さん!?何故家に」

 

「オジサンのご飯が恋しくなって…来ちゃいました」

 

ひとりちゃん家の集まりを断ってまで家に…。

 

「ひとりちゃん家には行かなかったの?」

 

「あれ、オジサン知ってるんだ。うん、まあ気が乗らなかったから…それよりこの草でご飯食べさせて下さい」

 

「ふむ、これは…なんの草?」

 

「えーと、『食べたい野草』って本によるとスベリヒユだって。料理できますか?」

 

「うん、多分。おひたしとか炒め物になるかな」

 

「じゃそれで。お願いします」

 

「あっはい」

思わずひとりちゃんみたいな返事をしてしまった。山田さん恐るべし。

 

 

 

 

スベリヒユの汚れているところを取り除きよく洗う。沸騰したお湯で20秒ほど茹でてザルにあける。半分を食べやすい長さに切って小皿に盛り削り節を乗せて醤油をかけて「完成」

 

残りのスベリヒユを軽く絞り水気をきったらさっきより短めに切る。細かく砕いたピーナッツ、すりゴマ、めんつゆを入れて和えたら「完成」

 

スベリヒユを2センチくらいの長さに切る。フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、ニンニク、ベーコン、スベリヒユを炒める。一度皿に移してから再びフライパンを温めて今度は溶き卵を入れて炒める。火が通ったらスベリヒユを戻してさらに炒めて塩コショウで味を付けて「完成」

 

ふむ、結構色々出来るもんだな。でも山田さんこれで足りるかな?もう一品くらい…

「あのっオジサン」

 

「あっ 山田さん、ご飯もうすぐできるよ」

 

「カレーってできますか?」

 

「えっカレー?食べたいのかい?」

 

「リクエストが来たので」

 

「リクエスト?まあ、ちょうど明日用に仕込んでるのがあるから少しならできるけ「お願いします」

「あっはい」

 

休日だったから思い付きで豚バラブロックと野菜をコトコト煮込んでてよかった。このスープを使っていこう。

 

フライパンにバターを引いて玉葱、黄パプリカ、赤パプリカ、スライスした豚バラ肉、スベリヒユを炒める。ウスターソース、ケチャップ、スープを入れて軽く煮込み市販のカレールーを溶かし、仕上げに牛乳を少し加えてよく混ぜて「完成」

 

 

本日の昼御飯

炊きたてご飯(はえぬき)

スベリヒユカレー

スベリヒユのおひたし

スベリヒユのピーナッツ和え

スベリヒユの玉子炒め

 

「では手を合わせてください」

 

「はい」

 

「「いただきます」」

 

 

スベリヒユは調べたところ夏の食べられる野草らしい。見た目や食感的に合いそうなものを作ってみたけど、山田さんは気に入ってくれるかな。と思っていたけど、当の山田さんは相当お腹がすいていたのか咀嚼音や所作は静かなものの、いつも以上にモリモリ食べてくれている。この遠慮のない食べっぷりが山田さんの魅力だね。かわいい。

 

ピロン ピロン

おや?また喜多さんからだ。今は行儀悪いけどまあいいか

 

 

【必見!】これが後藤さんの真の姿です【刮目せよ!】

 

 

という煽り文句とほぼ同時に送られてきた写真には…

 

「…!?かっかわ…!!」

いつものピンクジャージやパジャマとは違うひとりちゃんの私服姿。これはなんという破壊力だ。保存&保護っと。

 

「ん、どうしたの?オジサン」

 

「あっいや、なっ何でもないよ。さて私も食べようかな」

 

「んっ、お先にいただいてまふ。んっ…相変わらず美味…ねぇオジサン」

 

「ん?何かな?」

 

「私が食べに来るのは迷惑?」

 

「…いいや、全然。むしろいつも私の料理をモリモリ食べてくれて嬉しいよ。野草も貰ったしね」

 

「よかった。もうオジサンのご飯無しでは生きられない体になってしまったから。これで安心」

 

そう言って山田さんはスベリヒユのメニューを次々平らげていった。やっぱり山田さんはいつもいっぱい食べてくれるから好感がもてるなぁ。

 

 

ピロン

最後にカレーをゆっくりもぐもぐ食べている山田さんの

スマホが鳴った。山田さんはスマホを一瞥したあと

「なんでだよ」とツッコんでいた。何があったんだろう?

 

 

ピロン

おっとまたまた喜多さんから…ん?

 

 

すいません叔父様ライブ当日私の代わりに出てください

 

 

「なんでだよ」

 

「?」

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「ゴチでした、また来ます。野草を持って」

 

「持ってきてくれるのはありがたいけど、気を遣わなくていいよ?山田さんが食べてくれるのは嬉しいし」

 

「…名前」

 

「ん?」

 

「名前で呼んでほしいです」

 

「あっごめんね山田さん…じゃなくてリョウさん。またいつでも来てね」

 

「うん、さよなら。次はシロツメクサ辺りを…」

 

山…リョウさんはなにやら言い残して颯爽と帰っていった。本当に自由な子だな。…残ったスベリヒユはどうしようかな。あっそういえばさっきのひとりちゃんの写真…

今度はじっくり見よう。…うん、かわいい。




次回 師匠と姪と◯◯

ついにあの人が叔父さんの家に…?
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