ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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末恐ろしい姪と姪とたこ焼きパーティー

私の家から歩いて15分。同じ下北沢にあるライブハウスSTARRY。前回の台風が直撃したライブの日に行くことが出来なかったので、何気に初STARRY。今日は結束バンドのライブの日、私も楽しみにしていたので今からワクワクが止まらない。それに嬉しいサプライズもあった。それは…

 

「おとーさん、おじちゃーん、早く入ろ! 」

 

「うん、そうだね」

 

「というか晋作、ライブTシャツまで着てライブへの意気込みが半端ないな!」

 

「前回は仕事で行けなかったからね。今日は全力でひとりちゃん達を応援するよ」

 

「ふたりも応援するー!」

 

それはもう1人の愛すべき姪、ふたりちゃん(と兄さん)も来ていることだった。相変わらずハキハキと物を言う元気な子だ。かわいい。

 

 

「ひろーい!」

 

STARRYに入るとふたりちゃんはおおはしゃぎで、喜多さんと虹夏さんと楽しそうに話したり、リョウさんに(洗脳と称して)音楽を聴かせてもらったり、星歌さんの髪型をツインテールにしたりとライブ開始までそのコミュ力の高さを遺憾なく発揮していた。その側で何故かひとりちゃんが壁際で落ち込んだり、虹夏さんの背後に回って何かを訴えかけたりしてたけどなんでかな?

 

 

私達のすぐ後に、ひとりちゃんのファンだという女性2人組が入ってきた。その名も1号さんと2号さん。某特撮ヒーローを思わせるね。ふたりちゃんも自分の姉にちゃんとしたファンがついてくれてることが嬉しいみたいで、1号さん2号さんを見てずっとニコニコしていた。

 

チケットの受付が始まって少し経った頃、聞き覚えのある声で尚且つ呂律の回ってないしゃべり方の人物がやって来た。

 

「ぼっちちゃあ~ん!きくりおれえはんが来たよ~…あっ!おっちゃんもいるじゃん~こないらのカレーおいしかっらよ~まらごはんヨロ~」

 

「あっ廣井さん…もっもう飲んでるんですね」

 

「廣井さんずいぶん酔ってますね。程々にしないとダメですよ?」

 

「ちゃんとしてない…変な匂いする」

 

さっきのファンの子達とは違って、ふたりちゃんも廣井さんのことをちゃんとしてない大人と認定したようだ。ムムムっとしかめっ面をしている。この人はふたりちゃんには教育上非常によろしくないね。

 

「…おじさん」

 

「ん?虹夏さん何かな?」

 

「廣井さんもおじさんの家でご飯食べたの?」

 

「うん、そうだよ」

あれ?なんか口調が恐い。それに初めて会った時みたいな冷たくて鋭い目をしているような…よく見たら喜多さんとリョウさんも同じような目をしてる。

 

「叔父様は節操なしですね♪」

 

「誤解を生む言い方だね」

 

「またの名をプレイボーイと言う」

 

「言わない言わない」

 

「ふーん…そうなんだ…食べてもらえれば誰でもいいの?」

 

「え?」

 

「…なんてね!おじさん優しいもんね!あっ今日のライブ頑張るから応援しててね!」

 

「あっうん、もちろん。頑張ってね」

気のせいか。

 

その後、廣井さんはツインテールの星歌さんを弄りすぎた結果きっちりシメられた後簀巻きにされていた。南無。

 

 

 

\ケッソクバンドデース/

 

「やっと始まるね。ふたり」

 

「うん!」

 

「頑張れみんな」

 

ライブが始まると、さっきまでノリノリだったふたりちゃんの顔が急に真顔になった。

 

「下手~おうちで弾いてる時は凄くうまいのに」

 

「だっ、だね~…」

 

急に辛辣なことを!?

「えっそうなの?私には十分上手に聴こえるけど」

 

「ふたりはいつもひとりのギター聴いてるからな~」

 

「ふたりちゃんは耳が肥えてるんだね」

 

「なんといっても俺の娘だからな!…でもふたり、お姉ちゃん1人で弾いてる時よりずっと楽しそうな顔してるね」

 

「うん!」

 

私は普段、ひとりちゃんが弾いている姿を見る機会は(防音室に籠ってるから)少ないけど、何となくわかる気がする。目の前で俯き気味に演奏しているひとりちゃんの顔はよく見えないけど、心から楽しんでいることは凄く伝わってくる。結束バンド…やっぱりいいバンドだ。

 

 

\ケッソクバンドデシター/ \アリガトウゴザイマシター/

 

