ロックな姪と食べさせたい叔父さん   作:氷英

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御覧になっていただきありがとうございます。

波乱(?)の文化祭からアニメ12話後半へ。



30万持ってきた姪とポトフ

文化祭ライブ後、ひとりちゃんは兄さんから借りていたギターを壊してしまったことに落ち込んでいた。どう謝ろうかと聞かれたりしたが、兄さんのことだからそんなに怒ったりはしないんじゃないだろうか。楽器素人の私が言うのもなんだけど、修理できるかもしれないし。

 

週末ひとりちゃんは、壊れたギターを背負いトボトボと実家へ帰っていった。部屋を覗いた時に土下座の練習をしてたので謝罪への意気込みは十分なようだ。また暴走してやりすぎなければいいんだけど…。私にできることは家に戻ってきた時に美味しいご飯を用意しておくくらいだ。うん、いつも通りだね。

 

 

月曜日。仕事から帰るとひとりちゃんの靴があった。今日はSTARRYのバイトはないらしい。

 

「ただいま」

 

「あっおかえりなさい」

 

私に気付いて部屋から出てきたひとりちゃんは、週末に見せていた暗い表情とは打って変わって晴れやかな顔をしている。どうやら兄さんへの謝罪会見はうまくいったようだ。

 

「ギターなんとかなったかい?」

 

「あっはい、あのこっこれで」

 

そう言って見せてくれたのは、両手いっぱいに広げられた福沢諭吉さん。福沢諭吉さん!?いったい何人…じゃない何枚あるんだ?いやそもそもひとりちゃんが何故こんな大金を?まさか危ないお仕事?それともヤミ金?

 

「ひとりちゃん、そのお金は?」

 

「あっあの実は…」

 

カクカクシカジカママンノニジカ

 

「なるほど動画広告収入か」

 

「あっはい。今まではお父さんのギターを借りてたので、このお金で自分用の新しいギターを買おうかと」

 

兄さんも有能というか用意周到というか、娘のためなら何でもするというのは口だけじゃないね。

 

「ふむ、それは間違いなくひとりちゃんのお金だね。でも大金には違いないからよく考えて使うんだよ?」

 

「あっはい」

 

最初はビックリしたけど確かにギターヒーローはチャンネル登録者数も再生数も多いからそれくらいの収入になってもおかしくないね。叔父さん安心しました。気を取り直して晩御飯の準備だ。

 

大鍋にぶつ切りにした人参、皮を剥いたじゃが芋、皮を剥いて半分に切った玉ねぎ、芯の付いたまま6等分したキャベツ、厚切りベーコン、にんにく、固形コンソメを入れてじっくりと煮込む。出来上がり15分前位にソーセージを入れて温めたら「完成」

 

本日の晩御飯

叔父さん特製ポトフ

フォカッチャ

はちみつソースのカプレーゼ

 

「では手を合わせてください」

 

「あっはい」

 

「「いただきます」」

 

私の作るポトフは大きめの野菜がゴロゴロ入ったタイプ。用意したナイフとフォークで切って食べる。ひとりちゃんは、取り分けた野菜の中でも一際存在感のあるキャベツを一口分に切り分けてパクリと口に運ぶ。

 

「んっ…あっこれ芯まで柔らかい。食べやすいです」

 

「キャベツの芯は葉っぱの2倍くらい栄養素があるらしいからね。美味しく食べて健康になりましょう」

 

「あっはい。あっ玉ねぎトロトロで甘い…」

 

「原型を留めておけるギリギリまで煮たからね。あっ味変でブラックペッパーをかけると美味しいよ」

 

「あっありがとうございます」

 

私からペッパーミルを受けとると、ひとりちゃんはじゃが芋にガリガリとブラックペッパーをかけた。ホクホクと柔らかくなったじゃが芋は簡単にナイフが通る。口に入れた瞬間ひとりちゃんの目がカッと開き、モグモグする口が気持ち早くなった。かわいい。

 

「あっこれピリッとしておいしいです」

 

「よかった。たくさん食べてね」

 

味変で食欲に勢いがついたのか、ひとりちゃんは用意した料理をどんどん平らげてくれた。やっぱりひとりちゃんのモグモグタイムは癒されるなぁ。

 

 

ごちそうさまでした

 

 

「あっあの叔父さん」

 

「うん、なんだい?」

 

「あっ明日、虹夏ちゃん達と御茶ノ水で新しいギター見てきます。ほっ本当は通販で済まそうと思ってたんですけど…」

 

「うんうん。叔父さん楽器のこと詳しくないけど、実際に直接見たり触ったりした方が良い物を選べるかもしれないね。いいギター見つかるといいね」

 

「あっはい…えへへ」

 

翌日ひとりちゃんは、結束バンドの皆と共に御茶ノ水の楽器店へ行き、新しいギターを購入してきた。YAMAHAのPACIFICAというギターらしい。ひとりちゃんは帰るなり

部屋に籠り、新しいギターの弾き心地を試している。子供の時、新しい靴を買ってもらった日に家の中で履いて走り回ったことを思い出した。こういうのは何時だってワクワクするものだよね。私は気になっておやつを渡すという

口実で部屋の様子を見てみることにした。すると鏡の前でギターを構えて「えへへへ…」と上機嫌なひとりちゃんがいた。かわいい。

「ひとりちゃん、新しいギターの調子はどうかな?」

 

「あっごめんなさいごめんなさい君の事も忘れてないよ…ゆるして…」

 

私が部屋に入るのと同じタイミングで、ひとりちゃんはバッと振り向いて兄さんから借りていた方のギターに土下座し始めた。急にどうしたの!?

 

「あっおっ叔父さん…なっなんでもないです」

 

「そう?それならいいんだけど。あっそのギター…とても似合ってるよ」

 

「あっありがとうございます…えへへ」

 

うん。かわいい。

 

 




次回 マイニューギアりたい姪と◯◯

あの子との親密度が上がる回。の予定。
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