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新学期が始まり1週間ほどが経過した。最初は憂鬱そうな顔で登校してたひとりちゃんだったけど、最近では次のライブに向けての練習もあってか、ひとりちゃんの顔にやる気が戻ってるように見えた。私も次のライブのために有給を取った。抜かりなく。今日もSTARRYでバイトとバンド練習をして帰ってくるひとりちゃんのためにおいしいご飯を用意しておこう。
ガチャッと玄関の鍵が開き、ひとりちゃんが帰ってきた。いつもの「あっただいまです」のセリフが聞こえてくる。
「お疲れ様、すぐご飯にする…」
玄関に佇むひとりちゃんを見て愕然とした。いつもよりも暗く俯いていて、頭には包帯が巻かれている。
「ひっひとりちゃん、どうしたの!?頭怪我したの?だっ大丈夫かい!?」
「あっだっ大丈夫です。すっ少し頭を打っただけで、いっ今は痛みもないので…」
「本当に?」
「あっはい」
そう言ってはいるが、やっぱり顔色がよくない。頭の怪我以外にも何かあるのだろうか。
「何があったのか話せる?」
「あっえっと…じっ実は」
ひとりちゃん曰く、10月にある文化祭の2日目にステージの出し物があるらしく、結束バンドでライブをしようかどうかで悩んでいて、バンドメンバーや星歌さんにも相談したみたい。今は出る方に気持ちが傾いているそうだ。だけどそれと頭の怪我とどういう関係が?
「あっこれは煩悩を打ち消すために自分で…」
「自分でやったの!?ダメだよそんなことしちゃ…もっと自分を大事にしなきゃダメだよ?」
私は諭すように言いながら、包帯が巻かれているところを優しく撫でた。
「あっうぅ…、はっはい」
ひとりちゃんは顔を赤くして小さく頷く。わかってもらえたようでよかった。せっかく可愛く綺麗な顔に生まれたのに傷が残ったら大変だからね。
「わかってくれたならいいんだよ。…ご飯にしようか」
「あっ…はい」
台所へ向かうために撫でるのを止めて手を離したらひとりちゃんは少し名残惜しそうにしていた。すぐ作るからね。
フライパンにみじん切りの玉葱、ピーマン、小さめに切った鶏もも肉を炒める。温かいご飯(元気つくし)を入れて塩コショウ、粉末コンソメ、ケチャップで味を付ける。更に炒めて水分を少し飛ばしたら隠し味にバターを入れる。
別のフライパンにバターを引き、牛乳を混ぜた卵を流す。手早くかき混ぜて程よい半熟になったら火から下ろす。余熱で表面の火を通して丁寧に形を整える。
皿に盛り付けたチキンライスにオムレツを乗せ、真ん中をナイフで切って割る。デミグラスソース、生クリーム、
ドライパセリをかけて「完成」
本日の晩御飯
叔父さん特製デミグラスオムライス
ツナとブロッコリーのグリーンサラダ
オニオンスープ
「では手を合わせてください」
「あっはい」
「「いただきます」」
完成品を見て「ふあぁ…」と目を輝かせ、俗に言う“目が
しいたけ”状態のひとりちゃんは、スプーンでオムライスを掬いデミグラスソースをよく絡めてパクリ、口角が上がり「んっ…うぅ~」と声が出る。かわいい。
「あっ卵、フッフワフワですね。おいしいです」
「このタイプはタンポポオムライスって言うんだって。初めて作ったけどうまくいってよかったよ」
「初めて…すっすごいです。もっもし失敗してたらどうしたんですか?」
「うーん、その時はその時だね。まあ何事もやってみなくちゃわからないものだよ」
「何事も…ですか」
ふむ、何か思うところがあるのかな?
「そういえば文化祭があるんだよね?ひとりちゃんのクラスは何をやるんだい?」
「えっあっそれは…あっ…っさです」
「ん?」
「あっ、メッメイド…喫茶。です」
「へぇー、メイド喫茶か。じゃあひとりちゃんもメイド服を着たりするんだね」
「あっいや、わっ私が着たところで戦力外過ぎるので…」
戦力外?ひとりちゃんが?そんなまさか。きっとものすごく可愛くて似合うだろうし、下手すれば黙って立ってるだけでお客さんを大量に呼べちゃうくらいのポテンシャルを秘めてることだろう。けどそんなこと本人に言ったらまたテンパったり溶けたりしちゃうから黙っておこう。
「そうかな。あっメイド喫茶ならオムライスにケチャップで文字を書いたり、美味しくなる魔法とか唱えたりするのかな?」
「あったっ多分…オムライスはやると思います。叔父さんのオムライスみたいなすっすごいクオリティのヤツではないとおっ思いますけど…」
「そっか。ひとりちゃんが美味しくなる魔法とかやったらスゴい人気になりそうだね」
「うぅ…おぇ…」
あっヤバい誉めすぎた
「まっまあせっかくの文化祭だからひとりちゃんも楽しめるように参加できるのが一番いいよね」
「あっはい…おっ叔父さんは…」
「うん」
「叔父さんはぶっ文化祭のステージ…出た方がいいと思いますか?」
おそらくSTARRYで星歌さん達にもしたであろう質問。
私的にはもちろん出てほしい。しかし…
「“叔父さんは”出た方がいいと思うよ。でもそれはあくまで叔父さんがそうしてほしいってだけで、ひとりちゃんがどうしたいかはひとりちゃん自身が決めるしかないんだ。まだ時間はあるんだよね?」
「あっはい、期限は中間テスト前までなので…」
「なら、今からゆっくり考えてたくさん悩んで自分の考えをまとめるといいよ。どんな結論になったとしても叔父さんはひとりちゃんの味方だからね」
「あ…はい、あっありがとうございます」
ごちそうさまでした
「あっあの叔父さん」
「ん?なんだい?」
「もっもし、私達が文化祭のステージに出たら…おっ叔父さんは来てくれますか?」
「それはもちろん、何があろうと必ず観に行くよ」
私がそう言うとひとりちゃんの表情はパッと明るくなった
文化祭ステージに出る方に考えが傾くように助長するような発言だった気がするけど、まあ本心だしいいよね!
次回 中間テストの姪と◯◯
原作遵守なのでお勉強回挟みます。そしてひとりちゃんの勉強を見てくれるキターンも来る?