 

 

 

ライブが終わり家への帰り道、口々に今日のライブの感想を言い合っているとふたりちゃんが「ビミョーだった」と辛口なコメントを発してきた。

 

「うっ…ド下手ですいません…」

 

「けどライブしてる時のおねーちゃんすごいカッコよかった!」

 

「そうだね、私も今日のひとりちゃんはカッコいいって思ったよ」

 

「ふたり…叔父さん…」

 

「よーし、晋作の家に着いたらライブお疲れ様会やるぞ!晋作、食材の準備は大丈夫か?」

 

「うん、前もって買い出ししてあるよ。今日はたこ焼きパーティーだよ」

 

「わーい!」

 

 

4人で家に帰ってきてしっかりと手洗いうがい。からのたこ焼きの仕込み開始。定番のたこだけでなくバリエーション豊かに取り揃えている。

 

熱したたこ焼き器に油を引き、生地を穴からこぼれるくらい流し込む。たこ、ネギ、天かす、紅生姜を入れる。2分ぐらいしたらキリで穴の周りの生地を集めるようにしながらひっくり返す。全体が焼けて真ん丸に仕上がったらソース、マヨネーズ、青のり、花カツオを乗せて「完成」

 

本日の晩御飯

叔父さん(と兄さん)特製たこ焼き

 

「俺と晋作がドンドン焼くからいっぱい食べなさい」

 

「私はこっちのコンロで別のやつを焼いていくよ」

 

「わーい!」

 

「では手を合わせてください」

 

「「「「いただきます」」」」

 

「あっふたりちゃん、熱いから気をつけてね」

 

「はーい!あむ、はふっはふっんっおいし~!」

 

小さめに作ったとはいえ、ふたりちゃんは1個丸々パクッと豪快に口に放り込んだ。全然気を付けてないね。

 

「あつっあっふっあふっはふ」

 

ふたりちゃんにつられてだろうか。ひとりちゃんもまるごと1個をパクリといった。できたてだからそりゃ熱いよ。でもかわいい。

 

「はい、次が焼けたよ」

 

「おじちゃんありがとう!はむっ…あっ!こっちはチーズだ!」

 

「あったこだけじゃないんですね」

 

「うん、せっかくのたこ焼きパーティーだから色々入れてみたよ。それはソーセージとチーズ入り、こっちはモチと明太子、あとこっちのソースがかかってないのはチョコとバナナだよ」

 

「チョコバナナ!?晋作よ。冒険が過ぎるぞ」

 

「生地も変えてあるから大丈夫だよ。騙されたと思って食べてみて」

 

私の言葉で兄さん達は、半信半疑のままチョコバナナたこ焼きを口に運ぶ。

 

「…結構いけるな」

 

「でしょ?」

 

「あまーい!おいしー!」

 

「あっこれ好きです」

 

「それはよかった」

 

「…そういえば晋作、ここに複数の女の子を連れ込んでると言ってたが本当か?」

 

「言い方に語弊があるね。…まあ事実だけど」

 

「ほおー。で、誰が本命なんだ?」

 

「いや本命とかないから。みんな大事なお客様だから」

 

「ほんめー?おじちゃんほんめーがいるの?」

 

「いないよー」

娘2人の前で何言ってんだろうねこの兄は。ここは話題を変えねば。

「それにしても今日はひとりちゃん大活躍だったね」

 

「あっありがとうございます」

 

「そうだなー。固定のファンも付いてるみたいだしお父さんも鼻が高いぞ!」

 

「う、うん」

 

「次は文化祭ライブだね。こっちも叔父さん観に行くから頑張ってね」

 

「あっ…はい…」

 

あれ?歯切れが悪い?

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「それじゃまたな晋作、娘はやらんぞ?(ひとりをよろしく頼むぞ?)」

 

「兄さん、本音(?)が出てるよ。ふたりちゃんまたね」

 

「おじちゃんバイバーイ!おねーちゃんがんばれ!」

 

「あっうん。バイバイ…」

 

賑やかな晩御飯が終わり、兄さんとふたりちゃんを見送る

さっきのひとりちゃんの反応からして、まだ文化祭ライブ

に出るのが恐いのかもしれない。前に喜多さんが家に来た時の「私は罪人です」から察するに文化祭ライブに関して喜多さんの行動が絡んでそうだ。とはいえ、出ることになってしまった以上ひとりちゃんには覚悟を決めて頑張ってほしいね。




次回 決意を固めた姪と◯◯

次から文化祭ルートに戻りますよ。
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