ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。
話を考えるより献立考える方が大変だ。


バンドを組んだ姪とミックスフライ

ひとりちゃん的バンド女子っぽい格好で登校した日の午後4時頃、珍しく私のスマホから通知音が鳴った。ひとりちゃんからのロインだ。なになに…?

 

すいません

 

今日帰るのがいつもより遅くなります

 

晩御飯までには帰ります

 

 

おお!つまり誰かに話しかけてもらえて帰りに寄り道とかしてるのかな? 新しい友達とかできたんだね…。叔父さん感動した!…ふむ、ならば今日はいつにも増してとびきりのご馳走を用意しなければ。晩御飯までに帰るって言ってるし、しっかりお腹をすかせてくるってことだよね。

ガッツリと揚げ物にしようか。あとデザートとかも用意しとこう。よし、そうと決まれば買い出しだ!

 

 

 

 

「あっただいまです…」

 

「おかえりひとりちゃん。すぐご飯にできるけど食べるかい?それともお風呂先に入っちゃう?」

 

「あっ、汗かいたんでさっ先にお風呂…いいですか?」

 

「もちろん。もう沸いてるから入っておいで」

いそいそと風呂場へ向かうひとりちゃんを見送った後、主菜以外の配膳を終わらせておく。後は下ごしらえしたネタを揚げるだけだ。

 

 

 

 

「あっお風呂おっお先にいただきました…」

 

「はーい、もうすぐご飯できるからね」

 

「あっはい」

 

さてさてそれでは揚げていきましょう。最初はヒレカツ。3cmと厚めに切ったヒレ肉を170℃の油で4分、しっかりと火を通す。次は牡蠣フライ。ヒレ肉以上に火の通りが大事。ノロウイルスは怖いからね。調理用温度計で中が85℃以上なのを確認してからさらに90秒揚げる。最後はエビフライ。丁寧に伸ばした大きめのブラックタイガーにパン粉を付けて揚げていく。全長15cm以上はある。うーん長い!これは食べごたえがあるね。「完成」

 

本日の晩御飯

 

炊きたてご飯(ゆめぴりか)

ミックスフライ(ヒレカツ、カキフライ、エビフライ)

豆腐と水菜のサラダ

胡瓜の柚香おろし和え

赤だし汁(なめこ、葱、わかめ)

 

「では手を合わせてください」

 

「あっはい」

 

「「いただきます」」

 

「ふあぁ…」と叔父さん特製フライ達を見てどれから食べようか迷っているひとりちゃんを眺める…。そのうちヒレカツを選び、ソースに付けてパクりと一口かじった。「んん~♪」という声と、その緩みきった表情で今日の仕事の疲れが吹き飛ぶ。かわいい。

 

「ソースは色々あるから遠慮せず使ってね」

 

「あっはい、じゃあこれを…」

 

そう言ってひとりちゃんは、カキフライに特製のタルタルソースを纏わせて豪快にまるごと頬張った。まるでひまわりの種を頬袋に詰め込んだハムスターの如く。

 

「おいひいれふ」

 

「うん、よかった。どんどん食べてね」

 

次に箸に取ったエビフライに、これまた特製のオーロラソースをかけてサクッと小気味良い音を立てて一口。長いのでさすがに一度で全部は食べられないみたい。

 

「ん…このエビ太くて長くておっきいですね」

 

「でしょ?絶対エビフライにするべきだと思ったんだ」

 

「あっはい美味しいです」

 

 

一通り食べた後、ひとりちゃんが何やらもじもじしてこちらを伺っている。何か話したいようだ。

 

「ん、ひとりちゃんどうしたの?」

 

「あっあの、わっ私実は…」

 

「うん」

 

「バッバンドに入ることになりました」

 

バンド?バンドってあのバンド?

 

「ライブとかするようになったってことかな?」

 

「あっはい、きょっ今日、ライブ…してきました」

 

「えっすごいじゃないか!ひとりちゃんギター上手だから大活躍だったでしょ?バンド女子の格好して行ったかいがあったね」

 

「えっあっまあ、そこそこでした…はは」

 

あれ、楽しかったはずなのに少し浮かない顔してるようにも見えるのは気のせいだろうか。まっまぁなんにせよ自分の得意なことを活かせるようになったのは良いことだね。

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「あっひとりちゃん、今日は特別にデザートもあるよ」

 

「えっデザート?」

 

「うん、叔父さん作ではないけど。コンビニスイーツなんだけどCMで見て食べてみたいって思っててね。ひとりちゃんまだお腹大丈夫かい?」

 

「あっはい食べられます」

 

「そっか、じゃあ持ってくるね」

 

冷凍庫に入れておいたブツを持ってくる。ひとりちゃんも今時の女の子だし、こういう甘いものは大好きなはずだよね。大好きであれ。

 

「はい、ひとりちゃんどうぞ」

 

「あっはい、ありがとうございます。えっとこれは?」

 

「ムニストップの期間限定商品『完熟マンゴーパフェ』だよ」

 

「えっ…」

 

「すごいよね300円代で厳選されたアップルマンゴーをこんなにゴロゴロ入ってるパフェを提供できちゃうんだから。企業努力の賜物ってやつだね!あれ?」

 

完熟マンゴーパフェを目の前にしてひとりちゃんが固まっている。よく見ると小刻みに震えてるし少し涙目になっている…?

 

「えっどうしたの?ひとりちゃん。もしかしてマンゴー嫌いだった?それともやっぱりお腹いっぱいだったとか?ひとりちゃん?ひとりちゃん?」

 

 

「完熟…マンゴー…」

 

その後正気を取り戻したひとりちゃんは、普通に完熟マンゴーパフェを完食。ただその後「次は…次はちゃんと…」と何かを唱えるように呟いていた。バンド活動うまくいくといいな。

 

 




次回 働きたくない姪と◯◯
(◯◯にはその日の献立が入ります)
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